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075_食いしん坊の街

本話を執筆し始めたのは 7月第二週のこと、なんかいきなり暑くなってきました。

先程エアコンをつけた時点で室温は36度、昨年のMAX39度を超える日はあるか?

大阪の室内温度は大体そんなものですが、温度以上に湿度が厄介且つ危険ですね。

関東や東北の夏は大阪に比べて、割と過ごし易かったという印象しかありません。


それはそうと、頭痛が酷いので無理せず休もうと思ったら四日も経過してました。


10/3: 以下の誤字(?)訂正を行いました。 他は変更なし。

人見知りが成せる → 人見知りが為せる 成を為に変えました。

意味的にはやっぱり《 為せる 》が正解かなあ? とか思って。

髭が経営する有限会社 AJC 芸能プロダクションの所属タレントは、伊藤ただ一人。

他は本年度収益の 99パーセントを上げる俺、則ち KAGUYA を含め全員が一時契約

に過ぎない超零細プロダクションであり、今現在は正社員を絶賛募集中とのこと。


「 で、煩いのよねぇ・・・顔を合わせる度に、正社員になってくれないかって 」

「 正社員になって試せばいいじゃん、駄目元で。 条件は悪くは無いんでしょ?」


そんな状況下では、フリーカメラマン & メイクアップアーティストの友利姉さん

が誘われるのは当然だと思うし、逆に誘わなければ経営者としてのセンスを疑う。


今迄期間契約だったのは、脆弱過ぎる経営基盤故に給与保証が出来なかった為だ。

実際にひょろP なんかは、度々の給与遅配の為に何度も退社を考えたそうなのだ。


そんな、どん底の状況が大きく変化した。


一気に仕事と収入が増えた今、人手が少な過ぎる為にてんやわんやな状態なのだ。


「 確かに条件はいいんだけどねぇ。 今の滋さんと岩見君の状況を見ていたら、

  アレに巻き込まれたくは無いなぁ・・・なんて風に考えたりもしちゃうのよ 」


髭社長とひょろP は此処、軽井沢には来ていない。 クライアントへの対応やら、

求人への対応やらが忙し過ぎて、一箇所に留まって居られない状態なんだそうだ。


昨日は事務所、今日は客先、明日はロケハン、移動中は携帯で予定の確認と指示。

退院してからは休み無しでずっとそんな毎日なんだそうだ。 堪らんだろうなあ。


・・・・・・・・・


二人共・・・現場仕事以外は、本当に苦手そうにしていたもんなぁ。


今まさに・・・無駄に右往左往していそうな・・・そんな気がする。


・・・・・・・・・


ということで、伊藤のマネージャーも兼任している友利姉さんだけが、俺たちの

予定に合わせて軽井沢に長期滞在中。 近くのペンションに泊まっているらしい。


そうやって友利姉さんに俺たちを、事務所の財源を丸々一任しているという事だ。


・・・期間契約社員に過ぎない友利姉さんにだ。 どんだけ髭は甘いんだろうか?

AJC 最大の問題は、真面な経営者が居ないという事だな。 なんて考えていたら。


「 仕事で忙しくなるのが嫌なんですか?」 「 勉強出来なくなりそうでね・・・」


友利姉さんの話し相手が五十嵐に代わっていた。 んじゃ、後はお任せでいいか?

俺は溶ける前にアイスクリームを楽しむことにする。 仕事終わりのアイス最高!


