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消えた生徒
事件は月曜日に起きた。
「ねぇ」
「一組の高橋君って今日休み?」
そんな何気ない会話から始まった。
しかし。
誰も答えられなかった。
「高橋?」
「誰それ?」
クラスメイト達が首を傾げる。
龍真だけが違和感を覚えた。
確かにいた。
先週まで。
体育館で見た。
購買にも並んでいた。
なのに。
誰も覚えていない。
職員室で確認しても。
名簿にもいない。
写真にも映っていない。
最初から存在しなかったことになっている。
放課後。
白狐が珍しく険しい顔をしていた。
「発生しました」
「何がだ」
「神殺し兆候です」
空気が変わる。
「消されたのか」
「違います」
「存在定義が失われました」
龍真は理解する。
殺されたのではない。
“いなかったことになった”。
それこそが神殺し。
神格だけではない。
存在そのものを消去する現象。
そして。
その中心にいるのは。
神楽坂美月だった。




