第56話 (コンフィの章)魔王出現
第56話です。
今回は少し日常回……のつもりが、
物語の核心に関わる大きな話が
動き出す回になりました。
コンフィの母との穏やかな時間、
そして突然の王子来訪。
さらに、魔王・聖騎士・アイヨス聖国と、
世界情勢が一気に動き始めます。
ここから少し、物語の本筋が
動いていくかもしれません。
••✼••翌日••✼••
・⋯━☞バリヤージュ邸厨房☜━⋯・
「そういうもの……でしょうかねぇ?」
(心配げな母ビゼット)
「はぁい! そういうものです!」
「そういうものですわ!」
(適当なことを言うコンフィとチビコンフィ)
「本当に大丈夫なのですか?
アンビジョーネお嬢様……(汗)」
(心配でならない侍女のディア)
「大丈夫ですってば!」
「ですってばー」
「「「「……(汗)」」」」
(ただ見守るだけのアザミ女騎士団団員)
「「「「……(震)」」」」
(厨房奥で震えている、
コック長と料理担当侍女たち)
コンフィが今、
屋敷の厨房で何をしているのか?
厨房なのだから、料理です!
と、言いたいところだが、
普通なら貴族令嬢なら、料理などはしない。
料理をしろとか、配膳をしろと言えば、
貴族令嬢のする事ではなく、侍女のすることと
突っぱねるところだろう。
ではなぜ?
もし、騎士として遠征に出たときには、
自分たちで食事は用意しなければならない。
……と、言うのは建て前で、母と一緒に、
女の子らしく料理をしてみたかったのだ。
と言うか、コンフィは勘違いをしていた。
女とは、料理をするものだと。
ドゥークの頃から、騎士のことしか、
考えてこなかったのだから、仕方がない。
と、そこへ得意げに、
とんでもない事を言い出すフリージアが。
「アンお姉様ん♡ お料理と言えば、わたくし!
この、フリージア・ツェニー・ライナーに
お任せあれ!」
「「「「ええっ?!」」」」
「ああ、そう言えば、リアは以前にも、
わたくしのために、お弁当を作ってきて
くれましたわよね?」
「たわよねぇ!」
「はぁい! もちろんで御座いますわぁ!
このフリージアには、切れないものなど、
一切、御座いませんの!」
シャィイィイィ~~~ン……
(いきなり抜刀!)
「「「「きゃあああ~~~!!
ダメです! リアお姉様ぁ~~!!」」」」
バタビタボタベタッ!
(騎士団員によって、シンクから
引き剥がされるフリージア)
「ちょっと! 何をするの貴女たち!
誰です?! 髪を引っ張るのわあっ!!」
「「…………(汗)
あははははははははっ!」」
(思わず笑うコンフィと母ビゼット)
「面白い人ですわね?
お野菜を、剣で切ろうとするだなんて……(汗)」
「そうですわね? でも、お上手に切れるのなら
よろしいのではなくて?」
(なんでも受け入れるコンフィ
いや、そもそも料理を理解していない)
「ダメですから! お野菜を剣で切ってはっ!
シンクまで真っ二つに切ってしまいますから!」
「「あら、そうなの? うふふ♪」」
(息ぴったりなコンフィと母ビゼット)
「うふふふ~~~♪」
(適当に合わせるチビコンフィ)
「はぁ……やはり、お料理は無理では?
人には、適材適所というものがありますので」
「「あら、そうですの?」」
(やっぱり息ぴったりなコンフィと母ビゼット)
「そうですのー?」
「はぁ……アンビジョーネお嬢様? 奥様?
どうか、お気を確かに……(汗)」
「「あらあら、どうしましょう?」」
(もはや、この親にしてこの子ありの
コンフィと母ビゼット)
「どうしましょう~~~」
(たぶん、なーんにも理解していないチビコンフィ)
「はぁ~~~……(汗)」
(本気で頭を抱えるディア)
「「「「………………(震)」」」」
(本気で怖がっている
コック長と料理担当侍女たち)
結局、ディアの強い要望にて、
料理はさせてもらえなかったコンフィと母。
でも、二人は、母と娘として、
楽しく過ごせてはいる。
「では、コンフィ?
