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ギルドの本拠地でアビス・コードのメンバー全員が集まった。
本拠地は、ある程度のギルドになると持つことが許される。許されるというか、稼げば勝手に拠点は購入できるし、建てることもできる。ただし、「金があれば」だ。
このアビス・コードというギルドはそこそこ稼ぎはある。
いや、多分にあるからこうして拠点があるのだが、最近は資金が心許ないらしい。
そう、あまり高額な依頼を受けられなくなったからだ。
理由は単純。
仲間間の連携が上手くいかないから。上手くいかないということは、依頼を失敗すると同義。
最近では達成できないクエストも少なからず出てきたのだ。
拠点は一度買ってしまえば、売りに出さない限りは残るもの。現実と違って、「固定資産税」などの税は一切かからない。ましてや他のギルドに捕られたりすることもない。ギルドの拠点に入れるのは、「ギルドメンバー」のみ。拠点を売ることができるのはギルドマスターのみ、と決まっているのだ。
ちなみに拠点は「一つのギルドが一つの街に拠点を複数個持つことは不可能。つまり、違う街なら拠点を持てる」ということだ。
だけど、私たちのギルドにはそこまでの余裕がない。
それでも拠点はメンバー間の交流を大事にできる適切な場所なのだが、今はそんな雰囲気ではない。
各々が退屈そうにしている。寝ている者、マニキュアを塗る者、本を読む者、実験をする者。そして、拠点には自室が与えられているから、そこに引きこもって出てこない者。
私たちはマスターを入れて7名のギルドだ。
勇者のマスターを筆頭に、魔術師、神官、シーフ、錬金術師、ランサー、そして剣士の私の7名。
属性だって「光」「風」「火」「水」「闇」の5属性が集まる、バランス型のギルドだといえる。
それでも足りないのだ、かつてあった信頼が。
「アビル・コードは今日をもって解散にしたい」
「えっ?」
私はさすがに解散まではないと思っていたのだが、他のメンバーは違ったようだ。
「そろそろ潮時だと思っていた。連携云々よりつまらなくなってきたからな」
「そうよね~。面白みがないのよね、このメンバー」
「このギルドで入手できる素材はほとんど手に入ったし、上級ギルドに移るのもありかな」
「・・・・・・最近現実が忙しいから、そろそろこのゲームから引退しようと思ってたんだよな」
「クエスト以外で会話ねーし、現実世界で集まって飲み会とかねーからつまんねーんだよな、このギルド」
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ん?最後のやつ、他のギルドはしているってこと???
それならば確かに私たちは「他人」すぎたのかもしれない。
だけど、イベントの時とか掲示板に書き込んで、お互い情報交換とかしていたのに、それでも足りなかった私たちの絆。
ギルドメンバーは全員35歳を超えている。それを条件にギルドへの加入を許可していたのだ。だから、会話の内容が合わないということもなかった。だが、生活の「ズレ」があったのだ。
そして、ギルドの「あり方」のズレが。
「そうだな・・・・・・・。オフ会とかしたらよかったのかもしれないな。そうしたら仲が深まったのかもしれないな。・・・この拠点は1か月ほど残しておく。各自好きな時に使えばいい。仲間じゃなくても他の事で話し相手になることだってできるどう。ただ、その後は売りに出す。ここの資金は元々俺とアマギで折半したものだ。売れたら俺たち二人で分けるものとする」
「いんじゃないそれで」
「俺もこの町から出るし、それでいいよ」
「俺なんてもう今日が最後のログインかもよ?」
など、皆言いたい放題。だけど、これでいいのかもしれない。
「じゃ、最期にゲーム内で飲みに行きましょう」
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