・・・・・・・・・


そう、仕事終わり・・・今日のお仕事である服飾ブランドの CM 撮影は終わった。


撮影はむっちゃ簡単に終わった。 別荘敷地内にある大きな池・・・の畔での撮影

なので散歩程度の労力も掛からなかった。 服は朝一に友利姉さんが用意していた

ので着替える手間も無かったのだ。 ふらっと池の畔迄出歩くだけの簡単なお仕事。


そのお仕事の後で、早めの昼食も兼ねて近くのカフェを借り切り寛いでいるのだ。


俺は仕事のスケジュール確認もあって友利姉さん、沢瀬、伊藤、何故か五十嵐の

五人グループで席を囲んでいる。 俺以外の四人はまだ注文品が届かず話に集中。

俺ひとりが、圧倒的に早く届いたアイスクリームに集中という状況になっている。


他は姉ちゃんと昂輝の二人組と、その他下級生組といったグループになっている。


五人と五人に二人・・・人数的にみると、ややバランスに欠けたグループ分けだ。


・・・・・・・・・


姉ちゃんと昂輝の二人が離れているのは、下級生に対する気配りや遠慮ではない。


単に姉ちゃんの人見知りが為(な)せる結果だ。 姉ちゃんが一緒に居ても寛げる相手は

俺と昂輝と田辺しか居ない。 沢瀬が相手でも、何故か牽制し合ってしまうのだ。


弟としては、そんな処がちょっと気掛かりなのである。


・・・まぁ俺にしたって、似た様なもんなんだけどね。




   ◇ ◇ ◇




下級生グループがむっちゃ賑やかで、奥に居る二人の会話は全く聞こえてこない。

でも姉ちゃんが笑顔でいるから何の問題も無い。 昂輝に任せておいて大丈夫だ。


そして賑やかグループ・・・賑やか過ぎて話が頭に入って来ない。 賑やか過ぎる

上に話題がコロコロ変わるから付いていけないのだ。 仕方ないので田辺にお任せ。


そして俺たちお仕事グループは仕事の話を終えて、明日以降はどのカフェにしよう

との話題に切り替わっている。 毎日店を変えようという、面倒極まる話を五十嵐

が提唱して友利姉さんが賛同した・・・伊藤は始めから戦力外なので、俺と沢瀬が

全力で阻止しなければならないのに、沢瀬もが五十嵐に同調の姿勢を見せたのだ。


「 毎日此処でいいじゃん 」 という俺の主張は、皆から完全に聞き流されている。

別荘に最も近く街の中心から外れたこのお店は、俺や姉ちゃんが一番寛げるのだ。


それなのに五十嵐たちは、カフェのフルコンプなんて意味不明な主張をするのだ。


此処軽井沢に、どれ程カフェがあるというのだろう? 信号機やコンビニよりも

ずっと多いんだぞ⁉ 多分だけど? そこの処を解かっての提案なのだろうか?


・・・・・・・・・


ということで、全体で決を採る事になった。


結果は・・・俺の惨敗。 なんと! 俺以上の姉ちゃん(ひきこもり)にも裏切られたのだった!


「 だって、このお店はメニューが少ないから・・・三日で飽きそうだし、

  食べ盛りの子たちには、栄養面で満足出来るメニューが殆ど無いから 」


珈琲とデザートメインの小規模なカフェ。 その弱点を突かれたら抗い様が無い。

という訳で、明日からのカフェ行脚が決定したのだった。 今から順番決めとか。


仕方ないから・・・大人しく寝る事にする。 カフェ巡りなんか興味無いもんね。




   ◇ ◇ ◇




小動物に頭を蹴られた。 そう思って目を覚ましたら友利姉さんに頭をポンポン

されただけだった。 残念、そして無念なり。 起きて損したと思い乍ら見送る。


此処での話が一通り終了したので、宿に戻って残りの仕事を片付けるのだそうだ。


・・・・・・・・・


期間契約社員でもこの忙しさなのだ・・・写真やメイクを勉強中の友利姉さんが、

正社員になる事を躊躇うのも仕方ない事だろうと思う。 そう思う反面、条件付き

でなら正社員になってもいいと思うのだ。 自分の勉強は優先すると条件を付けて。


・・・・・・髭社長がソレを認めてくれないと思っているのかな?


例え認めてくれたとしても、現実には雑用に追われてしまうと考えているのかな?


・・・・・・・・・


無茶苦茶ルーズそうだもんなぁ・・・あの髭社長さん。


何度も給与の遅配をしたという、悪しき実績もあるし。


一度だけでなく、何度もという処が駄目過ぎるんだね。


何が何でも約束は守る上司! と、思われなくても当然な処を見せてるもんなぁ。


・・・・・・・・・


まぁ、友利姉さんと髭社長の問題だから、俺が関与する様な話ではないけれどね。


・・・ではない筈なんだけどね。    それでもね。


俺的には問題無いけど、伊藤の事を考えたら、髭をいつ迄も社長にしておくのは

あまり好ましい事では無いかも? 後で沢瀬に相談した方がいいかも知んない。


信用を得る為の株式会社化と、その為の出資を適当に処理すれば、アノ盆暗なら

簡単に転がせそうだし・・・問題は人材だけか? 友利姉さんじゃあ力不足だし、

沢瀬もそんなに暇じゃあ無いし、そこそこ有能な暇人に心当たりといってもねぇ?