お庭で、お茶でもしませんか?」
「まあ! いいですわねお母様!」
「いいですわねぇ!」
「うふふ では、行きましょうか」
コンフィたちは、皆で中庭へと移動した。
・⋯━☞バリヤージュ邸中庭☜━⋯・
ジョロロロロ……
侍女頭のディアが、お茶を煎れてくれる。
ドゥークが女の子になりコンフィとなってから、
もう見慣れた光景ではあったが、
こうして中庭で母ビゼットと一緒にお茶を
するのは、本当に初めての事だった。
とても新鮮で、少し緊張したが、ここは実家。
ただゆっくりと、静かな時に身を委ねた。
「うん いつもながら、美味しいわディア?」
「ありがとうございます 奥様♪」
「うん ほんと! 美味しいわディア?」
「美味しいですわぁ~~~」
「ふふ ありがとう御座います
アンビジョーネお嬢様♪
そして、チビコンフィちゃま」
「まさか、こんな日がくるなんて……
わたくしは、本当に幸せな母ですわね」
「お母様……」
「……」
母ビゼットの言う通り、コンフィは、
本当に幸せだと感じた。
もし、初めから女として生まれていたなら、
こんな日が当たり前だったのかもしれない。
うん。こんな暮らしも悪くないな……
そう思ったコンフィだった。
そんな事を思っていると、
他のテーブルでお茶をしていた団員たちは、
どこか落ち着かない様子に見えた。
「「「「…………」」」」
(なぜか、ソワソワしている騎士団員たち)
「!……貴女たち?
大型休暇も、あと数日ですわ。(1週間)
もし、よろしければ実家へ里帰りでも
してきては、いかがかしら?」
「いかがかしら?」
(気を使うコンフィ)
「「「「ザワザワ……」」」」
「あの……よろしいので……しょうか?」
(恐る恐る聞く分隊長エディ)
「もちろんですわ! 馬車はこちらで手配し、
呼んでおきましたから、各自家の近い方々と
乗り合わせて、実家へお帰りなさいな?」
「お帰りなさいな?」
(手際良しの、めちゃ優しいコンフィ)
「「「「ありがとう御座います! アンお姉様!」」」」
パタパタパタパタパタパタッ……
まるで火がついたように、慌てて出かける
用意をする、騎士団員たち。
でもその表情は、とても晴れていた。
「うふふふ やっぱり皆さん、
お家へ帰りたかったのですわね?」
「はい、お母様ん」
「はい~」
コンフィと母ビゼットの予想した通り、
皆、実家へ帰りたかったようだった。
我らは、女騎士団とはいえ、まだ学生の身。
今はまだ、一人の娘として帰省しても……ね。
「あら、リアとメーべは、帰らなくてもよくて?」
「はい! わたくしは、いつでも
アンお姉様ん♡と共に!」
「私も、ツンデレ萌女神令嬢アン様と
いつも一緒ですなのー!」
「一緒なのー!」
「「うふふふふ」」
(笑い方も母ビゼットと同じなコンフィ)
結局、フリージアとメーべだけが残り、
他の騎士団員たちは、大喜びで実家へ
帰って行った。
大型休暇の残り1週間くらいは、
実家でゆっくりしてもいいよね。
さあさあ! わたくしたちは、
母娘水入らずで……と、思いきや……
「奥様! アンビジョーネお嬢様!」
「なんですか、騒々しいですわね?」
「!……なんだか、嫌ぁ~な予感がしますわ」
「嫌な予感ですわぁ」
そのコンフィの嫌ぁ~な予感は当たってしまう。
「王宮からの信書です……(汗)」
(侍女も、嫌な予感がするようだ)
「あらまあ……」
(信書を受け取る母も困った表情)
「…………」
コンフィは、
「頼むから母娘水入らずの僅かなこの時に
余計な水を差すのはやめてぇ~~~」
と、願うも、それも虚しく……
「まあ! シェンブリィ王子からの、
緊急の訪問予告ですわ」
「っはぁ!? 王子の緊急? なぜ王家から?」
「おーじがー」
「来ましたわね あのニヒル王子……」
「また邪魔をするですかナルキザ王子なの」
「ナルキザ王子なの~」
「これ、貴女たち! 失礼ですわよ?
