第39-10話(メーべの章)メーベの交換条件
今回は、メーベがコンフィとフリージアの部屋に
やって来ることになった理由のお話です。
シェンブリィ王子との交渉の末、
メーベが提示した「交換条件」とは……
王子も思わず拍子抜けするほどの、
とんでもない(?)お願いでした。
そして現在――
女騎士寮ではベッド位置を巡る
大騒動が勃発します。
・⋯━☞女騎士学部寮☜━⋯・
・⋯━☞コンフィの部屋☜━⋯・
「よろしくお願いしますですなの」
「うんうん いらっしゃい メーベ」
「…………」
(不服そうにメーベを見るフリージア)
「ま、えーまぁー聞いての通り、今日から
ベルドランデ嬢も一緒に、この部屋に
ま、来ることにーなったー!
ま、学部は違うだろうがー
ま、仲良くするようにー
ま、そーゆーことでーな!
ま、まぁ~そのぉ~だな!
ま、ではな!」
パタン!
「「「………………」」」
ま、なんだか「ま」が多い女性教官だった。
ま、「ま」が抜けるよりは、いいのか?
ま、まぁ~~よぉ~~わからん!
「………………」
(チラリ……と、横目で
メーべを見るフリージア)
「………………♪」
(まったく気にしていないメーべ)
「………………(汗)」
(どう声をかけていいのか分からないコンフィ)
「「「……………」」」
何やってんだか……(汗)
「ま、まぁ~そのぉ~仲良くしてあげてね?」
「「……ぷっ! あははははははははっ!」」
「なに?! なんなんですのぉ?!」
「アンお姉様? もしかして、それ、
先程の教官の真似ですかぁ?」
「え? ああ、いえいえいえ!
わたくしは、決してそんなことは……(汗)」
(真性天然女子アンビショーネw)
「ツンデレ萌女神令嬢アン様、面白いのー!」
「面白いのー!」
「はぁい?! なんですか? その~~~
つんでれ~~~何とかって?」
「あ、はい!
ツンデレ萌女神令嬢アン様なのー!」
「なのー!」
「クスッ! はいはい!
もう、何でもいいですから、お二人とも!
仲良くしてくださいな?」
「はぁーい!」
「はぁーい!なのー!」
「プチメーベちゃんもね?」
「はぁーいなのー!」
「よしよし! ではでは!
お夕食に、まいりしょうか!」
「はぁ~~~い!」
「はぁ~~~いなのー!」
「なのー!」
こうして、今日からメーべも、
コンフィとフリージアの部屋に、
寝泊まりすることとなった。
さてさて、どうしてこんな事に
なってしまったのか……
それは、その先日のこと。
••✼••先日••✼••
・⋯━☞學園生徒会室☜━⋯・
「君が、メーべ・キユン・ベルドランデかい?」
「………………はいなの」
「はいなの」
シェンブリィ王子は椅子に座り、
組んだ手に顎を乗せ、不敵に笑みを浮かべる。
「……うむ ふんふん」
(メーべを上から下まで見る王子)
「で、そっちが、この羽の持ち主の、
妖精さんかな?」
「はいですなの」
「ですなの」
「くっふっふっふっ……
隠す気は無いんだね?」
「隠すもなにも、今ここに見えてるのに、
今更どうしろと言うのですなの?」
「ですなのー」
「そうかそうか うんうん」
「もしかして、プチメーベをくれ!
……なんて、言わないですなの?」
「言わないですなの?」
「言わない言わない でもね……」
「……なんですかなの?」
「なんですかなのー」
「あははっ! そんなに身構えないでくれ
別に取って食おうってわけじゃないんだ」
「…………ううむ」
「……」
「クスクスクス……」
メーべは、生徒会室に居た。
シェンブリィ王子に呼び出されていたのだ。
メーべにとって、シェンブリィ王子とは、
「ツンデレ萌女神令嬢アン様とリア姉様の
幸せな一時を奪う超悪いヤツ」
と、いう認識だ。
なので王子の笑顔が胡散臭く見えてしまう。
自分の身を犠牲にしながらも、プチメーベに
自爆させるほどのことをやらかすくらいだ。
それほどに、メーべにとっての、
コンフィとフリージアとは、
絶対的な守護対象であり推しなのである。
それこそ、自爆テ(ピー!)をするほどだ。
そんな、一歩間違えれば、国家を揺るがす
存在になり兼ねない人物をシェンブリィ王子が
放っておくわけがなかった。
だが、シェンブリィ王子は考えた。
「君、僕の影の一人にならないかい?」
「影の一人?……それ、なんなんですなの?」
「……」
「僕のような王族には、それなりの精鋭部隊が
いつも守護対象となる者を守るために、
必ずどこかで目を光らせてるものなんだよ」
「……私に、そんな一人になれ。
というのですなの?
