第39-3話(メーべの章)監視はバレていた
第39-3話です。
お昼の大食堂。
ここは學園の生徒たちが必ず集まる場所。
つまり――
シェンブリィ王子から逃げ回るコンフィにとっては、
絶対に避けられない戦場でもあります。
そして今回は、
メーべによる監視作戦も進行中。
しかしその裏で、
王子もまた何かに気づいているようで……?
••✼••お昼••✼••
・⋯━☞大食堂☜━⋯・
ここは、學園の生徒たち全員が集まる場所。
流石にここでは、コンフィたちも逃げられない。
王子は、食堂に来れば、必ずコンフィに会えると確信してる。
いや、流石にと言うか、食堂でさえも王子がコンフィに会えないともなれば、不審がられる可能性が高い。
たとえ常に忙しい生徒会員たちは、生徒会室で昼食をとる事が多いと言えども、王子は必ず食堂へやって来る。
コンフィは食堂で昼食をとると決まっているから。
なので、一日一度は必ず顔を合わせることになる。
「…………」
ソワソワ……
「……アンお姉様、大丈夫ですわ。
わたくしたちが、必ずお守りしますわ!」
「あはっ……ありがとう、リア?
でも、わたくしのお食事をお守りするというのも、なんだか変なお話ですわね?」
「確かに……まったく、お食事くらい、
邪魔をしていただきたくありませんわね!」
ぷんぷん!
「うふふ……そうね?」
王子は、ただコンフィに会いたいだけ。
コンフィに会って話をしたいたげ。
だが、コンフィにはそれは当てはまらない。
なぜなら、あの事件以来、王子の顔を見る
だけでも、めちゃくちゃ調子が悪くなる。
それが恥じらいなのか、動揺なのか、
コンフィ本人にも理解できていないのだ。
だがフリージアは、違う。
コンフィは、王子に苦手意識を持っていると考えている。
それも、決して間違いではないのだが……
チクリ!
「ん!…………」
「!……どうしました?」
『あ、まただ…この反応』
「ブツブツ……」
(コンフィに聞こえない小声で呟く)
「………………」
この時、フリージアには、メーべからの
伝具が繋がっていた。
《もうします! もうします!
リア姉様! あと、御目覚めほどで、
ナルキザと脳筋が、大食堂へ
到着いたしますのすですわの!》
《わかったわ ご報告、ありがとうね》
《いえ、どう致しましてですの》
プツッ!
「……そろそろですわね」
「………………(汗)」
メーべの言う、「御目覚めほど」とは、
約3分の事を意味する。
この頃には、フリージアとメーべとの間で、
認識しやすい時間感覚などの暗号を決めていた。
「御目覚め」
アンお姉様が朝起きて目が覚めてから、
意識が明確になるまでにかかる時間。
約3分。
「御安眠」
アンお姉様が眠りにつくまでの時間。
約10分。
「御着替」
アンお姉様がパジャマからドレスアーマーに
着替える時にかかる時間。
約30分。
「可憐飛」
アンお姉様が助走なしで飛べる幅跳びの記録。
約10m。
「匂アン」
アンお姉様の甘い香りの飛距離。
約50m。
これはフリージアとメーべとの間で
固く決められた、絶対的な他言無用の
禁則事項である。
特にコンフィ本人には知られてはならない。
誰にも言えない知られちゃいけない!
万が一知られることになれば、
コンフィは引きこもりになるだろう。
「ナルキザ」
ナルシストでキザなシェンブリィ王子のこと。
「脳筋」
アロガンス公爵子息のこと。
これはまあ、良しとして。
(いいのかよ?!)
「リア?」
「あ、はい! なんでしょうかアンお姉様ん︎︎♡」
「今、チラッと聞こえたのですけれども、
”おめざめ”……とは、なんの事でしょう?」
「あひゃいっ?!……い、いえ!
なん、なんでも御座いませんわ!!」
「……そうですか?」
「…………(汗)」
コンフィも、流石にフリージアの様子が、
何か変だと気づき始めていた今日この頃。
そして、約3分が経った頃……
「やあ!」
「よう! アンビジョーネ嬢」
「にゃい!! しぇ……ひぇん……
だ、第一王子シェンブリィ・アシュ・マイーヤしゃまぁ、アロガンス・セル・ブルワー公爵令息しゃむ……さまっ!」
『あううぅぅ~いかん! 頭の中が真っ白だ!』
「「あはははははははっ!!」」
「なにも、フルネームで呼ばなくてもw」
「クスクスクスクス……w」
「そ、そうですわね? 大変失礼を……(汗)」
「………………(怒)」
『ぐぬぬぬぬ……ナルキザめぇ~(怒)』
(王子を親の仇みたいに睨むフリージア)
「……! ふっ」
(そんなフリージアの視線に気づくも
ニヤケ気味に不敵に笑う王子)
「?!…………ぷっしゅう~~~=3」
『おんのぉるぇえぇえぇ~~~(怒)』
(ゆでダコ状態のフリージア)
「結局、食堂でしか会えなかったね?」
「そう……で、です……わね(汗)」
『ああ~~~調子狂う~~~(汗)』
「今日の科目の予定は、どんなかな?」
(ニッコニッコニッコニッコ♪)
「あ、はい……次は」
「アンお姉様! もうそろそろ行きませんと
間に合いませんことよ!」
パシッ!…グイッ!
