第62話 (コンフィの章)本気のメーべ!
今回は、フリージアの擬似妖精誕生回です。
コンフィの時とはまた違い、
かなり長時間に及ぶ儀式となりました。
擬似妖精を生み出すのが、どれほど大変な事なのか、
少しでも伝われば嬉しいです。
そして、リアの集中力の無さが原因で、
とんでもない擬似妖精が誕生してしまいました。
果たして、どんな妖精なのか……。
ぜひ、お楽しみください。
・⋯━☞學園図書室地下☜━⋯・
・⋯━☞秘密の部屋☜━⋯・
••✼••二の鐘の鳴る頃••✼••
(昼の鐘が鳴る頃)
「でゅわ! これから、
擬似妖精精製儀式魔法により、
フリージア・ツェニー・ライナーの
擬似妖精を生み出す儀式に入るなの!」
「え、ええ……心の準備はよろしくてよ!」
「でゅわ! このお皿にリア姉様の血を
入れてくださいですなの!」
「血っ? ど、どれくらい必要ですの?」
「黒金鍋いっぱいくらいなの!」
「ええっ?! うそっ!
そんなに血を出したら、わたくし
死んでしまいますわ!!」
「冗談なの! そのお皿に少しで十分なの!」
「!……ちょっと、メーべ? 貴女……
無表情と言うか真剣な顔して言うから、
冗談に聞こえないのですけれども……(汗)」
「本気の冗談なの! さあ、早くするなの!」
「!!……んもぉ……なんなのですの貴女?
時々貴女が怖くなりますわ……(汗)」
仕方ないのである。
それが、メーべ・キユン・ベルドランデ
という人物なのだから……
リア(フリージア)は、
くしゃみを我慢するような表情で
メーべをジト目で睨む。
メーべとは、もう、2ヶ月近くも、
ずっと一緒にいるリアだが、未だに、
メーべが、よく分からないリアだった。
そして、いよいよ儀式を行う準備となる。
魔法陣の中心部に、7枚の鏡で七角形の
合わせ鏡が設置されていて、その中に、
小さな、お皿が置かれている。
「このナイフで、指先を切り落とすなの!」
「ええっ! 切り落とすの?!」
「別に切り落とさなくてもいいなの!
必要分の血が出たら、このポーションで、
傷を治すといいなの」
「…………あのね? まぁ、いいわ
それがメーベの冗談ですものね?」
「早く、するなの!」
「!……わ、わかったわよ(汗) 」
リアは、渋々ナイフとポーションを
メーべから受け取り自分の指をナイフで切る。
ポツ……と、小さな血の玉ができあがる。
しかし……
「今日のメーベは塩ですわ」
と、感じたリアだった。
「つっ……これで、いいのかしら?」
「あっ! 忘れてたなの!」
「ええっ?! なに?」
「先にポーションを飲んでおけば、
痛みを感じずに済んだなの!」
「はあ? なによそれ?! どういうこと?」
「ポーションには、痛みを消す効果もあるなの」
「先にそれを言いなさいよ!! ぷんぷん!
痛い思いをするだけ、損じゃない!!」
「うん! 血は十分出てるなの!」
「私の話を聞いてる?
んも! ん!……んん……」
ポトッ!……ポトッポトッ……
お皿の上に、リアの血が3滴落ちる。
「うん! それで、いいなの!
ポーション飲んで、傷を治すといいなの!」
「あ、うん……」
ポン!……
「んっ……んっく……んっく……ぷはぁ!」
シュウゥウゥ……
「わあっ! なんですのこれ?!
あっという間に傷が治りましたわ!」
「そのポーションは、魔女ヘレンシアが
精製したものですなの!」
「へえ~~~ヘレンシアさんが?
凄い効き目ね! って、ええっ?!
メーべ貴女、ヘレンシアさんとも、
繋がりがありますの?!」
「そんなとこ、今はどうでもいいなの!
早く始めた分、早く終わるですなの!」
「!……そうね! そうよね!」
パンパン!
リアは、自分の頬を叩いて気合を入れる!
リアは、経験者コンフィから儀式について、
色々と聞いてはいたが、不安だらけだ。
ただ聞くだけと、実際に行なうとでは、
まるっきり違うものである。
さて、自分にも本当に擬似妖精を持つことが、
できるのだろうか?
始めてしまったら、もう後戻りはできない。
やるしかない!
「でゅわ! 儀式を始めるなの!」
「う、うん!」
「んんん~~~~~~……ええいっ!!」
ババッ! ボォン!!
「きゃあ!!」
メーべは、両手両腕を広げ、前に突き出す!
