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女装剤(ある女騎士の事情)  作者: 嬉々ゆう


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第53話 (コンフィの章)魔力二万五千の儀式

今回は、コンフィが自分の妖精を持つための 「擬似妖精精製の儀式」編の始まりです。

妖精とは何か、魔物とは何か、 この世界の魔力の仕組みなど、 少しだけ世界の理に触れるお話になっています。

そして、コンフィに待ち受けるのは、 想像以上に過酷な三日三晩の儀式でした。

果たしてコンフィは、 無事に妖精を生み出すことができるのでしょうか。



 ・⋯━☞バリヤージュ家図書室☜━⋯・


 コンコンコン!


「はいなのー!」

 「なのー!」


 カチャ!………


「あら、やっぱりここだったのね?」


「チビデレ萌女神幼女アン様?」

 「幼女アン様ーなのー!」


「ふふふ 何かの研究?」


「はいなのー!

 妖精融合について、調べてたですなのー!」

 「妖精融合なのー!」


「!……そうだったのね?」

「ようせいゆうごう?」


「うん、そうなの!

 リアもわたくしが妖精と融合したのを

 闘技場で見たはずですよ?」


「あ! はい、そうですわね?

 あ、え? あれを、するというのですか?!」


「そうなのです! だからメーべに、

 会いに来たのですわ」


「!………そうなのですね。 妖精融合……か」



 コンフィは、リア(フリージア)と一緒に、

 メーべを探していた。

 その訳は、ズバリ!妖精融合について、

 メーべと相談したかったからだった。


 実はと言うと、コンフィは學園での上半期

 最強をかけた練習試合にて、初めて、

 「妖精融合」をしたのだった。

 その時、学生で最強だったスピアー先輩をも

 圧倒する強さだったのが今も忘れられない。


 しかも、自分の妖精ではなく、メーべの妖精

 「プチメーベ」との融合だった。

 それでも圧倒的な強さだった。

 しかし、所詮は他人の妖精との融合である。

 数分もすると「拒絶反応」を起こし、

 コンフィの体に多大な負担があったため、

 コンフィは全身に激痛を覚え、吐血し、

 倒れてしまうアクシデントが起きたのだ。


 だがこれは、「他人の妖精との融合」だ。

 もし、自分の妖精との融合だったなら?

 それを、ずっと考えていたコンフィだった。


 なので、妖精を生み出したメーべに、

 相談し、もし自分にも妖精を持つことが

 できるのならば、お願いしたいと思っていた。


 と、その旨をメーべに話したコンフィ。



「なるほどなのですなのー!

 でも、ツンデレ萌女神令嬢アン様なら、

 きっと、そう言うと思ってたなのー!」

 「思ってたなのー!」


「そうでしたのね?! では、話は早いですわ

 この長期休暇の合間に、是非メーべに………」


「でも、ツンデレ萌女神令嬢アン様は、

 大丈夫なのですなの?」

 「大丈夫なのー?」


「え? 何がですか?」


「妖精精製の儀式魔法には、最低3日3晩は、

 絶対に眠ることも、休むことも、

 できないなのですなの!」

 「なのなのー!」


「「えっ?! 3日3晩?!」」



 コンフィは、知らなかった。

 妖精精製?というものが、

 そんなに過酷なものだとは………。



「えっと………初めはメーべにお願いして、

 さあ! これから!って時に、

 わたくしも儀式?に参加する………

 という形ではダメですの?」


「ダメですなのー!」

 「ダメダメなのー!」


「「えっ?!………」」


「妖精とは、”人の思念”の入った魔力が

 一箇所に溜まり、そして凝縮して、その後

 自我が生まれて妖精になるものなのー!」

 「ものなのー!」


「「!………」」


「そのプロセスを人工的に行う訳なのー!

