その6 世界は彼の掌の上
★ 狂想爆炎ピアチェレディ!
第四話『夢想家どもの、終末糾弾』
その6 世界は彼の掌の上
teller:リュート=シューター
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目の前に、【レディ】がいる。
というか、異空間そもそもが【レディ】、『マザー』に成り代わられている。
全ての【レディ】に通ずるマザーコンピュータの強大さは、広大さは、こんな世界一つ程度じゃ輪郭すらも再現できない。
だから、眼の灯りしか視認できないんだ。
『マザー』の大きすぎる全貌は、僕らなんかじゃ推し量れない。
でも、そんな。
ここが僕の作ったまやかしの世界とは言え、世界をまるっと乗っ取るなんて。
そんなの、反則すぎる。
「――んじゃ、まずはWITTSらしく魔女退治といこうか」
「え……」
乗っ取られたはずの世界から、僕の考えた幻影魔女が次々と飛び出し、僕たちに襲いかかる。
僕の【妖精因子】の想像力の名残らしい。
僕が感じた冥助への、そして『マザー』への困惑と畏怖が敵意に変換されて、魔女の幻影を象って、しぶとく食ってかかろうとする。
――だけど、呆気ないものだった。
魔女を覆う世界が、眩む。
鮮烈な輝きが、僕らの目に映る全てを包む。
ううん、包む、なんて言葉じゃ生ぬるい。
制した。
そんな言葉が似合うくらいの、強い光。
幻影魔女たちの動きが止まる。
まるで、輝きに恐れをなしたかのように。
あまりに強すぎる輝きに負けて、僕は瞬きをしてしまう。
次に目を開けた、その時。
幻影魔女たちに向かって無数の切っ先が突き進むのが見えた。
世界から放たれた切っ先は、流星群のようだった。
輝きが、煌めきが、そのまま切っ先に変換されていく。
光が連鎖すればするほど、鋭い切っ先が放たれる。
空間をぐにゃりと捻り裂いて、歪んだ空間から次々と切っ先が芽生え、生まれ、幻影魔女へと降り注いで――。
本当に、世界そのものが、幻影魔女の敵だった。
【レディ】・『マザー』と化した異空間の全てが、幻影魔女に牙を剥く。
魔女の存在を、容赦なく咎める。
スケールの違う、大きすぎる力の全てが。
一気に幻影魔女へと突き刺さり、その身を抉り砕く。
中には、ぐにゃりと姿を変えた世界のねじれに巻き込まれて瞬時に消失した魔女すら居た。
――世界を敵に回してしまった、僕なんかの想像力は、僕なんかの敵意は。
圧倒的な上位存在に、容易く洗い流されてしまった。
幻影魔女の気配が全く感じられなくなった頃。
冥助はふうと一息つく。
「――うん、完勝。強いでしょ? まー、と言ってもマザー起動にはちょいコツがいるし、起動した時の代償もそれなりなんだけどさ。ほんとはもっと色々できるんだけど、代償キツくなっちゃうからねえ」
そう軽い調子で言って。
冥助は、じいじに――ブラウニーに向き直る。
「さて、じゃあ静かになったとこで。ブラウニーさんのコア、診よっか? ……スズベルくんと凪哉くんとこの幻影魔女さんたちも弱体化させてもらったはずだけど、あの二人が到着する前に、俺にやれそうなことはやっとこうかね」
――冥助=ララバイ。
こいつ、やばい。強い。
世界の遠隔操作。
世界ごとレディに成り代わらせて自由に操る、操縦する。
それがこいつの力なんだ。
簡単には抗えそうもない力の差を見せつけられて、僕は。
ただじいじの、冷たく硬い腕にきゅっとしがみつくことしかできなかった。
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