帝国その後
『サクヤは、元気にしているかしら。』
ふうっとため息をつく妻、アリルにダクロスは笑って言う。
『大丈夫だろう。それに、もうサクヤはいないよ。可愛いラーシャの為に、私たちは出来るだけの事をやったよ。』
そう言われ、アリルも優しく微笑んだ。今はもう、ここにいない義妹の幸せを願って。
帝国内は、荒れていた。帝王の手先として各地を回っていた西の魔女が不在となるや、各地で抑圧されていた民衆が蜂起した。
しかも。帝国で優秀だと言われていた指折りの魔術師10人が忽然と消えている。
今も生死不明。その詳細もわからず。
シガールは公爵家でありながら、その責を問われ、すぐに気分屋の帝王に謁見の間で切り捨てられた。
権力欲にまみれた男であったが、ある程度国内に強い影響力を持っていたシガールを失った帝国は、足元から崩れるようにその力を失った。
気分屋の帝王を父に持ち、苦労してきた三人の王子達は、仲がよかった。それは帝国にとって救いだったのだろう。
第一王子が帝王を弑して帝王の座に就いたのは、ロイメール襲撃後、1カ月であった。
治世を第一王子、第二王子は魔術を極め、第三王子は庶子であることを生かし、民衆の支持を帝国に集めるように努力した。
広げすぎた領土の縮小を決め、各地の自治を認め、直轄の兵や魔術師、文官を徐々に帝都へ撤収する事とした。
その後、その安定した治世は前王の殺戮の治世、血を連想する赤の時代と比較して青の時代と呼ばれ、安定した治世の中で、芸術や文化水準もさらに高まる事となる。
世代交代により、帝国と東大陸のロイメール王国は国交を樹立。友好条約を締結して貿易が盛んになり、中継都市のリレイラも発展していくこととなる。