……ご冗談でしょなの?
私、ツンデレ萌女神令嬢アン様と、
アンお姉様以外の言うことになんて、
絶対に聞かないなのですの!
たとえ神様が相手でもなの!」
「……」
「貴様っ! 口を慎めっ!」
「むっ!……」
「!……」
(一瞬で目が据わるメーべとプチメーベ)
「いいんだ!」
「?!……はっ! 失礼致しました……」
「……(怒)」
(ギロリと護衛を睨むメーべ)
「くふっ! あははははははははっ!
まったく、驚いたよ~~~
これほどにも肝の座った者が、
こんな近くに居たなんてねぇ?
まさに、灯台もと暗しってわけだ」
「なんなんですの? さっきから……
私には、退屈しのぎに人をおもちゃみたいに
する人と遊んでる暇はないのですの!」
(わざと枯れ声で言うメーべ)
「うんぬ貴様ぁ! いい加減にしないかっ!!」
「いい加減にするのは、ソッチですなの!!」
「こぉの! 王族を蔑ろにする不届き者めっ!
このお方を、どなたと心得る!!」
「そんなの見りゃわかるなの!!
あなたこそ知らないですなの?
なら、私が教えてあげるなの!
この男は、ナルシストのキザメン王子!
だから、略して、ナルキザ王子ですなの!」
「きっっっさまぁーーー!!
我が国のシェンブリィ王子に向かって、
”この男”呼ばわりとは、無礼者めっ!」
(腰の剣に手をやる護衛)
「まあまあ、いいからいいから!」
「?!……ですがシェンブリィ王子!
コヤツは、あまりにも王族に対しての、
態度がなっておりません!
いえ、そればかりか反逆者かもしれませぬ!」
「さっきから、うるさいなの!
私はナルキザ王子と話してるなの!
邪魔をする気なら、出て行けなの!!」
「なにぃっ?! おんのぉるぇえっ!!
そこへ直れ! その無礼な口ごとその首、
今ここで、たたっ斬ってやる!!」
シャイィイィン……
(抜刀する護衛)
「やれるものなら、やってみろなのっ!!」
シュワワワワワ~~~!!
ビリビリ……
ガタガタガタッ……
「はっ!!」
「ぬっ!?」
https://kakuyomu.jp/users/youchan2233/news/2912051595497417806
メーべの怒りは爆発寸前っ!!
プチメーベもメーべの怒りがリンクして、
体を粘魔力へ変化し始める。
護衛も慌てて、シェンブリィ王子の前に立つ。
張り詰める空気、体をも圧迫する気迫!
とてつもない魔力である。
膨大な魔力の波動により、生徒会室全体が、
震えているのがわかる。
窓ガラスも、ガタガタと震えて、
今にもパァン!と割れそうだった。
既に、自分の身ひとつでは背後に隠した、
シェンブリィ王子を守れないと悟る護衛。
しかし、他に主を守る手立ては無い!
この時、シェンブリィ王子は見ていた。
メーべの怒りが増すとき、
プチメーベは一切話さなくなることを。
「ベルドランデ嬢、落ち着きたまえっ!
お前もだっ! 冷静になれっ!
い加減にするのは、貴様の方だ!!」
「で、ですがしかしっ……(焦)」
「どのみち、このままベルドランデ嬢が
魔力を解放してしまえば、僕たちは、
生徒会室もろとも吹っ飛ぶだけだ。
これ以上、彼女を刺激するんじゃない!
とにかく、落ち着くんだっ!」
「ぐぬぬっ……はぁい
も、申し訳……御座いません……」
「ふぅ……ったく!
ねぇ、ベルドランデ嬢、聞いてくれないか?
提案があるんだが、こうするのはどうだい?」
「!……」
「君には、アンビジョーネ嬢の絶対的な守護者に
なってもらう……というのは?」
「?!……ツンデレ萌女神令嬢アン様の、
絶対的な守護者なの?」
シュルルルル……ぷしゅん!
「……ほっ」
メーべの怒気が冷めていくからか、
プチメーベの光も消えてゆき、
元の姿に戻り、落ち着きを取り戻す。
「そうだよ 君は、アンビジョーネ嬢が、
大好きなんだよねぇ?」
「大好きなのぉ! 推しの中の推しなのっ!
私、ツンデレ萌女神令嬢アン様のためなら、
魔王だって、やっつけるですなの!」
(フラグ)
「(;゜;ж;゜;)ぶほっ!……クスクスクスッ
そ、そうなんだね? わかったよ」
「……なんで笑うのですなの?
