葬儀と初対面
こんにちは、Haruna Fattah です。
日本語でウェブ小説を書いています。
作品をより良いものにするため、皆様からのご意見をお待ちしております。
まだ日本語の執筆を学んでいる最中ですので、ご指摘やご助言をいただければ幸いです。
ありがとうございます。どうぞ私の作品をお楽しみください。
理屈に合わない出来事が起きた後、その夜は以前よりも静かになった。
不審な出来事はなく、天候も落ち着いていた。
タクは、キコウのいる場所の近くの廊下にある病院のベンチで眠りにつき、その悲しみに満ちた夜を過ごした。
奇跡的に意識を取り戻したルミエールは、まだ弱っている体調を管理するため、すぐに新生児集中治療室に移された。
当初は病院でタクのそばに付き添おうとしていた両親も、タクの「しっかり休んでほしい」という願いにより、やむなく帰宅することになった。
病院の静寂と、夜風に混じって聞こえる音は、タクにとって眠りへと誘う歌のようだった。
その夜、タクの寝床となった場所は静まり返り、部屋を満たすのは彼のいびきだけだった。
眠りの中で、タクは美しい庭園にいる夢を見た。そこには白い花が咲き乱れ、太陽の光に照らされて美しく輝いていた。
タクは長い間その花畑を歩き回っていたが、突然、激しく流れる川の向こう側に立っているキコウと出会った。
タクはキコウを見つめた。キコウは自分の方に向かって微笑みながら、光に照らされてとても美しい淡い茶色の瞳で、温かくタクを見つめていた。
それを見たタクはキコウの方へ歩み寄ろうとしたが、キコウは手を上げて止まるよう合図した。
それを見たタクは叫んだ。
「どうした、何かあったのか?」
最初は笑っていたキコウは心配そうな顔をして答えた。
「こっちに来ないで。私たち二人がここにいたら、ルミちゃんを誰が守るんだ?」
それを聞いて、タクは理解できず、川を渡ろうとした。
タクの足が水に浸かりかけたその時、突然、小さな手が彼のズボンを掴んだ。
タクの視線は反射的に、ズボンを掴んでいる人物へと向かった。
彼が見ると、そこには顔がぼやけて見える少女がいたが、無意識のうちに彼はその少女を自分の娘、ルミエールだと認識した。
「パパ、パパもルミを置いていかないよね?」と少女は言った。
その言葉にタクは我に返り、足を止め、涙をこぼした。
「パパはルミちゃんを置いていかないよ」と、涙が流れ続ける中でもタクは微笑みながら答えた。
その後、タクは再び向かい側に立つキコウを見つめた。
「ママ、時が来たら会いに行くから、もう少しだけ待っていてね」とタクは叫んだ。
そして、タクは隣にいるルミエールを抱き上げ、ママが見えるようにした。
「ルミちゃん、ママに『またね』って言って」タクはキコウに向かって手を振りながら言った。
「ママ、またね」ルミエールはタクの真似をして答えた。
川の向こう岸では、最初は心配そうだったキコウが再び笑顔になり、涙をこぼしていた。
「パパ、ルミちゃん、またね。ママはここで待ってるから、急がなくていいよ、ゆっくり楽しんでね」彼女は別れを告げるように、素早く手を振りながら叫んだ。
二人は、キコウの姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
その時、タクは両頬にまだ涙を浮かべたまま、突然目を覚ました。
タクはすぐに顔を拭い、頬に残った涙を拭い取った。
目を覚ましたタクは、ルミエールが寝ている部屋の近くにあるトイレへと向かった。
ルミエールの部屋の前を通り過ぎる時、タクは外側の廊下から見える仕切りガラス越しに、遠くから娘の姿を見つめた。
ルミエールを見つめるタクの目は、ある情報を理解しようとしているようだった。もはや青くはなく赤みを帯びた肌の色、上下に動く胸、そして活発に動く手足。
ルミエールが本当に生きていることを示唆するように、タクの顔に笑みがこぼれた。
「パパは、パパの持てる力のすべてでルミちゃんを守るって約束するよ」と彼は言った。
その後、タクは顔を洗うためにトイレへと向かった。
トイレに着くと、タクは洗面台の蛇口をひねり、目の前の鏡を見つめた。
鏡に映る自分の顔は乱れていたが、その瞳からは希望がにじみ出ていた。
両手に水をため、そのたっぷりの水でゆっくりと顔を洗った。
顔を洗った後、タクは鏡に映る、少しはまともになった自分の顔を見つめ直した。
「よし、タク。最後までこの状況に立ち向かおう」そう呟き、彼は微笑んだ。
トイレから出てきたタクは、ルミエールの部屋の前に立ち、抱き合いながら遠くからルミエールを見つめているキコウの両親の姿を目にした。
