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君を想う  作者: 風海
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最終章1

「おはよう。祐」

「おはようございます。雄一さん、祐」

 

 雄一がおはよう、と返してきた。

 祐はひらりと、手を振っただけだった。

 

 和葉と夏樹が椅子に座ると、芽依の日用品がなくなっていた。


「あれ? 芽依は?」

「芽依なら、香月君たちと一緒にアメリカに行ったよ。無事に着いたとメールがきた」

「意外な組み合わせだよな。俺だけ独り身かよ」

 

 祐は鞄をソファーに放り投げた。

 

 自分だけ取り残されていることに、不満をもっているらしい。


 つまらないな。


「祐君にもいい人が見つかるさ」

「お世辞はいりません。師匠」

 

 祐は雄一を睨みつけた。彼は楽しそうな表情を浮かべる。


「夏樹は知っていたの?」

 

 和葉は隣でご飯を食べている夏樹に聞く。

 香月から相談はなかったが、お互い惹かれあっていることに気が付いていた。


「それなりに、付き合いは長いからな」

「教えてくれても、よかったのに」

「祐にも教えたら、よかったのに」

「教えたら、おもしろくないだろう?」

 

 食べ終わった夏樹は、涼しい顔をして雑誌を広げていた。

 濃紺の瞳には、楽しそうな光が宿っている。


 助けを求めて和葉を見ても、苦笑して肩をすくめるだけだった。

 

 それぞれの反応に、祐は脱力した。


「お前、実はいい性格しているよな」

「褒め言葉として、受け取っておく。それより、準備しないと卒業式に遅れるぞ」

 

 夏樹は読んでいた雑誌から視線を外して時計を見た。


 卒業式に遅れるわけにはいかない。

 

 和葉と祐は慌てて、身支度をした。


 思っているよりも、ここは居心地がいい。


 いつもと変わらない光景を、夏樹は見つめていた。


「そういえば、まだ言ってなかったよね?」

「何を?」

 玄関をでたところで、和葉が振り返った。

「お帰りなさい」


 祐は夏樹の肩に、手をおいた。


 「ただいま」


 夏樹は嬉しそうに笑った。


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