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あのさ、もうちょっと考えようよ

どうも、ひねくれ魔王です。

そうですね、どうもマンネリが気になるっていうか。その、僕が知らないことが多すぎるんですよね。

あ、また勇者たちだ。

もう、また見たことあるようなやつらですよ。

僕は、なんにもわからないのに勇者の相手ばっかりやらされて。

なんか、楽しいことって無いのかな?

 「馬鹿に馬鹿っていうのは本質的に意味が無いから、だから、僕はキミたちに馬鹿だなんて言ったりしないさ」

 ついさっき、「お前が魔王か」なんて言われたら、そう思わずにはいられないよ。

 まあ、鬱陶しい勇者どもだ。

 一番前にいる勇者っぽい奴が大きく息を吸って、

「お前、人間を舐めるなよ!!お前、だからってたくさんの人を殺してっ、人の命をなんだと思ってるんだっ!!」と言った。

 そんなセリフ、思っても絶対に言うなよ。絶対、馬鹿だって思われるぞ。

 しかしまあ、これってなんて言ったら正解なんだろうな。多分、誰も答えを出せていないよな。ディオだって「お前は今までに食ったパンの枚数を覚えているのか」って質問返ししちゃったんだもん。

 そりゃ、僕には答えは出せませんよ。

「えっと、あの、・・・別に、僕だって大事に思ってるよ。そりゃ、命だもん」

 ギリッ、という歯の軋む音が聞こえる。

 あ〜あ、怒ってる怒ってる。

「おい、落ち着け、お前、大丈夫だ。俺達なら行けるっ」

 赤い鎧を身に着けた勇者っぽいやつの後ろにいる、神官か?青い模様の入った白いローブのようなものを身につけている。まあ、あんたは冷静じゃないとまずいもんな。

 こんな、わざわざご丁寧に僕のいる玉座まで来てくれちゃってさ。

 いいけどね。助かるんだよ、本当に。

 君たち、みんな礼儀正しいもん。本当は、殺したくなんかないよ。だって、礼儀正しいんだもん。本当に怒ってるのって思うよ。

「おい、覚悟しろよっ。俺は、お前を殺す。そして、お前ら魔王から人類を救うんだっ!!!」

「あっそ。いいじゃん。いいと思うよ、僕も」

 僕としては思ったことをそのまま言っただけなのだが、勇者はこの僕の一言がかなり逆鱗に触れてしまったらしい。一応、逆鱗をかすめるくらいのつもりだったんだけど。

 勇者パーティなんてどこも似通ったもので、前衛が二人いて、魔法使いみたいな女の子が大体いて、神官のポジションにちょっとおっさんみたいなやつがいるんだよ。

 僕、もう見飽きたよ。

 まあでも、理由があるんだろうな。つまらないなんて理由で切り捨てるのは申し訳ないな。ここまで、結構頑張って来てくれたわけだもんな。

 まあ、どうせここから先には行けないっていうか。

「そのね、みんな僕のところくらいまでは来れるんだよ。でもさ、その、一応それまでも頑張って強い人達に頼んでるんだけど、まあ、みんなことごとくやられて。君たち強いのにさ、なんで僕のことは倒せないわけ?」

「さっきから、ごちゃごちゃと、」

 また勇者がキリキリと歯を鳴らしている。

 おい、歯がなくなると力が入らなくなるらしいぜ。前の勇者に教えてもらったんだよ。君たち、詳しいよね。僕、初めて知ることばっかりだよ。

「おい、行くぞ!!」

 勇者と、もう一人の前衛の若い青い鎧の兄ちゃんが剣を抜き、僕の方に剣先を向けた。

 そして、後ろにいる神官のおっさんとピンクのローブの魔法使いの姉ちゃんも同じように杖をこちらに向けてくる。

 なんか、いつも変な帽子被ってるよな。その、尖ったのなんなんだよ。いつも、見る度に笑いそうになるんだよ。

 でも、なんにでも理由ってあるもんだろ?

 教えてくれよ。

 一つだけ言わせてもらうなら、ちょっとは違うことしてみてほしいもんだね。

「そのさ、一言言わせてもらうけど、」

 僕はアドバイスでもしようかと思ったのだが、それを聞いた勇者が「黙れ!!」と言って僕の方に走ってきた。

 せっかくだしさ、一期一会じゃん。もうちょっと話そうぜ?