 なので、膨大な魔力が必要になるから、

 大量の魔石から足りない魔力を補充して、

 最低3日間は続けないと、妖精は、

 精製することはできないですなのー!」

 「ですなのー!」


「「ええええ~~~っ?!」」



 がーん………

 思っていたよりも、過酷な挑戦となりそうだ。



「で、では、お食事は?」


「できないなのー!」

 「できないなのー!」


「「え”っ?!………」」


「では、湯浴みは?」


「それも無理なのー!」

 「無理なのー!」


「「え”え”っ?!………」」


「で………では、お、おトイレは?」


「無理無理なのー!」

 「無理無理無理~~~なの~~~!」


「「∑(Ⅲ ̄□ ̄) ̄□ ̄)!!………」」


「だから、空間拡張型オムツが必要なのー!」

 「オムツなのー!」


「「∑(Ⅲ ̄▽ ̄) ̄▽ ̄)?!………」」



 もう、言葉にならなかった………

 3日3晩、飲まず食わずで続けて、

さらに、お風呂もトイレにも行けないなんて……



「あ、あの………アンお姉様ん?

 わたくしは今回は………やめようかな?と」


「そ、そうですわね………

 その方がよろしいかと………(汗)」


「あ! ツンデレ萌女神令嬢アン様、

 擬似妖精の精製をするのですなの?!」

 「ですなの?!」


「え、ええ……そのつもりでしたけども……

 いえ、そのつもりですわ!」

 (拳をギュッと握りしめるコンフィ)


「………いいのですなのね?」

 「………なのね?」


「ええ、もちろんですわ!」


「アンお姉様………」



 コンフィは、自分の擬似妖精を生み出すため、

 強く決意したのだった。

 だが、そんなコンフィたちの一部始終を

 見て聞いていた者が一人いた。



 ・⋯━☞図書室の隅っこ☜━⋯・


「ふふふ ま、また面白い事が

 ま、始まりそうだわね」



 リーファー教官だった。

 いや、今は、

 「王姉殿下ヴェティー」と呼ぶべきか?


 しかし、なぜ彼女がバリヤージュ家に?

 実はヴェティーは、コンフィが世に出た

 その日から今日にまでの、全ての事柄に

 関与し手をかけてきた重要利害関係人である。

 

 そして、本当の年齢は、220歳である。

 なんと! 現国王の姉などではなく、

 初代マイーヤ国王の姉なのである。

 この事実を知る者は、現国王の、

 テイダー・レビィ・マイーヤ、ただ一人である。


 従って、コンフィの正体を知る者は………


 ①初代国王マイーヤの実姉、

 ヴェティー・メニー・マイーヤ。


 ②現王宮王妃、

 プミレーニェ・マハーレ・マイーヤ。


 ③第一王子、

 シェンブリィ・アシュ・マイーヤ。


 ④コンフィの実母、

 ビゼット・アン・バリヤージュ。


 ⑤コンフィの実父、

 ゴヴェルノ・アグア・バリヤージュ。


 ⑥コンフィの侍女、

 カルディア・アミ・スティアン。


 ⑦ピオニー女騎士団団長ビオラ。


 ⑧ラスト騎士団団長ラスト。


 ⑨ピオニー女騎士団セリュウ。


 ⑩ストローム騎士団団長ストローム。

 

 この、10人だけである。

 大魔女ラカや、魔女ヘレンシアは、

 コンフィの正体を知らない。

 と言うよりも、興味が無い。


 そして、ヴェティー・メニー・マイーヤの

 正体を知る者は………

 現国王テイダー・レビィ・マイーヤだけだ。


 現国王は、コンフィの正体を知らないが、

 リーファーの正体を知る唯一の人。

 なんとも、皮肉なものである。

 