長い泣きぶせで腫れぼったいキコウの母と、互いを励ますように妻の肩をさすり続けるキコウの父。
悲しみに暮れる中でも、彼らは強さを保ち、自分たちを支える最後の希望であるルミエールを見つめながら、笑顔を絶やさないように努めていた。
この光景を見て、タクはさらに決意を固め、運命に委ねることを受け入れた。
タクーは義父母を見つめながら微笑んでいたが、その時、看護師がタクーのもとへやって来た。
「緑谷様、お嬢様の最新の検査結果では良好な反応が見られます。昨夜の出来事以来、容体はかなり回復しており、おそらく明日か明後日にはご自宅へお連れ帰りいただけるでしょう」と看護師は言った。
「あの、病室に入って、もう少し近くで娘の様子を見ていいですか?」とタクは尋ねた。
「はい、どうぞ」と看護師は答えた。
「ありがとうございます」と彼は返し、義父母のもとへ歩み寄った。
義父母のもとへ向かう途中、より強そうに見せようと気持ちを立て直したタクは、義父母に声をかけた。
「パパ、ママ、ちゃんと休めた?」タクが尋ねた。
「タク、ああ、私たちはちゃんと休めたよ。あなたは?」義母が尋ねた。
「うん、そうだね。昨日、ルミちゃんに会えなかったよね?」タクは頭をかきながら笑顔で尋ねた。
「ごめんなさい、昨日あまりにも多くの出来事が重なって、私の体が耐えられなかったの」と義母は温かい笑顔で答えた。
「大丈夫だよ、パパがママを無事に家に連れ帰ってくれてよかった」とタクは言った。
「さっき看護師さんから、ルミちゃんの容体は安定していて、あと1、2日で退院できるかもしれないと聞いたよ」とタクは続けた。
「よかった」と義父は胸を撫でながら答えた。
「さっき看護師さんに聞いてみたんだけど、近くで見られるって。どう?」とタクが尋ねた。
「いいの?」と義母が尋ね返した。
「さあ、昨日からまだ孫娘を間近でちゃんと見ていないでしょう」と答えると、タクはルミエールの部屋のドアを開けた。
3人はルミエールの部屋に入った。
タクの義母の視線は、ずっとルミエールの方に向けられていた。
彼女の顔には笑顔が浮かんでおり、その眼差しは、失ったものへの悲しみを超えた幸福を物語っていた。
タクの義父もまたその笑顔を見せたが、昨日からこらえていた涙が両目からこぼれ落ちていた。
「ルミちゃん、おばあちゃんとおじいちゃんが来たのよ」と義母は言った。
「ごめんなさいね、昨日はどうしても我慢できなくて、ルミちゃんに会う前に少し体力を回復させておかないと」と彼女は続けた。
「タク、ルミちゃんを抱っこしてもいいかな」と義父が尋ねた。
「さっきその件については聞いていないけど、病院が状態を確認して、連れて帰る許可が出るまで待ったほうがいいと思うよ」とタクは答えた。
「そうか、それなら」と義父は言った。
三人は、ルミエールの微かな動きを見つめながら、そこにしばらく留まっていた。
しばらくして、一人のスタッフが彼らのところへやって来た。
「すみません、緑谷キコウさんの火葬式が北ホールで準備できました」とスタッフが言った。
「わかりました、すぐに行きます」とタツは答えた。
すると、タクの義母がルミエールに向かって手を振った。
「また来るね、ルミちゃん」と義母は言った。
ルミエールに別れを告げると、3人はその部屋を後にした。
3人が北ホールに向かって歩いていると、タクは受付の机に、以前出会った全身黒ずくめの男がいるのを見て、突然立ち止まった。
タクが彼に近づこうとしたとき、その手を誰かに握られた。それは、ちょうど到着したばかりの彼の母親だった。
「タク、どこに行くの?ホールはここら辺じゃないの?」とタクの母親が尋ねた。
タクは振り返って、「ああ、お母さん、違うよ。あそこに知り合いがいるから挨拶しに行くだけだよ」と言った。
タクの母親は困惑した表情で受付の方を見た。
「どんな知り合い?あそこには誰もいないわよ」とタクの母親は言った。
それを聞いたタクは振り返ったが、案の定、そこにはあの謎の男も、そこにいたスタッフも誰もいなかった。
「大丈夫?」「と心配そうにタクのお母さんが尋ねた。
「ああ、ごめんね、お母さん。まだ少し疲れているから、幻覚を見ただけかもしれない」と、タクは母親を安心させるために答えた。
「それじゃあ、お母さんは先に中に入るわ。お父さんもさっきから中に入って、儀式の準備をしているから」とタクの母は言い、右側にある北のホールへと続くドアを開けた。
母の言葉を聞いて、タクはただうなずくしかなかった。
母が入っていった後、タクはすぐに受付の机へと向かい、自分の目にしたものを確かめようとした。
受付の前に立つと、タクは本当に誰もいないことに気づいた。
