第52話 (コンフィの章)王宮庭園と暴走王妃
今回は、王宮お茶会回です。
……のはずだったのですが、
案の定、普通に終わるはずもなく。
緊張で固まる女騎士団、
暴走する王妃様、
そして、まさかの事態へ──
果たしてコンフィは、
無事に乗り切れるのでしょうか?
・⋯━☞王宮庭園☜━⋯・
「来てしまいましたわ……ほらほら居ますわよ
また、来てしまいましたわ……(汗)」
(元の体に戻っているコンフィ)
「き……緊張しますわね……(震)」
「「「「…………(硬)」」」」
「凄いなのぉ~お花いっぱい! 広いなのぉ!」
「お花なの~広いなの~~」
「……メーべは、平気そうですわね?」
「何がですなの?」
「ですなの?」
「「「「………………(汗)」」」」
コンフィを始めアザミ女騎士団団員たちは、
全員がカチコチ!ブルブルガタガタ……
だがメーべだけは、まったくの平気!
なんで……?
まあ、學園の生徒会室での一件では、
生徒会室を吹っ飛ばす勢いで、
王子に向かって食ってかかったほどだ。
なので、相手が王妃だろうが王様だろうが、
メーべにとっては、大差ないのだろう。
実際、メーべにとって恐れるべき事柄は、
愛する推しの危機、以外は何も無いのだ。
頼もしいのか、それとも怖いもの知らずか。
それともそれとも、ただの世間知らずか。
「お待ちしておりました、
アザミ女騎士団団長アンビジョーネ様。
そして、団員様御一行様方。」
「え、ええ、どうも……(汗)」
「「「「………………(汗)」」」」
「来たなのー!」
「なのー!」
「はい。 では、こちらへ」
王宮侍従頭に案内され、王妃様の居る奥へと
アザミ女騎士団一行はゾロゾロと歩く。
今日は全員が、ご立派なドレス姿。
平民のナデル、フロール、ジャスネン、
そしてセラミカは、ナデルのお陰で、
それはそれはご立派なドレス姿に。
もちろん、お代はバリヤージュ家が負担。
コンフィの誕生日だというのに、
逆にご立派なドレスを頂いてしまったと、
四人とも嘆いてはいたが、これは仕方がない。
そして、お花のトンネルを潜ると、
パッと開けた場所に出て、沢山のテーブルに、
沢山の豪華な食べ物がどっちゃり乗せられ、
沢山のお貴族様たちが、わんやわんやと、
くっちゃべってはいたが、コンフィたちが
お茶会会場へと来ると、周囲の視線が、
一気にコンフィたちへと向けられる。
めっちゃくちゃ緊張するコンフィ。
思わず、立ち止まってしまう。
後ろに付いてきた団員たちも、
そんなコンフィの雰囲気に飲まれフリーズ。
なぜならコンフィは、
元ストローム騎士団副団長だった。
一応お貴族様ではあったが騎士として勤め、
お茶会の「お」の字も経験が無い始末。
それに、貴族とはいえ、茶会になどは、
男の出るものではない!と思っていた。
まっっったく慣れないこんな場所の空気。
何人かの団員たちの中には、一応お茶会の
経験はあるのはあるが、こんな大それた、
しかも、王妃様が開いてくれた超が付くような
超だいそれたお茶会などの経験などはない。
みんな、コンフィにしがみ付くように寄り添い
固まってしまったのだった。
『あうあうあう……誰か助けて(汗)』
とは言え、そんなコンフィも今では、
女騎士となったからには、お家とは無縁。
しかし、王妃様から貴族令嬢として
お呼ばれしてしまっては、致し方ない。
一応は、高位貴族である侯爵令嬢。
(一応ってなんだ?)
ここは、ビシッ!と淑女としての振る舞いを、
団員たちに見せなければならないのだ。
一度、目を閉じ深く息を吸い……
「すぅー…………はぁーーっ
さっ、皆様方、行きますわよ!」
「「「「……はい コンフィ団長」」」」
「あ、お待ちになって!
