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日米転生earth  作者: 照山
序章 2024年
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第1話 世界秩序が崩れた日 第2幕

2024年1月1日 20:00(現地時間 14:00) ロシア連邦・モスクワ・クレムリン


厳冬のモスクワ。重厚なクレムリンの執務室内で、ロシア連邦のトカレフ・ゼリア大統領は、国防大臣と参謀総長から差し出された最新の報告書に目を走らせていた。


「大統領、衛星データの解析が完了いたしました。米国本土、ならびに世界各地の米軍主要拠点からの信号が完全に消失しております」


参謀総長の報告に、トカレフは冷徹な眼光をたたえたまま、深々と椅子に身体を預けた。


「・・・西側の覇権が、一夜にして霧散したというわけか」


ロシアにとって、2022年2月24日に開始したウクライナ侵攻は、ウクライナ軍の想定外の激しい抵抗により過酷な泥沼戦となり、2023年6月7日に無念の停戦協定を結ぶ事態となっていた。しかし、ウクライナを支えていた最大の盾である米国の軍事支援と情報提供が、今や地球上から丸ごと消え去ったのだ。


「ウクライナへの再侵攻の準備を直ちに開始せよ。米国の軍事支援を失った今のウクライナなど、もはや恐れるに足らん。今度こそキエフを完全掌握する」


「はっ!直ちに前線部隊へ第1警戒態勢を発令させます。・・・大統領、東方への対応はいかがなさいますか?」


ゼリア大統領は大統領特別電話器を取り上げると、迷わず暗号回線を開いた。


「中国の槫主席、ならびに北朝鮮の平壌へ連絡を入れよ。西側が混乱に陥っている今こそ我々で強固な連携を組み、欧州と極東で同時に圧力を加えるのだ。アメリカ無き世界の新秩序は、我々が打ち立てる」


かつての停戦協定を反故にし、ゼリア大統領はユーラシアのパワーバランスを一気に塗り替えるべく、ウクライナ再侵攻へのカウントダウンを開始させた。


同日 21:00(現地時間 14:00) ウクライナ・キーウ・大統領府


一方、キーウの大統領府は大混乱に包まれていた。


「アンドーノフ大統領!米国との通信が完全に途絶しました! ワシントンだけでなく、欧州に駐留していた米軍司令部とも連絡がつきません!」


緊迫した執務室で、側近たちが青ざめた表情で次々と報告を上げる。2023年6月に命がけで勝ち取った停戦協定。しかし、それが米国の抑止力によって保たれていたことは、アンドーノフ・ヤロヴィエ自身が誰よりも理解していた。その絶対的な命綱が一瞬にして消滅したのだ。ヤロヴィエ大統領は机上の地図の上に固く拳を握りしめた。ロシア軍が国境付近で不穏な再編成を進めている今、米国の監視と威嚇が消えれば、ロシアが再侵攻に踏み切るのに時間はかからない。


「・・・パニックを起こしている暇はない。直ちにNATO加盟国である欧州諸国へ緊急打診を送れ! フランス、ドイツ、イギリス・・・彼らもまた、米国の不在に怯えているはずだ」


アンドーノフはすぐさま矢継ぎ早の指示を飛ばした。


「それだけではない。アジアおよびオセアニアの親米陣営・・・日本、韓国、オーストラリア、そして台湾にも緊急連絡を入れなさい! 米国が不在の今、ロシアの再侵攻を防ぎ、自由民主主義陣営の防衛網を維持するためには、我々が国境を越えて固く結束するしかない!」


「しかし大統領、日本や台湾、韓国もまた、極東での中国や北朝鮮の動きに圧迫されており、我々へ直接的な軍事支援を回す余力があるかどうか・・・」


「支援の形は問わない! 重要なのは対露・対中包囲網を絶対に崩さないという共通の意志を示すことだ! 各国首脳との緊急会談の設定を急がせろ!」


アメリカという最大の支援者を失ったウクライナ。アンドーノフ・ヤロヴィエの決断のもと、国家存亡とロシアの再侵攻阻止をかけた全世界規模の外交・防衛シナリオが、激しい緊迫感の中で動き始めた。

次回も楽しみによろしくお願いします!

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