そこでタクは、その机の上にあったベルを鳴らしてみた。
ベルを押すと、受付の奥から女性スタッフがやって来た。
「すみません、何かご用でしょうか?」と、そのスタッフは親しげに尋ねた。
「あの、さっき、黒い服を着た男性がここにいたでしょうか?」とタクは尋ねた。
「申し訳ありませんが、先ほどからお客様以外にお越しになった方はいらっしゃいません」と、スタッフは答えた。
「それに、先ほど受付のカウンターにいた同僚も、急用で30分ほど外に出ていました。彼女が来客の記録を残しておらず、その30分間、あなた以外でベルを押した人はいませんでした」と、そのスタッフは答えた。
「あ、ありがとうございます」とタクは答え、一礼をして受付を後にした。
タクは心の中で「さっき、あの男はスタッフと話をしていたような気がするけど、なぜだろう?また幻覚を見たのかな?」と考えた。
タクはそう考えながら、北ホールへと戻っていった。
北ホールのドアの前に立つと、タクは覚悟を決めた。
タクは扉を開け、そのホールを包み込む悲しみの空気を肌で感じた。
キコウの家族、親戚、友人たちが別れを告げに集まっていた。
別れの儀式の最中、泣き声が絶えず聞こえ、その悲しみの空気はタクからすべてのエネルギーを奪い去った。
棺の蓋を閉じる儀式になると、タクはキコウへの最後の言葉を述べるよう求められた。
「今日は来てくれてありがとう」とタクは言った。
「急なことで、身だしなみが乱れてしまってごめんなさい」と彼は続けた。
「私とキコウは高校時代からの付き合いだ。彼女は情熱的で、自立した女性だ」タクの目から涙がゆっくりとこぼれた。
「高校の卒業式の日、体育館の裏で彼女は私に愛を告白してくれた」。
「大学を卒業して2年後、私たちは美しい公園でささやかな結婚式を挙げました」
「時間が本当に早く過ぎて、私は多くのことを見過ごしてしまいました。そして、失って初めて気づいたのです」タクーは流れ続ける涙をぬぐった。
「まさか、私が先に彼女に別れを告げることになるとは」タクーは震える声で言った。
「さよなら、愛しい人」涙を流し、演壇でうつむいたタクの最後の言葉だった。
タクの母親が演壇に上がり、タクを抱きしめて「強くいなさい」と言いながら、タクの背中を軽く叩いた。
その後、タクの母親はタクを導いて演壇から降りさせ、席に座らせた。
葬儀は静かに進み、キコウが火葬場に運ばれた。
キコウの親族や友人たちは次々とその場を去り、やがてタツ、彼の両親、そして義父母だけが残った。
火葬の進行を待つ間、タツの両親と義父母は、気持ちを落ち着かせるためにその場を離れる許可を求めた。
「タク、私たち先に外に出るわ。火葬にはまだ1、2時間かかるかもしれないし、外で気持ちを落ち着かせて新鮮な空気を吸ってくるのはいいわよね」とタクの母が言った。
タクは微笑みながら母の手を握り、「大丈夫だよ、母さん。僕一人でここを任せて。外で休んでいて。私がここにいる間、あなたたちはルミちゃんを見ていてくれる?」
「わかったわ。何かあったらすぐに私たちを探してね」とタクの母は答えた。
その後、二人はタクを一人残して部屋を出て行った。
炎が燃え上がる火葬場の方をじっと見つめながら、タクの気分は奇妙なものに包まれた。まるで誰かに見られているような気がしたのだ。
居心地の悪さを感じたタクは、周囲を見回した。
すると、昨夜と今朝に見かけたあの謎の男が、ドアの横の壁にもたれかかりながら、彼を見つめていた。
少し怖さを感じつつ、タクはその男に近づこうとした。
「ここで何をしているんだ? 何がしたいんだ?」 タクは声を張り上げたが、その声は震えていた。
「昨日みたいに、また僕や僕の家族を罵るつもりか?」タクは少し怒った口調で尋ねた。
タクがその男のそばに近づくと、男はただ微笑みながら名刺を差し出した。
「理屈では説明できないことが起きたら、遠慮なく連絡してくれ」と彼は言った。
その言葉に、タクの怒りは一転して困惑へと変わった。
なぜか、タクにはその名刺を受け取るつもりはなかったが、直感が彼にそうさせるように、彼はその名刺を受け取った。
タクがその名刺を受け取ると、男は背もたれから身を離し、横にあるドアから外へ歩いていった。
タクからは言葉も感情も何も湧いてこなかった。
男が去った後、タクはただ電話番号と「倉間シンジ」という名前だけが書かれたその名刺を見つめた。
私の原稿をお読みいただき、ありがとうございます。
もし文章に誤りがあれば、ご指摘いただければ幸いです。そうすれば修正し、日本語の書き方をさらに学んでいきたいと思います。