 そんなヴェティー(リーファー)は、

 これから行われるであろう、

 コンフィの「擬似妖精精製の儀式」を、

 今か今かと待ち望んでいたのだ。


 なぜならヴェティーとは、

 隔世遺伝の魔女がえり。

 1000年以上も生きる、

 「準魔女」といえる存在であり、

 当然、妖精を持つことができる。

 が、ヴェティーは妖精を持たない。

 そして、ラカとヘレンシアも妖精を持たない。


 ココ最近までの常識では、

 「妖精を持つ事のできるのは魔女だけ」

 と、されていたが、

 「魔女ではなくても、妖精は持てる」

 と、証明したのが、メーべだった。

 しかしメーべは、「魔術師候補生」である。

 つまりは、メーべもまた、

 「準魔女」と言える訳である。


 ヴェティーが魔女として、

 メーべに興味を持つのは必然だったのだ。



「くっふっふっふっふっ………

 さてさて、愛しのコンフィちゃんは、

 無事に妖精ちゃんを、

 持つことができるのかしらん?」



 などと、影で言われていることなど、

 知る由もないコンフィだった。



 ・⋯━☞図書室☜━⋯・


「でゅわ、早速今夜から始めるですなの!」

 「ですなのー!」


「え、ええ、構いませんことよ………

 覚悟は、できていますわ」


「アンお姉様………(汗)」



 こうしてコンフィは、

 擬似妖精の精製の儀式を行なうのだった。



 ・⋯━☞バリヤージュ邸地下室☜━⋯・



 コンフィとメーべは、地下室に移動した。

 今回、フリージアは非参加である。

 3日3晩も待つ方が辛いからだそうだ。

 

 今この地下室にいるのは、

 コンフィ、メーべ、そしてプチメーベ。


 更に、地下室の端の隠れた場所に、

 ヴェティーの姿が……。

 でも、コンフィたちは、ヴェティーが居るとは

 知る由もない。



「でゅわ!

 擬似妖精の精製に必要な魔力を教えるなの」


「………うん わかりましたわ」


「擬似妖精の精製には、

 25000の魔力が必要ですなの!」


「25000? なんだか、ピンときませんわね?」


「でゅわ、ツンデレ萌女神令嬢アン様の持つ

 総魔力量は、150ほどですなの!」


「150? わたくしの持つ魔力量?」


「そうですなの!」


「150………」


「はいなの!

 まず、魔力1がどれくらいの力なのか、

 分かりやすく説明するですなの!」


「お願いしますわ」


「魔力1とは――

 1m四方の砂漠を、一瞬で花畑に変える力。

 それが、この世界の

 魔力の基準なのですなの!」


「なるほど……それが基準なのですね?」


「そうですなの!

 そして、ツンデレ萌女神令嬢アン様の

 総魔力量は150なのですなの!」


「150……」


「つまり計算すると、

 150㎡の砂漠をお花畑に変えられる力

 ということになるなの!」


「150㎡……」


「平民の中流家庭の 家一軒分くらいの広さ。

 と思えばいいなの!」


「なるほど!

 それなら、なんとなく分かりますわ!」


「ちなみに、騎士としては

 かなり魔力量が高い方なのですなの!」


「そうでしたの?!」



 メーべの話は、めちゃくちゃ難しかった。


 魔力1では、1㎡の砂漠を花畑に

 変えられる力があるそうな。


 それを基準にすると、コンフィには、

 家一軒分の広さの砂漠を花畑に変えられる

 魔法の力があるのだそうだ。

 また、騎士にしては高い魔力量なのだとも。



「そして儀式魔法でゅわ、

 御目覚め(約3分)ごとに

 18魔力消費するですなの!」


「へえ……そうなのですね?」


「ツンデレ萌女神令嬢アン様が

 ドレスアーマーに着替える時間――

 つまり**御着替(約30分)**で考えると、  

 180魔力必要になるなの!」


「え……それって、わたくしの魔力では……」


「はいですなの!

 ツンデレ萌女神令嬢アン様の魔力150では、

 御着替5回分くらい(約2時間半)

 しか続かないなの!」


「そ、そんなに短いのですの?!」


「だから足りない魔力は

 魔石から補うですなの!」


 ガラガラガラ!



 メーべは、床に魔石をぶちまけた!



「わあっ?! 魔石がこんなに!」


「はいなの! この魔石ひとつに、

 200魔力充填されてるですなの!

 なので、130個用意しているなの!

 余裕もって沢山用意したなの!」


「すごい!! そんなに沢山の魔石を?!

 でも、大丈夫ですの?

 魔石ひとつにしても、

 数十万チャリンはするはずですわよ?

 わたくしのために、そんな………」


「大丈夫ですなの!

 私、冒険者ギルドと、商業ギルドとで、

 魔導具生成販売の独占契約してるですなの!」


「はあっ?!」


「なので私、実家のベルドランデ家よりも、

 今でゅわ、ウルトラスーパーダイナマイト

 スペシャルジャンボ級の大金持ちですなの!」

 「オーガネモーチデスなのー!(?)」


「ええええええええ~~~?!」



 驚いた!

 魔石の数よりも驚いた!!

 なんだそれ?! 実家よりも大金持ち?

