第61話 (コンフィの章)天才魔術師と常識の崩壊
皆さま、いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、フリージアの擬似妖精を生み出すための
「擬似妖精精製錬金儀式魔術」がついに始まります。
……のはずだったのですが、
相変わらずメーべがメーべなので、
なかなか普通には始まりません。
空間魔法、秘密の地下室、そしてとんでもない魔導具。
色々な意味で、重要な回になっています。
それでは、第61話。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
コンフィたちは、學園の図室にある
地下の秘密の部屋にいた。
今回、集まったメンバーは、
コンフィ、フリージア、メーべ、
シエンブリィ王子、アロガンス公爵子息、
ヴェティーン、バダーニャ、護衛1人、
そして、プチメーべ、プチコンフィである。
バダーニャの妖精たちのコナとモカは、
バダーニャのオーラのように体に取り巻く
魔力の中に隠れている。
いよいよ、フリージアの、擬似妖精を生み出す、
擬似妖精精製錬金儀式魔術が行われるのだ。
・⋯━☞學園図書室秘密の部屋☜━⋯・
「學園に、こんな場所があったなんて……
確か、学園の図面には無かったはずだが?」
「だよな? 俺も初めて知ったよ……」
「私が、空間魔法で作ったですなの!」
「ですなのー!」
「「「「はあっ?!」」」」
シエンブリィ王子とアロガンス公爵子息が、
知らないのも当たり前である。
學園の図書室に地下がある事も、
地下に誰も知らない秘密の部屋があることも、
知るはずがない。
なぜなら、メーべが魔導具研究のために、
空間魔法で勝手に造ったからだ。
「……なんて事を……ああいや、もう今更だが、
大したものだな?」
「お前、天才か?」
「え? これくらい、魔術師なら普通なのー」
「普通なのー!」
「「「「いやいやいやいやいやいやっ……(汗)」」」」
メーべのそんな天才なのかアホなのか、
よく分からない返答に、
全員が大手を振って、否定した。
第一、この學園に在籍する魔術師教官の中には
空間魔法を扱える者は一人もいない。
王宮魔術師たちでさえ、まだ研究段階であり、
「失われた古の大魔術」扱いである。
元々メーべは、空間魔法を習得するために、
この學園に入学したのだった。
卒業後に、學院生になるための試験を受け、
學院生となってから、空間魔術を研究する
つもりだったので、本来なら空間魔法を
習得した今では、この學園にいる意味は無い。
メーべが、未だに學園にいるのは、
コンフィがいるからであった。
もし、學園にコンフィがいなかったら、
空間魔法を習得したと同時に、
學園から去ってしまっていただろう。
「君、この事は學園だけでなく、国全体に
最重要秘密事項として、箝口令を父上に」
「はっ! 直ちに!」
タッタッタッ……
「おいおい、そこまでするほどかよ?」
「当たり前だ! 空間魔法だなんて、
扱える者など世界中のどこを探したって、
ベルドランデ嬢1人だけだろう。」
「はっ!! マジかよ?!」
「ま、マジも大マジだ!」
「えええーー?!
お前、そんなに大天才だったのか?!」
「ふぅん?」
「うん?」
「「「「あはは~~~(汗)」」」」
メーべは、首を傾げ(?)な顔をする。
本当に、自分がどれほど大それた事を
しでかしたのかを、自覚していないようだ。
それに、學園に入学する前から、
魔導具の開発はしていたが、たったの4ヶ月で、
国一番の大金持ちになるのも、驚きだ。
魔導具の開発と作成、販売などの権利と、
マイーヤの商業ギルドとの独占契約までして、
今では、魔導具開発の第一人者だった、
「大魔女ラカ」よりも有名なくらいだ。
ただ、ヴェティーンの提案と指示で、
メーべの本名は隠している。
その名は、
謎という意味の「ミスティリオ」としている。
商業ギルドでも、偽名で登録しても問題はなく、
「メーべ」という名は、殆ど知られていない。
「そんな事、今はどうでもいいなのー!」
「どうでもいいなのー!」
「ええ?! どうでもいいって、お前……(汗)」
「「「「……(汗)」」」」
どうでもいいんだ?