沢瀬の母ちゃんくらいかなぁ・・・。




   ◇ ◇ ◇




右にも左にも立派なおっぱいが在るのに、何故この貧乳に抱かれているのだろう?

そんな疑問を感じ乍ら、俺はゆっくりと眠りに落ちようとしている。 貧乳かぁ。


テンションがだだ下がりだわ・・・すぅ・『 蒼ちゃ~ん! まだ寝ないでえ!』


入眠体勢に入った処を甲高い声で遮られる。 むぅ・・・この声は勘弁して欲しい。

本当に勘弁して欲しい。 いや、もう起きるから! 眠らないから、静かにして!


声の主は三好文香さん元23歳、24歳と言ったら嫌がられたので元23歳になった。

姉ちゃんの先輩であるロリ腐女子だ。 見た目同様に声も子供みたいなので苦手。


甲高いから頭に響くのだ。 胸も無いから、俺が相手をしたくない腐女子第一位。


「 ありがとうね、助かったわ。 私はもういいから次はフミちゃんを宜しくね 」


背後から優しく声を掛けられる。 俺を抱いている貧乳・じゃなくて山田さんだ。

山田さんは、姉ちゃんのサークルではもの凄く希少な常識人である。 胸の代わり

に常識を身に付けた人なのだ。 同じ山田姓なのに、男と女ではまるで違うのだ。


そんな残念な胸の代わりに、確かな常識と耳触りの良い声の持ち主の許から、胸も

声も常識も残念な、ガキロリの許へと差し出される今の俺は、建築物 & メカ専用

の作画ツールである。 いや、入力不要なので作画 AI といった処かも知れない。


「 具体的なイメージとか、参考資料なんかはあるの?」 『 全部お任せで!』


・・・甲高い、子供の様な声が頭に響く。 軽い眩暈を覚えてしまう程に。

本当に、声だけでこうなってしまうのだ。 酷い時には倒れてしまう程だ。


・・・・・・・・・


彼女は大声を張り上げている訳ではない。 単に声質の問題だから、責める道理は

無いのだけれど、やはりこの声はキツいのだ。 「 もっと小声でお願いします 」


『 ひょっとして蒼ちゃん・・・二日酔いなの?』 「 んな訳あるかーい!!」


悪意が無いのは解かっているけども・・・解かっているだけに、この人は苦手だ。




   ◇ ◇ ◇




姉ちゃんのサークルに所属する正規メンバーは、誰もがプロ並みの実力者だけど

共通する欠点がある。 建造物を描くのが凄く下手で、メカが致命的に描けない。


その欠点を補う為に、ランチを済ませた俺が姉ちゃんの頼みで、建造物の作画修正

とメカ全般の作画を手伝う事になった。 夏イチでの新作公開に間に合わせる為だ。


約10ヶ月の長期間、姉ちゃんには自分の新作を諦めざるを得ない程に、俺の仕事を

手伝って貰った恩があるから、俺としても全力で応えたいのだ。 応えたいのだが

イメージも参考資料も無い状態で、全てお任せされるのは結構キツいものがある。


作品のイメージを壊さない為には、作品を全編通して熟読する必要があるからだ。

正直言って俺には何が面白いのか判らないBL漫画。 ソレの熟読が必要なのだ。


・・・ソレだけでも十分にキツい。


ソレだけでも十分にキツいのに、三好さんの作品の場合は尚更にキツくなるのだ!

俺をモデルにしたキャラが押し倒されて、アレコレされる展開を読まされるのだ。


ソレを読まされて・・・うんざりする俺を、三好さんが頬を赤らめて眺めている。


そして徐にスケッチブックを広げて何かを描き始めた。 藍音が自らを抱き締め

恍惚とした表情を浮かべるイラストだ。 吹き出しには 萌えた? 興奮した?


