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女装剤(ある女騎士の事情)  作者: 嬉々ゆう


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第39-8話(メーベの章)アン様の幸せのために

今回はメーべ回の大きな転換点です。

アン様とリア姉様の幸せな時間を守るため、

メーべは「手段は選ばない」と決意します。

そして、その結果は……

どうぞお楽しみください。

   


 ・⋯━☞魔術・魔法学教室☜━⋯・


 今日は、魔術の授業の日。

 たとえ騎士であっても魔術の知識が無ければ

 対魔獣戦に対抗できないとの考えから、

 全騎士学部も受けるようになっていた。



「さっぱりでしたわね? アンお姉様ん♡」


「そうですか? わたくしは結構、

 面白かったと思いますわよ?」


「「「「わたくしもぉ~~~♪」」」」


「んぐっ!……そ、そうですわねぇ!

 確かにぃ? 面白いとは思いましたけども~」

 (嘘……)


「クスクスクスクス……(笑)」


「ぁあっ! アンお姉様ん?

 今、お笑いになられましたかぁ?!」


「ごめんなさいね? なんだか必死なリアが

 可愛らしくてつい……クスクス♪」


「はぁん!? か、可愛らしい?

 うふふ……うふふふふへほっ♡」

 (もう、幸せいっぱいのフリージア)



 ・⋯━☞図書館秘密の部屋☜━⋯・



 その頃、メーべは。

 いつもの如く、プチメーベの目によって、

 シェンブリィ王子の行動を見張っていた。

 だが、今日の王子はいつもと何か違った。



「……変ですの 何か変ですますの」


《ママー! ナルキザ王子、追いかけてくるよ》


「そうですなの! どうやらナルキザ王子、

 私たちの目に気づき始めたようですなの!」


《そうみたいですなの~~~》



 ・⋯━☞大食堂☜━⋯・


 シェンブリィ王子と、

 アロガンス公爵令息は大食堂にいた。



「…………ふぅん」


「どうしたよ、おい?」


「…………どうも変なんだよね」


「何がだよ?」


「……アンビジョーネ嬢の反応が、

 突然消えたかとお前ば、また別の場所で

 感じるんだよねぇ~~~」


「はあ? なんだそりゃ?

 まるで、アンビジョーネ嬢が學園中を

 飛び回ってるみたいじゃないか?」


「そうなんだよ! 君、脳筋のくせに、

 今日は冴えているじゃないか?」


「けっ! 失礼なヤツだな!

 確かに俺は、お前みたいに何でも頭で考えて

 サクサク行動できねぇけどさぁ?

 いくらなんでも、脳筋は……」


「まった!」


「おっ?! なんだ、どうした?!」


「ほら! また、一瞬で移動した!」


「げっ! またかよぉ~~~

 さっき、ここへ来たばかりじゃねえかよぉ!」


「仕方ないだろう?

 でも、僕はこの感知能力には自信があるんだ」


「……それってぇ~~~……魔力か?」


「匂いだ!」


「……ミ(ノ_ _)ノ=3 ドテッ」



 シェンブリィ王子の言う「匂い」も確かだが、

 実は魔力もしっかり感知できるのだ。

 なので、コンフィの匂いと魔力を感知する

 ことで、シェンブリィ王子はコンフィの位置を

 把握していたのだ。


 だが、その肝心なコンフィの匂いと魔力が、

 まるで瞬間移動でもしているかのように、

 時間感覚も距離感も方角も、まちまちに

 転々と移動していたのだ。


 それもそのはずである。

 シェンブリィ王子が今感知しているのは、

 プチメーベなのである。

 プチメーベは、夜な夜なコンフィの部屋に

 忍び込んでは、コンフィの胸の上で爆睡。

 そうやってプチメーベは、自分の体に、

 コンフィの魔力と匂いを取り込んでいたのだ。


 そんなプチメーベが、転々と學園中を転移

 していたなら、シェンブリィ王子にも、

 コンフィが學園中を転々と転移したように、

 感知してしまっていたのだった。



「相変わらずお前のスキルは……

 でもさあ、そうアッチコッチと學園中を、

 転々とと移動できるだなんて、まるで

 妖精か精霊のようだよなぁ?」


「まて!」


「なんだ?!」


「そうか! それだよ!!」


「へ? 何がだ?」


「君がさっき言っただろう?」


「ん? ええ~~~と……精霊か妖精か」


「それだよ!!」


「はぁ? おいおい、まさか?!」


「ふふ……ふふふふふ……そうか!

