第64話 (コンフィの章)いつも隣にいる人がいないだけで
女装剤(ある女騎士の事情)
第64話をお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、いつも一緒にいる人がいないだけで、
なんだか落ち着かないコンフィのお話です。
本人はしっかりしているつもりでも、
周りから見ると、なんだか様子がおかしい……。
そんな日も、きっとあるのでしょう。
そして、最後にはまたしても――?
少し寂しくて、少し賑やかな一日のお話、
楽しんでいただけたら嬉しいです。
・⋯━☞女騎士学部寮☜━⋯・
・⋯━☞コンフィの部屋☜━⋯・
「「「…………(汗)」」」
「違うなの! 私が最初だからなのー!」
「先に同じ部屋になったからと言って、
それがコンママを独占する
理由にはなりませんわよ?」
「それでしたら、わたくしも同じですわ!」
「「「……………………(汗)」」」
今、コンフィのベッドの上では、
激しいバトルが繰り広げられている!
いったい、何が起きたというのか?!
そう。コンフィと一緒に寝る権をめぐり、
プチコンビが争っているのだ!!
「あのー……そろそろ寝ないと、
明日の朝、辛くなるのですが……(汗)」
(困った表情のコンフィが言う)
「明日の朝とは言いますけど、
もうすぐ、日が昇りますわよ?」
(3日半の儀式明けで疲れがピークのリア)
「どうでもいいなの はやく決めてほしいなの」
(同じく儀式明けで疲れがピークのメーべ)
「ほら! コンママも困ってますわよ!」
「だから私が寝る! それでいいなのー!」
「どうして、そうなりますなのー?!」
「「「はあ~~~……(汗)」」」
どうやら今夜は、眠れそうにないな……
と、思ったコンフィとリアとメーべだった。
しかし、リアとメーべは、3日半の儀式明け。
1日休みをもらった身。
眠れず学業に響くと心配するのはコンフィ。
……が、結局は一睡もできなかったコンフィ。
••✼••夜明け••✼••
シャ! シャシャー!
(カーテンを開ける音)
「おはようございます アンビジョーネお嬢様」
「おはよう、ディア?……って、
結局、眠れなかったんですけど……(汗)」
「それは、困った事ですわね? なら……」
「……ディア?」
(一緒、表情が明るくなるコンフィ)
「さっさと、登校する準備をしてくださいね!」
「∑(Ⅲ ̄□ ̄)がぁ~~~ん!!
今の話の流れですと、休んでもいい……
って、返事が返ってくると思いましたのに……」
「そのような事は、絶対に有り得ません!」
(キッパリ!)
「ですよねぇ~~~わかっていましたわ
ディアなら、わたくしを休ませてくれる……
そう思っていた時期が、
わたくしにも、ありましたわぁ~~~(汗)」
「ささっ! わかったのでしたら、
はやく用意をしてくださいませ!」
「わかってますわ……
あら、プチコンフィはまだ寝てますのね?」
「あ、寝かせてあげてくださいね?
あと!メーべ様と、フリージア様も」
「え? プチコンフィも?」
「はぁい! 妖精に學園へ行く義務は
ございませんので!」
(またキッパリ!)
「んばうっ!!……ああ、妖精になりたい……」
「……正気ですか?」
「じょ、冗談に決まってますわ!」
「ですよね? では、お着替えしましょうか」
「……はい…(汗)」
こうしてコンフィは、いつものように、
學園へ行く用意をするのだった。
先程も話していたとおり、メーべとリアは、
儀式明けのため、今日一日はお休みである。
プチコンビたちは、コンフィのベッドに、
3人で体を寄せ合い、まるで猫のように
丸くなり寝ている。
まったく、いい気なものだ。
「わたくしの妖精なのだから、
わたくしが起きたら、アナタも起きなさい!」
と、言いたいところだが……
コンフィは、プチコンビ3人分の虹のキノコを
ベッドの上に置いて、部屋を出た。
・⋯━☞學園正門前☜━⋯・
「おはようございます! アンお姉様!」
「「「「おはようございます!」」」」
「おはよう 皆さん」
エディが筆頭に、コンフィに挨拶をする。
そして、その後ろからシェンブリィ王子と、
アロガンス公爵子息がやって来る。
「やあ! おはようアン! よく眠れたかい?」
「よ! おはようさん!」
「おはようございます
シェンブリィ王子、アロガンス公爵子息」
(社交辞令カーテシー)
「おや? クマができてるね?」
「おお……そうだな」
「まったく、眠れませんでしたわ……」
「「ああ……(汗)」」
どうやら、コンフィが眠れなかった理由を、
シェンブリィ王子とアロガンス公爵子息は、
察したようだった。
プチコンフィは、ともかく、
プチメーべは、やかましいのは確実。
そしてプチリアも、おそらくやかましい。
コンフィが眠れなかったのも当然か……と。
そこで、シェンブリィ王子が、無茶な提案。
「そうだ! なら、アン!