 まあ、走ってこられたら、この一〇〇メートルもない玉座のある、この、なんていう名前の部屋なんだろう。多分、人間側、というか僕も一応人間だし、勇者側は勝手に僕のこの部屋の名前つけてるんでしょ?

 ほんと、今度教えてよ。

「くらえっ!!!」

 勇者が僕に剣を突き刺してくる。

 もちろん、僕はギリギリで避けるけど、やはりその隙を狙ってもう一人の前衛が僕の首を狙ってくる。

 ちょっと、こんなの隠してて恥ずかしいって思うんだけど、これを知ってる人は今のところ皆死んでるから、結果的に恥ずかしくなくて済んでるんだよ。

 僕は、右のパンツのポケットから小さい刀を取り出して、青前衛の斬撃を受け止める。

 結構強い。けど、知ってる強さだ。

 その、レベル上げてから来いって。

 その、みんな中途半端なレベルで来るから死ぬんだよ。

 九九まで上げて来ればいいじゃん。急がなくていいからさ。

 待ってくれって言われたら、僕、魔王っぽく住民から税を取り立てたりするのも、他国を侵略するのやめるから。

 結構、話通じるんだぜ?

「ファイアショット!」

 魔法は正直避けようがないので、ただただ食らうしかないのだ。

 今度は、もっと違う魔法を見せてほしいものだ。その、確率で相手が死ぬとか、そういうのじゃんじゃん使えばいいじゃん。自爆の呪文とか。

 それでさ、実際に自爆したのを僕見たことなかったんだけど、君たち本当に自爆しちゃうじゃん。

 あ、これレアなやつだって思ったら、死んでるし。

 仕組みとか気になるんだよね。

「高貴なる審判の主よ、罪深き者に鉄槌を。天雷、落ちて悪を砕け。天罰の雷槌ジャッジメント・ボルト

 あ、これ雷だ。

 雷避けらんねえよ。それにさ、君たち神官は、こっちはセリフ全部聞き取ろうと思って結構耳すましてるんだけど、文字数多くて聞こえないんだよ。

 もっとさ、簡単な呪文にしようよ。

 ビビデバビデブーとかでいいじゃん。

 まあ、カッコいいとは思うけどね。今度、教えてね。

 と思いながら、僕は雷を食らう。

「高貴なる審判の主よ、」

 あ、まただ。

「まだまだあ!!」

 あ、このコンビネーションみたいなの見たぞ。

 僕は体勢を立て直し、今度は後ろに刺してあった長い剣を取り出す。なんと、二メートル超える刀身で、近づくものはちょっと触れただけでもバッサバッサ切れる優れものなんですよ。