・・・判っている。 自分の漫画のエロ描写の凄さ・素晴らしさの誇示である事は。

でもコレは殆ど・・・いや、完全にセクハラだ! といえるのではないだろうか?


・・・・・・・・・


・・・イラっとした。 手元にあるぬいぐるみを放り投げてやった。 命中した。


それなのに三好さんはへらへらと笑っている。 ぬいぐるみに慣れているからだ。

ちなみにぬいぐるみの使い方はコレが正解なのだ。 投げ付ける為のぬいぐるみ。


投げ易い、丁度いいくらいの大きさのぬいぐるみを、各人が手元に置いているのが

軽井沢拠点の特徴なのだ。 理由は今、集中的にぬいぐるみを投げ付けられている

三好さんの存在にある。 誰もが認める漫画の天才は、人をイラつかせる天才でも

あるからだ。 本人無自覚で周りを苛立たせてきた結果が、ぬいぐるみ投げなのだ。


俺の攻撃は効果が無かった三好さんだが、周りからの集中投擲には狼狽えだした。

ぬい一個の攻撃だったら大したことは無いが、数の暴力には抗えないという事だ。

「 むーむー 」と呻きを上げ始めている。 呻き乍らぬいを投げ散らかしてもいる。


孤軍奮闘の意思を。 徹底抗戦の姿勢を示したのだ。


・・・だが結局は数の前に敗れた。 両手を上げて降参、罰ゲームを受け容れた。




   ◇ ◇ ◇




罰ゲームといっても大したことではない。 ただのお遣いだ。 御代田に美味しい

ケーキ屋があるので、そこへのお遣い。 尚、コレは虐めではない。 俺への行為

がセクハラと認定されたことに拠る懲罰だ。 俺の提訴(ぬい投げ)が弾劾裁判の

切っ掛けになったのだ。 実に民主的な裁判といえる。 ・・・いえるのかなあ?


・・・・・・・・・


別にどうでもいいけどさ。 民主主義が絶対的に正しいという訳でも無いからね。


声が耳障りだという理由で、三好さんがボールギャグを嚙まされていたのなんか、

民主主義の暴走といっても過言ではない暴挙なのだから。 実際に助かったけど。


それでも昼日中から、妙齢婦女子がボールギャグなのだ。 そのまま外出したのだ。


「 まさかあのままお店に入ったりは?」 「 流石にマスク位は付けるでしょ!」


俺の疑念を常識腐女子山田さんは否定する。 確かに常識的に考えたらそうなるの

だろうけども三好さんなのだ。 俺には店員さんが凍り付く様子しか想像出来ない。


・・・・・・・・・


姉ちゃんを窺っても静かに首を振るだけ・・・アンタッチャブルという事なのだ。

三好さんの事は気にするだけ無駄という事。 居ないから仕事が捗ると思えばいい。


何といっても、俺の助けを必要とする頁は、まだまだ沢山残されているのだから。




   ◇ ◇ ◇




執筆は無理なく計画的に! をスローガンとする《眺富の会》では、特別な事情が

ない限り 17時が終業時間になる。 もの凄く健康的なタイムスケジュールで動く

サークルなのだ。 多分は主宰者である姉ちゃんが、健康の大切さを深く知る故だ。


だからまだ明るいうちから、のんびりとお茶会を楽しんだりする余裕があるのだ。

三好さんが、店員さんをドン引きさせて買って来たという大量のケーキをお供に。


ドン引きさせたのは単純に購入量に拠るものなのか? 他の理由があるのかは不明。

ちなみにメモ帳とペンは持っていたけど、マスクなんかは持ってなかったらしい。


・・・・・・・・・


『 ついでだから買い占めて来たよ!』のメモと領収書に、ため息を吐く山田さん。

山田さんは軽井沢班の班長さんで、財布やその他諸々の管理も任されているのだ。


こっちの山田は苦労性だなぁ。 あっちと足して割ったらいい感じになるのかも?