この様な場所でのわたくしへの呼び方は、
アンビジョーネ……もしくは、
コンフィと、お呼びくださいませ」
「そんな! 呼び捨てなんて……(汗)」
「そうですぅ! それにアンお姉様は、
公爵令嬢ですわ!」
「「「「そうです!そうです!」」」」
「「「「ワイワイ~~~」」」」
「いいえ! 皆、お忘れですか?」
「「「「!!……」」」」
「わたくしも、學園では貴女たちと同じ1年生
貴女たちとは、同い年なのですわよ?」
『大嘘ですわぁ!! あらやだぁ!
本当は49歳中身オッサンでーすわぁ!』
「「「「ヤイヤイガヤガヤ~~~」」」」
「ですが、アンお姉さまん!
わたくしは伯爵家、でもアンお姉さまは
侯爵家で御座いますわ!」
「そうですわ! それに、わたくしは、
下位貴族の男爵家ですし……」
「わたくしも!」
「わたくしもですわ!」
「アンお姉さま! わたくしもですわ!」
「私は、平民だし……」
「「「私も~~~」」」
「あら、何を言ってますの?
わたくしだって、男爵令嬢とはいえ、
一歩お外に出ましたら平民と変わりませんわ」
「「「「うわぁーおぅ!」」」」
「「「「ヤイヤイガヤガヤ~~~」」」」
「…………(汗)」
おう! なんとカオス状態ですわよ(汗)
「はいは~い! お静かに!」
「「「「!!……」」」」
「それも、確かに大事な事柄でしょう!
この様な場所なら、本来なら尚更。
ですが!! わたくしたちは、今は、
同じ學園の同じ机を並べる生徒ですわ!
侯爵家も、男爵家、子爵家、リアの伯爵家
など身分などは関係は御座いません!
皆、ここへはアザミ女騎士団員として、
王妃様から、お招き頂いたのです。」
「「「「?!……」」」」
(みんな、驚きの表情)
「それに、本日はわたくしの誕生日として、
王妃様から、わたくしだけではなく、
貴女たちも、”ご一緒に”と、お呼び頂きました
わたくしだけ…では、ないのです!
なので! わたくしへの配慮も遠慮も
まったく必要はありませんわ!」
『だからお願い!わたくしを一人にしないで!』
「「「「…………」」」」
「もし、皆さんが各々の貴族家の令嬢として
この様な場に、お招き頂けたのでしたら、
貴族としての上下関係もあるでしょう!
でーすーが!!
今のわたくしたちは、出家したのも同然!
貴族としてではなく、女騎士団員ですわ!」
『お願いだから、ずっと一緒に居てぇ!』
「「「「!!……」」」」
「なので、本日は……いえ、本日だけでも!
わたくしたち全員が同じ団員として王妃様に
お招き頂いたのですから、わたくしのことは
アンビジョーネ、もしくは、
コンフィと、お呼びくださいませ!」
『わたくしを特別扱いしないでぇ(汗)』
「「「「!!…………はぁい……(汗)」」」」
「……ほっ」
皆、一応に納得はしてくれたようだが、
やはりまだ、蟠りは残っている様子。
なにせこれは、王妃様直々に言い伝えられた
ことなので、仕方ないっちゃあ仕方ない!
「アザミ女騎士団として」……と。
王妃様は王妃様で気遣ってくれたのだろうが、
コンフィ自身も、「え?マジ?」なのだから、
正直なところは、コンフィ自身が一番、
「本当にいいの?感」でドキドキものである。
『しかし王妃様……絶対に遊んでるだろ?』
と、いう思いが拭えないコンフィだった。
そして、いよいよ王妃様とのご対面。
・⋯━☞庭園中央☜━⋯・
「ふふふ やあ、アンビジョーネ嬢
久しぶりだったね!
皆も、元気していたかい?」
「ま、やっほー!」
「「「「!!……」」」」
王妃様と国王様が、でっかい椅子に腰掛け、
王妃様の隣には、リーファー教官。
国王様の隣には、シェンブリィ王子が立つ。
更にその隣には、なんとコンフィの両親、
父親ゴヴェルノ・アグア・バリヤージュ候爵と、
母親ビゼット・アン・バリヤージュ候爵夫人
の姿もあった!