その様なお言葉、淑女としては、
相応しくはありませんわよ?」
「申し訳ありません……(汗)」
「申し訳ありませんなの……」
「なの~~~」
「んもぉ! せっかくお母様との
楽しい時間を奪うだなんて、まったく
気が利かない、おう……」
「コンフィ?」
(いつもの母の様に睨む母ビゼット)
「ひゃい! ご、ごめんなさい(汗)」
「ごめんなさい~(汗)」
「あら! もうじきに来るそうですわよ?!」
「「「はあっ?!」」」
なんと!
ナルキザ王子は、もうじきに来るそうだ。
普通、貴族相手に呼び出しや訪問の場合、
特に女性相手にする時は、最低2日は
余裕を持ってくるはずなのだが……
それでも緊急とはいったい?
と、そこへもう1人の侍女が慌ててやって来た!
「奥様! アンビジョーネお嬢様!
大変で御座います! ナルキザ王子が……
あ、いえ、ゴホン!
シェンブリィ王子が、このお屋敷に
今、到着いたしました!!」
「!……まったく、気の利かない坊や……」
「お母様?」
「あ、げふん! いえ、失言でしたわね?」
「クスッ♪」
「「クスクス……♪」」
「!……うふふ 仕方ないですわね?
では、シェンブリィ王子を、
お迎えいたしましょうか」
「「「はい」」」
どうやら、母ビゼットも、突然の訪問の
シェンブリィ王子には困っていたようだ。
ホント! 困ってるのだよシェンブリィ王子!
なんて気の利かない男の子なのだよ君は?
と、大声でもって言いたいコンフィであった。
・⋯━☞屋敷玄関前☜━⋯・
「やあ! アンビジョーネ嬢
ご機嫌は、如何かな?」
「何しにき……ごほん!
これは、シェンブリィ王子
ご機嫌、麗しゅう御座いますか?」
(社交辞令カーテシー)
「もちろんだよ! こうして愛しのアンに
会えたのだからね!」
「!…………(震)」
(思わず鳥肌! ジト目で王子を見るコンフィ)
なにが、「愛しのアン」だよ?
てめぇ、何時から俺のことを、
「アン」なんて呼び始めたんだ、うん?
この時コンフィには、シェンブリィ王子に対して
穏やかに対処できそうにもなかった。
残り僅かな母ビゼットとの貴重な時間に、
わざわざ水を差しに来たんだ。
腹が立つのは、当然である。
「それはそうと、シェンブリィ王子
来られるのでしたら、もう少し余裕を持って
いただけないと、わたくしもそれなりに、
シェンブリィ王子を、お迎えする御用意が
できませんわ!」
「できませんわ!」
「!……あははっ!
久しぶりに、悪役令嬢アンビジョーネ嬢が
見られたのは、運が良かったのかな?」
「はぁい? 言っている意味が、
理解できかねますわ! ぷんぷん!」
「できかねますわ! ぷんぷん!」
「あはははははははは!
ごめん!ごめん!……それより、
そっちの妖精は、もしかして、
アンビジョーネ嬢の擬似妖精なんだよね?」
「!……しぇ、シェンブリィ王子にも、
プチコンフィが見えるのですか?」
「うん! 見えるとも!
ベルドランデ嬢のプチメーべもね!」
「「「!!……」」」
まったく、厄介なお人だ。
母娘水入らずの席に水を差し、
更に妖精は見えると言うし、
コンフィにとって、知られたくない事を、
このお方は、どこまで知っているのか……
「まったく…シェンブリィ王子には困りますわ。
女性の懐を覗き見るような行為は、
紳士のする事では、ありませんことよ?」
「あはっ、ごめんね?
