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(旧)闇夜に踊る  作者: 東雲飛鶴
四章 腭<アギト>に喰われる者
74/134

26

【26】


「勝利さん、お客さんですよ」

 その日の午後、食堂でシスターたちのお茶会に混ざっていると、外で掃除をしていたシスターが、来客を報せにやってきた。

「はあ、どうも。それで――」

 誰が来たのかと勝利が尋ねるよりも前に、騒々しい客人たちがスリッパをペタペタ鳴らしながら食堂に入ってきた。

「なんだ、もう起きてる」

「チース」

「ハルカさんがいるのはいいとして、何でタケノコまでついて来てんだよ」

「お見舞いっス。これ、今日の宿題のプリント」

 そう言って、タケノコはスクールバックから、少々シワのついたプリントを取り出して勝利に差し出した。

「あんがとよ」

 珍客の来訪で、お茶会はかなり奇怪な雰囲気になったが、昨晩限界まで追い詰められていた勝利の精神状態は、遙香と竹野のおかげで幾分か回復した。元々このお茶会自体が、勝利を労う意味合いの強いものだったのだ。賑やかに越したことはない。

「オレ教会に入るの久しぶり。子ども会以来っすよ」

「私も」

「……にしても、まさかヤクザが教会を隠れ蓑にしてるなんて、スゴイっすね」

「「「「「え?」」」」」

 勝利と遙香と竹野以外の全員が、一斉に竹野を凝視した。

(あわわわ、忘れてた……。そういう設定だったんだよな)

「あ、あくまでここは間借りしてるだけだ。事務所の用意が出来たら出て行くんだ」

 勝利は誤魔化しつつ、シスターたちにアイコンタクトを送った。しかし顔は引きつり、どう見ても挙動不審な男子高校生にしか見えない。

「へえ、そうなんスか」

「う、うちの組長が昔世話になった時からの縁……らしい」

「縁! 任侠には大事っすよね!」

(あああ……タケノコがバカで良かった!!)

 勝利は心の中で、ほっと胸をなで下ろした。


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