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第四話 決戦!ピーマン教皇と友情と努力と謎の編集会議

 第四話 決戦!ピーマン教皇と友情と努力と謎の編集会議


 トマトンの町を救った薫たちはついに王都ベジキャッスルへ到着したのだが、その城はどう見てもおかしかった、大理石の壁にはなぜか巨大な人気投票結果が張り出されており、城門には「アンケート至上主義」の横断幕が掲げられ、衛兵ですら手に槍ではなく投票用紙を持っていたのである。


「国家運営の方向性がおかしいですわ!」


「俺もそう思う」


「我は八位だった」


「まだ気にしてたのかよ」


 マンドゴラがいまだに野菜人気投票の結果を引きずっている中、城門がゆっくりと開いた。


 ゴゴゴゴゴゴ。


 中から現れたのは巨大な階段。


 さらにその上には巨大な玉座。


 そして玉座の前に立つ男。


 身長三メートル。


 肩幅二メートル。


 頭は巨大ピーマン。


 マントが無駄に長い。


 ついでに背景で稲妻が鳴っている。


「来たか勇者」


「お前がピーマン教皇か」


「その通り」


 男は静かにマントを翻した。


「私は野菜嫌い四天王最強」


「四天王なのに教皇なんだな」


「細かいことを気にするな」


「設定担当が寝てるんですの!?」


 ピーマン教皇は空を見上げた。


 するとどこからともなくスポットライトが当たる。


「長かった」


「何が」


「ここまで来るのに四話かかった」


「メタいな!」


「本来なら二話くらいで来る予定だった」


「編集会議を持ち込むな!」


 その瞬間、なぜか空中に巨大な机が出現した。


 机を囲む謎の黒服達。


「会議を始めます」


「誰だお前ら!」


「物語のテンポについてですが」


「やめろ!」


「トマト回は少々長かったかと」


「反省会するな!」


 エマのツッコミが飛び交うが誰も聞いていない。


 ピーマン教皇は咳払いした。


「失礼、つい裏側を見せてしまった」


「見せるな」


「では戦おう」


 今度は真面目だった。


 たぶん。


 教皇が杖を振り上げる。


 すると王都全体が揺れ始めた。


 地面が割れる。


 建物が崩れる。


 空が暗く染まる。


 そして現れた。


 巨大なピーマン。


 それも城より大きい。


「でっか!」


「こんなのどうやって食べますの!?」


「食べ物の心配してる場合か!」


 巨大ピーマン魔神は雄叫びを上げた。


 その瞬間なぜか背景に筆文字が出た。


 友情。


 努力。


 勝利。


「もう隠す気もねえな!」


 ピーマン教皇が笑う。


「勇者よ、お前に足りないものを教えてやろう」


「なんだ」


「人気」


「直接言うな!」


「主人公なのに人気投票一位じゃない」


「投票してる読者いないだろ!」


 すると巨大ピーマン魔神が襲いかかってきた。


 薫は咄嗟に畑を探す。


 しかし王都に畑はない。


 どうする。


 絶体絶命。


 その時だった。


 エマが叫ぶ。


「見なさい!」


「何を!」


「城の庭ですわ!」


 そこには大量の野菜。


 キャベツ。


 ブロッコリー。


 ナス。


 ニンジン。


 トマト。


 ありとあらゆる野菜が栽培されていた。


「なんであるんだ」


「王家専用の隠し農園らしいですわ」


「王様食ってんじゃねえか!」


 エマも驚いていた。


「本当ですわ!」


「設定が根底から崩れた!」


 薫は笑った。


「なら勝てる!」


 大量の野菜が宙へ舞う。


「野菜奥義!」


 光る。


 回る。


 踊る。


 なぜかBGMも流れる。


「ベジタブルアルティメットミックススペシャル友情努力収穫斬り!」


「技名長っ!」


 キャベツが盾になる。


 ニンジンが槍になる。


 ナスが剣になる。


 トマトが砲弾になる。


 ブロッコリーが意味もなく増える。


「最後だけ雑だな!?」


 野菜の大軍勢がピーマン魔神へ突撃する。


 大激突。


 城が揺れる。


 空が裂ける。


 予算が消し飛ぶ。


「アニメじゃないですのに予算って何ですの!?」


 ついに巨大ピーマン魔神が崩れ落ちた。


 ドォォォォォン!


 勝負あり。


 誰もがそう思った。


 しかし。


 ピーマン教皇は笑っていた。


「ふふふ」


「まだ何かあるのか」


「私を倒しても無駄だ」


「どういう意味だ」


 教皇はゆっくりと指を上へ向けた。


 玉座の後ろの壁が割れる。


 そこには巨大な石像。


 王の姿。


 いや。


 王そのものだった。


「なにぃ!?」


「王様でけぇ!」


 身長十五メートルはある。


 王冠を被った巨人。


 その巨人がゆっくりと目を開いた。


「余の昼寝を邪魔したな」


 低い声が響く。


 王都が震える。


 エマは青ざめた。


「陛下……」


 薫は気付いた。


「待て」


「なんですの」


「あの王」


「はい」


「頭がカリフラワーだ」


 沈黙。


 沈黙。


 長い沈黙。


「本当ですわね」


「本当だな」


「本当だ」


 三人で確認した。


 次の瞬間ピーマン教皇が土下座した。


「すみません陛下!」


「急に弱くなった!」


 巨大王は立ち上がる。


 城が軋む。


 空が割れる。


 そして王はゆっくり口を開いた。


「勇者薫よ」


「なんだ」


「野菜とは本当に美味いのか」


 その言葉に薫は目を見開いた。


 エマも驚いている。


 マンドゴラだけはなぜか寝ていた。


「つまり」


 薫は呟く。


「王様は野菜を食ったことがないのか」


 巨大な王は静かに頷いた。


「怖かったのだ」


「理由が小学生ですわ!」


 だが薫は笑った。


「なら決まりだ」


「何がだ」


「最後の勝負は料理対決だ」


 王都が静まり返った。


 ピーマン教皇も固まる。


 エマも固まる。


 マンドゴラも寝ながら固まった。


「料理」


「料理」


「料理ですの?」


 薫は堂々と宣言した。


「次回、国王に野菜を食わせる!」


 その瞬間なぜか空から紙吹雪が降り注ぐ。


 そして巨大な文字が現れた。


 最終回センターカラー。


「だから誰が演出してるんですのぉぉぉぉぉっ!」


 エマの悲鳴は王都を越え、ベジランド全土へ響き渡った。

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