 なるほどね! そりゃそうだよね?」


「……おい、また悪い顔しているぞ?」



 シェンブリィ王子は、こう考えた。


 もし、精霊か妖精だったなら、學園中を転々と

 飛び回るのも可能である。

 しかし、精霊とは考えにくい。

 なぜなら、精霊とは魔力そのものでもあり、

 特定の人物に対してイタズラな行動をとる

 とは考えられない。

 だとするならば、「妖精」しかいない!


 妖精とは、イタズラ好きな者たちであり、

 人を惑わせたりすることもあると言う。

 ただ、臆病とも言われていて、人の前には

 滅多に姿を現すことがない。


 しかし、魔女の従妖精なら可能性はある。

 妖精というものは、魔女にしか従えられない。

 ……と、されている。

 

 だとしたなら?

 魔女の仕業か? 可能性は低いだろう。

 でも、シェンブリィ王子は考える。

 

 魔女以外にも、妖精を従える方法が他に

 あったとしたなら?

 いや、可能性として、実は魔女にしか妖精は

 従えられないという固定概念が邪魔をして、

 今まで試される事は無かったが、実は、

 魔女に最も近い魔法使いや魔術師が、妖精を

 従える事が本当は出来たのなら?


 この學園にも、魔女のように妖精を従える

 ことのできる魔法使いや魔術師が、

 いたとしたなら……


 シェンブリィ王子は、従者に聞いた。



「君、前回の魔法試験で、最も優秀な成績を

 おさめた生徒が誰かわかるかい?」


「は! しばらくお待ちを……」

 ペラペラペラペラ……



 術者は、懐からノートを取り出すと、

 ペラペラとめくり調べ始めた。



「……あ、はい! わかりました!

 魔術師志望の1年生の、

 メーべ・キユン・ベルドランデです!」


「ふぅむ……なるほど」


「そいつが何なんだ?」


「クックックックックッ……」


「なんだよ気色悪いなぁ?」


「面白い! 実に面白い!」


「はぁ……また危ない顔をしているぜ?」


「それで?」


「あ、はい……この生徒は~~~」



 シェンブリィ王子は、遂に勘づいたようだ。

 メーべ・キユン・ベルドランデ。

 回復系魔法、支援系魔法に優れ、

 特に魔導具開発に興味があるらしく、

 受ける授業がないときには、

 魔導具専門の教官と議論を尽くすとか。

 時には、教官さえ舌を巻くと言う。

 

 と、いう話を従者はしてくれた。

 


「そうか! そういうことか!」


「だから何なんだよ!

 自分だけ納得してんじゃねえ!」


「ああ、すまない……

 ほら、時々アンビジョーネ嬢の取り巻き……

 じゃないね、いつもアンビジョーネ嬢に

 くっ付いているがいるだろう?」


「あん? ああーと……んん~~~

 あ、そうだ! 元クロポーテの婚約者の?」


「そうそう、その

 フリージア・ツェニー・ライナー嬢だね」


「ふん そのがどうかしたか?」


「うん ライナー嬢と時々一緒に居る

 魔術師志望のがいただろう?」


「へえ? しらねーな?」


「うん いるんだよ

 そのが、

 メーべ・キユン・ベルドランデってだよ」


「ほぉ……それで?」


「まだ分からないのかい?」


「わっかんねぇーってばよ!

 わかるように言えってんだ」


「そのが、時々光の玉を相手にして

 なにやら独り言を言ってるって聞いたんだ

 それって、もしかしたら……」


「ん?! それが妖精だってぇーのか?!」


「そうだよ! 君、本当に今日は冴えてるね?」


「だから、ひと言余計だっつぅーのっ!!」



 どうやらシェンブリィ王子は、

 メーべが妖精を従えている可能性があると

 睨んだようだ。

 しかし、それは当たっていた。


 それからというもの、シェンブリィ王子は、

 わざとプチメーベから距離を取るようになる。

 そして、察知魔法を発動しながら移動した。


 それは、何を意味するのか?


 察知魔法とは、魔力を薄く広範囲に張り、

 敵や魔物を察知する魔法のことである。

 察知魔法を発動させると、個人の持つ

 魔力の固有周波数を察知しずらくなるのだ。

 つまり、個人特有の波動を放つ魔力を、

 別の波動を放つ魔力でカバーしてしまうのだ。

 これなら、たとえ魔力を察知したとしても、

 メーべの告具は、シェンブリィ王子の魔力と、

 特定できなくなってしまうのである。



 ・⋯━☞図書館隠し部屋☜━⋯・


 その頃、メーべは……


「!………変ですの!」


《あれれぇ? ママぁ!