そして突然、大声を出す。
リアは驚き、思わず悲鳴をあげる。
だがその次の瞬間!
強烈な魔力がリアを包み込む!
ブゥウゥウゥウゥ~~~……ン……
「やっ、やっ、なっ、なんて魔力なの!
これが、メーべの魔力?!」
メーべの放つ魔力は、地下室全体を震わせる
かのように、ブーンと振動音を放つ。
その振動音がリンクするかのように、
リアの体中の衣服や肌にも振動が伝わる。
「やっ、やっ、やっ!
なにこれなにこれなにこれ!?」
「静かに集中するなの!!」
「!!……ごめんなさい……(汗)」
いつになく、超大真面目なメーべ。
いつもの意味不で、どこか抜けてて、
素っ頓狂な言動をとるメーべとは、
まるで別人のようだった。
メーべは、一呼吸大きく息を吸うと、
また大きく息を吐く。
「すぅ~~~…………はぁーーーっ!
我今、精霊に願いたまわるなの!」
「!!……」
「メーべ・キユン・ベルドランデの名において、
我に汝の力を貸したまえなの!」
「ごくっ……(汗)」
「この円(魔法陣)の中に、魔力溜まりを作る
環境をこしらえたなの!
それは、7枚の合わせ鏡なの。
その合わせ鏡の中心へ、今回の術者、
フリージア・ツェニー・ライナーの魔力を集め
汝には、妖精を生み出す手伝いを、
願いたまわるなの!」
ブォン!……ンン……ンンンン……
一層、魔力の強さが増す!
「ひっ!……こ、怖い……(怖)」
魔力の波動の大波が押し寄せてくる!
まるで宇宙空間に投げ出され、
大宇宙の壮大なパワーを一身に
受けているかのようだった。
「さあ! リア姉様も、魔力を合わせ鏡の中心へ
注ぎ込めるなの!」
「え?!……ああ、ええと……
こ、こうかしら?」
リアは、掌を広げて、合わせ鏡の中心へ
魔力が流れ込むように意識する。
だが、何も見えない、何も感じない……
本当に、これで良いのだろうか?
と、不安になる。
「こ、これでいいのかしら?」
「うん! そのまま3日間続けるなの!」
「うええっ! このまま?!」
「そうなの!」
「ええええ~~~……(汗)」
リアの、擬似妖精精製錬金儀式魔法は、
まだまだ始まったばかり。
果たして、リアは、擬似妖精を持つことが、
できるのだろうか?
••✼••御着替6つ目(約3時間後)••✼••
特に何も変化が確認できないまま、
約3時間が経った。
リアは、眠気との戦いだった。
「ふうん……ふん……んん…………」
(うつらうつら……)
「あ!……」
リアは、目が半開きになり、時々ゆっくりと
瞬きをしながら、体をゆら~りゆらりと
前後左右に揺らし始めた。
「えい!」
ぺちん!(指を弾くメーべ)
バチィーーーン!
「きゃん!! 痛ぁーーーいっ!!」
リアのお尻に、強烈な激痛が走る!
メーべの電撃魔法である。
研究ばかりで攻撃魔法を、何一つも
覚えなかったメーべだが、
これは、コンフィとの擬似妖精プチコンフィを
生み出すときの儀式にて、居眠りをする
コンフィを起こすために即興で開発したのだ。
そんな芸当ができるのだから、もしメーべが
攻撃魔法を開発したなら、とんでもないものを
作り出していただろう。
これに関しては、メーべが攻撃魔法に
興味が無いことに感謝すべきである。
「眠っちゃダメですなの!
まだ、御着替6つしか経ってないなの!」
「ああっ! ああ……あぁぁぁ……(汗)」
「どうしたなの?」
「……あぅうぅ~~~グスン!
漏らしちゃった……全部ぅ……(泣)」
「大丈夫なの!
空間拡張型オムツを穿いているからなの!
どうせなら、儀式に集中できるように、
全部出しちゃったらいいなの!」
「んなっ?!」
「う(ピー!)も、全部出したらいいなの!」
「そんなハッキリ言わないでくれますぅ?!」
「でも、言わなきゃ分からないなの?」
「それは、そうですけれどもおっ!!
あうう~~~ん……グスン!
