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そして、一か月の謹慎処分が開けて奴が戻ってきた。
だが、彼の新しい課は「資材課」。
そこで待ち受けていたのは、想像だにしない元経理課からの嫌がらせだった。
そこは自業自得なので、私は何とも思わない。
だが、奴は自分のせいで部署移動になった元経理課メンバーに頭を下げて謝ったらしい。私にはないけれども!!
ここ重要よ!!!
わ・た・し・に・は・謝・罪・が・一・度・も・あ・り・ま・せ・ん!!!
どうせ、私の容姿が地味で冴えないから、覚えてないんでしょうね!!!!
イライラしていると、目の前に総務課の一条先輩がなんと社長に蹴りを入れている姿を見てしまいました!
しかも、周りも止めず笑いあってて、温かい雰囲気で、「いいなぁ」と笑みを零してしまいました。それに気づかれたのでしょうか?
「あら、あなたは??」
「その節は申し訳ございませんでした、一条先輩!!!」
「っ!!!!」
先輩はなぜかびっくりされていました。確かにそうですよね~~~。いきなり、謝られるなんて思っていないだろうし、元経理課メンバーが先輩に謝ったという情報もない。
だけど、私の予想を上回る発言が飛び出したのだ。
「ちょ、え、まじで!?社長どうしましょう!?」
「え、何が???」
「先輩と呼ばれました!!先輩と!!!なんと、嬉しいことでしょう!!!」
「「は???」」
と言っても仕方ないでしょう?社長の秘書ですら、呆気に取られております。
「どうしよう!!先輩なんて呼ばれて嬉しいわ!!あら、あなたお名前は?」
「え、あ、五十嵐皆斗です」
「そう!じゃ、あなたランチは?」
「あ、これから購買でパンを買おうかと」
「あらあらあら!じゃ、一緒に食べましょう!いいですよね、社長???」
「それは構わんが、二葉君はどうだろうな?」
「あれは私が是と言わせますので、問答無用です」
「なら、最初から聞かないでくれよ・・・・・・・・」
社長が肩を落として、嘆いています。
何故か可愛いです。
秘書様も笑っておいでです。
「では、私は先に戻ってお茶を入れておきますね。一条さん、いつもありがとうございます」
「いいのよ~~~。お茶よろしくね!」
手を振る一条先輩は何故か一番大きく見えました。
「で、見つかったから仕方ないけど、五十嵐さん?」
「はい??」
「今日の事は内緒よ?」
手を引かれて連れていかれたのは、なんと社長室でした。
そこには秘書や側近の方もいらっしゃいました。
ううう、大物のオーラがバチコーーーイと飛んできます。
ノックと共に二葉さんと四十澤さんが現れました。
あれ、この二人仲が悪いんじゃ?????
「あ、君は・・・・・・・・」
四十澤さんが私に気づき、深々と頭を下げられました。
「その節は大変なご迷惑をおかけしました!!!」
と。
はっきり言ってかなり驚きました。この人が頭を下げるなんて。傍若無人が服を着ている人だったと記憶しているのですが。
「資材課にいなかったから、俺のせいで退職してしまったのかと」
「いえ、私はあのまま経理課です。給料はかなり下がって、家では家族とみなされなくなって、親戚からも距離を取られてしまいましたが」
「っ!!!申し訳ない!!!」
この人こんな人でしたっけ???私は化け物でも見る目をしていたのでしょうか。
一条先輩が爆笑されています。いえ、違いました。
この場にいる皆様が笑っていらっしゃるのです。
「まさかあんたが頭下げるとはね~~~」
「うっせ~~す!俺だって改心したんです!!」
「はいはい。では、あんたは皿を配って。兵固は割り箸をお願いね!」
「了解っす!!」
私は「えっ?」とつぶやきました。
一条先輩がテーブルいっぱいに重箱を並べていくのです。
すごく豪華で、家でも食べたことないような料理が並べられていきます。
「あ、あのこれどこのケータリングなのでしょう???」
勇気をもって先輩に尋ねました。
そうしたら、なんと!!
「ん?私が作ったのよ~~~。料理が得意でね~。ちなみに得意料理は「グラタン」と「角煮」と「ローストビーフ」。豚苦手なくせに「角煮」だけは食べるのよね~~」
「っ!!!!!!!!!!はぁ!!!これが手作りですか!?」
マジで驚いていると、二葉さんが
「驚くよな~姉さんの料理スキル!いっつもごちそうになってるんだけど、飽きなくてさ!俺、外回りが多いから腹がすぐ減るんだけど、量も品数も満点で、だからいつも笑顔で営業できてんだよな~~」
「あら、兵固嬉しいこと言うじゃない!なら、今度は魚市場を拡大しなさい!そして、社内スーパーの構想をもっと膨らませるわよ!」
「アイアイサー!!!」
二葉さんは私がしたことを怒っていない様子ですが、それでも私の気は納まりません!
「あの二葉さん、その節は大変なことをしでかしてしまい申し訳ございません!!」
「ん???なんかしたの、君???」
「え??」
「え?」
お互いに「え?」の連呼。それに助け舟を出してくださったのが、一条先輩でした。
「ほらあんたたち座りなさい。社長や秘書さんたちは忙しいんだから、さっさと食べましょう」
「あ、そうだった!いっただきま~~す。ほら五十嵐さんも!」
「え、あ、はい、いただきます」
私は、魚を選びました。
パクリと口に入れるとホロリと身が解け、味噌の味と香りが体中に染みわたります。
「美味しい・・・・・・・」
「そう、口に合ってよかったわ」
皆さん、美味しそうに次々と口に運んでいきます。
美味しそうにではなく、実際に美味しいのですけど!!
「たまにね、こういう風に昼食会開いているのよ、あの事件後からね」
「そうなんですか?」
「そうなのよ~社長や秘書さんたち、放っておくと昼食抜いちゃうんですって!何考えてんのかしら???全く!腹が減っては戦はできぬよね~」
「「「面目ない・・・・・・・」」」
一条先輩以外が、先輩に頭を下げられました。
この光景って
「女王様???」
「おっ!君、いい線言ってるね!ちなみに私は、女帝って呼んでいるよ」
「いらんこと言わんでよろしい!」
と、社長の頭を小突く先輩。
社長を小突くなんて、確かに
「女帝が似合ってますね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
爆笑に包まれてしまいました。
この場はとても楽しくて、明るくて、将来に希望を持てなかった自分が少し前向きになりました。
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