 ナルキザ&脳筋が、変な動きですなのー!》


「う……うん もしかしてバレたのですの?

 嫌な予感がしますですの……(汗)」


《……………ママぁ?》



 メーべの、悪い予感は当たってしまった。



 ・⋯━☞女騎士学部教育☜━⋯・


 ナルキザ王子&脳筋とメーべたちとが、

 そんな高度な攻防をしていたとき、

 コンフィたちとアン様をお慕い申し上げ隊は、

 そんな事など知らずに、

 幸せな時間を過ごしていた。



「うふふふ……まったく甘えん坊さんねぇ?」

 (フリージアを膝の上に乗せて

   頭を撫でるコンフィ)


「えへへへ……しゃーわせぇ♡」

 (コンフィに甘えまくるフリージア)


「「「「いいなぁ~~~」」」」

 (指を咥えるアン様をお慕い申し上げ隊)



 ところが、フリージアにとって、

 そんな幸せな一時を壊す出来後が……!



 チクリ!

「?!……」


《もうします! もうします!

 リア姉様っ! 危険が危ないですの!!》


《えっ! 嘘っ?!

 わたくしの告具には反応が無かったのに……》


《そうなのですなの!!

 あのナルキザ王子、対抗策を講じたですの!

 今しがた、やっと察知できましたですの!

 もうあと、御安眠ほどで接触しますですの!》


《大変!!……》



 ・⋯━☞図書館秘密の部屋☜━⋯・


 一方、メーベは……


「どうしようなの~ どうしようなの~

 私のせいですの~ 私のせいですの~」

 (ガクガクブルブル…)



 メーベは、自分のせいで、コンフィが

 危険な目に遭うと勝手に思い込んでいた。

 なぜなら、自分の開発した魔導具には、

 我ながらも絶大の信頼を置いていた。

 なのに……!

 有効範囲内に特定の魔力を発する者が

 侵入した場合、今まで必ず反応があったのに、

 なぜか、メーベの告具にも、

 フリージアの告具にも反応はしなかった。

 どうして……

 

 と、その時だった!

 シェンブリィ王子からの念を受け取ったのだ!

 「嬉々として楽しんでいる」

 そういう念が……


「んんん~~~あのナルキザ王子ぃ!!

 私を謀ったですますの!!

 こんな事はあってはいけませんですの!!

 しかもナルキザ王子、楽しんでますの!

 そんなの、許せないのですのぉー!!」


「いけませんですのぉ!!

 許せないのですのぉ!!

 思い知らせてやるのですのお!!」


「こうなったら、手段は選ばないですの!

 何が何でも、ツンデレ萌女神令嬢アン様と

 リア姉様の幸せな時間をナルキザ王子なんかに

 絶対に邪魔させたりしないですの!」


《え? え? ちょっとメーべ?》



 メーべは、完全に切れていた。



「ですの!!・・・絶対ですのぉ!」


「プチメーベ、いいですのね?……グスン!

 ナルキザ王子たちに、こちらへ来れない

 ずっと遠くで重大な事件を起こして、

 ツンデレ萌女神令嬢アン様とリア姉様に、

 構ってられない理由を作ればいいのですの!」


「いいですの! 大爆発なのですのね?」


「そうなのですの!

 ちょっとやそっとじゃダメですなの!

 とびっきりの、大爆発なの!!」

 

「はいなの!!

 ツンデレ萌女神令嬢アン様と、

 リア姉様のためですなの!

 2人の幸せは、絶対に守りますですの!

 でも、ママも大変なことになるですの?」


「いいのですの! 私がもっとしっかり……

 しっかりしていれば、私のせいなのですの。

 私のせい……だから。」


《大爆発ぅ?! ちょっと、お待ちなさい!

 アンお姉様とわたくしの幸せのため?!

 メーべ! いったいプチメーベちゃんに

 何をさせる気ですの?!》



 メーべは、一切フリージアの問いには

 答えることはしなかった。

 そして、プチメーベも。


 メーベの言う、「手段は選ばない」とは、

 いったいどういう事を指すのだろうか。

 そして、メーベの涙の意味とは……


 コンフィと、他のアン様をお慕い申し上げ隊は

 あまりのフリージアの混乱ぶりに、

 ただただ茫然……



「でゅわ! 行ってきますですの!」


「うん! お願いするですの!」


 ㅇ〇((=(ぽん!)=))〇ㅇ



 プチメーベは、何処かへ転移した!