私、笑われるようなおかしな事など、
言ってないですなの!」
(本気で、そう思ってるメーべ)
「うんうん わかったよ わかってるよ
でもね? アンビジョーネ嬢は、
僕の婚約者だからね?
残念だけど、君に譲る気はないからね?」
「そーゆーのとは、違うのですなの」
「ああ、そうだね、わかってるって!
君にとって、アンビジョーネ嬢は、
絶対的な推し! そうだよね?」
「そうなのですの!」
「そうなのですのー!」
「ふふ……ふふふふ……はぁ(汗)」
ようやくメーべは落ち着いたのか、
プチメーベもメーべの口真似を始める。
そんなメーべとプチメーベの様子を見て、
シェンブリィ王子も、肩を落として、
やっとホッとするのだった。
だがそれと同時に、シェンブリィ王子は、
メーべ・キユン・ベルドランデという人物は、
決して侮ってはいけない存在であり、
下手な扱いをして、機嫌を損ねてしまうと、
魔王よりも恐ろしい敵になり兼ねないとも、
考えていたのだ。
そんな危険な存在など、国どころか、
世界の破滅を見過ごすことにもなり兼ねない。
触れると痛い思いをするような、
摘むことのできない棘ある花なら、
囲い込まばいい。
ならば、味方にすればいいと。
無能な味方は最大の敵となるが、
「最強最大の敵を味方に」できたのなら、
それに勝る「敵」など無いに等しい。
「ありがとう いやぁ、ホッとしたよ~~~
君だけは怒らせちゃいけないと思ったからさ」
(正直なシェンブリィ王子)
「……ふぅん? 変なナルキザ王子なの」
「変なナルキザなのー」
「ぬっ……んん……」
「…………」
(サッと、護衛に向けて手を出す王子)
「!……んん…………」
…………キンッ!
また、護衛が抜刀しようとしたため、
シェンブリィ王子は、サッ!と手を出す。
それを見た護衛は、悔しそうに剣を収める。
「ナルキザ王子……か
そんな風に見られていたとは、心外だなぁ」
「ナルシストでキザメンな王子様なの
まさにピッタリですなの?」
「ピッタリですなのー」
(絶対にバカにしてるでしょ?)
「ふぅんぐぉおおっ……」
(こめかみに血管が浮き出て、
また剣に手をかける護衛)
「ぬ……」
(ギロリと護衛を睨む王子)
「…………はぁ~~ん”ん”っ!」
(目をギュッ!と瞑り手を降ろす護衛)
「ふん……」
(右の眉を上げ、左の眉を下げるメーベ)
つかの間の静寂のあと、
シェンブリィ王子がまた、話し始める。
「それでだね、交換条件といこうじゃないか?」
「交換条件ですなの?」
「こーかんーじょーけんーなのー」
「ふぅむ 君、今回の騒動の件、
本来なら、国家反逆罪として、
今頃は捕らえているところなんだよ?
この場合、連座制により君だけじゃなく、
君のベルドランデ家をもお取り潰し、
下手すりゃ身内も、そして、
親戚にまでも罪に問われるかもしれない」
「くっ……」
「君一人のした事でね……」
「うぬぬぬぬ……」
「でも、君さえ僕の提案を受け入れてくれるなら
今回の爆発騒動も有耶無耶にして、
君には一切の責任を問わないとするよ。
僕は一生、黙っておくつもりだよ?
どうだい? 悪い話じゃないと思うけどね」
「……わかったなの」
(早い決断)
「ふぅ……そうかい? 良かったよ」
「でも、条件があるなの!」
「あるなのー!」
「条件?」
「おのれは、まだ言うかっ!!」
「いいから!」
「……は」
「ふぅん じゃあ、条件を聞こうじゃないか」
「私を、ツンデレ萌女神令嬢アン様と、
リア姉様と同じ部屋にしてほしいですなの!」
「「?!……」」
「お二人と一緒に寝泊まりしたいなのー!」
「したいなのー!」
しぃ~~~~~~~~~ん……
・
・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・ ・
「「……はぁ?」」
メーべが、条件と言い出したので、
シェンブリィ王子は、一瞬身構えた。
魔王よりそれ以上の脅威となる者の条件とは…
王子が覚悟したのは、
「国の半分寄をこせ」(王道)
とか、それとも、
「国宝の半分を寄こせ」(テンプレ)
とか、それともそれとも、
魔導大国マイーヤがこの日まで積み重ねてきた
「魔導書や智識の半分を寄こせ」(お約束)
と言うのならば、正直なところ、
「魔王よりも恐ろしい」
この小さな少女を囲い込めるのなら、
致し方ない……と、思っていた。
ところが、
アンビジョーネ嬢とライナー嬢の部屋と、
「同じ部屋に寝泊まりしたい」
……とは。
拍子抜けもいいところだ。
どうやらメーベには、私利私欲などとは、
まったく無縁のものらしい。
シェンブリィ王子は、メーべという人物とは、
「研究と推し」
以外には、なにも興味が無いと認識した。
だが内心は、心臓がバクバクな王子だった。
「うん、わかったよ。
じゃあ早速、今夜にでも引っ越したまえ!」
(平和的な職権乱用)
「ぃやったあーーーなのーーー!!」
「なのーーー!!」
「あはは……」
「ぐぬぬ……よく分からぬ娘ですな?」
「ほんっとに……ねぇ……(汗)」
••✼••そして今••✼••
・⋯━☞女騎士学部寮☜━⋯・
・⋯━☞コンフィの部屋☜━⋯・
コンコンコン!
