↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君を想う  作者: 風海
PR
11/20

第五章1

雨に降られ立っている和葉を見て、祐は慌てて家の中に招き入れた。

 

 温かいシャワーを浴びて、安心したのか和葉の表情は落ちつていた。


「ごめんなさい。私が夏樹をとめなければいけなかったのに」

「田崎もあいつも人に頼ることを知らないだけだ」

 

 何のために自分たちがいるのだと。

 

 机に置いてあった和葉の携帯端末が鳴った。

 見知らぬ番号に、戸惑いを隠せなかった。


 祐が和葉に代わって、通信にでる。

 

「どちら様でしょうか?」

 

「木本和葉さんの番号で、間違いないでしょうか?」

「私、木本雄一さんに護衛を頼まれた桐原愛と申します。この番号は、雄一さんから、聞きました」


 今や国内屈指の企業となった会社の名前を、知らない者はいない。


 アンドロイド戦争後――息子の桐原空が、後を継いでいた。


 その大企業に嫁いだ人物が、自分たちを守ってくれるという。


祐は信じることができなかった。



「本当に私たちを、守ってくれると?」


「警戒するのも、当然でしょうね」


 通信画面が切り替わって、愛たちのプロフィールが、送られてきた。

 

 祐は経歴を見て、雄一の意図がわかった。

 

 確かに、心強い味方となってくれるだろう。


「少しは信用していただけましたか?」

「わかりました。信用しましょう」

「あと、一つ疑問があります。桜井と貴方たちとの関係は?」



「アンドロイド戦争中に、私の弟が夏樹君を助けてからの付き合いだと聞いています。それではまた後で、お会いしましょう」


「お待ちしています」


 何かあった時、自分たちだけでは太刀打ちできない。

 ここで、死ぬなんて馬鹿げている。

 

 命を捨てるなんて、もったいない。


「祐。誰だったの?」

 

 会話が終わると和葉が、不安そうに尋ねてきた。

 祐は安心させるように、和葉の肩に手をおく。


 瑠依は何も話さずに、二人のやり取りを見ていた。


「師匠の紹介で、護衛がくる」

「護衛? 誰が来るの?」

「元アンドロイド対策特特殊警察部隊にいた人たちだ」

「有名人がくるのね」

「知っているのか?」

 

 まるで、相手に会ったことがあるかのような反応だった。

 芽依は表情を崩さずに、淡々としている。


 「私たちの世界でも有名よ」

 

 玄関のドアをこじ開けようとする音に、和葉は身体をこわばらせた。

 

 どうやら、和葉が尾行されていたらしい。

 

 用心のために鍵をかけているものの簡単に壊されてしまうだろう。

 小さな物音がして、祐は振り返った。

 

 いつの間にか、芽依が小型銃を構えている。

 

 芽依の瞳はまだ見えぬ目標に向っていた。

 

「使うな」

「使わないと、全員殺されるわ」

 

 一般人が手をだす問題ではないと。


「桜井の気持ちを無駄にするつもりか?」


 芽依に銃をおろすように、説得した。

 いつまでたっても、相手が侵入してくることはなかった。

 

 祐が外にでると一人の女性が、男を返り討ちにしているところだった。


 彼女は呼んでいた警察に、男の身柄を引き渡す。

 

 パンツスーツがよく似合う女性だった。


「桐原さんですね?」

「ええ。そうよ」

「初めまして。桐原愛です」

「河原祐です」

「木本和葉です」

 

 それぞれが自己紹介をして、握手をする。


「あなたとは久しぶりよね。田崎さん」

「夏樹をとめられなくて、ごめんなさい」

「あなたが、謝る必要はないわ。私たちも予想していたことよ」

 

 だから、日本にきたのだと。

 

「こわくないですか?」

 

 もし、殺されていたら。

 生きていなかったら。


「生きているわ。あの子は大切なものができると、容赦なく突き放すことがあるの。許してあげてね」

 

 信じているのだと。


「桜井も田崎も伝えることが苦手だと、わかっています」

「それだけで、十分よ」

 

 祐の言葉に、愛は満足そうに笑う。

 愛は芽依に視線を合わせた。


「それよりも、元気そうでよかったわ」

「桐原さんも元気そうで何よりです」

 

 やはり、知り合いだったらしい。

 

 芽依が愛に、警戒することはなかった。

 

「知り合いですか?」

 

 和葉の質問に、愛は頷く。


 さっきまで、黙っていた瑠依が、過去を話し始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。