第14話 未回収の日本
2024年3月23日8:00 日本国東京 首相官邸・記者会見場
ゼリア大統領による北海道全土の占領および全道民500万人の身柄拘束という前代未聞の暴挙声明から数時間後、首相官邸会見場には、国内外の報道陣が詰めかけ、異常な緊張感と熱気に包まれていた。壇上に姿を現した大島康二総理の表情には、一分の揺らぎもなかった。自衛隊統合幕僚長と防衛大臣を隣に据え、マイクの前に立った大島総理は、全世界へ向けて力強い声で緊急声明を放った。
『国民の皆様、そして全世界の皆様。先ほど、ロシア連邦のゼリア大統領は我が国の主権を著しく侵害し、北海道全土の占領と、500万人を超える我が国国民の身柄拘束という、到底容認し得ない野蛮な宣言を発令しました。これは明確な国際法違反であり、我が国に対する事実上の侵略の意思表明であります』
大島総理はカメラを正面から凝視し、その声に一層の力を込めた。
『我が国は、この暴挙を断じて許しません! 我々は日本国民の自由と平和を守るために自衛隊に対して防衛出動を発令し、あらゆる武器を用いて徹底的にロシア軍を排除する方針であります!』
会見場にフラッシュの嵐が巻き起こる中、大島総理の言葉は最高潮に達した。
『そして、ロシア側に通告する!君たちが敗北した暁には、北方四島・千島列島・樺太の割譲を要求する!』
同日 首相官邸・地下危機管理センター
総理演説が終了した直後、官邸地下の作戦室は凄まじい緊迫感に包まれていた。
「総理、樺太・千島列島の割譲要求まで踏み込むとは・・・! モスクワ側の反発は必至です!」
加藤防衛大臣が、驚愕と興奮が入り交じった表情で語りかけた。
「相手は力と恫喝しか理解しない奴らだ。一歩引けばつけ込まれる」
大島総理はきっぱりと言い放った。
「北海道の道民を人質に取ると脅迫してきたのだ。ならば我々も、奴らが最も恐れる極東における領土喪失という最大のカードを突きつけるまで。覚悟の差を見せてやる」
統合幕僚長が前へ出た。
「総理、陸上自衛隊北部方面隊、ならびに自衛隊指揮下に組み込まれた在日米第3海兵遠征軍の北上展開を開始しました。宗谷海峡、津軽海峡、および稚内・網走沿岸の対艦・対空ミサイル連隊を戦闘準備に移行させます」
「よし。北方からの敵着上陸部隊は、宗谷・オホーツクの海で全滅させよ。一歩も日本の土を踏ませるな!」
同日 04:00 SNS(X / 旧Twitter等)と国民の反応
大島総理の強烈な演説は日本そして世界中を駆け巡った。SNS上では樺太割譲要求というパワーワードが瞬く間に爆発し、日本人の士気を劇的に引き上げる結果となった。
【トレンド一覧】
#北方四島千島樺太の割譲を要求する
#北海道絶対防衛
#大島総理
#自衛隊北部方面隊
#ロシア軍を返り討ちにしろ
#三正面作戦
『大島総理マジで言った!!!「敗北した暁には樺太まで要求する」って、ここまで強い日本政府見たことないぞ!!』
『北海道500万人を人質に取るなんて言われて黙っていられるかよ! 徹底的に返り討ちにしてやれ!!』
三正面作戦という国家存亡の危機の中、大島総理の発した反撃の宣言は、恐怖に震えていた国民の心に猛烈な闘志の火を点けたのだった。大島総理の強硬な演説と割譲要求に対し、モスクワのクレムリンおよびロシア政府・軍幹部は即座に激怒した。敗戦国として分断の道を歩んだ日本が、ロシアに対して領土の割譲を要求するという事態は、ゼリア政権にとって想像を絶する侮辱と受け止められたのである。ロシア外務省の報道官は緊急記者会見を開き、激しい口調で日本側を非難した。
『 第二次世界大戦の結果を否定し、我が国固有の領土であるサハリン(樺太)やクリル諸島(千島列島)の割譲を要求するなど、狂気の沙汰であり断じて容認できない! 日本政府のこの発言は、自らの国家存続を脅かす自暴自棄な暴挙である!』
さらにゼリア大統領はクレムリンから、太平洋艦隊および極東軍管区司令部に対し、北海道侵攻作戦の繰り上げ実行を命令した。
「日本の警告など一蹴せよ。サハリンおよび千島列島のミサイル基地から即時に陸上目標への攻撃準備に入れ。北海道の防衛線を踏みつぶし、真の力の差を見せつけてやれ!」
これを受けて、サハリンや択捉島・国後島に配置されていたロシア軍の地対艦ミサイル K-300P バスチオンおよび短距離弾道ミサイル 9K720 イスカンデルが即座に展開を開始した。
次回も楽しみによろしくお願いします