そんなつもりは、ないんだけどね……(汗)
でもこれも、大切な婚約者を守るためには
どうしても緩めることのできない事なんだ
君なら、わかってくれるよね?」
(諜報員の事を言っている)
「はい、それはもちろん、わかっておりますわ。
とにかく、中へお入りになってくださいませ」
(言っても無駄だと、諦めるコンフィ)
「ああ、お邪魔させて頂くよ」
「「「「ホントお邪魔です」」」」
まったくもって、邪魔だ。
諜報員にどこからか監視されている?
プライベートな空間でも見られている?
そう思うだけでも、気が緩まないものだ。
実家で過ごすときくらい、なんの気兼ねなく、
ゆっくりしたいのに……
『はあ……王子との婚約を破棄したい。』
コンフィの正直な気持ちだった。
・⋯━☞応接の間☜━⋯・
ディアが、シェンブリィ王子にお茶を出す。
すると、側に立つ護衛が毒味をする。
しかし、その他にもこの屋敷の何処かに諜報員が
潜んでいるかも?と思うと、げんなりする。
『誰が毒など盛るかよ』
とは、思うものの、 これも王族としては、
仕方のないこと。
仮にも婚約者相手に、そんな悍ましいことなど。
これも形式的な事だと、無理やり納得する。
「ところで、悪いけど、
君たちは席を外してくれないかい?
僕と、婚約者のアンビジョーネ嬢とだけで、
話したいんだ」
「それは、できないなの!」
「それは、できかねます!」
「はは……息ぴったりだね君たち……(汗)」
「シェンブリィ王子が、そう仰っているのだ
場を弁えたまえ」
「できないって言ってるなの!
場を弁えるのは、あんたの方なの!」
「あんたのほーなのー」
「貴様っ!……」
「わかった! わかってるよベルドランデ嬢
君は、アンビジョーネ嬢の絶対的な
守護者だったんだったね?」
「そうですなの!」
「ですなの!」
「わたくしも、アンお姉様をお守りするため
たとえ、シェンブリィ王子の指示とはいえ、
アンお姉様の傍を離れる訳にはいきませんわ」
「わかったよ……うんうん
愛されているね? アンビジョーネ嬢」
「あはは……(汗)」
『なんて言えばいいのよ(汗)』
「王子、よろしいのですか?」
「うむ 構わないよ
どのみち、アザミ、ピオニー共に、
全ての騎士団にも報告しなければならない
事柄だしね!」
「……わかりました」
「「「……?」」」
護衛も、特にメーべについては聞いていた。
なので、以前の學園の生徒会室のような
事にはならずに済んだ。
だが、どうにも王子の様子がおかしい。
それより、
「全ての騎士団に報告」
と言った事に、深く疑問に思った。
「では、早速だが本題に入ろうか」
「「「!……」」」
「単刀直入に言う……魔王が現れた!」
「「「ええっ?!……」」」
ガタタッ!
(思わず立ち上がるコンフィたち)
なんだと?! 魔王と言ったか?!
昔から、魔王と言えば、世界の平和を乱す存在
として語り継がれてきた。
だが、ここ200年ほどは、状況が違っていて、
このマイーヤでも、魔族とは共生していて、
その王となる魔王が悪の根源とは言えない。
なぜなら現魔族領の国王となる、
「魔王アルモニア・レイ・デモニオ」
(調和 王 魔族)
とは、とても友好な関係を、
200年以上築いているからだ。
では、王子の言う「魔王」とは、
どの魔王の事を言うのだろうか?
だが、王子の次の言葉によって、
更に状況が変わってしまった。
「君たちは、知っているかい?
我が国に、ついに聖騎士が現れたことを」
「「「聖騎士?!」」」
「ああ、聖騎士とは、元来魔王と対峙する存在
つまり、聖騎士が現れたとなれば、
必ず魔王と戦う事になるのは必然なんだよ」
「「「!!……」」」
「なら、今すぐやっつけるなのー!!」
「やっつけるなのー!」
「いやいや、待ってくれベルドランデ嬢!
