こいつら絶対にヤッてるだろ。
どうも魔王です。
疲れました。
寝たいです。
もう、四五歳ですよ。
お互い大変ですよね。
そんじゃ、
「あの、魔王様!!魔王様!!急いでください!!」
え、もう目覚まし鳴ったのかな?
僕は布団で、二回ほどぐるぐると体を回転させたあと、重いまぶたを擦り、なんとか目を覚ます。
「あの、勇者たちが来ています!!」
僕は急いで飛び起き、そして、朝食を食べ、歯を磨き、トイレに行き、忘れていたから顔を洗い、そして着替えてから玉座に向かって走った。
急いで行ったのだが、そこにはすでに勇者たち御一行が待ち伏せていた。と言っても、なんか四人で楽しそうに話していたのだ。
「あ、来たぞ!遅刻遅刻!」
って、前のやつと違うじゃん。
それに、馴れ馴れしく呼びやがって。
もう一〇年くらい経ったのか?だが、時間を確認する術はない。
それにしても、また同じ色の勇者パーティだ。
完全に、配色が同じだ。
「おい、お前なんで遅れてるんだよ!」
人の遅刻にケチをつけるな。
「ウンコ行ってたんだよ!それ以下でもそれ以上でもないわっ」
僕は堂々と言い放つ。
「まあいい、お前、魔王なんだろ?じゃあちょっと面貸せよ、」
勇者が剣を地面にコツコツと叩きつけながら僕の方に近寄ってくる。
僕はこれはもしや、と思ったので目を凝らした。
あ、こいつらチャラい感じだな。
ギャル魔法使いの爪には、なにかゴツゴツしている飾りがついていた。
勇者は、ヤンキーみたいなやつだし。
マジで、たまにいるんだよ、お前らみたいなやつ。
嫌いなんだって。こいつらは。
「おい、本気を見てみたいか?」
今までに何回かだけ言ってみたことがあるが、これで負けたら恥ずかしいな、と思いながら毎回言っているんだ。
今のところは、幸運にも勝ちが続いているが、これで負けたら、この僕の城全体の評価の下落にも繋がりかねない。
「は?見せてみろよ、おっさん。俺達がボコボコにしてやるよ」
僕は、両拳に力を込めて、真の力を解放する準備を行う。
「ぶっちゃけあり得なさすぎて・ムリぽアタック!」
ギャル魔法使いがへんてこな呪文を唱えた。
それにしても、意味がわかるぞ。これは。
これこそ、ギャル語の本質なのだろう。
が、つい力が抜けてしまった瞬間を狙われ、僕は集中砲火を叩き込まれた。
神官も、一瞬女じゃないかと見間違えるほど髪が長い。
まずは、あいつの髪の毛をやろう。
前衛たちの攻撃をくらいながら、僕は作戦を考えた。
まあ、考えるほどじゃないけどね。
「おい、もっとハイになるマジックパウダーをくれよ」
勇者じゃない方の前衛が、勇者に瓶を投げた。
これ、マジックパウダーなのか?ハイになれる、魔法の粉なのか?
「おいおいおいおいおいおいおい、ちょっと待ってくれよ」
勇者たちの手が止まる。
ギャルは我慢できずに魔法を撃ってきたが、まあいい。
「ウチはね、その魔法の粉禁止だから。困るよ、本当に」
僕は「やめやめ」と言って勇者たちに近寄る。
「ちょっと、君たち何歳なの?」
神官は、三〇代の若作りおじさんといった感じだが、その他三人はあきらかに若そうだ。
「はあ?別に、魔王さんには関係ないでしょ」
これだから、最近の若者は!!
僕は彼らの手から粉の入った瓶を奪い取った。
「あ、ちょっと、」
青鎧の方が、落胆の声を上げた。
これ、ぎり合法なやつか?いや、合法の粉なんてないだろ。少なくとも国内じゃアウトだ。
「ちょっと、こんなのどこでもらってきたの?」
僕は勇者に詰め寄る。
すると、勇者は小さく両手を挙げて「・・・おっさんからもらったんだよ」と白状した。
すると、若みせ神官が「え?いや、そっちが欲しいっていうから」と言い訳を始めた。
ああ、もうどいつもこいつも。
青鎧はその場にふてくされて立ってるだけだし、ギャル魔法使いは爪の飾りをカリカリいじっているだけだ。
「あのね、ウチはそういうの禁止だから、今回は君たちの相手できないから」
きっぱりと僕は彼らに伝えた。
「あのね、いくら僕が魔王だからと言ってもね、ルールを守れないやつとは戦えないから!!」
勇者たちは困惑していた。
「今までは、僕の優しい部下が許してあげてたのかもしれないけど、次はないからね。ほら、帰った帰った!!」
僕は勇者の肩をつかみ、無理やり玉座の間(ついさっき思いついた)の出口へといざなった。
「は?続きやらせろよ」
青鎧が喚く。
「ダメダメ。ホント、この粉ヤバいヤツでしょ?」
僕が尋ねると、全員が少しうつむく。
ほら、やっぱり。どうせ、このギャルと三Pしてるんだ。
僕の予想だと、勇者がハブられている。若みせ神官が三Pに加わらないなんていうのはさすがにありえないからな。
「だから、ほらほらっ。帰った帰った」
僕は四人の背中を押して、無理やり帰らせた。
せっかく、早起きして来たのに、この有様かよ。
僕は自分の部屋に戻った。
扉を開けると、やはりそこにセバスが居た。
「あのさ、僕が寝てからどのくらい経ったの?」
すると、セバスはわざとらしくカレンダーをめくってから、「まだ一日です」と答えた。
おい、こっち十年寝るつもりだったんだよ!!
最悪だ。
今度こそ、ちゃんと寝よう。
「おい、セバス!!」
「はい」
「バイトくらいは見つけてこいよっ」
こういう奴には、しっかりと言い聞かせないとダメなんだ。
セバスも渋々「はい」と頷いて部屋から出ていった。
それにしても、早起きしすぎた。
トイレだけ行っておこう。それで、今度こそ一〇年みっちり寝なければいけない。
僕はベッドと布団の準備をして、トイレに向かった。
十年間眠って、起きた時にものすごい勢いで尿が出てくるのはたまったもんじゃないからな。
まったく、魔王の体なんて実に不便なのだ。
そりゃ、人より強かったりするけど、でも、それでなんになるんだっていうことだ。
強くなるのよりも、いくら食べても太らないとか、一生排泄せずに済むとか、そっちの方がよっぽど能力として羨ましいと思う。
まあ、とりあえずトイレに行っておこう。
また見てね