 ・⋯━☞學園中庭☜━⋯・


 ㅇ〇((=(ぽん!)=))〇ㅇ


「……ふんふん ここなら……」


 

 ここは、學園の中央にある中庭。

 普段は学生でいっぱいになるのだが、

 今はまったく学生の姿はなかった。

 メーベは、それを知っていた。

 この時間帯では、誰もいないと。

 そして、その意味するところとは……



 プチメーベは、

 キョロキョロと周囲を確認すると、

 少し広間になった場所へ移動し、そして……



「……ママ! 行きますなの!!」


《メーべ! メーべぇ!!

 何をしているのです?!》


《はいなの! 頼むなの!

 リア姉様、今のうちにお逃げくださいなの!》


《何言ってますの! どういう意味ですの?!

 お答えなさい!! メーべ!!

 何をする気なの! プチメーベったら!!》


《ちょっと、リア? どうしましたの?》


《でゅわ、リンクを切るですの》


「うん…………じゃあね、ばいばい……ママ」


《………………っえ!》


 プツッ……


 プチメーベは、メーベとのリンクを切断した。


 プチメーベの体が粘魔力へと変化していく。

 そして徐々徐々に周囲の魔力を取り込み、

 圧縮し、凝縮し、眩しく光る球へと変化する。

 そして……………


 キィイィイィイィ~~~……ン……













 





 ドォオオオオオオオ====ン!







 

《きゃあ! なんですの?! メーべ?!

 プチメーベちゃん!! お答えなさい!

 何の音なのです?! 何をしましたの?!》


「ぐふわあっ!!……ごほぉっ……

 ぐううぅぅぅ……げほっ! げほっ!」


《え? え? どうしましたの?

 お返事しなさいなメーべ!!》


「プチメーベ……プチメーベ~~~!!!

 あああああううう~~~!!

 ごめんないなの~~~!!

 げほぶぁはっ! けほっけほっ……

 げほっ! ぐはあっ! バタッ!」


《!!!!……………

 メーべ!! メーべぇー!!》



 メーべは、泣き叫んでいた。

 そして、その場に倒れた。


 メーべは感覚共有リンクを切断したとはいえ、

 魔力と血を分けた分身が自爆したのである。

 プチメーベの自爆でダメージを受けたのだ。

 メーべの身が、ただで済むはずがなかった。

 メーべは全身に激痛が走り、吐血し倒れた。


 そして、フリージアには、漠然と、

 「絶望」という文字しか浮かばなかった。



 ・⋯━☞大廊下西橋☜━⋯・


 

 その頃、シェンブリィ王子と、

 アロガンス公爵令息は……



 ドオオオオオーーン!

  グラグラグラグラ……


「わっ! なんだ!?」


「なんだなんだおい!」


「「「「ザワザワガヤガヤ……」」」」



 突然、とてつもなく重い爆発音とともに、

 大きな地震が学園全体を襲った!


 中庭から一番近い大廊下西詰付近で、

 ちょうど中庭へ出る位置にいた

 シェンブリィ王子とアロガンス公爵令息は、

 爆発音がした方向へと急ぐ!



 ・⋯━☞學園中庭中央☜━⋯・


 タッタッタッタッタッタッ……

  タッタッタッタッタッタッ……


「こっ…これは!?」


「なんだこの巨大な焦げ痕は?!」



 その場所とは、プチメーベが、

 自爆した場所だった。

 まるで、爆弾でも落ちたのかと

 思うような光景である。

 周囲の花々は飛び散り、建物のガラスは割れ、

 直径1mほどのクレーターができていた。

 そしてその周りには、黒く放射状に

 何本もの筋が伸びていた。


 幸い、怪我人などは一人もいなかった。


 そして、フリージアとメーべの、

 プチメーベからの伝具が完全に途絶えた……

ここまで読んでくださりありがとうございます。

今回はプチメーベがまさかの行動に出ました。

メーべはアン様とリア姉様の幸せを守るため、

本気で「手段を選ばない」覚悟をしてしまいました。

しかし、その代償は決して小さくありません。

果たしてプチメーベはどうなったのか。

そしてメーべの運命は……?

次回もぜひお楽しみください!

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