 一令嬢が? マジっすか?!


 だが、メーべは、そんな事になど興味なさげに

 話を進めるのだった。


 

「それより単純な話なのですなの!」


「単純?」


「はいですなの!

 儀式魔法は、とにかく魔力を流し続ける魔法

 なのですなの!」


「なるほど……」


「そして、3日間休まず続けないと

 擬似妖精は生まれないですなの!」


「3日間……」


「だから合計で、

 およそ25000魔力くらい必要

 になるですなの!」


「に、25000ですの?!」


「ツンデレ萌女神令嬢アン様の魔力は

 150しかないなの!

 なので足りない魔力は

 この魔石から補うですなの!」


「わぁ……それはなんとも……(汗)」


「つまり――

 ツンデレ萌女神令嬢アン様の魔力では、

 百回以上魔力を補充し続けないと

 終わらない儀式なのですなの!」


「はぁ………聞くだけで疲れましたわ」



 これらは、メーべが勝手に決めた、

 時間の単位である。


 この世界には「分」や「秒」の概念が無い。

 そのためメーべはコンフィの行動を基準に

 時間単位を作っていた。


 御目覚め 約3分

 御安眠  約10分

 御着替  約30分


 なので、教員やギルド員が持つ時計には、

 分と秒の針がないのだ。

 時間に対して、アバウトな世界であるため、

 今回のような繊細な時間計算ともなると、

 頭がこんがらがってくる。



「と、とにかく………大変」


「そうですなの! 大変ですなのー!」

 「大変ですなのー!」


「ところで、メーベの魔力は、

 いくつくらい、ありますの?」


「私は、大したことないなの~

 ほんの、28000程度ですなの」

 「ですなのー」


「28000!? あはは………(汗)」

『どうしよう? 決心が揺らぎますわ(汗)』


「それでも、擬似妖精精製、やりますなの?」

 「やりますなのー!」


「………………………やりますわ!」


「わかったなのー!」

 「わかったなのー!」



 こうしてコンフィは、

 擬似妖精精製の儀式を行うことにした。



 ・⋯━☞錬金術用魔法陣☜━⋯・


 メーべは、先に魔法陣の中へ入る。

 この時、プチメーベは魔法陣の外だ。

 プチメーベは妖精なので、錬金術用魔法陣が、

 妖精を魔力の塊と誤認して、プチメーベの

 魔力を取り込まないようにするためだとか。



「はい!」


「!………これ、本当に使いますの?」


「もちろんですなの! このバージョンは……」



 メーべが取り出したのは、

 「空間拡張型オムツver.1.5」

 だった。

 前回のバージョンアップにより、

 お(ピー!)を飲料水に浄化するらしい。


 そして今度の最新版では………

 「お(ピー!)を魔力水に変換し、更に、

 う(ピー!)も魔力に変換されて最終的には、

 小粒ではあるが魔石が生成できる」

 とか?


 いらねーーし!!

 たとえ、お(ピー!)や、う(ピー!)から

 生成されたモノか本物の魔石や、

 本物の魔力水だとしても、

 そんなモノ使いたくも触りたくもないし!!

 生理的に無理無理無理無理っ!!



「………そんなモノから作られた魔石なんて

 本当に使えるものなのでしょうか?

 それに、魔力水って何に使いますのぉ?」


「要らないなら、私が貰うですなの!」


「………ダメ! そんなモノ捨てますわ!」


「どーしてなのですなのー?!

 要らないから捨てるですなの?!

 だったら、私が使うですなのー!!」

 ドンバンドンバン!

 (地団駄を踏むメーべ)


「わ、わかりました! だから落ち着いて(汗)

 それより、本当にコレを穿きますの?」


「別に使わなくても構わないなの」


「ほんと?!」


「はいなの! でも、お(ピー!)とか、

 う(ピー!)とかが、垂れ流しになるなの!」


「使わせていただきますわ!!」

 バシッ!