 と騙されて、一〇億エルザも払って買っちゃったんだよな。

 けど、実際はなぜか頑丈なんだけど、ほとんどこれで叩き殺している感じなんだよな〜。

 次来たら、あの訪問販売員も殺さないと。

 僕が剣を取り出したので、前衛の二人が少し距離を取った。が、すぐに攻撃を仕掛けてくる。

 思い切り横に剣を振る。もちろん、この程度では攻撃は当たらない。当たらないんだけど、じゃあどの程度なら当たるのかっていうのがまだわからないんだよ。

 ホント、最近の勇者は困ったもんだ。

 横に振った隙を狙って青鎧が僕の足を狙うけど、僕はジャンプして避ける。そして、そこにさっきよりちょっと熱い魔法が飛んでくる。

 多分、魔法使い四人のパーティの方が強いぜ。

 未だに、どう避ければいいのかわからないもん。

 滞空中にも、彼らは攻撃を仕掛けてくる。

 まずは、神官が呪文を唱え終わったみたいで、かなり強力な雷が僕の脳天に突き刺さる。

「うわ、眩しいっ」

 僕はつい剣で目を守ったんだけど、それが運よく光が反射して青鎧の目眩ましをした。

 ごめん、これはマジでたまたまだわ。

 が、攻撃をしないわけにもいかないので、僕は青鎧の一番鎧が分厚そうな胸の辺りを思い切り剣で叩きつけた。

 バイーン、という到底金属と金属がぶつかりあった音とは思えない音がして、青鎧が床にめり込んだ。

「おい!!回復!!」

 神官はせっかく詠唱中だった呪文を一度やめて、違うおそらく回復の呪文を唱え始めた。

 一応、一番頑丈そうなところ狙ったんだけどな。

「おい、許さねえぞ!!」

 ああ、またまた。

 血の気の多い勇者は困るね。

 魔法攻撃は、正直食らってもあまりダメージが無いので、それはまったく気にせず、僕は勇者とタイマンした。

 まあ、勇者なのだからそれなりに強い。

「おいおい!!どうしたんだよっ!!!」

 どうもしないよ。

「別に、なんにもないよ、ホントにもう、」

 勇者の剣のスピードが上がる。が、僕が剣で防ぐ度にバインバイン音がなることに違和感を感じているらしく、あまり攻めきれていないようだった。

 だが、こっちだって衝撃の余韻が手にのこっていちいち震えるからどうにもならないんだよな。

 僕は足を伸ばして蹴りを入れようとしたけど、それもひょいと後ろに下がって避けられた。

 多分、素手の方がいいな、と思ったが、まあ普通に考えて素手で剣に勝てるわけがない。

 仕方なく、剣を構える。

「ボム」

 おっと、

 バン、という音が鳴り、地面に衝撃が走る。

「ありがとう。俺も行くっ」

 青鎧が復活した。

「汝の罪、地に満ちたり。神威の鎖よ、絡め取りて焼き尽くせ」

 まただ。

 本当にさ、日本語で言って。マジで頼むよ。

 僕も魔王だから使ってみたいし。

「よし、行くぞっ」

 また二人がこちらに向かってくる。

 そして、しつこく魔法使いの姉ちゃんがこっちに魔法を飛ばしてくる。

 鬱陶しい。

 ていうか、魔法すら使えないんだよな、僕。

「はあっ」

 今度は青鎧が真正面から切り込んできた。彼が浮いていたので、僕はそこに肩からタックルをした。

 するとまあ、うまい具合に飛んでいき、入口の扉に当たる。

 これでまた勇者とタイマンだ。

 もう、終わらせようと思ったので、僕は速度をあげる。

 そして、壁を使い勇者に高速の打撃を加える。最初こそは勇者も剣で防いでいたけれども、段々と動きの精度が落ちてく、というものだ。

 そのくらい早く動いているのに、魔法だけはなぜだか僕にしっかりと命中するのだ。

 神官の方は、結局また回復に専念していた。

 そろそろだな。

 僕は勇者にフェイントを入れる。

 彼の後ろから接近し、一度繰り出しかけた拳を引っ込め、彼の脇腹に逆の手の拳を食い込ませる。 

 勇者はその慣性が働き、壁まで吹き飛ばされ、血を吹いた。

 一気に、神官と魔法使いの顔が青ざめた。

「あのさ、」

 僕はコツコツと音を立てて彼らに近づく。

 二人が、戦闘態勢を取りながら一歩後ろへ引く。

「僕当分休んでるから、また今度来てよ」

 まあまあ、一回くらいは勇者たちの成長というものも見てみたいものだ。

「あとさ、今度は魔法を教えて」

 そう言って、僕は全力ダッシュで彼らの下を去った。

 自分の部屋に戻る。ちょうど玉座の真上だけれども、気づかれないといいな。

 もう、勝手に帰っててくれ。

 部屋の扉を開ける。部屋は、実に狭い。1DKというそこら辺の賃貸並みの間取りだ。

「あれ、魔王様?勇者たちは?」

 こいつは部下のセバスだ。

 いっつも僕の部屋の掃除をしている。

「あのさ、セバス、お前もそろそろ就活しような」

 ホント、ここでの掃除は仕事じゃないんだから。僕はセバスの肩に手を置く。

 僕がそう言ったら、セバスもまた青ざめた顔をして「では、失礼します」と言って部屋を出ていった。

「ふぁ〜あ」

 僕は伸びをする。

「目覚ましを、十年後にセット、と」

 これでオッケー。

 じゃあ、次回の勇者に期待だな。

 魔王も当分お休みしよう。


当分こんな感じだから、見てって!

マンネリ万歳!!

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