第39-2話(メーべの章)秘密の魔導具
今回はメーべの新発明回です。
図書館にこもって魔導具開発を続けていたメーべが、
ついに新しい魔導具を完成させました。
離れた場所でも会話ができる「伝具」、
そして特定人物の接近を知らせる「告具」。
便利すぎるその魔導具ですが、
どうやら早速役に立つ場面が訪れるようで……?
メーべの発明が、
コンフィを守る力になるのかもしれません。
••✼••数日後••✼••
・⋯━☞図書館個室☜━⋯・
ここは、學園の図書館内個室。
個人用スペースなのですなの。
私はだいたいこの個室で、
魔導具の開発をしていますですなの。
そして今日も、
新しい魔導具ができたのですなの。
一つは、耳の後ろに貼り付けて、
使用するですなの。
特定の人物の魔力に反応して許容範囲内に
入ると、チクリ!と感覚的に刺激を与えて
知らせてくれて、ARマップを展開し、
ポインターでその人物の居場所が
把握できるようになってますですの。
一応、フリージア様と動作確認は、
実証済みですなの。
この魔導具のなまえは、
「告具」ですの。
そしてもう一つも、耳の後ろに貼り付けて
使用するもので、
同じ物を使用している離れた人と
会話ができるという、
とても便利な魔導具ですなの。
声は骨伝導ですので、
外には声が漏れませんですなの。
ですので内緒話なんてできちゃうのですなの。
これは、フリージア様と私のためだけに、
作った魔導具ですなの。
この魔導具の名前は、
「伝具」ですなの。
・⋯━☞魔術師学部寮☜━⋯・
そして今夜、伝具の動作確認しますですわの。
「もうします~もうします~~~ですの」
・⋯━☞女騎士学部寮☜━⋯・
「あ! うんうん! 聞こえますわよ!」
《私も聞こえますのですの! 成功ですの!》
「うん、そのようですわね!
でも、この骨伝導式~~でしたか?
ちょっと変な声に聞こえますわね?」
《はいですの! 音声をホネを通して
鼓膜鼓膜に反応する仕組みなのですわの!
その代わり、外に声が漏れたりしませんです
なので、人前でも使えますわですの!》
「凄いですわね! メーべ貴女天才ですわ!」
《えへへへへ 嬉しいですのぉ~~~
ああ、それと、この伝具では、小声でも
十分に聞こえることが分かりましたですの》
「あら、そうですの?」
《はいですの! 骨伝導の良いところですの》
「そのようですわね? 良くやったわ!
メーべ、御手柄ですわ!」
《えへへへ~~~なの~~~》
・⋯━☞魔術師学部寮☜━⋯・
「ありがとうございますですのぉー!
私、人のために何かを作ったのですの、
初めての事なのですわのおー!
それに、人とお話する事がこんなに
楽しいことと初めて知りましたのですのー!
これもフリージア様のお陰ですわのー!」
《あははっ! メーべ興奮しすぎですわよ?
落ち着きなさい クスクスクスクスwww》
「はやっ!!
も、申し訳ありませんですの(汗)」
《うふふふ……可愛い娘》
「はぁい? なんですかですなの?」
(自分に対して”可愛い”が理解できないメーべ)
《うぅん! なんでもないわ
じゃあこの伝具? 早速明日から
使わせていただくわね!》
「はいですわのぉ!」
《でもこれは、くれぐれもわたくしたちだけの
秘密ですわよ! よろしくて?》
「もちろんで御座いますわですなの!」
《うふふふふふ……♪ じゃあね!》
「はいですなの!」
……プツッ!