そして、その後方には、
演奏団が、楽しげな曲を生演奏♪
そして、本来なら真っ先に声を発するはずの
国王様だったのだが……
「よくぞ参られ……」
「アン! 待ってたわよ!!」
「?!……(汗)」
「…………(汗)」
(また、口パクパクな可哀想な王様
一応は、この国で一番偉い人なのだが…)
「「……(汗)」」
(王妃の性格をよく知っている
バリヤージュ候爵夫妻)
「「……(汗)」」
(流石のリーファーとシェンブリィ王子も
そんな国王と王妃に困惑げな表情)
しぃ~~~~~~……ん……
めちゃくちゃ重苦しい空気が…。
聞こえていたはずの生演奏の曲も聞こえず…
まるで、家庭内重要案件での会議中で、
音を消したテレビを観てる感覚に。
これはいかん! と、コンフィが口を開く。
「はっ!……本日は、わたくしの様な若輩者に
この様な席にお招き……」
パンパン!(手を叩く王妃)
「はいはい!」
「?!……」
(ビクッ!)
「「「「?!……」」」」
「そんな硬っ苦しいのはいいの!」
「は、はぁい……(汗)」
『いゃあ! そんな風に言われましても…(汗)』
「さあさあ! こちらへいらして?
ほら! 皆さんもご一緒に!」
「はっ……はぁい(汗)」
「「「「はあい……(硬)」」」」
(カッチンコッチンな団員たち)
「………………(泣)」
(完全に空気扱いの国王様 おぉ、お労しや…)
コンフィが、先頭になって王妃のもとへ。
すると……
ガバッ!(いきなり抱きしめ!)
「んもぉん! アン! 待ってたのよ!」
「はきゃあ!! おっ……王妃……さま?」
『ぎゃあああー! またいきなり抱きしめぇ?』
「んもぉん! この頃ちっともわたくしに、
会いに来てくれないんだからぁ~~~ん♡」
「はっ…はひっ、も、申し訳ございません(汗)」
『はい~! ごめんなさい! ああいい香り♡
じゃなぁああああ~~~い!!』
「そんな、他人行儀な話方はやめてってぇ!
貴女は、わたくしの娘になるのだからん、
もっと娘らしくしてって言ってるのにぃん!」
(まるで、キャバクラ女子みたいな物言い)
「はっ……はひぃっ(汗)」
『いやぁ! もうチビりそぉ~~~(汗)』
「「「「~~~!!(汗)」」」」
「ツンデレ萌女神令嬢アン様、
すんごい顔真っ赤なの~~」
「真っ赤なの~~~」
「めっ、メーべ?!」
うわっちょ! ちょっと待ったぁー!!
メーべがまた、プチ暴走か?!
王妃様相手にしても、まったく変わらない。
魔法や魔導具の研究ばかりで、
ベルドランデ家でも「変な子」扱いだった。
ほとんどネグレクト状態だったためか、
貴族令嬢としての淑女教育も皆無だったので、
この様な場での身の振り方も全く知らない。
だが、流石はお優しい王妃様。
そんなメーべに対しても、お優しい~。
「あら? 貴女がベルドランデ家の?」
「!……メーべですなのー!」
「プチメーベですなのー!」
「そうそう? そして、妖精さんね!」
「そうなのー!」
「なのー!」
「「「「?!……」」」」
『王妃様は、プチメーベが見えてる?!』
どうやら、王妃にもプチメーベは見えている。
やはり、王妃とは只者では無い。
「あ、あの、王妃様?
メーべの妖精さんが、見えるのですか?」
「うんもぉ!! アンったらぁん! またぁ?
わたくしのことは、御母様と呼んでって
ずっと言ってるのにぃん! んもぉん!
んもぉん! んもぉん! んもぉん!♡」
(コンフィを抱きしめ揺さぶる王妃様)
「たはは……(汗)」
『王妃様、聞いてねーーですわね(汗)
あ♡ でも、いい匂い♡ でなくてぇ!』
その後、あまりの緊張から足腰がへたり、
座り込んでしまう団員もいたりして、
ちょっと、大変なことになってしまった。
だが、そこはめちゃ優しいマイーヤ王家!