アンお姉様ぁ~~~ん(泣)」
「ふん! それくらい元気なら大丈夫なの」
「!……ああもぉ……はいはい(汗)」
こうして、儀式は続けられた。
そして……
••✼••2日と三の鐘の刻••✼••
(2日と日の入りの頃)
時刻は、三の鐘がなる頃なので、
日の入りが近い時分。
儀式は、2日前の二の鐘(昼)から始めて、
そろそろ2日半におよぶ。
もう、リアの目の下にはクマができていた。
しかしメーべは、もう慣れているからなのか、
平気なようにも見える。
だが、流石に疲れはあるようだった。
女の子座りで、床にペタリと座り込む。
リアも、同じように座り込む。
すると……
ポッ!……
「あっ! メーべ! 何か光ってますわ!」
「そうなの! これが、魔力溜まりなの!」
「!……へえ~~~これが魔力溜まり……
って、ええっ!! 今頃?!」
「そうですなの! リア姉様は、集中が時々、
途切れてしまうから、なかなか魔力溜まりが、
できなかったなの……はぅ~~~(汗)」
「ご、ごめんなさい……(汗)」
「でも! この調子でいくなの!
絶対に、集中を切らしてはダメですなの!
魔力が拡散してしまうと、その分、
時間も魔石も無駄にしてしまうし、
儀式は失敗してしまうかもですなの!!」
「わ、わかってますわ!」
こうして、儀式はまた続けられるのだが……
「ぐふふ……ぐふふふふ♡」
「!……(汗)」
リアは、視線を上に向けて、いやらしい
笑みを浮かべて、ヨダレを垂らしていた。
いったい、何を考えているのやら……
「あっ! リア姉様、集中なの!」
「へっ?! し、してるわよ! じゅるっ」
「してないなの! 何を考えてるなの!?
今は、擬似妖精を生み出す事だけに、
集中しなきゃダメなのぉ!!」
「や、やってるじゃない!!」
「やってないなの!!」
「どうして、そんな事メーべにわかるのよ!?」
「わかるなの! 魔力を通じて……
ツンデレ萌女神令嬢アン様に、あんな事を…」
「へっ? え? え?
なにそれ、どう言う意味?」
「だから、言ってるなの! 魔力を通じて、
リア姉様の思想も伝わってくるなの!」
「思想? 伝わる?……ええーーー?!
うそっ!! うそと言ってーーー!!」
メーべは、魔力を通して、
リアの考えてる事もわかるらしい。
普通の魔術師にはできない芸当である。
言い換えれば、メーべには嘘はつけない……
と、言うことでもある。
「うそじゃないなの!
裸になったリア姉様は、ベッドの上なの!
ツンデレ萌女神令嬢アン様を裸にして、
そしてベッドに押し倒して……」
「ぎゃあああああああああーーーー!!
それ以上は、言わないでぇ~~~!!
って、そんな事まで見えちゃうの?!」
「……だったら、魔力を込めることに、
真面目に集中するなの!
リア姉様が、心が乱れる度に、
軌道修正しなきゃだから、大変なの!
私も、疲れちゃうなのぉ!!」
「ごめんなさい! ごめんなさい!!
わたくしの、バカぁ~~~ん!!
ああ~~~ん! アンお姉様ん♡!
卑猥な妄想して、ごめんなさい!
くっ……殺してぇ~~(泣)」
まさかリアに、そんな妄想をされていたなんて。
それを知らないコンフィは、幸か不幸か……
「リア姉様は、元々卑猥なのわかってるなの!
リア姉様は、常にツンデレ萌女神令嬢アン様の
裸ばっかり、考えてるなの! 変なの!
そんな事わかってるから、今は集中なの!」
「いやああああああーーーー!!
お願い! もうやめて! やめて!」
「儀式やめるですなの?」
「そっちじゃなあーーーーーい!」
「だったら、真面目にするです!」
「わかりましたぁー! ぁあんもぉ!!
って、あんた分かってて言ってるでしょ?
んもん!! はーい! はいはいはいっ!
わかりましたわ! わかりましたわ!」
この時リアは、メーべがコンフィの時よりも、
余分に自分の魔力を込める事になっていた事を
リアは知らなかった……。
魔力を合わせ鏡の中へ注ぎ、そして溜める
イメージが崩れると、メーべが軌道修正を
しなければならなくなる。
その分、リアの擬似妖精にも、メーべの魔力が
入ってしまう事になることを。
••✼••3日目と三の鐘の鳴る頃••✼••
(3日目の日の入りの頃)
儀式も3日目にあたる昼を過ぎ、
また三の鐘が鳴り少し過ぎた頃……
(3日と7時間ほど経つ)
ギュウゥウゥ~~~ン……
「なになになに?! なにこれ?!」
「やりましたなの!
やっと粘魔力に自我が芽生えたなの!」
「ええっ?!」
合わせ鏡の中には、粘魔力がある形を
形作ろうとしていた。
それは、人の形に見える。
更に、御着替4つ(2時間)が経つ頃、
背中に羽が生えた!
