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070_糞親父に会うぞ

本話執筆時は梅雨真っ盛り、軽い頭痛が続く鬱陶しい季節です。

でも原因不明の微熱にも慣れたし、4月や 5月の様に気温の変化

が激しい毎日よりは、ずっと過ごし易くて快適ではありますね。

毎日の様に映画やらアニメやらを2~3時間程度観賞出来てます。

なんて油断をしていたら、4000文字辺りから始まったキツ目の

メニエール。 世界は回るわ、吐き気はするわで困ったもんだ。

終業式をスルーして夏休みに入った。 だからといって、何がある訳でもないが。

俺たち映研部のメンバーは、イベント担当の五十嵐が特別講習で抜けてしまえば、

インドア系陰キャの本領が発揮され、暑さに挫けて家に引き籠ってしまうからだ。


大学受験を控えた学生としては、それこそが在るべき姿なのかも知れないけれど。

家に引き籠り、体力の消耗を抑え乍ら、趣味と勉強に集中する毎日が理想だろう。


・・・・・・・・・


でも正直言って・・・少しばかり、寂しい。


だけど、その反面で、安堵してもいるのだ。


今になってもまだ、五十嵐たちと遊び回れるだけの元気が回復していないからだ。

そして、そんな状況ではあっても、俺には完遂すべき仕事が残されていたからだ。




「 今日で一応は 7月に予定していたお仕事が全て終了しましたけど、海野社長

  から、30日か31日に半日程度の仕事を入れられないかとメールが来ました。

  どうしますか? 無理をする事はありませんから、蒼君に判断を任せますよ?」


ちなみに完遂すべき仕事とは、KAGUYA 関係の仕事ではない。 美倉蒼の仕事だ。

だから KAGUYA としての仕事なんかは、極力スルーしたい処なんだけども・・・


「 以前友利さんから話があった、伊藤君の初仕事(?)のお相手役だそうです 」


なんて事を云われたら、簡単にスルー出来る道理が無い。


経験が、それ以上に自信が不足している伊藤の為に、前向きに考える必要がある。

成行とはいえあいつの背中を押したのは、他の誰でもない俺なのだ。 当然だろ?


