夏祭りの縁日の経験は誰にでもある
宇治山「あったぞ!」
ヴェンチャーネ「よかったわ!とりあえずここにコンセントがあるから刺してちょうだい!」
宇治山「ここだな!よーし!」
宇治山はコンセントに延長コードを刺した。
宇治山「できたぞ!」
ヴェンチャーネ「ならあとは炊飯器だね!」
宇治山「ええと、炊飯器のコードを......」
宇治山は炊飯器のコードを延長コードに刺した。
宇治山「成功だ!」
ヴェンチャーネ「これでお米が炊けるね!」
宇治山「ちょっと待て!」
ヴェンチャーネ「宇治山、いきなりどうしたの?」
宇治山「まだこの状態だと米を炊くことは出来ない。」
ヴェンチャーネ「え?そうなの?」
宇治山「まずは袋に入っている米についてだ、まずは袋を開けないといけないだろ。」
ヴェンチャーネ「そっか!切らないとね!」
ヴェンチャーネはたまたま近くにあったハサミを使って米の袋を切ろうとする。
しかし。
宇治山「駄目だ!」
宇治山はヴェンチャーネからハサミを取り上げた。
ヴェンチャーネ「えっ!?宇治山、これ切るんじゃないの?」
宇治山「切るにはまだ早いんだ。」
ヴェンチャーネ「えぇ、だって米を炊飯器にセッティングするから中から取り出すんじゃないの?」
宇治山「なら聞きたいことがある、ヴェンチャーネ、人間は米をどのぐらい食べる?」
ヴェンチャーネ「うーん、時と場合によるけど、四人家族だと、三から四合辺りが妥当ね。」
宇治山「それで、この米袋は何キロだ?」
ヴェンチャーネ「10キロね。」
宇治山「米は一合でどのぐらいある?」
ヴェンチャーネ「ええと、確か約150グラムね。」
宇治山「それで十杯で1500グラム。」
ヴェンチャーネ「それが十合ね。」
宇治山「何か気付かないか?」
ヴェンチャーネ「それで......あっ!しまった、一回の炊飯じゃ、10キロは炊けない!」
宇治山「うーん、ちょっと違うけどなぁ、これも勘違いしてたのか。」
ヴェンチャーネ「え?」
宇治山「先に切って、あと残った米はどこに保管するんだ?」
ヴェンチャーネ「......あっ。」
宇治山「米を保管する物が必要なんだ。」
ヴェンチャーネ「それで、また倉庫に行くの?」
宇治山「いやいや、タッパーを使おうと思う、タッパーなら小分けに出来るし食べたい量入れることが出来る、タッパーの大きさに大小あるから、好きなだけ入れられる。タッパーなら、キッチンとかに置いてあるだろ?」
ヴェンチャーネ「確かに......」
宇治山「普通にヴェンチャーネが切ったら、後の保管をどうするか分からないからな」
ヴェンチャーネ「そこまで信頼がないのか私は」
宇治山「うん」
ヴェンチャーネ「簡単に言われると傷付くわよ。」
宇治山「じゃあこれで切ってくれ。」
宇治山は取り上げたハサミをヴェンチャーネに返す。
ヴェンチャーネ「わかったわ。」
ヴェンチャーネは宇治山から帰ってきたハサミを受け取る。
宇治山「よろしく。」
ヴェンチャーネは米の袋の先端部分を切り取る。
ヴェンチャーネ「切り取ったわよ。」
宇治山「じゃあ、零さないようにしっかりと持っててくれないか?」
ヴェンチャーネ「ちょ、ちょっと流石に10キロの米を長い時間持つのって私にはキツイんだけど。」
宇治山「しまった、そこは計算外だった。とりあえず耐えててくれ。」
宇治山は炊飯器から米を入れる部分を取り出した。
宇治山「ヴェンチャーネ、少し大変かもしれないが、頑張ってくれ、おれが米袋に手を入れてこの器の中に米を移す。」
ヴェンチャーネ「わかったわ。」
宇治山は宣言通りに米袋に手を入れて器に移している。
ヴェンチャーネ「宇治山ー、まだかー。」
宇治山「まだ一合すらも入ってないぞ、二人だから今日は二合か二合半で行こうと思うんだけど。」
ヴェンチャーネ「腕がしんどいわー。」
宇治山「ここはひたすら耐えるしかないんだ!」
ヴェンチャーネは米袋に入っている10キロの米の重さに耐えて悶え声をあげている。
宇治山「まだ時間はかかるが......ヴェンチャーネ!仮に二合入れる!そうすれば、一合150グラム、つまり二合だから、300グラムは軽くなる!」
ヴェンチャーネ「たかが、300じゃないか!こっちは10キロ、10000グラム!10000グラムから300グラム減っても9700グラム!」
ヴェンチャーネは重みで混乱している!
宇治山「冷静に考えろ!後で、タッパーにも入れる!タッパーなら、あることができる!」
ヴェンチャーネ「あること......?」
宇治山「そうだ!炊飯器の器はデカすぎて無理だ、でもタッパーなら軽い、分かるか?」
ヴェンチャーネ「いや全然」
宇治山「......夏祭りの縁日を想像してくれ」
ヴェンチャーネ「縁日?」
宇治山「たこ焼き、かき氷、焼きそば、お好み焼き」
ヴェンチャーネ「美味いよなぁ」
宇治山「射的、くじ引き」
ヴェンチャーネ「あれ、詐欺じゃないやついるの?」
宇治山「スーパーボール救い、金魚救い、ヨーヨー救い」
ヴェンチャーネ「子供の頃やったけど、もうこの歳じゃやらないなぁ」
宇治山「今ので気付かないか?」
ヴェンチャーネ「えぇ?スーパーボール救いと、金魚救いと、ヨーヨー救いでしょ......あれ?全部救いが入ってる、救いか......すくい!」
宇治山「気付いたな?」
ヴェンチャーネ「すくえばいいんだ!タッパーで!」
宇治山「そうだ、すくうんだ。」