……あはは(汗)
「それより、少しでも早く儀式を始めるなの!」
「始めるなの!」
「ま、それもそうだな?」
「うんうん! 始めちゃいなよ!」
「わかったなのー!
だから、皆はここから出て行くなのー!」
「出て行くなのー!」
「プチメーべもなの!」
「そう! 私も……って、えええーー?!」
「当たり前なの!
擬似妖精を生み出す魔術を行うのだから、
擬似妖精が近くにいたら、
魔力を吸い取られる可能性があるなのー!」
「きゃあああ~~~怖いなの~~~!!」
パタパタパタッ……ぴとっ!
「あらあら?」
プチメーべは、 メーべにそう言われて、
慌ててコンフィの頬にくっ付いた!
「うむ ま、私たちは邪魔になるだろうから、
ま、この部屋から出ていった方が
ま、よさそうだな?」
「そうだな……」
「ベルドランデ嬢、ライナー嬢のことを、
よろしく頼んだよ?」
「任せてなのー!」
「はい! わたくし、頑張りますわ!」
「「「「うむ……」」」」
皆、錬金用魔法陣のある地下室から、
出て行こうとしていた。
と、その時……
「これを、穿いておくなのー!」
「!……それは、何ですの?」
「あ! あれは……」
「……何ですの? アンママ?」
「あれは、ママが作った、
空間拡張型オムツなのー!」
「「「「オムツ?!」」」」
でたよ!
確かに必要な魔導具ではあるが、
コンフィでさえ、使うのに躊躇したものだ。
「え?……え?……(汗)」
(混乱気味なリア)
「これは、バージョンアップしたなのぉ!」
「「「「バージョンアップって……(汗)」」」」
「前の部分に溜めた、お(ピー!)は、
超魔法水に変換してぇ~~
後ろ部分に溜めた、う(ピー!)は、
以前よりも更に凝縮させて、
︎︎゛魔晶石︎︎゛︎︎に変換されるなのー!」
「「「「魔晶石だってぇ?!」」」」
「え? あ、うん! そーなのー!」
「魔晶石」
魔晶石とは、普通の魔石よりも更に魔力を凝縮
させたもので、魔力を使い切ったとしても、
使用せずに放置すれば、自然に魔力が回復する
という、とても高価で貴重な代物である。
自然界でも、滅多にお目にかからないものだ。
「ま、おいおい! メーべよ!
ま、それは本当なのか?!」
「ちょっと、ちょおっとぉ!!
そんなの聞いてないわよ?!」
「当たり前なのー!
今、初めて話したなのー!」
「「「「おいおい……(汗)」」」」
ヴェティーンと、バダーニャが興奮するのも、
当たり前である。
魔晶石とは、魔石が生み出される事とは、
遥かに条件が厳しくなる。
魔石は、人の念の含まない魔力溜まりにて、
十数年かけて作られる。
それでも貴重なもので、4mm大でも、
1つ数万チャリンもする。
今、メーべが大量に持つ魔石は、
どれもゴルフボール大はあるので、
1つ数百万チャリンもする。
だが、魔晶石とは、生み出された魔石から、
更に、数十年から数百年もかけて、やっと
生み出されるもので、バカほど貴重なものだ。
4mm大でも、数百万チャリンはするだろう。
しかも! 麻袋に入っている魔晶石は、
野球のボール大はありそうだ。
そんなもの、市場に流したら、それこそ
大混乱を招くどころか、製作者の自由と命の
保証はできないだろう。
メーべよ。
お前さんは、いったい何を求めているのだ?
「ま、め、メーべよ! 魔晶石と言えば……
ま、米粒大ひとつでも、ま、数百万するぞ!!
ま、それを売ったら、ま、それこそ、
ま、国一つが買えるほど儲かるぞ!」
(興奮して、︎︎゛ま︎︎゛︎がいつもより多いヴェティーン)
「「「「うええええええ~~~!!」」」」
すっぴょーーーん!