・・・だからといって、即決出来る問題でも無いけれど。


「 31日だったら大丈夫だと思うけど・・・ギャラ的に問題は無いの?」


そう、ギャラの問題が有るのだ。 異端といえるデビューを果たした俺は、ギャラ

の面でも完全に異端な存在、他のタレントに比べても別格レベルで高騰中なのだ。

新人の伊藤を起用する様な CM の場合だと、予算面で全く釣り合わなくなるのだ。


「 そこは問題無いみたいですよ。 最初から蒼君と繋がりがある事に注目して、

  新人の伊藤君を指名して来たんじゃないか? と海野社長は考えていますね 」


成程、そういう事か。 最初から俺を想定するなら、ギャラの問題なんかは無い。

そして新人で無名な伊藤を、クライアントが指名して来た十分過ぎる理由になる。


そうでなければ、伊藤には指名されるだけの理由が無いのだ。


なんといっても俺と伊藤が出演した・・・伊藤のデビュー CM はまだオンエア前、

伊藤の TV デビューは一ヶ月以上も先の話なのだ。 現在ネットで先行公開中の

ティーザー動画でも、俺のロングショット以外の映像は全く流されていないのだ。


そんな状態なのに、新人の伊藤が指名された事自体が、異例中の異例であるのだ。

そもそもが新人タレントなんて、名前すら憶えられていない事の方が普通なのだ。


それなのに、CMに伊藤を出演させたいという依頼が来たのだ。


・・・・・・・・・


新規依頼の 9割以上を断わっている KAGUYA を引っ張り出す為の、餌として伊藤

は利用されたのだ。 まぁ名前を憶えられているだけでも十分に凄い事なのだが。


「 大根とはいえ、TOPアイドルから役を奪った。 その上滅多に人を褒めない

  曽禰(そね)監督がべた褒めした新人、そういった点が注目されているみたいですね 」


・・・ダイコン某から役を奪った。 そして監督が伊藤の演技をべた褒めをした。

両方共に一応の事実ではあるが、両方共に伊藤の実力と言い切れるものでもない。


某は不得意な演技で自滅しただけだし、監督が伊藤をべた褒めしたのは、一方的に

切った某に対する配慮でしかないからだ。 某に実力が無い訳では無くて、伊藤が

凄過ぎたから替える事になった。 という事にしたいだけ。 つまり忖度なのだ。


監督のべた褒め評価は、伊藤を高く評価したという事では無くて、TOP アイドルと

所属事務所への忖度。 謂わば生存本能、八方美人的な自衛行動に過ぎないのだ。


・・・・・・・・・


とはいえ、伊藤のメリットにもなっている。 アノ監督が評価した、という実(・)績(・)が

選ばれる理由に成り得るからだ。 だけどそれがデメリットにも成り得る。 現在

の実力以上を期待される事に成り兼ねないからだ。 大きなプレッシャーなのだ。


実際、『 僕は褒められる程の事はしてないのにぃ 』 とか言って頭を抱えてたし。

本当に、相当に大きなプレッシャーになってるみたいなのだ。 伊藤にとっては。


だから、出来るだけサポートしてやろうと思っているのだ。 出来る範囲限定で。


それ以上は知らん。 ・・・伊藤自身の人生だからな。




   ◇ ◇ ◇




「 折角の夏休みが勉強だけで消えていくぅ!」 五十嵐が早くも音を上げている。


夏休みが始まってから、まだ一週間しか経っていないのにこの有様だ。 大丈夫か?

まだ、たった一週間しか経っていないんだぞ? 音を上げるにしても早過ぎないか?


「 でもやると決めたんだから最後迄・・・あと二週間は頑張るしかないよね?」


五十嵐に付き合わされて、同じ特別講習を受けている伊藤がため息交じりに語る。

そして語る言葉には少しばかり棘が含まれている。 それは当然かも知れないが。


特別講習の必要が無いのに、講習が終わってから発声練習や、演技指導のレッスン

が有るのに、補習に付き合わされる伊藤の言葉に、棘が含まれるのは当然なのだ。


「 わ・解かってるわよ、それくらい。 ちょっと不満を零しただけじゃない?」


五十嵐も自分の失言に気付いたのか、伊藤の指摘に少しばかりの狼狽えを見せる。


「 不満を零す暇があるなら勉強しろよ! と、蒼先輩なら言うと思うのです 」

「 あー・・・確かに美倉なら言いそうな科白だわ。 正論モンスターだから 」

「 誰が正論モンスターだ⁉ 正論なら論破される方に問題が有るだけだろ? 」


伊藤の口から放たれた棘を含んだ発言に、場の雰囲気が悪くなりそうだった処での

田辺のナイスフォロー。 その機転のおかげで冗談話に纏める事が出来た。 けど。


・・・今の問題は伊藤なのだ。


慣れている筈の五十嵐のいつもの愚痴に、少し過敏な反応を示してしまっている。


・・・それだけ、伊藤は疲れているのだと思う。


伊藤の様に生真面目な優等生タイプは、初めて何かに ” 挑戦しよう ” となると、

尋常でない程多くのモノを抱え込んだり、溜め込んだりしてしまうものなのだ。


つまりストレスを溜め易い性格なのだ。 その上で更なる努力を積み重ね様と、

更なるストレスを抱え込もうとしてしまっている。 悪循環に陥っているのだ。


・・・五十嵐のストレスよりも、伊藤のストレスの方が遥かに深刻だと思うだ。


「 ちょっと部屋に戻る 」 俺はある計画を実行する為に、リビングを離れた。

「 沢瀬は付いてくんな 」 何故か沢瀬が付いて来ようとするが、押し止めた。


・・・でも、止まってくんなかった。 何でよ?


「 蒼君の考えている事なんかお見通しです。 伊藤君の為にブラを外しての

  抱き着き&お触りサービス辺りを考えているのでしょう? 違いますか?」


馬鹿な! どの辺りで?・・・どの行動からバレたんだ⁉


「 蒼君の事だから男子は皆おっぱいが好き! おっぱいを押し当てたり、

  触らせたりすれば、伊藤君の機嫌も良くなると考えたのでしょうけど 」


うん、そう考えたぞ。 でも俺の知る範囲だと、男は皆おっぱいが好きだぞ。


「 蒼君は知らない様ですけど、伊藤君はアレでかなりモテるんです。 顔も

  頭も運動神経も良いのに、性格だけが控え目。 理想の彼氏に育て上げる

  最高の素材と見做されて、多くの肉食系女子から注目されているのですよ 」


・・・育て上げる最高の素材か? ・・・肉食系女子って、なんか怖えわ。


「 そんな女子が自分の身体を武器にして、誘いを掛けて来ないと思いますか?