 (奪い取るように空間拡張型オムツを

  メーべの手から取り上げる)



「………………」


「ちょっと、アッチ向いててくれます?」


「大丈夫なの! 私は平気なのー!」


「わたくしが、平気ではないのですぅ!!」


「ふぅん? まあ、別にいいなのー」

 (アッチを向くメーべ)


「………(恥)」

 ゴソゴソ………


 

 コンフィは、空間拡張型オムツに穿き代えた。



「でゅわ、擬似妖精精製の儀式を始めるなの!」


「ええ、よろしくお願いしますわ」

 (ドキドキドキドキ………)


「先ずは、東西南北の四方のペンタクルに

 魔力を注ぎ、結界を張るなの!」


「えっと、四方に精霊による擬似守護神として

 召喚するため………でしたか?」


「そうですなの! 周囲の悪意ある思想の

 魔力が入ってこないようにするためなのー!」


「………なるほど(汗)」



 悪意ある思想の魔力………

 それは、「魔物」になるとメーべは言う。

 

 何の思想も持たない魔力が溜まれば魔石になる。

 人の思いを宿した魔力が溜まれば妖精になる。

 そして――

 悪意を宿した魔力が溜まれば魔物になる。


 初めて聞いたが、なるほど!と思った。


 特に妖精と魔物の生まれるプロセスを聞き、

 この世界の理の一部を覗き見た気がした。

 妖精は、人々が魔法を発動するときに放つ

 魔力に込められる、「思想」や、「気持ち」や、

 「記憶」などがひとつの塊になり、自我を持ち、

 そして妖精へと生まれ変わる。

 

 なるほど………。

 そう思った。

 だから、野生の妖精はイタズラ好きなのだと。


 そして、悪意ある思想の魔力。

 人を傷つけたり、傷つけられたり、

 殺したり、殺されたり、

 裏切ったり、裏切られたり………

 そんな負の念のある魔力が塊になると、

 悪意ある自我が生まれ、

 「魔物」へと生まれ変わる。

 

 だから魔物とは、人族や魔族など関係なく、

 襲ってくるものだと。


 そんな事を考えていると、メーべの頭の中は、

 きっと、この世界の理のほとんどを、

 知り尽くしているでは?とも思った。


 メーべを見直した瞬間だった。



 ブゥウゥウゥウゥ~~~ン………


 四方のペンタクルに込めた魔力だけでも、

 体中の皮膚が振動するほどの波動を感じる。



「すごい魔力ですわね?」


「え? まだ、準備段階ですなの

 まだまだ、これからですなの!」


「?!………そ、そうなんだ(汗)」



 これからもっとすごい魔力波の中で

 3日間も居なきゃいけないのかと思うと、

 今更ながら、後悔の念に苛まれる。


 そして、いよいよ擬似妖精の依り代となる、

 「粘魔力」の生成に入る。


 「粘魔力」とは、魔力溜りで凝縮された

 魔力が魔石に変化する前の状態をいう。

 

 7枚の鏡を内側にして「合わせ鏡」を作り、

 「七角形」の形にして置いてあるのが中心に

 魔力を込めれば魔力溜りが発生する仕組みだ。

 

 「七角形」とは、自然界には存在しないもの。

 また、正確な7等分には形取れないので、

 「不可能を可能にする」

 という意味があるという。


 その七角形の鏡の中に、魔力を溜めるのだ。



「ツンデレ萌女神令嬢アン様!

 七角形の鏡の中に、魔力を注ぐのなの!」


「え?! あ、はい!」

 シュウゥウゥウゥ~~~………

 


 コンフィは、メーべに言われた通りに、

 七角形の合わせ鏡の中心に魔力を注ぐ。

 

 ブゥウゥウゥ~~~………ン………



 ………………

 …………

 ……



 ••✼••御着替4つ(約2時間)後••✼••


「んんんん………はぁ…はぁ…はぁ………」


「大丈夫ですなの?」


「へ? あ、うん 大丈夫………って、

 嘘はつけないですわね?