《失礼しまーーっす!》
「あ、はい! どうぞ」
カチャ!
「ベルドランデ嬢の、
荷物とベッドを運んできました」
「「うええっ?!」」
「はぁーい! 私、ここがいいの~~~」
メーべは、コンフィとフリージアの
ベッドの間に立って嬉しそうにそう言う。
「ちょおっとまったぁーーーーー!!」
「「「「?!……」」」」
「ダメダメダメダメダメダメダメダメっ!
ダメダメダメったら、ダメダメダメっ!」
「なんでですなの?」
「ですなの?」
「なんでって、当たり前でしょ!
私が先にアンお姉様と一緒だったのだから、
後から来たメーべに決定権はありません!」
「それは、ダメなのですなの!」
「どうしてですなのっ!?
…って、もぉ! メーベの口調が、
うつっちゃったじゃないですなのぉ!」
「(;゜;ж;゜;)ぶふうっ!……ぶっ…ひっ…ひっ…」
(そんなフリージアに思わず吹き出すコンフィ)
「アンお姉様あっ?! 泣くほどぉ?!」
「ご、ごめんなさぁい……ひっ…ひっ……(汗)」
(もう、おかしくて仕方がないコンフィ)
「…………んもぉおぉおぉ~~~!!
なんなんですのぉ~~~~~~!!」
ジタバタジタバタッ!
(地団駄踏むフリージア)
「はぁ~い! はいはいはいっ!
ごめんなさいね? ほら、いい子いい子♪」
(フリージアを抱きしめ頭を撫でるコンフィ)
「…………ぶぅ……えへへ♡」
(単純極まりなくデレるフリージア)
「……んんん~~~~~~ん”ん”っ!!」
(下唇を突き出して拗ねるメーベ)
推しの二人が抱きしめ合われると、
自分の入る余地が無いメーベは……
「これはナルキザ王子と交換条件ですなのぉ!
この条約破ると国家反逆罪ですなのーー!」
「反逆罪なのー!!」
「「「「うええええーーっ?!」」」」
すっぴょ~~~ん!
コンフィも、フリージアも、
荷物を運んできた業者たちまでもが、
「国家反逆罪」と聞いて飛び上がった!
……なぜ?
いやいやベッドの位置を決められないだけで
国家反逆罪には、なりませんからっ!
盛大な勘違いをしているメーべだった。
「ひぃいぃいぃ~~~ん
なんで、こうなるのぉ~~~(泣)」
おおお……哀れなフリージア。
・⋯━☞高次元☜━⋯・
「ふぅん?……魔王……かぁ? へぇ~~
それ、面白そうねぇ?」
この世界を俯瞰する高次精神体がいた。
彼女は、物質的な肉体を持たない存在。
なので、性別などは存在しない。
彼女の名は、「出鱈女神( デタラメガミ)」。
この世界の創造神である。
ではなぜ、「彼女」なのか?
ある地球の魂から、「女性っぽい」と言われ、
性別は女性とされ、名前も、
そのデタラメな性格から、
「出鱈女神( デタラメガミ)」と呼ばれ、
その時から自ら出鱈女神と名乗るようになる。
まったく、デタラメな創造神である。
はたして彼女、この世界の創造神、
出鱈女神の言葉の意味とは、
どんな意味があるのだろうか?
メーベという人物は、
「研究」と「推し」以外にほとんど興味がありません。
だからこそ、彼女の行動は
国家を揺るがすほど危険にもなれば、
とんでもなく平和的な願いにもなります。
今回の交換条件も、
王子が身構えた割には
とてもメーベらしいものでした。
……ただし、
それによって寮の平和が
守られるかどうかは別問題ですが。
さて、この三人の同室生活、
いったいどうなるのでしょうか。