「私、やりましたわですわなのー!!」
こうしてメーべは、
また新しい魔導具を開発した。
メーべは自分の発明した魔導具が、
人に認められた事が嬉しくてたまらなかった。
誰にも相手にされず、ずっと孤独だった
自分も認められた気がして。
何より、他人とこれほどに沢山
話したのも初めてだった。
メーべは、いつしか、
コンフィのため、フリージアのために、
魔導具を開発するのが楽しみになっていた。
••✼••次の日••✼••
・⋯━☞女騎士学部教室☜━⋯・
「アンお姉様? 次は、体育ですわねん♡」
「そうね! じゃあ、更衣室へ行きましょう」
「「「「はい! アンお姉様ん♡」」」」
『アンお姉様とお着替えん♡
アンお姉様とお着替えん♡
學園でもアンお姉様の下着姿が
堪能できるなんてサイコーですわぁ♡』
(考えが不純なフリージア)
元々、この學園には「体育」は無かった。
女騎士学部が再開設されてから、
新しく始まった授業の一つである。
ほとんどの生徒が貴族令嬢なので、基礎体力を
身につけるのが目的だとか。
ところが、その時だった。
チクリッ!
「?!……」
(瞬時に表情が険しくなるフリージア)
「!……どうかしましたの? フリージア」
「え? ああ、いえ……(汗)」
「……?」
この時、フリージアの告具に
最も警戒する反応があったのだ。
反応の示す人物は……ナルキザ王子!
そしてまた反応があった!
次の反応は、伝具だった。
チクリ!
《フリージア様! 危険で御座いますですわ!
ナルキザ王子が今、
そちらへ向かっていますですわなの!》
(危険とは……?)
《分かりましたわ! メーべご報告ご苦労さま》
《いえ、どう致しましてですわなの!》
「ぷぷっ……ww」
「……どうしましたの?」
「い、いえ! 何でも御座いませんわ!」
『あらあら、いけませんわ!
メーべの話し方がツボに……w』
確かに、メーべの話し方はユニークだ。
それよりも、せっかくメーべが、
ナルキザ王子がコンフィに近づいていると
報せてくれたのだ。
フリージアが確認した
AR表示されたマップでは、
既に大廊下から、この教室へ続く廊下に
差し掛かる位置にまで来ているようだ。
しかし……これは確かに便利ではあるが、
この様に視覚的に近寄る者が把握できると、
なぜだか恐怖感が生まれる。
フリージアには、マップ上に表示される
ナルキザ王子のポインターが、
生身の人間を襲い食らう、
アンデットモンスターに思えた。
(面白い表現だが仮にも王子に対し失礼すぎる)
「アンお姉様! 急ぎましょう!!」
パシッ! グイッ!
(コンフィ腕を掴み、走り出すフリージア)
「あっ! ちょっと、リア?」
バタバタバタバタッ!
「「「「?!…………(汗)」」」」
(慌てて2人を追いかけるアザミ女騎士団)
バタバタバタバタッ!
バタバタバタバタッ!
そして、しばらく経って……
トットットットッ……
「おーい! アンビジョーネ嬢~~~
っておい、もう居ねえぞ?!」
「?!………………うぅむ」
(腕を組み顎に手を当て考え込む王子)
シェンブリィ王子アロ公爵子息が
女騎士学部教室へやって来た頃には、
もう既に全ての生徒たちは居ない状態だった。
流石に、不審に思う王子。
この頃、コンフィに会えない回数が
増えたことに、不思議に思い始めていた。
なかなか鋭い王子様である。
「……うぅむ」
「ん? どうした」
「変だな……」
「何がだよ?」
「ここ最近アンビジョーネ嬢に会えない機会が
増えているとは思わないかい?」
「…………そか? 偶然じゃね?」
「…………うぅむ 偶然とは……」
「……はぁん?」
(鈍感愚息アロ)
だが、シェンブリィ王子とアロ公爵子息は、
そのまま戻るべき場所へと帰って行った。
フリージアは、
シェンブリィ王子の魔の手から、
コンフィを守ることがでるのか?
(魔の手って、なんだ?※仮にも王子です)
ここまで読んでくださりありがとうございます!
今回はメーべの発明回でした。
実はこの子、かなりの天才です。
ただ、人付き合いが少なかったので、
「人のために作る」という経験があまりありませんでした。
フリージアやコンフィと関わるようになって、
少しずつ楽しさを知っていく感じを書いてみました。
そして次回、
王子はさらにコンフィへ近づいていきます。
果たしてフリージアは守り切れるのか……?
次回もよろしくお願いします!