ヴェティーンのその言葉に、
コンフィたちは全員飛び上がった!
それもそのはずである。
魔晶石ともなれば、貴族でも高価すぎて
そうそう買えるものではないからだ。
だいいち、数が圧倒的に少なすぎるのだ。
野球のボール大ともなれば、一つでも、
オークションなら、軽く数十億を超える。
「売らないなのー!
儀式に全部使うからなのー!」
「「「「うええええええ~~~?!」」」」
すぴょぴょーーーーん!
また、コンフィたちは飛び上がった!
「ま、待ってくれ!
ま、ま、ま、ま、待て待て!
ま、頼む! ま、せめて、ま、一つだけでも、
ま、私に譲ってくれないか?」
(やっぱり、︎︎゛ま︎︎゛︎︎が多いヴェティーン)
「ああー! では、私にも一つくれ!」
(お零れに預かるバダーニャ)
「1つずつくらいなら、いいなのー!
ほい! ほいなの!」(←太っ腹)
ぴょーん! ぴょーん!
「「おおっ!」」
パシ…パシッ!
メーべは、袋の中から、2個魔晶石を取りだし、
ヴェティーンとバダーニャに投げ渡した!
太っ腹なメーべ。
「んまーー!! やった! うおおおおー!!
ま、ついに、魔晶石がこの手にぃ~~~!!」
(大興奮なヴェティーン)
「ぃよっしゃああああ~~~!!」
(力一杯のガッツポーズのバダーニャ)
「「「「あははは……(汗)」」」」
魔晶石は、魔力を使い果たしても、
時間が経てば、また魔力が回復するのだから、
その価値の解る者にとっては、そりゃ宝だろう。
ヴェティーンと、バダーニャは、
まるで子供のように喜んでいた。
なんだかなぁ……(汗)
「でゅわ! 儀式を始めるなのー!」
「え……ええ……(汗)」
(まだオムツを穿くのを躊躇うリア)
「早く穿くなのー!」
ズルッ!
「あ︎︎゛︎︎っ! ちょっと、メーべ?!」
「「「「あ︎︎゛︎︎あ︎︎゛︎︎あ︎︎゛︎︎あ︎︎゛あ︎︎゛︎︎あ︎︎゛︎︎ーーーー!!︎︎」」」」
何を思ったのかメーべは、皆の目の前で、
パンツを脱ぎ、オムツに穿き替えた!
シエンブリィ王子とアロガンス公爵子息も、
この場に居るというのに……
「シエンブリィ王子! 見ちゃダメーー!!
アロガンス公爵子息もぉーーー!!」
「「………………!!」」
(目を見開いて凝視している
シエンブリィ王子とアロガンス公爵子息)
「こらぁ! 何を見てるかーー!」
バキッ!!
「ぐわっ!!」
「ま、お前もだー!」
ボキッ!
「ぎゃはっ!」
ヴェティーンと、バダーニャは、
シエンブリィ王子とアロガンス公爵子息の頭を
ゲンコツで殴り、地下室から引きずり出した。
「痛ってぇよ! ヴェティーンの姉さん(汗)」
「ええい! ま、やかましい!」
ズルズルズルズル……
「ちょっ! いくら魔女とはいえ、
王族の頭を殴るとは……(汗)」
「いいから、さっさと行けっ!!」
ズルズルズルズル……
「いててててっ! いってえよ!
引きずるなって! ケツがすり減る!」
「歩くから! 歩くからぁ!!」
ズルズルズルズル……
「「「「………………(汗)」」」」
いけない事とはいえ、哀れな、
シエンブリィ王子とアロガンス公爵子息。
とはいえ……
「メーべ? 殿方の前で、
お着替えをするのは、ダメですわよ?」
「そう! ダメですわよ?」
「「「「うんうん!」」」」
「なんでですなの?」
「「「「………………(呆)」」」」
ポカーーーン……
メーべは、今まで貴族令嬢として、
いったい、どんな暮らしをしてきたのか?