等と無益な思考は捨て置いて、スケジュールボードに張られた進行表を確認する。


最初に見た時には、細かな処迄は確認出来ていなかったから。 最終確認の為だ。


・・・・・・・・・


そうしたらはっきりと判った。 三好さんの作業は明日でも全く問題無かったと。

依頼通り今日中の完成を目指して必死に頑張ったが、急ぐ必要なんか無かったと。


そんな事実に・・・気付いてしまった。


夏イチに向けた進行表と今日の作業実績を比較した結果、かなり前倒しな状況だと

気付いてしまった。 ただ、新作完成を急ぐ三好さんに振り回されただけなのだと。


振り回されただけ、なのだけども・・・如何にも三好さんらしい我儘だと思った。


・・・・・・・・・


別に無駄な作業をした訳ではない。 最終の木曜日が予備日になっただけである。


それに俺がいつ寝込むか判らないのは周知の事実。 その為の保険かも知れない。


今日中と云われた事に関しては、十分に納得させられるだけの理由があったのだ。


・・・それでも、取り敢えずは油性マジックで、顔に髭を描いてやろうと思った。




   ◇ ◇ ◇




殆ど長期休暇だと予想していた軽井沢初日だけど、思いの外に多忙な一日だった。

CM 撮影こそ簡単だったが、友利姉さんのお仕事相談とか、カフェ巡り計画とか。

想定外だった漫画のアシスタント迄を含めば、普段以上の忙しさに追われた一日。


・・・でも後 4日。 金曜日になればアシスタントから解放されて自由なのだ!



そう考えて、自分を奮い立たせる。



でも今日は、もう限界だから風呂に入って寝る事にする。

沢瀬はまだ帰ってないから、髪は田辺に頼むとするかな?


・・・・・・・・・


いや、田辺はこの時間だと食事を作っているから、頼めるのは姉ちゃんになるか?

自室を出ようとしたら姉ちゃんに会った。 丁度姉ちゃんが俺の部屋に来たのだ。


何故だろう? 室内着ではなくて外出着に着替えている。 もう 19時前なのに。


「 どこかに行くの?」 「 えっ⁉ 覚えて・・・ひょっとして聞いてなかったの?」


「 何の事?」 「 夕食は軽井沢レストラン巡りをしようって話になったでしょ?」


・・・全く記憶に無い。


「 お昼はカフェ巡りで、夜はレストラン巡りにしようって真由美ちゃんたちが 」


「 ソレって、何時の話?」 うん・・・本当に、さっぱり記憶が無い。


「 お昼を食べた時の話よ。 カフェ巡りだけでなく、レストラン巡りもしよう

  なんて話になったのだけど、本当に覚えてないの? ひょっとして寝てたの?

  しきりに相槌を打っていたように見えたのだけど、舟を漕いでいただけなの?」


・・・・・・成程、大体読めて来た。 というか、完全に姉ちゃんの推測通りだ。

まさか俺が寝ている間に、そんな重大事が計(はか)られていたとは思いもしなかったぜ。


「 そんで、五十嵐たちは今、レストランに居て、俺たちを待っているとか?」


「 そうよ。 半日かけて候補を絞り込み、最初のお店で私たちを待っているわよ 」




   ◇ ◇ ◇




軽井沢は美食の街とも呼ばれる程に、多くのレストランやカフェがある街である。


娯楽本しか置いていない様な、小さな本屋しかない街なのに、飲食店は馬鹿みたい

に沢山ある街なのだ。 飲食店の次に多いのが宿泊施設、次は大きく引き離されて

美術館? そんな街機能の構成が歪な食っちゃ寝の楽園。 それが軽井沢の街だ。



( 美食の街ねぇ・・・ )



提供された料理を味わっているが、驚きも喜びも感じない。 在り来たりだから。

比較的野菜の質はいいが、それでも料理が在り来たりなので面白味に欠けている。



( 美食の街というよりは・・・ )



食べること自体が億劫になる夜に、態々レストランに出向いている為辛口評価に

なってしまうけど・・・ソレを差し引いても、大したことのない味に思えるのだ。



( ただの・・・食いしん坊の街だわ )

信号機や   :コンビニが多いのは都会だけ。 田舎は本当に信号機が少ない。


三好文香さん :015を参照。 まさかこの人が再登場するとは思ってなかった。


藍音が    :015を参照。 蒼をモデルにしたヤラレキャラです。


食いしん坊の街:と蒼が感じるのは、単に蒼の口が肥え過ぎているからです。

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