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「君が戦神?」
瑠依は急に声をかけられた。
一人の青年が、こっちを見ていた。
「誰だ?」
「情報部の夜蝶と言えば、通じるかな?」
「お前が桐原香月か?」
「そうだよ」
情報部隊と実行部隊の接触は、禁じられている。
見つかったら間違えなく、殺されるだろう。
目の前にいる青年――桐原香月は、規則を破り芽依の前に姿を見せた。
青灰色の瞳を心配そうに、細めて――。
「情報部隊の者が、私に何の用だ?」
「気まぐれだよ。君に会ってみたかった」
どんな人物なのかと、確かめてみたかったと。
この目で見てみたかったと。
「元アンドロイド対策特殊警察部隊のお前が、どうしてこのような場所に?」
「桜井夏樹のためだよ」
「なぜ、あいつのために?」
「僕と夏樹は知り合いだ」
彼を助けるためにいるのだと。
全部、壊すためにいるのだと。
「準備はすでに整った」
「お前を敵に回したくないな」
芽依は香月を見つめ返した。
香月は満足そうに笑うと、部屋を出ていく。
「あなたたちが味方でよかったと思う」
祐の言葉に、和葉も同意した。
愛と芽依は思わず苦笑する。
その柔らかい表情を見て、安心した。
今後、闇に堕ちることはないだろう。
「それから、木本さん」
「私も瑠依と呼ぶから、和葉でいいわ」
「なら、和葉」
「はい」
和葉は反射的に、姿勢を正した。
芽依の視線があまりにも、真剣だったからである。
「夏樹のことをよろしく」
和葉は瞳を瞬かせた。
芽依も夏樹が好きだと知っているから。
慕っているとわかっているから。
「私、ふられちゃったの。今回のようなことがあれば、許さないからね」
「はい。心得ています」
「女は怖いな」
芽依と和葉のやり取りに、祐はひきつった笑みを浮かべた。
隣にいた愛は、肩を震わせて笑う。
暗かった空気が、明るくなった気がした。




