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魔王婚活転生 〜最強の魔力をすべて婚活スキルに注ぎ込んだら、なぜか聖女に「危険人物」としてマークされつつ溺愛され始めました!ついでに、世界が救われ続ける件~  作者: 藤台団二
第3章:魔の森の隠し遺産と、最強家族の開拓ライフ

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第2話:元魔王の隠し金庫

新居での生活をスタートさせたゼノンたちが次に向かったのは、

邸宅の地下に封印されていた前世の「隠し金庫」でした。


数億ゴールドの財宝が眠るその場所で、千年の時を経てバグった最上級防衛ゴーレムたちが牙を剥きます。


しかし、

怒れる親バカ魔王の指先一発で、古代の脅威はまさかの「最新家庭用ロボット」へと生まれ変わることに。


お楽しみください。

魔の森の最深部に完成した、世界樹の最高級木材が香る広大な木造邸宅。


開拓ライフの一日目の朝、ゼノンはリビングの窓から、リーゼロッテが庭に植えた常春の花々をのんびりと眺めていた。


「パパー! ルンバくんがお靴、きれいきれいしてくれたの!」


玄関の方から、エルナがパタパタと小さな足音を響かせて走ってきた。


その手には、先ほどゼノンが魔導具の端材でさくっと組み上げた、全自動靴磨きゴーレムが抱えられている。


エルナによって『ルンバくん』と命名されたその小さな鉄の塊は、健気にキュキュと音を立てながら、エルナのお気に入りの小さなブーツを磨き上げていた。


「それはよかったね、エルナ。これでお出かけの時もいつもピカピカだ」


ゼノンは娘の頭を優しく撫でながら、ふと、これからの「新生活の資金」について思い至った。


人間の王国での公爵家としての地位や財産は、あの偏執的な国王たちの手によってすべて没収、あるいは凍結されていることだろう。


もちろん、昨日ギルドに売却した大猪の素材だけでも、平民が一生遊んで暮らせるほどの銀貨にはなったが、最強家族の優雅なスローライフを維持するには、少々心許ない。


「わが信頼の指南書『新生活での資産運用の鉄則』によれば……

【どれほど精神的なゆとりがあろうとも、物理的な金蔵の厚みは、家族の笑顔を二倍にする】

とあるな。


やはり、確固たる経済基盤は必須か」


ゼノンが一人で深く頷いていると、キッチンから焼きたてのハーブトーストの香りと共に、リーゼロッテが顔を出した。


「あら、あなた。

何かお金のことでお悩みですか?

私、聖教会の裏金口座の場所ならいくつか知っていますけれど……」


「いやいや、リーゼロッテ。


そんな物騒なことをしなくても大丈夫だ。

幸いなことに、この敷地の地下には、私の前世である魔王軍の『第4極秘宝物庫』がそのまま眠っている」


「まあ、隠し金庫ですか?」


「ああ。

千年前、

戦争が激化する前に、万が一の隠居資金として世界中の古代金貨や伝説級の魔導具、超希少な宝石類を山のように詰め込んで封印しておいた場所だ。


今の人間たちの通貨に換算しても、数億ゴールドは下らないだろう。


エルナが成人して、世界中の美味しいお肉を食べ尽くしてもお釣りがくる規模だ」


「それは心強いですわね!

では、さっそくお財布の中身を潤しに行きましょうか」


リーゼロッテが嬉しそうに微笑む。


家族三人、

そして健気に足元をついてくる『ルンバくん』を連れて、ゼノンたちは邸宅の地下に作られた頑強な魔導昇降機エレベーターへと乗り込んだ。


最深部へと到達すると、

そこには地上とは一転して、重厚な漆黒の神鉄で覆われた巨大な円形の空間が広がっていた。中心には、幾重もの古代魔導文字が刻まれた、直径十メートルを超える大金庫の扉が鎮座している。


「待っていなさい。今、封印の鍵を解凍する」


ゼノンが一歩前に出て、指先に漆黒の魔力を宿らせて扉の術式に触れた。


千年ぶりの主の魔力を感知し、大金庫の扉がゴゴゴゴ……と音を立ててゆっくりと開き始める。


隙間からは、まばゆいばかりの黄金の輝きと、伝説級の秘宝が放つ濃密な魔力が溢れ出してきた。


だが、扉が完全に開ききった、その瞬間。


ピガガガガガガガガギィィィィン!!!


