第63話 (コンフィの章)プチリア誕生なの!
第63話です。
ついに、リアの擬似妖精精製錬金儀式が
完了します。
三日三晩続いた儀式の末に
生まれた小さな命。
しかし、儀式の代償は
決して小さなものではありませんでした。
そして、なぜか保健室で
またもや騒動が起きます。
今回は、
感動とコメディが
いつも以上に混ざった回になりました。
・⋯━☞生徒会室☜━⋯・
ちょうど、リアの擬似妖精精製錬金儀式魔術が
終わる頃、皆は生徒会室に集まっていた。
「もう、リアの儀式は3日目を過ぎましたわね」
「過ぎましたわね」
「すぎたなのー」
「そうだね……正確には、3日と半日……か」
「いや、もう夜中だぜ?
本当なら昼には終わるんじゃなかったのか?」
「ま、そうだな。 ま、何かトラブルでも……」
「ううむ……なあ、プチメーべよ?
様子を見に行く事はできないのか?」
バダーニャが、そうプチメーべに聞く。
「ふぅん……それは難しいなの!
だって、途中で空間(部屋)の魔力溜まりに
異変が起きたら、擬似妖精の精製が失敗する
可能性もあるなの!」
「「「「!!……」」」」
「そうなのですね? リア……」
「心配ですわね」
「あっ! 生まれたなのー!!」
「「「「ええっ?!」」」」
「ま、分かるのか?!」
「わかるなの! ママの感情が伝わるから!」
「終わったのですね!!」
「終わったの……」
「あ! でも大変なの!
2人とも、体力が限界なのーー!!
このままじゃ、危険が危ないなのーー!!」
「えええーー?! リア!!」
バタバタバタバタッ!
「あっ! コンママっ?!」
「あっ! おい! アンビジョーネ嬢?!」
「待ってくれ! アン!」
「おいおい! 待て!」
「ま! 置いてくな!!」
バタバタバタバタッ!
バタバタバタバタッ!
コンフィが慌てて生徒会室から飛び出す。
それを合図かのように、他の者たちも、
生徒会室から飛び出した!
・⋯━☞地下秘密の部屋☜━⋯・
「さあ、魔力を解放するなの!」
「え? ああ、はい」
「精霊に、御礼申し上げますなの
無事に擬似妖精が生まれましたなの
ありがとうございましたなの」
「はっ! あ、ありがとうございました!」
「ありがとうございましたー」
そう、精霊にお礼を言うと、
女の子座りしたまんまの姿勢で、
深く頭を下げるメーべとリアと擬似妖精。
キュン!……キュウゥウゥ~~~ン……
一気に、地下室の魔力の圧が下がる……
「あれ!? ああ……あれあれ?」
ヘナヘナ……ペタン!
リアは、急に全身から力が抜け、
まるで脱力人形の様にへたり込んだ。
体中に満たされた魔力が無くなり、
本来の疲労困憊状態になったのだった。
ここまで頑張れたのは、魔力のお陰である。
「な……なんで? ど……どうなって……?」
「リアママ! 大変! リアママが! あ!」
「はらほろひろはれなの~~~(軟)」
……ペタン!
メーべも同様に、疲労困憊状態に!
「メーべさぁーーーーん! しっかりーー!!」
リアの擬似妖精は、
そうメーべに向かって叫んだ!
儀式では、魔力を通してなんでも見えるので、
メーべの名前も性格も事も全てが、
最初から知っていたかの様にわかるようだ。
リアとメーべは、完全にグロッキー状態。
2人とも、もう腕一本動かす力も、
残ってはいないようだった。
すると、そこへ……
バタバタバタバタ……
バタァン!
「リア!! だいじょ……はっ!!
リアぁあああーーー!!」
バタバタバタバタッ!
タッタッタッタタッ!
「ライナー嬢! ベルドランデ嬢!」
「はぁ…はぁ……なっ?!」
「どうした?! はあ!!」
「ま! 2人とも、倒れているじゃないか!」
皆、メーべとリアを見て、驚愕した。
儀式は終わったようだが、2人とも、
まるで人形が、床に投げ捨てられたかの様に、
グッタリとして倒れていた。
コンフィは、2人を揺すって声をかける。
「メーべ! リア! しっかりしてぇ!!」
「アンビジョーネ嬢!