  思いませんよね? だから蒼君程度のおっぱいでは、迫られ慣れた伊藤君

  には、大した効果が望めないと思うのですよ。 蒼君はそう思いませんか?」




   ◇ ◇ ◇




沢瀬の言う通りだと思った。 俺程度のおっぱいで喜ぶのは、昂輝の様におっぱい

であれば何でもいいという位の、どうしようもないレベルのおっぱい好きだけだ。


だから俺は沢瀬の指導に従って、計画を修正したのだ。


修正したのだが・・・正直、コレもどうかと思うのだ。


沢瀬が、俺のクローゼットから取り出して来た、コレ。


・・・・・・・・・


俺が現在身に付けている、俺のクローゼットにあった事がおかしいバニーの衣装。

股間部分にサポーターが入っていて、ナニが目立たなくなる、俺レベルのちんKO

だとある事が全く判らなくなる優れモノ。 こんなモノが世にあるんだ?な代物。


でもこんな格好をするだけで、本当に伊藤は喜ぶのか? と疑問に思ってしまう。

だから沢瀬に撮って貰った全身画像を、常識人二人と手島君に見て貰う事にする。


タイトルは『 こんな格好で歓待されたら嬉しいか?』でいいかな? ほい、送信。


「 蒼く~ん、何やってるんですかぁ? 早くぅ! 皆さんがお待ちですよぉ!」


沢瀬が呼ぶのでリビングに戻る事にする。 伊藤が喜んでくれたらいいのだけど?




   ◇ ◇ ◇




結論を言えば好評だった。 少し引いていた江澄さんと泉さん以外には。 伊藤?

はちょっと判り辛い。 この格好で後ろから抱き着いたら、顔を真っ赤にさせて

狼狽えてたけど『 嫌じゃない 』って言ってたから、満更でもない? って感じ?


「 うわ、伊藤、お前の肩カチカチじゃん! おっさんの肩になってるじゃん!」


反応が面白いので身体を触っていたら、肩の硬さに驚いた。 むっちゃ凝ってる。


「 過度のストレスと疲労、あとは演技の練習で普段は使っていない筋肉を

  使われているとか? そういった辺りが肩凝りの原因かも知れませんね? 」


泉さんがそんな事を言う。 何なのかなこの子? なんでそんなに詳しいのよ?

まぁそれはどうでもいいか。 肩凝りならマッサージかな? いっちょ、俺が!


「 美倉先輩の筋力と体力なら、マッサージより肩叩きの方がいいと思いますね 」


そういう事で、俺が肩叩きをしてやろう! いや、より威力を求めるのなら脚!

ピンポイント狙いで踵落としの方がいいかも知んない? 伊藤はどっちがいい?


「 流石に踵落としは怖いから、出来れば手でして 」 「 オッケ、任せて! て?」


スマホに着信? ・・・手島君からだ。 悪いな伊藤、ちょっと待ってくれ。


「 どしたの? えっ? このカッコ? 伊藤が溜まり過ぎて苦しんでいるんよ。

  そんでいい気持ちになって貰おうとしたら、コレを着させられたの。 うん、

  コレがいいんだって。 そんでこのカッコで触ったらカチカチになってんの!

  そうだよ・・・大事な処かって? まぁ大事な処だよ。 そう、カッチカチ!

  それをね、手でシテくれって言うから今からするとこ。 うん? そうだよ。

  伊藤のリクエスト。 うん、伊藤がカチカチな処を、俺の手でシテくれって。

  えっ、バイトはどうすんの? 判った、待ってる。 伊藤にも伝えとくから 」


・・・よく解かんないけど、手島君の緊急参加が決まった。 直ぐに来るそうだ。


「 あの、美倉・・・今の電話は? 」 「 手島君からだよ。 今直ぐ来るってさ 」


伊藤がちょっと緊張した表情で聞いて来る。 誰からの電話だと思ったのだろう?