(コンフィの腕を掴み引っ張るフリージア)
「あらっ?!…あらあらあら……」
パタパタパタパタッ……
「あっ! おいっ! 話はまだ……」
「………………」
(瞬時に真顔でビー玉の目に変わる王子)
「あらあらあらぁあぁあぁあぁ~~~」
パタパタパタパタパタパタッ
「「「「お待ちくださいませぇ~~~(汗)」」」」
バタバタバタバタッ……
バタバタバタバタッ……
「「………………」」
フリージアは、コンフィが次の時間の科目を
口にしようとした瞬間!
フリージアが、強引にコンフィを連れて、
大食堂から出ていってしまった。
取り残される王子とアロ。
「ふっ……ふふふふ やるじゃないか?」
「……なんだありゃあ?」
今のは、完全にコンフィと王子の会話に
水を差した形になったフリージアではあるが、
本人はそんな事になど気にしちゃいられない。
とにかく、コンフィを王子の魔の手から
守ろうと必至なのであった。
(だから魔の手ってなに?!)
・⋯━☞大廊下南の端☜━⋯・
コツン…コツン…コツン…コツン…
カツコツカツコツ……
カツコツカツコツ……
「(((((・ω・* 三 *・ω・)……」
「…………(汗)」
そして、コンフィたちアザミ女騎士団が、
大廊下の南の端に差し掛かるところだった。
チクリッ!
「!……」
《リア姉様! そちらは危険ですますなの!!
ナルキザ王子が先回りしてますですのぉー!!》
「ひあっ?!……」
フリージアは、慌てていたせいか、
告具で王子の位置を見ていなかった。
王子に先回りされて完全にパニくる!
「えっ?! なに? リア?」
「あ、ああ、いえ……
えええ~~~と……えええ~~~とぉ~~~(汗)」
《リア姉様っ! あと、御目覚めほども、
ありませんなの!》
「!!……アンお姉様、こっちですわ!」
グイッ!
「ああっ! ちょっと、リア?!」
「「「「?!……」」」」
バタバタバタバタッ!
バタバタバタバタッ!
アザミ女騎士団は、フリージアを先頭に、
まるでクジラから逃れる小魚の大群のように、
學園内をアッチへ行ったりコッチへ行ったり。
・⋯━☞大廊下北の端付近☜━⋯・
一方、王子とアロは。
トットットットットットッ……
トットットットットット……
「……んっ!」
ピタッ!
「お?! どうしたシェン?」
「……今、魔力に触れられた……」
「はあ? なんだいそりゃあ?」
「ふぅむ……
君は騎士だから分からないだろうけども、
僕は魔術師だからね」
「……なんの事を言ってるんだ?」
「誰か僕の魔力に触れたんだよ
なんと言えばいいのかな?
ふぅむ……肌に触れられるのではなく、
髪に触れられるような……そんな感覚だよ」
「……さっっっぱり、分かんねぇ!」
「……クフッ……クククククククッ
面白い。実に面白いことをするよね?」
「さっきから、訳の分からないことを
言ってるが、いったいなんだってんだ?」
「僕たちを監視……とも違うかな?
見ている……者が居るんだよね」
「はあ?! それ、ヤバくねぇか?」
「いいさ 実害はないからね
いや、あるにはあるね、絶大な実害がね!」
「……????」
「でも、こう何度もアンビジョーネ嬢との
安息な時間を邪魔されちゃうと、
流石にムカつくよね?」
「……その割には笑ってねぇか?」
「クククッ……ククククククッ……
いやあ、楽しませてくれるじゃないか?」
「はぁ……まぁた、悪い癖が出たよぉ!」
バレていた!
メーべの告具。
対象人物の魔力を感知するその反応は、
高レベルな魔術師には、逆探知されるようだ。
・⋯━☞大廊下の片隅☜━⋯・
そのまた一方、その頃メーべは……
「((;゜Д゜)ガクガクブルブル……」
『バレた?! バレてしまいましたわの!』
……震えていた。
今回は「食堂回」でした。
アザミ女騎士団による
コンフィ防衛作戦が発動しております。
フリージアの必死さもなかなかですが、
王子もなかなかの曲者です。
そしてメーべの監視作戦――
実はバレていました。
この先どうなるのか、
よろしければまた続きをお楽しみください。