ライナー嬢を見てやってくれ!
俺はベルドランデ嬢を介抱するから!」
「え? アロガンス公爵子息?
え、ええ……お願いしますわ
ほら、リア?」
「あ……アンお姉様ん♡
わ、わ……わたくし……やりましたわ」
「うん! うんうんうん! こんなになって……
良く、頑張りました!」
ぴちゃ!……
「!!……アンお姉様ん♡?」
リアの頬に、
コンフィの大粒の涙が一粒落ちた。
「よくぞ、ここまで頑張りましたわね」
「えへへ……
わたくし、ちゃんと……できましたわ」
「うんうん! そうですわね……グスン!」
「あ、ああ、でも……
わたくし、臭いから……(汗)」
「何を言いますの? そんな事……んっ!」
「ふぁあ……」
コンフィは、
リアをお姫様抱っこで抱えあげた。
そして、リアの頬に自分の頬をペッタリと、
くっ付けて言う。
「よく、頑張りました……
よく、頑張りました……グスン!」
「!!……あ、アンお姉様ぁん!
ふぇえぇえぇえぇ~~~ん(泣)」
「うん! うんうんうん! 偉いですわよ!
本当に……本当に偉いですわよリア!」
「アンお姉様ぁ~~~ん!
へぇあぁあぁあぁ~~~ん(泣)」
「へぇあぁあぁあぁ~~~ん!」
(リアの擬似妖精もつられて泣く)
「さ! 保健室へ行きましょう」
「ふぅん………………アンお姉様ん♡」
一方、メーべは……
「ほら! ベルドランデ嬢、大丈夫か?」
「ううっ……もう無理なの~~~」
「ママ! ママー! 大丈夫ママー?」
「だ……だいじゃばないなの~~~」
「えええええ~~~なの~~~」
「はははっ なんとか、大丈夫なようだな?
よっこらしょ! って、ずいぶん軽いな?」
アロガンス公爵子息は、
メーべをお姫様抱っこで抱えあげる。
しかし、見た目がチビで幼女だからか、
やたらと軽かった。
「だいじょばないって言ってるなの~~~
脳筋は、やっぱり脳筋なの~~~」
「んなっ?! あ前……(汗)
こんな状態でも、口は減らねぇんだな!」
「余計なお世話なのぉ~~~じょ……じょ……」
「うん? なんだ、じょって?」
「浄化魔法……かけたいけど、もう無理~~~
もう魔力が空っぽなの~~~」
「空っぽなのー」
「あははははっ! 仕方ないさ!」
「でも……私、臭いなの?」
「臭いなのー」
「そんな事、気にしたりしねーよ!
先に飯食ってから、湯浴みでもすればいいさ!
なんなら俺が湯に入れてやろうか? ぷっ!」
「んじゃ、お願いするなの~~~」
「お願いするなのー」
「はっ?!……」
「「「「えええええええええーーー?!」」」」
なんで?!
アロガンス公爵子息は、冗談で言ったのに、
メーべは、本気に受け取ったようだ。
湯浴みだぞ!?
メーべよ! わかってるのか?!
「ちょっ……ま、待てよ! おい!
俺、冗談で言ったんだが……(汗)」
「言い出しっぺは、脳筋なの~~~
ちゃんとご飯食べさせてから、
ちゃんと湯浴みしてくれないとなの~~~」
「なのー……なの?」
「はえっ?! ほ、本気で言ってるのか?!
俺、本気にするぞ!! いいのか!?」
「いいから、するなの~~~」
「いいから、する……ええええーー?!」
「「「「うえええええええーーーー?!」」」」
すぴょぴょおーーん!
全員が飛び跳ねた!!
なんだこの、状況~~~?!
なぜか、メーべとアロガンス公爵子息が、
めちゃ、いい雰囲気になってるなのー!
ってか、メーべは酷く疲れきっているから、
きっと今は混乱状態で、メーべ自身も、
何言ってるか理解してはいないのではないか?
と、誰もが思った。
「っつあー! もう! 訳わかんねえ!!
ほら! もう保健室へ行くぞ!」
「早く行けなの~~お腹空いたなの~~
喉が乾いたなの~頭痛の腹痛が痛いなの~」
「早くお腹空いた痛いなの~~~」
「なんだそりゃ? 言葉は正確に言えってんだ!
