混乱
お待たせしております。ミツキです。
嘘です。ろこんです。
自分で言っておいてあれですが、一緒にされたくないものですね。笑
前回まで
白い小人なお爺ちゃんの真剣さに、(無駄に)背筋を伸ばしたミツキ。
シリアスでしょうか。
「その魔法、どこで手に入れた?」
感情を抑えるように、低く静かに発せられた声。
「隠れようと思ったら、影の中にいたの」
それに対して、静かに、相手の目をまっすぐと見つめながら、至って真剣な表情で答えるミツキ。
だが、彼女のその答えは、長く年月を重ねてきた世界の知恵者たる森の老人であっても、理解し難く、思わず聞き返したくなってしまうようなものだった。
老人は、逸る気持ちを抑え、漏れそうになる間の抜けた声を噛み殺し、ぎゅっと目を瞑った。ゆっくりと言葉の意味を噛み砕き、咀嚼し、呑み込むと、未だ理解できないその言葉の真意を問うように、じっと、ただじっとミツキを見つめ返した。
「ただ影に潜むようにイメージをした。そうして、気がついたら影の中にいた。手に入れたというより、見つけたという方が正しいわね」
当然のことを言うように、諭すように、ゆっくりはっきりと。そして何故か楽しげに、薄く微笑みかけて来ながら、そんな事を宣うミツキ。
どうやらご令嬢の演技(?)は続いている、というより戻るタイミングを逃したようで、口調と所作、見かけだけは本当にお嬢様なのではと思わせる優雅なもののままだ。
ただ残念なことに、中身の残念さだけはどう頑張っても滲み出てしまうようで。
いや違ったか。言っていることの内容は、まんま残念なものである。
その、言動のズレが、より老人の理解を妨げ、より老人の混乱を深めていく。
そうして老人は、無表情のままフリーズした。
皆さんは、疲れているとき、同じ文章を何度読んでも、ゆっくり読もうと、声に出して読もうと内容が全く頭に入ってこない。そんな経験はないだろうか?
あるいは、会話の中で、とうに過ぎた内容に対してボケられて、「ん、、。ん?」となったことは?
それが現在の老人の状態である。
あれ、何か違う、、、?
げふんっ。
とにかく、老人は混乱した。
そもそも何を理解できていないのかすら、理解できない。
疑心と不信。
老人が今、ミツキに対し向けるのに最も適した感情。
信頼を得るのに、最も不要な感情。
しかし、幸か不幸か老人は、混乱の中で思考が崩壊。もはや何に疑問を抱いているのかすら、それが憤りであるのか、呆れであるのか。自分のこれまでの思考も、感情でさえ、正しく認識できなくなっていた。
混乱の極みである。
うん。
頑張れ、お爺ちゃん!
短いですが、ここまで読んで下さりありがとうございます。
少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。