まだ光のシルエットにしか見えないが、
それが妖精だとわかる姿ではある。
「メーべ! 動いた! 動きましたわ!」
「当たり前なの! ちゃんと生きてるなの!」
「んんっ……そ、そうなんだけれども……
ねぇ? もう少し、感動はないのかしら?」
「私は、儀式を無事に終わらせる事を第一に、
考えるだけで、精一杯なの……」
「……ごめんなさい(汗)」
怖っ……。
メーべをここまで疲れさせたのは、
リア以外にいないのは、言うまでもない。
普通なら、ちょうど3日間で終わる儀式だ。
なのにリアの場合、3日と半日を超えていた。
更に、時が過ぎ、空が明るくなり始めた頃。
光が弱くなると、その姿が分かるようになる。
ようやく擬似妖精の誕生である!
そして……
《んんん~~~ふぁあああ~~~ん!》
光が消えたと同時に、
背伸びをして、あくびをする擬似妖精。
「「?!……」」
「っぱぁーーーー!
やっと出られましたわぁ~~~!」
「「!!……(汗)」」」
「あれ? 何してますの? リアママん?」
「「リアママ?!」」
「そ! わたくしを、生み出してくれたから、
貴女が、わたくしの、ママ!
名前が、フリージア・ツェニー・ライナーで、
通称リアだから、リアママ! ね!」
「えええええええ~~~!!」
「ああもぉ! うるさいなのぉ~~~(汗)」
ついに!
リアの擬似妖精が誕生した!
やはり、リアが擬似妖精を生み出す事を集中
していたせいか、生まれたばかりの擬似妖精
でも、今自分がなぜこの場所にいるのか。
そして自分が何者なのかも、ちゃんと把握して
理解しているようだ。
実際、「リアママ」と、呼んだのだから。
そして……
「リアママー! ほら、抱っこ!」
「「……え?」」
リアの擬似妖精は、両手を広げて、
抱っこを要求する。
そう。リアが普段からコンフィにしている事。
リアの擬似妖精に間違いはない!!
「そ、そうなのね? 貴女は、わたくしの、
擬似妖精……ですのね?」
「そうなのですわ!
あら、ご自分で生み出しておいて、
そのリアクションは、ないんじゃないの?」
「?!……はは……
私に似て、生意気ってこと?」
「生意気はないなのー!!」
「「∑(Ⅲ ̄□ ̄)Ⅲ ̄□ ̄) なの?!」」
「なの」って、言った?
それって、メーべの話す言葉の語尾に付く、
あれですわよね……?
ど、どうして……???
リアの擬似妖精は、語尾に「なの」を
付けて話した!
と、言うことは、メーべ要素が強い?!
そんな擬似妖精が生まれてしまった訳は?
思い当たる事柄があり過ぎた……
リアは、擬似妖精の媒体となる粘魔力が
精製された時点で舞い上がってしまい、
コンフィに対してのヌルベタ妄想に走り、
儀式の遂行に滞りを度々犯していた。
その度に、メーべが魔力を強く放ち、
軌道修正を行っていたのだ。
つまり、リアの擬似妖精には、
メーべ要素が多く含まれてしまった?!
それが理由かぁーーーー!!
「あうう~~~これは……(汗)」
「なになに!? なんなの?」
「今、調べて見た結果、この擬似妖精には、
私の魔力も4割ほど入ってしまったなの」
「っはあい?! 4割ぃ?!
半分近くもあるじゃないの!!」
「そうなの! でも、リア姉様が悪いなの!
リア姉様が、もっと真面目に集中して魔力を
込めなかったのが原因なの!!」
「?!……なん~~~ですとぉ~~~!!
なん~~~ですとぉ~~~!!
なん~~ですとぉ~!!
ですとぉ~!
とぉ~」(こだま)
でたぁ!! 久々のこだま!!
しかも! 今回はフリージアだぁ!!
メーべ要素が4割も入ってしまった
リアの擬似妖精……
いったい、どんな擬似妖精に、
生まれてしまったのだろうか?
第62話を読んでいただき、ありがとうございます。
ようやく、フリージアの擬似妖精が誕生しました。
予定よりもかなり長い儀式回になってしまいましたが、
書いていてとても楽しかったです。
メーべがかなり頑張った回でもあります。
普段は変な子ですが、やる時はやる子です。
次回は、生まれた擬似妖精がどんな子なのか、
色々と書いていこうと思います。
これからも、よろしくお願いします。