「 それと、何でか知んないけど、肩叩きは止めて下さいってさ。 あと伊藤に

  話があるから帰しちゃ駄目だって言ってたよ。 何の話かは聞いてないけど 」


「 俺には蒼を助けて下さいとメールが来たな 」「 私にも来ましたね 」「 私も 」

「 「 あっ、今、私たちにも同じ内容のメールが! 」 」「 私には来ないのです 」

「 私には状況を教えてくれって。 これは完全に誤解してますね 」 「 ぅぁ・ 」


何だろう? 俺と伊藤と田辺以外の全員に、手島君からメールが送られたみたい。

俺たち三人が省られる理由・共通点は何だろう? あと泉さん、誤解って何なん?


「 美倉・・・本当に、わざとじゃないのよね⁉」 「 蒼君はこんな子なんですよ 」

「 美倉との付き合いは三年目になったけど、それでも、驚かされてばかりだよね」

「 俺や沢瀬だって、未だに驚かされたりするぞ 」 「 蒼先輩は蒼先輩ですから 」

「 ここまで活動だけは立派なのに、言動がポンコツな方というのも珍しいですね」

「 「 お姉様はそのギャップをも含めて、最高に可愛らしい生物なんです!! 」 」



・・・なんか、えらい謂われ様だな。 なんて気が、しないでもないかも?



でも皆の反応から推察するに、恐らくは俺に失言があったのだろう。

それも伊藤か手島君絡みで・・・或いはその両方が絡む様な何かで。



・・・・・・・・・



まぁいいだろう。 手島君が来たら、何らかの形で纏まってくれると期待しよう。

つまり成行きに任せれば何とかなるのだ。 おっと、メールだ。 常識人からだ。


『 また馬鹿な事をやってるんだ?』 うん? 俺がいつ馬鹿な事をやったのだ?

『 危険だ、危険過ぎやしないか?』 サポーター付きでポロリはしないのだが?


・・・常識人の言ってる事が、俺にはイマイチ解からない。

それは、俺には依然として常識人への壁が高いという事だ。


しかし、解からないなりにも纏めるなら、バニーは馬鹿で危険な格好という事か?


・・・・・・・・・


確かにこの格好で外を歩き回っていたら、通報される可能性もあるとは思うけど。

家の中だけの格好なのだから、そんなに馬鹿でも危険でも無い、と俺は思うのだ。


・・・・・・・・・


あっ! 二人には家の中だけって事を伝えてはなかった。 つまりはこの格好で、

例えば駅で誰かを出迎えたりする。 と、そんな風に思われていたという事かも?


それなら納得・・・でも、手島君には家の中という状況が伝わっている。 なのに

急いでこちらに向かって来ているのだ。 何かがあると、言わんばかりの勢いで。


・・・・・・・・・


どゆことよ?