城で寝泊まりしないかい?」
「なんでそうなりますの?!」
「なんでそうなるんだよ?!」
(ハモった!)
「「「「ワイワイガヤガヤ~~~」」」」
「…………(汗)」
(アロガンス公爵子息の前で失言だったかと
沈黙のシェンブリィ王子)
しかし、早急になんとかしなければ、
コンフィの安眠の行方が……
しかし、情けないことですわ。
騎士ともあろうものが、こんなていたらく。
ここ最近、わたくしの騎士としての自覚が、
少々希薄になっている気がしますわ。
これではいけませんわ!
もっと、しっかりしなければ、
騎士団長としての、威厳が保てませんわ!
バッ!
「「「「?!……」」」」
突然、扇子を取り出し口を隠すコンフィ。
「わたくし、近頃騎士としての自覚が、
足りないように感じますわ
今日から心機一転!
一から出直す気持ちで、頑張りますわ!」
「「「「………………(汗)?」」」」
全員、そんな事を突然言い出すコンフィに、
ただただ、唖然……
今となっては、悪役令嬢なコンフィの方が、
「らしくない」
との評価を受けるコンフィであった。
「……きゅ、急にどうしたんだい?」
「そうだぜ! らしくねぇよ!」
「「「「ワイワイガヤガヤ~~~!」」」」
「お静かに!」
「「「「!!…………」」」」
「わたくし、もう決めましたの!」
「「「「はあ………………(汗)」」」」
「ぉおーほっほっほっほっ」
「「「「……………………(汗)」」」」
コンフィは、精一杯無理して、
悪役令嬢を演じた。
そして、皆よりも先に學園へ入り、
生徒会室へと向かった。
・⋯━☞生徒会室☜━⋯・
「なあ、お前いったい、
どうしちまったんだよ?」
「なんの事でしょうか?」
「!……はぁ(汗)」
「ねえ、アン?」
「シェンブリィ王子!」
「は、はいっ!!」
「「「「ザワッ……」」」」
「いつから、わたくしの事を、
”アン”と呼ぶようになったのですか?」
「へ? ああ、いや……
僕が勝手に、そう呼んでいるだけで……(汗)」
「わたくし、シェンブリィ王子から、
”アン”と呼ばれる筋合いはございませんわ!」
「?!……そ、そうかい?
それは、すまなかったねぇ……(汗)」
「……」
(扇子で自分を仰ぐコンフィ)
実はコンフィは、
この時めちゃくちゃ無理をしていた。
本当は、こんな事などしたくもない。
自分でも、なぜこんな事をしているのか、
わからなかった。
ただ、なんだか胸の中がモヤモヤした。
このまま流れに任せ、なあなあにすると、
静かに出番を潜めている何者かが、
突然バーン!と出てきてしまうような?
どう表現していいか、わからないが、
とにかく、このままではいけない気がした。
「なあ? らしくねぇーぞ!
何か心配事でもあるのか?」
「ふむ それは僕も感じていたよ
アンビジョーネ嬢、なにか不安な事でも
あるんじゃないのかい?
僕なら、何でも相談にのるよ?」
「別に、何もございませんわ!
わたくしは、いたっていつも通りですわ!」
「「「「ふぅむ……………(困)」」」」
皆、コンフィの不自然さに困惑していた。
「明らかに無理をしている」
と、バレバレだった。
「アンビジョーネお嬢様?
そろそろ、授業が始まる時分ですわよ!」
「あら、そうですわね!
では、参りましょうか、リア、メーべ」
「「「「!!……」」」」
「アンビジョーネお嬢様?