まだ、魔王が現れたという情報だけで、
魔王が本当に世界の平和を乱す存在なのかは
まだ判らないのが今の現状なんだ
それに、まだそんなに力を付けている
状態でも、なさそうだしね?」
「だからこそ! 今のうちにやっつけるなの!」
「今のうちなの!」
「メーべ! 落ち着いて!」
「でもなの! 聖騎士か勇者が現れる時、
魔王が現れるのは必然なの!
わかってるなのに、やっつけないのは、
おかしいなのー!」
「おかしいなのー!」
「ベルドランデ嬢、頼むから落ち着いてくれ!
魔王だって、悪と決まった訳ではないんだ。
過去の、文献にも残っているけど、
魔王から世界の半分を手にした……
という、悪い勇者だって居ただろう?」
「?!……それは、そうなのだけどなの……」
「魔王だからって悪とは言えないし、
勇者だからって善とは言えないのだよ?」
「!……それは、そうなのけどなの……」
「そうなの……」
そんな悪い勇者が居たのか……
それより、そもそも魔王って何だ?
勇者って何だ?
魔王とは、昔は、たくさんの魔族を従えて、
人族の領域を片っ端から襲っては支配し、
魔族領を増やしていった……と、習ったが、
その魔王が現魔王アルモニア・レイ・デモニオ。
今では世界中の何処にも、魔族だけの領域
なるものは存在しない。
それはなぜなら、魔族領にだって、
人族も暮らしているからだ。
とは言え、元々は人族の方から、魔族領を
侵略したのが始まりだとも習った。
アッポケだね~人族?!
でも今は、共生している。
それだけ、人族と魔族は仲がいいと言える。
なので、「魔王の定義」がわからない。
悪の根源でもなければ、
人族を嫌う輩でもない。
逆に言えば、人族の方が、
「ヤバい連中」
か居るのが悲しい。
しかも、今では力を付け規模も大きくなり、
既に国として存在をアピールしている。
その名も、
【アイヨス聖国】
この世界の創造神とされる、
「女神サンディエス」
を崇めるという。
本当のこの世界の創造神は、
「出鱈女神( デタラメガミ)」である。
つまり、勝手に存在もしない神を崇め、
「我らがこそが、神に選ばれし民!」
と豪語し、やりたい放題である。
そんな、アッポケな事を言い出して、
特に、獣人や魔族たちを敵とみなし、
マイーヤに対しても、魔族と共生する国
として、攻め込もうとしたほどだ。
「アイヨス? なのなのですなのそれ?
ドワーフ族の挨拶とかなの?
アイヨース! みたいななの?」
「みたいななの?」
「「「(;゜;ж;゜;);゜;ж;゜;);゜;ж;゜;)ぶぶうっ!」」」
まったく、メーべは……(笑)
笑いを取りたい訳ではなく、これでも本気で
そう話しているのだから、真性ど天然である。
「ぶっ! クスクスッ…やっぱり知らないよね?
我が国マイーヤでさえ、国とは認めてなどは
いなかったんだから、知らないのも当然。
でもね、状況が変わってね!
女聖騎士リリーは出さないと言い出した」
「「「はあ?!」」」
「ちょっと待ってくださいませ!