もう少しで、その気になるところだ! ちっ」
「「「「……ほっ」」」」
どうやら、やはりメーべのうわ言の様だ。
と、そう思ったのだが……
「……はぁ、もぉ……
脳筋のくせに、肝っ玉の小さいヤツなの……」
「肝っ玉小さいなの~~~」
「「「「ええっ?!」」」」
「ぁあん?! あんだとぉ!!
この俺が、肝っ玉が小さいだとぉ?」
「なら、違うと証明するなの~~~」
「証明なの~~~」
「よおーーしっ!!
だったら、証明してやんよぉ!!」
ドタバタドタバタッ!
「「「「おおおおおおおーーーいっ!!」」」」
「まっ! お、おい! 奴を止めろ!!」
「アロ! 待てっ! はやまるなー!!
君! アロを追えっ!!」
「はっ!」
シュタタタタタッ!
「「「「?!……」」」」
「なんて速さなの?!」
「なんて速いのーー?!」
なんだか、偉いことになってしまった!
アロガンス公爵子息が、メーべの挑発に乗り、
まるでメーべを攫うように走り出した!
そして、シェンブリィ王子の指示で、
護衛が、目にも止まらぬ速さで、
アロガンス公爵子息のあとを追った!
・⋯━☞學園保健室前☜━⋯・
タッタッタタッ!
「ようし! ほら、着いたぞ! うし!」
ガラガラガラ…バン!
アロガンス公爵子息は、
足で保健室の引き戸を開ける。
タッタッタッタタッ!
「ほら、下ろすぞ……うん?
なんだ、寝ちまったのか……」
……トスッ!
「ふっ……やれやれ ふん」
「すぅ……すぅ……」
「ママ、眠ったなのー」
「そうだな
……ったく 俺は何を期待してんだろ」
アロガンス公爵子息は、鼻でため息を吐くと、
疲れて眠りにつくメーベの顔を、
困った表情で見つめていた。
そして、独り言をつぶやく。
「俺は、アンビショーネ嬢一筋じゃねぇのか?
ベルドランデ嬢の挑発に心が揺れるとは、
俺の、アンビショーネ嬢への想いは、
その程度の想いだったのか?
……ええい! なんか、モヤモヤすんな?」
アロガンス公爵子息は、今の自分の気持ちに
ムカついていた。
コンフィの事が本気で好きだったからこそ、
自分の浮気な気持ちに腹が立つのだ。
「はあ……何やってんだ俺?」
するとそこへ……
ガタタッ!
「アロガンス公爵子息!……ほっ
どうやら、無事だったようですね?」
「は? あのなぁ、ベルドランデ嬢を
ここまで運ぶ程度で、心配するほどか?」
「違いますよ! アロガンス公爵子息が、
間違いを犯して、ベルドランデ嬢に、
変な事をしないかと……」
「ふざけるなぁ!
んなこと、する訳ねぇだろぉっ!!」
「んっ!……なんなの煩いなの~」
「ママ、起きたなのー」
「「はっ!……」」
「ばかっ! お前がっ……」
「私のせいではないでしょ!!」
眠っていたはあずのメーベが、
アロガンス公爵子息の声に目を覚ました。
それに対して、アロガンス公爵子息と、
シェンブリィ王子の護衛とで、
責任のなすり合い。
「お前が変なことを言うからだろが!」
「なにを言いますか!
皆さん、アロガンス公爵子息が、
ベルドランデ嬢を襲わないかと、
心配していたんですよ?」
「心配ってなんだよ?!
俺が本気で、あの娘を襲うと
お前たちは思ってやがるのか?!」
「はい!!」
(キッパリ!)
「んなっ?!……マジかよ……
俺って、信用ねぇ~~~(汗)」
「あの地下室での発言こそが、
アロガンス公爵子息への印象を、
そんな風に格付けたのは確かですね!」
「?!……ああ~~~あれは~~~
んんんん~~~確かに、だよな?
これは、すまなかった……(汗)」
「ほっ……ここで、逆ギレせずに、
謝罪したところは私も安心しましたよ?」
「そうだよなぁ~~~(汗)」
「脳筋~~~ご飯まだぁ?」
「「…………ぷっ!
