010-報われない無謀
その日から、俺はトレーニングを続けた。
といっても自己流で、妥協に妥協を重ねたものだが。
努力なんて無理だ。
何だか筋肉がついた気がする。
「あいつ何?」
「知らね」
今日も今日とて、俺たちは討伐へと向かう。
最初は出席番号順だった列も、固まりたい奴らで固まっていた。
俺は相変わらず最後尾で、イメージトレーニングをしながら歩いていた。
少しは戦えるようになったはずだと思いつつ、森を抜けていく。
「うおおお! 死ね!」
「雷帝!」
敵を見た瞬間、稲妻や火の玉が飛び交う。
驚くほどあっさりと、化け物は倒れていく。
俺は周囲を見て、なるべく小さい奴を探す。
皆が戦っている脇で、いそいそと逃げ出そうとしている腰くらいのカエルもどきを見つけた俺は、
「――――堕落!」
スキルを使って自己強化を図る。
どんな姿になっているかは分からないが、きっと恥ずかしい姿に違いない。
だけど構わない、この力でたとえ小さいやつでも倒せるなら、露払いくらいはできるって事じゃないか。
「うおおおおおおお!!」
俺は思いっきり拳を振るう。
それで、手応えはあった。
鈍い感触で、骨に当たったような感じがした。
......ただ、殴った手も痛かった。
「いってぇ.....ッ! ........あ」
慌てて手を引っ込めた俺は、そこで見た。
目、目、目、目。
木の影に隠れて見えなかった、そのカエルもどきの同族たちに見られていた。
何かヤバイ。
そう感じた時には、それらが一斉に俺に覆い被さった。
「うわ! やめろ!」
引きはがそうとしても、重くて出来ない。
前足で逆に殴られる。
痛い。
誰か助けてと言いたかったが、そんな事をしたらますます白い目で見られる。
余計な事を考えていたら、唐突に誰かの足音が聞こえて来た。
ありがたい、助けだ。
都合よくもそう思っていた俺の耳に、
「よっわ」
女子の声が届いた。
「雑魚狙って負けてんのダサ~!」
「引っ込んで見てればいいのに」
遠くから声が聞こえる。
うるさい。
うるさい。
お前らは持ってるじゃないか。
才能を、人望を、スキルでさえ。
結局、俺は痣だらけになって帰ることになった。
あの時の女子も含めて、誰も助けてくれなかったが、テレンだけが助けてくれた。
「功を焦るのも分かります。ただ――――あなたは自分の実力を、もう少し俯瞰した方がいいと思われます」
「.............................はい」
やさしさからか、そう言葉をかけられた。
俺は衝撃を受けて、そう答えるしかなかった。
多少トレーニングしたところで、結果は覆らない。
もうなるようになるしかないんだと、諦める事しかできなかった。
俺の未来はあいつらに握られていて、俺はあいつらが死ねと言ったら死ぬしかないんだ。
まあもっとも。
あいつらには俺の存在など、空気も同然だから。
最後まで気付かないでいてくれるかもしれない。
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