女聖騎士といえば、元初代女騎士団団長だった
人ではありませんか!!」
「そうだ! 流石は現女騎士団団長だね」
「い、いえ……」
「だからね……」
シェンブリィ王子の話は続く。
そんな国が、魔族や獣人と共生するこの国、
魔導大国マイーヤに宣戦布告をしたとのこと。
そこでマイーヤ国王は、仕方なく、
今から、12年ほど前に、
初の女聖騎士リリーを、アイヨス聖国との
政略結婚にてアイヨスの王子と結婚させて、
「不可侵条約」
を締結させて、やっと落ち着いたという。
だが、魔王が現れたと情報が流れた途端、
本来なら「魔王討伐隊」の「勇者枠」の
聖騎士は、「自国だけ守ればいい」と、
国から出さないというアイヨス聖国。
と、言うのが、つい先日までのことらしい。
「なにそれ! その国バカなのー?!」
「バカのー」
(もう遠慮なしのメーべとプチメーべ)
「まったくですわ!」
「まったくですわ!」
(足並み揃えるコンフィとプチコンフィ)
「あ、えっと、アンお姉様の仰る通りですわ」
(取り敢えず、二人に乗っかるリア)
そんな事があったなんて、知らなかった……
どうりで、ここしばらくは王妃様からの
お呼びが来なかったわけだわ。
ってか、今度は、魔王だと?
魔族領の国王の魔王ではなく?
既にこの世界には、魔王領に、
「アルモニア・レイ・デモニオ」
という名の魔族の王が居る。
ならば、彼とは別の魔王が現れた事になる。
もし、このまま力を付けたなら、
世界を支配しようとする、
「典型的な世界征服型魔王」
に育つ可能性だってある。
それこそ、本物の恐れるべき魔王である。
聖騎士が出てこれないのなら、
勇者ではダメなのか?
誰もが、そう思った。
勇者が現れるのを待つという手もあるが、
その間に別の聖騎士が現れるかもしれない。
いや、もし現れなかったら?
だが、聖騎士は唯一無二の存在とされている。
なので、アイヨスに聖騎士がいるため、
二人目の聖騎士が現れるとは思えない。
また、勇者も聖騎士が居たなら、
現れないものと、されていた。
では、勇者は、現れない可能性も?
聖騎士がアイヨス聖国に政略結婚、
というかたちで、他国へ行っただけなので、
聖騎士そのものが居なくなったわけではない。
なので、別に他の聖騎士が現れる可能性は、
ほとんど無いに等しい。
そう、昔から云い伝えられているからだ。
魔王現れれば、聖騎士か、勇者現る。
ただし、聖騎士と勇者は同時に存在しない。
……と。
「でゅわ、アイヨスに聖騎士が居るなら、
勇者も聖騎士も、今後は現れない!
……ってとこですなの!?」
「ですなの!?」
「そう言うことに、なるよねぇ?」
「でゅわ、アイヨスは自国を守るためにだけに、
世界を救うはずの聖騎士を、
独り占めしてるですなの!?」
「ですなの?!」
「そう言うことにも、なるよねぇ?」
「「「「…………(汗) 」」」」
どうやら、アイヨス聖国とは、
自分さえ良ければOKな国ならしい。
そこで、マイーヤとしては、
「第二の聖騎士」
を、聖騎士に認めようという話になったとか。
そして、聖騎士としての条件とは……
①炎龍を単騎で討伐。
②魔導大国マイーヤの騎士であること。
③騎士団団長であること。
とのことだった。
ファイヤードラゴンを単騎で討伐ぅ?
そんなヤツいねぇよ……。
なぜファイヤードラゴンが出てくるのか?
それは、元初代リリー女騎士団リリー団長は、
単騎でファイヤードラゴンを倒したとか。
そして、サイクロプスを、
たったの二斬りで倒したとも言われている。
(鍛冶師ファブロ談)
なるほどね……
ただ、一番近いと言えるのは……
ラスト騎士団 ラスト団長。
ストローム騎士団 ストローム団長。
オルデン騎士団 オルデン団長
ピオニー女騎士団 ビオラ団長。
アザミ女騎士団 コンフィ団長。
今現在、現存する騎士団の中でなら、
最強と言われているのが、
ラスト騎士団のラスト団長であった。
第56話を読んでいただき、
ありがとうございました。
厨房騒動からの、
まったり母娘ティータイム、
そして王子来訪からの世界情勢の話と、
だいぶ温度差のある回になりました(笑)
魔王、聖騎士、勇者、アイヨス聖国……
色々な要素が出てきましたが、
ここから物語が少し大きく動いていく
予定です。
次回もよろしくお願いいたします。