お咎め無しどころか、気遣ってくれる。
侍女たちがワラワラとやって来て、
緊張しすぎて脳天フリーズした団員を介抱。
メーべは、リーファーと和気あいあい。
他の団員たちも、いつの間にか落ち着き、
楽しく過ごせるようになっていた。
「王妃様ぁ! とぉってもお美しいですわぁ!」
「あらんもぉん! リアったらぁん!♡」
「「「「とてもお綺麗です王妃様ぁん!」」」」
「あらあらやだやだん!
んもぉ~可愛い娘たちなんだからん♡」
「「「「うふふふふふ♡」」」」
「……(汗)」
『皆、すんげぇ適応力ぅ?!
流石は、純粋天然女子たち!』
しかし、王妃様はコンフィと出会ってから、
随分と性格が明るくなったと王子が言う。
確かに、コンフィがドゥークの頃に会った
王妃さまと言えば、まるで、
「人喰いサメの様な目」をしていたと思う。
瞳が無く、まるでガラス玉のようで、
凍りつくような冷たい目だった。
でも今の王妃様は、まるで、
元気で青春真っ盛りの少女のよう。
これも、コンフィのお陰なのか?
それとも、これが本来の王妃様なのか。
すると王妃様は、これからは王家と、
バリヤージュ家との大切なお時間~~~
とのことで、他の参加者たちは、
会場から排除されてしまった。
なに? 何が始まるの?
めちゃ怖いんだけど……(震)
ところが……
王妃様が、とんでもない事を言い出した!
「ところで、アン?」
「あ、はい なんでしょうかお義母様?」
「今のアンは、チビアンになるんでしょう?」
「!!………………………………え?」
「「「「?!………………………………」」」」
その時だった!
ポン!(チビコンフィに変身!)
「はにゃあ?!」
「「「「あ”っ!!……」」」」
王妃様の膝の上に座らされていたコンフィは、
チビコンフィに変身し、王妃の腕から、
スッポリと抜け落ちてしまう!
グラッ……
「わっ! きゃあ!」
「危ないっ!」
ガシッ!
「ふうんむっ?!……」
王妃様は、咄嗟にチビコンフィを抱きしめる!
チビコンフィは、そんな王妃様の胸に顔を
埋めるかたちで、驚きのあまりフリーズ!
「ふんむぅうぅうぅ~~~~~~(焦)」
『ぐるじぃ~~けど、いい匂い~~♡』
「こんな……まさか、こんな事が……」
「……???」
「アン! 貴女、わたくしの前でも、
チビアンになってくれたのですね?!」
「……はぁい?」
「「「「……???」」」」
はて? 王妃様は、いったいなんの事を
言っておられるのか、コンフィは???。
すると……
「と、言うことは、わたくしに、完全に心を、
開いてくれたと言うことですわね!?」
「?!…………はぁい?」
「「「「………………???」」」」
「ああ~~~んもぉおおお~~~!!
可愛い! なんて可愛い娘なのアン!」
「え?……え? え? えぇえ?」
「「「「……?????」」」」
ちょおっと待てぇーーーいっ!
そんな設定、知らねーですわよ?!
チビアン(チビコンフィ)に変身する意味とは、
その人に対して、心から気を許している。
つまり、王妃様の言うように、
「完全に心を開いた」
と、言うことになっているらしい。
知らないっ! そんなの知りませんわ!
いったい、どういう事ですの?!
そんな混乱の中、ふと見ると……
「ぷぷぷぷぷっ! ま、大成功ね!」
「???!!!!……」
リーファー教官の、不敵な笑み。
『お前が犯人かぁああああーーー!
リーファーきょおかーーーーん!!
いったい、何を企んでやがりますのー?!』
益々、コンフィに対しての、
王妃様の愛が深くねちこくなるのだった……。
ここまでお読み頂きありがとうございます!
王妃様、完全に自由すぎましたね(笑)
そしてついに明かされた(?)
チビコンフィの謎仕様。
……いや、コンフィ本人も知らなかったんですが。
そして背後で糸を引くリーファー教官。
次回、どう転がるのか──
引き続きお楽しみください!




