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妖精計画〜鬼の子と桃の花〜  作者: 洗井 熊
第1章 Sランク
17/24

17.Sランク

 

 朝、村の人達に笑われながら目覚めた。

 軽く朝食を取り、小屋内を片付けた。

 当然帰りは転移魔法ではなく、ナナイの村に設置されているゲートを使ってだ。

 これ以上は目立ちたくない。



「じゃあ行くぞ」

「ええ」


 フウカと一緒にゲートに手を触れ、目的地を王都へ設定。

 俺たちはナナイの村を後にした。



 ♢



 ザムスガル王国・王都。

 東方ゲート広場。

 朝だからか未だ人の姿はまばらだった。



「へ〜ここが王都ね」


 フウカは少しだけはしゃいでいる様に思えた。

 俺達はギルドへ向けて歩き出した。


「初めて来た?」

「当然でしょ」


「でも確か王都の学院に通ってる他国の子達がいるって」

「ああ、留学制度ね。留学して来ようとも考えたけどあまり王都を出られないって聞いたし」


「ああ、依頼もしてみたいんだっけ? 確かに留学制度だと王都から出にくいかもな」

「でしょ。出来る限り色々な依頼をしてみたいし」


 そんな話をしてるとあっさりギルドへ着いた。



「じゃあ俺は依頼報告してくるから、フウカは滞在許可証見せて冒険者登録してこいよ」

「ギルドで出来るの?」


「他にどこで冒険者登録するんだよ。まぁ1ヶ月の仮冒険者だけど出来ると思うよ」

「ふーん、了解」


「じゃあ後でな」

「ええ」


 少しだけフウカと別れた。



 ♢



「戻りました、ミラさん」

「あら、イフト様にしては遅かったですね。てっきり昨日の夕方には戻られるかと」


 対応してくれた受付嬢さんは当然ミラさんだ。

 ミラさんはクラン『王者の剣』担当だからな。



「ちょっと面倒事に巻き込まれて」

「やっぱり」


 やっぱり?

 そんな、毎回は……うん、巻き込まれてる気がするな。

 気をつけよう。



「では依頼の確認を。毒竜の肝5個の納品でしたね」

「はい、今回は丸ごとではないので」


 ミラさんはクスクスと笑っていた。

 ギルドの物品担当の者が来ると、俺は毒竜の肝を提出した。

 担当者は臭いからか、直ぐに肝に結界を張った。

 本当に臭い。



「はい、確認しました」


 ミラさんは表情一つ変えずに対応した。

 流石だ。

 あのザックが惚れるだけはある。



「報奨金200万ドラです」

「ありがとうございます」


 やはりスロッカスの沼地関連の依頼は報酬がいい。Aランクでこの価格だとまずまずだ。



「それと…」

「ん?」


 すると今度はギルドの裏手から別の人が現れた。

 普段見ない様な高そうな服を纏い、見るからに身分の高そうな人だ。



「冒険者イフト殿」

「はい?」


「貴殿には、我らが王より特別Sランク『竜殺し』の称号を与えるとの命が下りました」

「!」


 俺はその人の前で片膝を着き、頭を垂れた。

 偉い人は懐からなにやら賞状を取り出しそれを読み上げた。



「貴殿は、風竜・雷竜・氷竜・火竜そして今回の毒竜の、五竜種討伐による特別Sランク『ドラゴンスレイヤー』の称号とゲートの自由許可証が授与されます」

「はっ」


「今後も我が王国繁栄のため、精進する様にとの事です」

「有り難く」


 俺は立ち上がるとその賞状を受け取った。

 そして偉い人が拍手すると、周りにいた人達も一斉に拍手して祝福してくれた。

 凄く恥ずかしい。

 朝ほどではないが、照れてどうすればいいか分からなかった。



「イフト様」

「なんですかミラさん?」


「アイリス様がお呼びです、後でクランへ顔を出す様にと」

「分かりました」



 ♢



 数分後

 フウカと再会した。



「凄い賑わいだったわね」

「ああ、恥ずかしかったよ」


 俺は賞状をフウカに見せた。



「へ〜やっぱ凄いわね。15歳でSランクなんて相当でしょ」

「多分ね」


 今日くらいは自慢げになってもいいよな?

 だって今まで無かったしな…褒められることなんて。

 あ、そういやあったな。

 トウカはよく俺の事褒めてくれたっけ。



「それでフウカの方は?」

「バッチシよ。正式に半年の滞在と冒険者登録を認められたわ。まぁあくまで仮冒険者だけどね」


「あれ? 1ヶ月じゃなかった?」

「お願いしたら許可してくれたわ。まぁ私の家って結構な家柄だから、家名出したら快く承諾してくれたわ」


 家名か。

 そういや聞いてないな。



「なんて名前?」

「…秘密よ。貴方が誠心誠意私に尽くしてくれたら教えてあげてもいいわよ」


 くそ生意気な答えが返ってきた。

 別に火相で視てもいいんだけど、なんかタイミングを逃してしまった。



「はいはい」

「それで? 次はどうするの?」


 ん?

 次?

 これで終わりじゃ…



「え?」

「へ?」


「いや、だって…王国への滞在は許可されたんだろ? なら好きに行動すれば…」

「ちょっと! 最後まで責任取ってよ! こんなところで中途半端に放置する気なの!?」


 責任も何もないがな。

 これ以上俺にどうしろと?


「いや、好きに依頼を受けたら…」

「私のこと監視するんでしょ! その代わり自由に動けるんでしょ!」


「いや俺が監視するわけじゃ…それは王国かギルドが…」



「おい、監視とか責任とか言ってぜ」

「ああ、鬼髪もやるな」

「これだから男って」

「あんな可愛い子に何かしたのよ」


 ギルドからヒソヒソ声が聞こえてくる。

 マジかよ。

 もう面倒事は沢山なのに…

 くそっ!



「分かったよ。今から俺が所属してるクランに行くからついて来いよ。クランリーダーに指示を仰ぐから」

「当然よ、しっかり案内なさい」


 当たり前の様に言ってきた。

 くそ。

 こうなったら世話係にザックを推薦してやる。

 精々困り果てるがいい。


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