   ◇ ◇ ◇




7月 29日、今日は朝から気力体力共に充実している。 姉ちゃん成分のフル充填が

出来たからだ。 俺のお願いと自分の仕事の両立で多忙を極めていた姉ちゃんが、

先週土曜日の夜遅くに、『 やっと終わったわぁ~!』と言って帰って来たからだ。


それから丸三日間姉ちゃんとの逢瀬を満喫出来たから、気力体力MAX状態なのだ。

つまりは万全の状態で、今日の、とても疲れそうな仕事に臨める様に成ったのだ。


これは僥倖である。 完全な形での成功を予感してしまう程の。


・・・・・・・・・


それはそうと、先週の土曜日にあった出来事はあとふたつある。


先ずは手島君が初めて家(うち)を訪問した記念日。 来て早々、伊藤に噛み付いたけど。

なんか凄い剣幕だったけど、泉さんに何事か耳打ちされた後は伊藤に謝っていた。


聞けば手島君、俺の言葉足らずが原因で、変な勘違いをしてしまったらしいのだ。

俺がカチカチの伊藤の肩でなく、カチカチの伊藤のちんKOを叩くと思ったらしい。


もしそれが事実だったら、マジ大惨事。 俺が止められたのも当然だと思うのだ。

叩かれたらとても痛いだろうし、それで折れてしまったら大変な事になったのだ。


・・・・・・・・・


手島君はそんな処を俺に叩かせようとした、伊藤の被虐趣味に驚いて焦ったのだ。

伊藤を助けてと伝える為のメールで、俺を助けてと名前を間違えてしまった程に。


そして伊藤を止める為に、自らを傷付ける様な行為を諫める為に急いで来たのだ。


・・・・・・・・・


それら全ては手島君の勘違いだったが。 でも勘違いだと判って本当に良かった。

そうでなければ伊藤が、実際以上の変態野郎だと誤解されてしまうところだった。


そんな事にならなくて・・・本当に良かったと思うのだ。


・・・・・・・・・


そしてもうひとつ、先週の土曜日は男子専用グランピンク施設の完成記念日でも

あったのだ。 昂輝に伊藤、そしてサプライズ参加の手島君が初めてのお客様だ。


昂輝と伊藤は最初から泊る予定だったし、帰ろうとした手島君は俺が引き留めた。

姉ちゃんから連絡が入っていたから、姉ちゃんに挨拶してくれと頼み込んだのだ。


案の定、帰って来た姉ちゃんは俺からのサプライズ、可愛い手島君に大喜びした。

手島君も何故か『 御家族に挨拶 』とか言って昂奮。 やはり常識人は解からない。


それでも、とても楽しい一日だった。 そして翌日もやはり楽しい日曜日だった。


・・・・・・・・・


とにかく、そんな諸々があった先週の土曜日は、最高のラッキーデイだったのだ。


だから・・・とても充実した気分で・・・俺は今日の会合に臨む事が出来るのだ。




   ◇ ◇ ◇




「 本当に、ひとりで大丈夫なの? 」 姉ちゃんが、心配そうに話し掛けて来る。


大丈夫! 俺は方向音痴じゃ無いから!


「 そうじゃなくて、今日会うのは・・・ 」 判ってる。 会談相手は俺の父親。


久喜グループ総帥、久喜元隆。 姉ちゃんにセクハラして母ちゃんから三行半を

突き付けられたエロ親父にして、平成以降最高の鬼才実業家と云われている怪物。


あの糞エロ親父に、俺の最高傑作を売り付けてやろうっていうのが、今日の目的。

そして、俺の・・・美倉蒼としての最後の仕事。 本当に、これが最後の大仕事。


「 行って来る 」 そんな決意を込めて、最初の、そして最後の一歩を踏み出す。

「 おう、来たか、じゃ行くか 」 マンションを出ていきなりで糞親父に遭った。



あれ⁉ ・・・どゆこと?



何で近所の料亭で待っている筈のこいつが、マンション前で俺を待ち構えてるの?


「 ちょっと待て! 何でアンタが此処で出待ちしてるんだ⁉ ストーカーかよ⁉」

「 いや、お前、いくら待っても来ないなぁ? なんて思ってたら倒れて病院とか

  普通にありそうだろ? それならマンション前待機が正解だと思ったんだが?」


目の前の大男が、何を判り切った事を聞いて来るんだ? と呆れ気味に語って来る。

その言葉に成程ねと、納得出来てしまえる俺が居る。 したくはないが出来るのだ。


・・・・・・・・・


チクショー! 正解過ぎて何も言い返せねえ!!


そういう訳で、マンション出口で糞親父を射殺す様に睨み付ける姉ちゃんを残し、

二人並んで此処から大体徒歩 10 分の、料亭三笠を目指して歩き始めたのだった。



「 まるで・・・同伴出勤みたいだな 」 「 何だよ? ソレは? 」



・・・何かがおかしい? とか何とか? 思い乍らに。

ダイコン某  :某は “ ぼう ” ではなくて、“ なにがし ” とお読み下さい。


蒼君程度の  :沢瀬のはったりです。 伊藤ひとりにサービスさせる事が気に

        入らなかったのと、後、自分が蒼のバニー姿を見たかっただけ。


昂輝の様に  :蒼の酷い誤解です。 茜が好きなら茜以外には目もくれない筈

        という、蒼のお子様な恋愛感覚が産み出す幻想からこんな事に。


本当に良かった:うん、実際その通り。 既にかなり酷い評価になってはいるが。


美倉んちでのお遊び会、勉強会への 1年生の参加状況は基本的に以下の通りです。

手島君 : 基本的にバイトとブラコン妹のお世話(?)があるから不参加。

泉さん : 完全に江澄さん次第。 江澄さんは五十嵐とその日の気分次第。

花房さん: 花房個人の予定次第。 映研で一番人付き合いの多いのが花房。

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