50円
次の日。
私の『佐倉先輩への挨拶』という朝の仕事を終え、幸せな気分で登校する生徒に挨拶をしているとさっきから隣で鏡を見ながらニヤニヤしている気持ち悪い先輩に声をかけられた…
『松井さん…』
『何ですか…委員長…』
『鏡…持ってる?』
『持ってますけど…』
『じゃあ、そのまま見て。』
『はい?…』
『鏡越しに後ろを見て。』
『何なんですか…?はっ!!さ、佐倉先輩。』
『さっきからずっとあそこでこっちをちらちら見てるの。』
『なんで早く教えてくれないんですか!!』
『ごめん、姫に夢中になってそれどころじゃなかった…』
そして予鈴のチャイムが鳴り私たちは校舎へ向かった。
『まだ佐倉先輩居ますね。』
『ダメだよ。安易に近づいちゃ。』
『わかってます。』
私たちは佐倉先輩を気にしない風に校舎へ入ろうとした。
『あ、あの…ま、松井さん。』
『えっ?は、はい!』
佐倉先輩から声を掛けられた。
『(う、嘘…あの佐倉先輩が、私に、勇気を出して…)』
『え…えっと…き、昨日の…』
『昨日?ですか?(もしかしてジュースの…)』
『こ…これを…』
佐倉先輩は両手で握りしめていた可愛い包み紙を私に手渡してくれた。
『(何これ。可愛い。)』
『これ…何ですか?』
『き、昨日の50円…あ、ありがとう、ございました。』
そう言って佐倉先輩は頭を下げて小走りで行ってしまった。
『(もしかして、佐倉先輩、これ渡す為だけに学校早く来て私が終わるの待っていてくれたの?しかも丁寧に包んでくれてるし…この紙もめっちゃ可愛い…)』
『(佐倉先輩…これは神棚に飾って私の家宝にします。)』