これは、メーべにも淑女教育が必要だな……
と、思ったコンフィだった。
「おおお……ついに、私にも魔晶石が!」
(ランタンの灯りに透かして見るバダーニャ)
「ま、す、素晴らしい!」
(魔晶石で頬擦りをするヴェティーン)
「そんなに、凄い物なのですか?」
「凄い物なのですか?」
「すごいなのー!」
「ま、ああ、もちろんだとも!」
「君は、本当に何も知らないんだね?」
「あはは……無知で申し訳ありません」
「申し訳ありません」
「申し訳ないなのー!」
「ほら、學園にもあるだろう?
學園を守る結界を張る魔導具が……」
「え? ああ、はい。 それが何か?」
「それが何か?」
「なにかなのー」
「この魔晶石1つあるだけでも、かなりの
魔石の消費削減に貢献できるというものだ」
「へえ~~~凄いですわね!」(←わかってない)
「凄いですわね!」
「凄いですなのー!」
確かに、學園には結界が張られている。
魔王幹部クラスにもなると、
破られる可能性があるが、並の魔物なら、
侵入を防げるものである。
だが、あまりにも消費魔力が著しく、
魔石の消費量が、學園の財政を圧迫している
のは確かである。
「……という訳でな?
魔晶石とは、本当に貴重な物なんだよ」
「へえ~~~」
「へえ~~~」
「へえーなのー」
「しかし、まさか、う(ピー!)から、
魔晶石が作られるとは……」
「ま、普通は思いつかないわな?」
「それより……」
「……ん?」
「……ん?」
「なんなのー?」
「「じぃ~~~~~~……」」
「な、なんですか?!」
「なんですか?!」
「なんなのー?」
「なあ、アンビジョーネ嬢?」
「は、はい……(汗)」
「「……」」
「これ、お前も使ってくれないか?」
(オムツを持って近づくヴェティーン)
「は、はあい? なぜ?!」
「「……?!」」
(後退るコンフィ)
「私は、お前の、う(ピー!)から作られた
魔晶石が欲しい!!」
「まっ! 私も是非っ!!」
「いやですよぉ! 何を考えてるのですか?!」
「「だめーーー!!」」
「「チッ!……」」
(苦虫を噛み潰したような顔の
ヴェティーンとバダーニャ)
「……(汗)」
「「……(汗)」」
やっぱり、この2人は、変だ……
そう、思ったコンフィだった。
「そんなに欲しいのなら……」
「「おおおっ! 使ってくれるか?!」」
「いえ! 貴女方がご自分で使えば、
よろしいのではなくて?」
「ま、それでは意味が無いのだよ!!」
「それでは意味が無いのだよ!!」
(ハモるヴェティーンとバダーニャ)
「はぁい?
面倒臭がりにも、大概にしてくださいませ!
わたくしが使う意味の方が分かりませんわ?」
「分かりませんわ」
「変なのー!」
「ま! まったく、なぜ分からない……(怒)
ブツブツブツブツ……」
「アンビジョーネ嬢のが欲しいのに……(怒)
ブツブツブツブツ……」
「………………(汗)」
ブツブツと言いながら、急に不機嫌になる
ヴェティーンとバダーニャだった……。
「……わたくし、お二人を怒らせる様な事を
何か言いましたかしら?」
「さー分かりませんわ?」
「さーなのー」
コンフィよ……
世の中、わからないままの方が幸せ……
という事もあるのだよ。
第61話を読んでいただき、ありがとうございました。
メーべの規格外っぷりが、どんどん加速していますが、
本人はいたって普通のつもりです。
周りから見たら、とんでもない事ばかりしているのですが、
その自覚がまったく無いところが、
メーべという子なのかなと思います。
そして、次はいよいよ儀式本番です。
フリージアの擬似妖精は、無事に生まれるのか。
どんな妖精になるのか。
作者もワクワクしながら書いています。
次回、第62話も、よろしくお願いいたします。