フリージア様と、メーべ様は、
本日は儀式の疲れもあることから、
お休みのはずですが?」
「あ……そ、そうでしたわね……(汗)
わたくしとした事が……おほほ……ほ……」
コンフィは、顔を真っ赤にして、
皆から背を向けて、モジモジしている。
皆、そんなコンフィが愛らしくて、
抱きしめたくなる衝動にかられる。
「「「 「……ふふん♪」」」」
「!……なんですの?
そんな変な目でわたくしを見て?」
「あはっ いやあ! なんでもないよ!」
「ああ、そうだな! なんでもねぇよ!」
「なんだ、そういう事か!」
「ま、余計な心配だったな?」
「その様ですわね」
「その様で……」
「……なんなんですの?
変な皆様ですこと! さあ、行きま……
あ……ふん……」
また、リアとメーべを呼びかけるコンフィ。
そして、寂しげに、ふと俯くのだった。
そしてこの時皆は、コンフィが変なのは、
いつも傍に居るはずの2人、
フリージアとメーべが居ないことに、
寂しいのだと気づいた。
実は、コンフィは本当に寂しかったのだ。
いつも傍に居る2人が居ないだけで、
胸にポッカリ穴が空いたような……。
何も無い部屋に1人ポツンと居るような……。
とにかく、物寂しかった。
「なはははっ! なんだよ!
アンビジョーネ嬢! 寂しかったのかよ?」
「んなっ?! 何を仰いますの?!
わたくしは、子供ではありませんわ!」
「そうかそうか! うんうん!
なんなら、今日一日は、僕が一緒に
生徒会室で居てあげてもいいんだよ?」
「なんですかそれ?! 授業はどうしますの?
また、王族の権力で職権乱用ですか?!」
「ま、それなら私が保健室で一緒に夜まで
ま、寝てやってもいいんだぞ?」
「はあい! なぜ、そうなりますの?!」
「なら、私ならどうだ?
魔女の魔力に満ちた素肌で、
全身を使って癒してやるぞ?
もちろん、全裸でな!」
「ひぃいぃっ(汗) ご、ご遠慮しますわ!」
「うふふふ……」
「な、なんですの?! ディア?」
「アンビジョーネお嬢様、愛されてますわね?」
「はぁい?! どうしてこんな扱いされて、
愛されている事になりますの?!」
「うふふふ……わかりませんか?」
「ちっとも、わかりませんわ!!」
「あはははっ! どうやら、いつもの
アンビジョーネ嬢に戻ったようだな?」
「「「「うんうん!」」」」
「!…………え?」
この時初めて、コンフィは皆が、
気を使ってくれていると悟った。
フリージアとメーべが居ないだけで、
こんなにも寂しくなる自分が恥ずかしくて、
穴があったら入りたかった。
「いゃあもぉ! 今のままでは、このわたくし、
アザミ女騎士団騎士団長としての威厳が……」
ポン!
(突然チビコンフィに変身)
「……え?」
「「「「ええっ?!」」」」
「ど……どうして?
もう、チビ化は、治ったのでは……(震)」
「これは……いったい?」
「……だよな、変だよな?
ヘレンシアの話では、1ヶ月だけのはず?」
「「「「ワイワイガヤガヤ……」」」」
「どうなっておりますのぉ~~~?!
なっておりますのぉ~~?!
おりますのぉ~~?!
ますのぉ~?!
のぉ~」(本日第1号こだま)
なぜか、またチビコンフィ化したコンフィ。
コンフィをチビ化させた女装剤(改)を開発した
ヘレンシアの話では、効果は1ヶ月のはず。
なので、とうのとっくに、
効果は切れているはずなのだ。
ではなぜ……?
第64話、いかがでしたでしょうか。
今回は、フリージアとメーべがいない一日。
コンフィは思っていた以上に、
二人の存在に支えられていたようです。
強くて、しっかりしていて、
騎士団長として皆を引っ張る立場のコンフィですが、
やっぱりまだ年相応の女の子なんだな、
というお話になりました。
そして、最後にまさかのチビ化再び。
いったい何が起きているのか――
このあたりも、今後少しずつ
明らかになっていく予定です。
次回、第65話もよろしくお願いいたします。