 もう、ヘトヘトですわ………(汗)」


「まだまだ、御着替4つ(2時間)ですなの

 そろそろ、ツンデレ萌女神令嬢アン様の

 魔力も尽きてくる頃ですなの?」


「そ、そうですわね?」


「でゅわ、魔石の魔力を使うなの!」


「あ、はいはい………(汗)」



 コンフィは、メーべに言われた通りに、

 魔石を手に持ち、魔石の魔力を自分の体内へ

 一旦入れると、また逆の手から魔力を放出

 させるように心がける。

 こうする事により、魔石の魔力を、

 自分の魔力として使えるのだと言う。


 そんな事をもう御着替4つ(約2時間)も

 続けてきたのに、

 未だに七角形の合わせ鏡の中には、

 粘魔力の欠片も発生しない。

 ただ、歪んで見えるだけだった。


 そして、更に御着替4つ(約2時間)が経過。



「こ、これ………本当に大丈夫ですの?」


「大丈夫なの! まだまだ魔力は、

 ぜんっぜん足りないなの!」


「えええ~~~………(汗)」



 まだ、七角形の合わせ鏡の中には、何もない。

 段々と、自分には無理なのでは?

 と、マイナスな感情しか浮かばない。


 こんな事が、もう2日も続けられていた。



 ••✼••48時間後••✼••


 ブゥウゥウゥ~~~ン………


「ひぃ…ひぃ…ひぃ…ひぃ………(汗)」


「ツンデレ萌女神令嬢アン様………?」


「はぁ…はぁ……だ、大丈夫ですわ」



 コンフィは、もう立っていられないほど、

 ヘトヘトに疲弊していた。

 魔法陣の中で、女の子座りでへたっていた。

 たとえ座っていても、立っていても、

 どちらでも構わないとメーべが言うので、

 お言葉に甘える事にしたのだった。


 もう、魔石は三分の一にまで減っていた。

 すると、ようやく七角形の合わせ鏡の中に、

 小さな小さな光の粒が生成された!



 ポッ!………


「はあっ!! メーべ! メーべぇ!!」


「はいなの! おめでとうなの!

 やっと粘魔力が精製されたなの!」


「ええ! やったわ! やりましたわ!」


「でも、まだまだ小さいですなの!

 これから、ツンデレ萌女神令嬢アン様の

 イメージする妖精を強く念じるなの!」


「!!………なるほど」


 

 コンフィは、これから生まれるであろう

 擬似妖精のイメージを思い浮かべた。

 

 とにかく素直で明るくて聞き分けが良くて…


 だが、既に心も体もヘトヘトなコンフィには、

 まともにイメージをするのは難しい。

 疲れと眠気と倦怠感………

 こんな状況で、どうしろと?



「ツンデレ萌女神令嬢アン様!」


「ひゃい!!」


「寝ちゃダメですなの!!」


「はひっ! わ、わかってますぅ………むにゃ」


「ツンデレ萌女神令嬢アン様ぁ!!」


「きゃあ!! はひぃっ!!」


「これからが本番ですなのぉ!!」


「はい………ですわぁ………(疲)」

 フラフラ………



 コンフィは、女の子座りで、

 体を前後左右にフラフラと揺れる。

 

 と、その時!



 バチン!!

「ぎゃん!! いたぁ~~~い!!」


「ツンデレ萌女神令嬢アン様が自分で

 言ったなのですなの!!

 ”わたくしが眠りそうになったら、

 電撃魔法で目を覚まさせて”ってなの!」


「はっ、はひぃっ!!」



 コンフィのお尻に強烈な激痛っ!

 それは、メーべが発動した電撃魔法だった。

 いくら研究ばかりで攻撃魔法は得意ではない

 とはいえ、目を覚ますくらいなら、

 効果はてきめんだった!


 こうして、コンフィが眠りかけたら、

 メーべがコンフィのお尻に電撃!

 こんな事を永遠にも思える時間を繰り返し、

 魔法陣へ入って3日目となり、

 ようやく魔石も残り少なくなった頃………



 パァーーーーー!………


「はっ?!………」


「やりましたなのーー!!」


「あはっ…わたくし…やりまし………たわ」


 バタッ!………


「ツンデレ萌女神令嬢アン様ぁーー!!」


 ………………………

 ………………

 ………



 やっと、コンフィの擬似妖精の精製の儀式は

 終わったのだった………。



第53話でした!

ついにコンフィの妖精誕生編に入りました。 ここは前から書きたかったエピソードです。

妖精、魔物、魔石の成り立ちなど、 この世界の魔力の仕組みも少しずつ出していきます。

それにしても、 三日三晩寝ない・食べない・お風呂なし・トイレなしは、 なかなかの地獄仕様ですね……。

次回は、いよいよ コンフィの擬似妖精が――?

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