宝物庫の内壁に設置されていた、


四頭の巨大な鉄の獅子の彫像——最上級自動防衛ゴーレム《守護の鉄骨兵ガーディアン・キマイラ》の瞳に、不気味な赤色灯が点灯した。


千年の時を経たことによる魔力回路の経年劣化、すなわち『システムのバグ』により、彼らは真の主であるはずのゼノンを「財宝を狙う不審者」と誤認してしまったのだ。


「侵入者……抹殺。資産の……絶対防衛……!」


ギチギチと金属音を立てながら、一頭あたり体長五メートルを超える鋼鉄の怪物が、その鋭い神鉄の爪を剥き出しにして起き上がる。


一頭だけでも、王国の近衛騎士団が総出で挑んでも全滅しかねない、古代の大量破壊兵器だ。



「キャッ!?」


「パパ、おっきいワンワンが怒ってるぅ!」


リーゼロッテがエルナを庇うように一歩下がり、聖杖を構える。


だが、

迫り来る古代の脅威を前に、ゼノンの表情はこれ以上ないほどに冷え切っていた。


(やれやれ。

私の資産を私が引き出すだけで、なぜこれほどの騒音を立てられねばならんのだ。


地下室の振動が地上に響けば、せっかくリーゼロッテが綺麗に整えたリビングの調度品が傾くではないか)


何より、大音量でシステム音を鳴らす鉄の塊どもは、エルナの健やかな情緒に極めて有害だった。


「静かにしろ、バグ塗れの粗大ゴミめ。我が家の平穏な朝を邪魔するな」


ゼノンは避ける動作すら見せず、最も近くまで飛びかかってきた一頭のゴーレムの額に向けて、右手の平を静かに突き出した。


極小圧縮消滅術式《深淵のオオタミ・インパクト)》。


指先をパチン、と一度だけ鳴らす。


瞬間、衝撃音すら発生しなかった。


ゼノンの指先から放たれた絶対的な無のエネルギーが、一頭目のゴーレムの頭部から尾の先までをピンポイントで貫通。



神鉄の強固な装甲ごと、その『存在の理』を完全に中和し、一瞬にしてただのサラサラとした鉄の砂へと変えて床に崩れ落とさせた。


「ピガッ……!? 警告……個体欠損……計測不能……」


残る三頭のゴーレムが、その演算能力を超えた一撃に動きを凍らせる。


だが、ゼノンは手を休めない。


残る右手の人指し指を、ピアノの鍵盤を叩くように軽やかに三回、空間に向けて振った。


「再フォーマットを許可する。


これより君たちの全機能を初期化し、我が家の『お留守番・お掃除用』の自律プログラムへと書き換える」


ゼノンの指先から放たれた細い魔力の糸が、残る三頭のコアへと強制的に侵入し、千年のバグを力技で上書きしていく。


世界を滅ぼすレベルの自律兵器の防衛システムが、元魔王のハッキングによって、わずか数秒で「従順な飼い犬」のそれへと完全に書き換えられていった。


「ピピッ。


……マスターのご帰還を歓迎します。


本日のハウスキーピングの予定を入力してください」


先ほどまで禍々しい赤い光を放っていたゴーレムたちの瞳が、穏やかなエメラルドグリーンへと変わり、その巨体をまるで子犬のように丸めてゼノンの足元に擦り寄ってきた。


「わあ! おっきいワンワン、いい子になった! パパ、すごーい!」


エルナが恐怖を完全に忘れて駆け寄り、鋼鉄のキマイラの足をペシペシと叩いて喜んでいる。


「まあ、頼もしいですね、あなた。


これほど大きくて力持ちなら、お庭の開拓や、重い荷物の運搬も一瞬で終わってしまいますわ」


リーゼロッテも聖杖を収め、感心したように微笑んだ。


「ああ。これからは、彼らに邸宅の外周の見回りと、エルナの遊び相手を任せよう。


もちろん、金庫の中身も無事だ」


ゼノンは金庫の奥に鎮座する、千年前の純金がぎっしりと詰まった宝箱を開き、その中から最高品質の魔導宝石をいくつか取り出してリーゼロッテの手へと渡した。


国王たちが彼らを亡き者にしようと送り込んだ魔の森。だが、その地下に眠る圧倒的な富と、家庭用にリフォームされた最強の警備兵たちを手に入れたことで、最強家族の「お気楽隠居ライフ」は、誰にも脅かされることのない絶対的な領域へと、また一歩近づくのだった。

第2話をお読みいただき、本当にありがとうございました!


数億ゴールドという圧倒的な経済基盤を確保しつつ、世界を滅ぼしかねない古代の防衛兵器を「デコピン一発」でただのお掃除ロボット(ワンワン)へと改造してしまう、ゼノンならではの理不尽な無双劇を楽しんでいただけましたでしょうか。


エルナちゃんに『ルンバくん』と名付けられたゴーレムたちのこれからの活躍にもご期待ください。


次回、

第3話では、生活雑貨の買い出しのために辺境都市『ガルガ』のギルドへと向かったゼノンたちに、顔を真っ青にしたギルド長から「街の崩壊の危機」という緊急要請が下されます。


買い出しを邪魔されたゼノンが、エルナの楽しみにしている『あるもの』を守るために、ついでに無双を果たす展開となります!どうぞお楽しみに!


ご覧いただきありがとうございます。


物語を応援してくださる方、ゼノンのブレない家族愛が最高!と思ってくださった方は、ぜひぜひ画面下の【ブックマークに追加】と、【☆☆☆☆☆】の評価での応援をよろしくお願いいたします!皆様の評価が何よりの励みになります!


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