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ep8 - 宇宙の星々

「目の下にくまができてるぞ!?」

自分は驚く。

男の目の下には濃いくまができている。

「いやぁ昨日はあまり寝れなくてな!」

男は笑う。

「笑い事じゃないって!もっと寝てないと。」

「いや、こんな状況で、寝てはいられない。途中にいたあの子供のことも気になるしな。」

「……じゃあ、無理するなよ。」

「ああ!」

男は浮島を降りていく。

それに自分は大きく手を振る。

少女はまだ意識が朦朧としているのか、目をこすりながら、小さく手を振っている。

「体調はどうだ?」

「だいじょうぶ。」

「よかった。心配したんだぞ?」

「ごめん。」

「許す!」

そんな他愛もないやり取りをしていた時だった。

ふっ。っと蝋燭の火が消えたかのように、世界が真っ暗になる。

目を凝らしても、何も見えない。

「っ!?なんだ!?」

流石に驚く。

すると口から、金色の輪っかのようなものが出てくる。

「これは……?」

声に合わせて、何個も出てきて、地面をなぞる。

そのおかげか、自分の一歩先に穴があることがわかった。

「うわぁ!一体どうなってるんだ?」

「……あなが、たいようをすいこんだ。」

少女の口からも、金色の輪っかが出ている。

音か何かが可視化されてるのか?

まあいいや。それよりも気になることがある。

「太陽?」

本当になんでも吸い込むんだな。穴は。

「じゃあ、ずっと暗いままなのか?」

「いや。くらやみは、もっとくらくなるとぎゃくにあかるくなる。」

「……?」

どういうことかわからない。まあ、どうにかなるんだろう。

「そうなるまでまつこともできる。だけどとてもきけん。」

「これよりも危険になるのか……。」

「そう。あなはやがて、じかんさえすいこむようになる。」

「確かに危険だ。じゃあ先に進まないと。」

「じゃあ、これをたよりに、さきにすすむ。」

少女が金色の輪を指さしていることがなんとかわかる。

進むのが難しくなりそうだ。


そこからというもの、すごく疲れる旅が始まった。

「あああああ!」

と叫んでどこに何があるのかを見極めなければいけない。

それに穴だってある。触れたら一発アウトだ。

「そっち穴があるから消してくれ!」

と頼んだり。

「そっちにはかべある。」

「ヘブシッ!」

忠告が少し遅れてしまうこともあった。

ただ何度か繰り返すうちに、慣れてきたのか、連携がうまくなってきた。

「ここら辺で一休みしよう。」

あたりがどんな景色なのかわからないが、平たく、開けた場所に出た。

コンクリートの大きな破片があったため、そこに腰をかける。

少女も隣に腰掛けた。

昨晩食べ残していたちっちゃいドーナッツを少女に渡す。

「ありがとう。」

少女が微笑んでいる気がする。

その顔が見えないのが残念だ。

「そういえば。」

少女は何かを思い出したかのようにいう。

「じこしょうかい。まだしてない。」

「確かに。」

少女はドーナッツを飲み込み、自己紹介をする。

「わたしはいちいちよんごー。じんぞうにんげん。それはしってるよね。」

「ああ。あの男に聞いた。」

「すきなたべものは、どーなっつと、いちご。しょうらいのゆめはひーろー。」

子供っぽい自己紹介だ。だがヒーローという言葉に心を打たれる。

「ヒーローか!今でも十分ヒーローだと思うけどね。」

「もっとたくさんのひとをたすけて、きぼうをあたえる。かみさまみたいに。」

「立派だなぁ。じゃあ今度は自分の番だ。えーっと、好きな食べ物はドーナッツ。将来の夢は宇宙を見ること!だったけど今はドーナッツ屋をやってる。」

「なまえは?」

「そうだった。自分の名前は、広。佐藤広だ。」

「いいなまえ。」

少女の微笑み声が金色の輪となって、広がる。

それをぼんやり見ていると、腕に温もりを感じる。

少女が頭を寄せてきているのだろうか。

確認するのは野暮だと思い、そのままのんびり前を見る。

その時だった。

瞳に一筋の光が映る。

その光は朝日のように広がり、辺りを照らす。

やがて辺りが全て見えるようになると、自分のいる場所を初めて気がつく。

宇宙だ。

無数の星々の煌めきが、涙を誘う。

こんな形で夢を実現できるとは。

「よかったね。」

その声がする方を見ると、少女が目を閉じて、頭を寄せながら言っているのがわかる。

「ああ。最高だ。」

何秒かの間、目の前に広がる宇宙を眺めていた。

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