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思兼学園異聞  作者: 歌麿
第一部 桜の檻編
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観測者

 異変は続く。

 存在の欠落。

 記憶の消失。

 記録の改変。

 しかし。

 龍真だけは忘れない。

 どれだけ世界が書き換わっても。

 誰が消えても。

 龍真だけは覚えている。

 白狐が告げる。

「龍神系統の観測権限です」

「あなたは記録の外側にいます」

「だから忘れない」

 その時だった。

 学園の屋上。

 誰もいない空間に。

 黒い人影が現れる。

 先日の侵食体とは違う。

 輪郭が安定している。

 まるで神話の登場人物。

 あるいは。

 神そのもの。

「神殺し候補個体」

 影は呟く。

「適合率上昇確認」

 黄金の瞳が細くなる。

「回収工程へ移行する」

 龍真は直感した。

 あれは。

 今までの敵ではない。

 もっと上位の存在。

 原初神。

 その端末。

 そして。

 その視線は美月だけを見ていた。

 まるで。

 宝物を見るように。

 あるいは。

 凶器を見るように。

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