あはははははははっ!」」
「何を笑ってるなのー?」
「脳筋とメガネ笑ってるなのー」
この後、アロガンス公爵子息は、
生徒会室から「甘い実」を持ってきて、
メーべに食べさせてあげた。
シャクシャクシャク……
「ほっへお、おいひぃあお~~~」
(とっても、おいしいなの~~~)
「おいひいあお~~~」
「……ふっ あまりがっつくなよ?
3日何も食ってねぇんだから、
胃がびっくりするかもだぞ?」
「ゴックン! 大丈夫なのー!」
「大丈夫なのー」
「はっはっはっ! そうかそうか!
ほら、もっとあるぞ?」
すると、そこへ……
ガラガラガラ……
「メーべ、大丈夫ぅ?」
「大丈夫ぅ?」
「あ! ツンデレ萌女神令嬢アン様!
私は、元気なのー!
脳筋が、甘い実食べさせてくれたなのー
脳筋、優しいなの~~~」
「優しいなの~~~」
「ちょっ、優しいって……(照)」
「あれれ? アロ、顔が赤いぞ? ふふん」
「なっ?! シェン、貴様!」
「ああ、ベルドランデ嬢の事は、任せたからね
しっかりと責任もって面倒を見てやってくれ」
「ちょちょっ! おいおい!
ああっ! もぉっ! くそっ!」
アロガンス公爵子息は、コンフィとメーべを
何度も交互に見て、悔しがっていた。
アロガンス公爵子息にとっては、メーべを、
押し付けられた感が否めないのだった。
一方、コンフィはリアをベッドに寝かせて、
介抱してあげている。
「もう、大丈夫ですからね?」
「大丈夫ですからね?」
「ありがとうございます アンお姉様ん♡」
「ありがとうございます コンママ」
「え? うふふふ リアの擬似妖精さん、
リアに似て、とっても可愛らしいですわね!
お名前は、なんていうのかしら?」
「え? あれ?
そう言えばまだ決めてなかったですわ?」
「わたくしの名前は、
プチリアともうしますですわなのー!」
「「「「なの?!」」」」
またでた!
メーべのような口調の語尾に「なの」!
それより、リアの擬似妖精の名は、
「プチリア」というらしい。
「え? え? プチリア?
まだ決めてもないのに、どうしてですの?」
「それはですねえ……」
プチリアが、自分の名前が決まっていた理由を
話そうとしたとき、メーべが話し始めた。
「あーそれはなの、私のせいなのー」
「ママのせいなのー!」
「「「「え?……」」」」
「どうしてですの? いつ、決めましたの?」
「実は、プチリアの姿形ができあがる頃に、
なんとなく名前の事を考えていたなの!
私ならプチメーべ、
ツンデレ萌女神令嬢アン様ならプチコンフィ
だったら、リア姉様なら、
プチリアかなぁ~~~って考えていたら、
なぜか決まってしまったなの~~~」
「お前かあああああーーーーー!!」
「お前なのーー!!」
「きゃあああ~~~なの~~~(汗)」
「きゃあ~~~なの~~~」
「「「「あははははっ!!」」」」
どうやら、リアの擬似妖精の名前を決めたのは
メーべのようだ。
それはもう、今更仕方がないこと。
しかし、リア風な口調と、
メーべ風な口調とが混ざり、
なんだかヘンテコリンな話し方に……
「あなた、名前が決まってしまっていたのですね
できるなら自分で決めたかったですわ……」
「そうですの! わたくしにはもう、
プチリアって名前がありますのなのー!」
「「「「……………………(汗)」」」」
やっぱり語尾に、「なの」と言うプチリア。
保健室内は、漠然とした不安な空気に、
包まれるのであった……。
第63話を読んでいただき、
ありがとうございます。
ついに擬似妖精第二号が誕生しました。
名前は「プチリア」です。
ですが、なぜか語尾が
どこかで聞いたことのある
「なの」になってしまいました。
いったい誰の影響なのでしょうか。
そして、アロガンス公爵子息の心も
少しずつ揺れ始めているようです。
次回は、
擬似妖精の能力や違い、
そして儀式の影響なども
少しずつ出てくる予定です。
これからも、
リア、メーべ、コンフィ、
そしてプチリアたちを
よろしくお願いします。




