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女装剤(ある女騎士の事情)  作者: 嬉々ゆう


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第39話(メーべの章)メーべの観測日誌

その日、コンフィを崇める一人の少女がいた。

ベルドランデ伯爵家三女、メーべ。

小柄で大人しく、あまり人と関わらない少女。

しかし彼女には、

ある“重大な秘密”がありました。

それは――

コンフィ観測オタクであるということ。

しかも、

その観測能力はもはや異常なレベル。

そしてその日。

彼女の学生生活を大きく変える出来事が起きます。



 ・⋯━☞魔術師学部教室☜━⋯・


 カーン! コーン!

  カーン! コーン!……


「はい、時間ですね

 次の授業は、魔法陣についてですー」


「「「「ワイワイガヤガヤ……」」」」

 ガガゴゴッ! ザザーッ!



 ここは、魔術師志望学部の教室。

 教官の授業終了の掛け声と同時に、

 席を立ち、椅子を動かす騒音が響くなか、

 一人だけ、まだ席に座る人影があった。


 彼女は、コンフィに対して人一倍

 超粘っこく推しまくる1年生の少女である。

 

 彼女の名は、

 メーべ・キユン・ベルドランデ

 ベルドランデ伯爵家の三女である。

 コンフィを、


「ツンデレ萌女神令嬢アン様」


 と称して、まさに神如く崇拝していた。

 しかも、どうやって作ったのか、

 コンフィにそっくりに自作した、

 3等身フィギュアを常に持ち歩き、

 コンフィの行動を怖いくらいに把握し、

 自分の時間の許す限り、コンフィを

 追っかける事を生き甲斐にしている、

 ヤンデレミニマム真性オタ少女である。



「………………」


 ガタガタッ……パタン!

  トットットットッ……

 


 メーべは、クラスメイトの全員が教室から

 出るのを確認してから、初めて席を立つ。

 極力、他人と接することを拒む性格

 のように見えるが、実は決してそうではない。


 誰もが彼女に勝手な印象を持つだけなのだ。

 そう。「一人で居るのが好き」と。


 良く言えば、「大人しい性格」、

 並に言えば、「引っ込み思案」、

 悪く言えば、「根暗な陰キャ」。


 まあ皆、勝手なものである。


 だが今日は、そんな彼女にとって、

 学生生活が一変する出来事が起きるのである。



「ん!……んん……」


 トットットッ……



 メーべはマジックバッグから何かを取り出し、

 そしてそれをじーっと見ると、突然!

 何かを思い出したかのように歩き出す。


 メーべが取り出したのは、

 光の精霊の魔力に反応して、時を刻む魔導具。

 メーべはそれを、「時具ときぐ」と呼ぶ。

 いわゆる、「時計」であった。

 しかもそれを、自分で作ってしまったのだ。

 彼女には、「錬金術師」の才能もあるのだ。


 この世界の一日は地球での24時間と同じだ。

 だが、「時間」という概念はあるが、

 「分、秒」という概念が無い。

 しかも、時間を知らせる手段は正確ではなく、

 日の出の「一の鐘」、

 真昼の「二の鐘」、

 日の入りの「三の鐘」の、3つの鐘で、

 一日の大まかな時を知らせられる。


 だが、メーべの「時を刻む時具」では、

 一日を12時間で刻む仕様となっており、

 かなり、正確なものだった。


 教官の持つ時を刻む魔導具とは、

 一の鐘から三の鐘までの時間を、

 6等分に分けて刻まれるものである。

 したがって、一の鐘と三の鐘の時に合わせ、

 毎日設定しなければならず、

 かなり曖昧なものであった。

 

 なので、メーべは知らずのうちに、

 世界規模の大発明をしている訳である。

 メモ盤も、その一つだった。

 だが、本人にはまったく自覚はない。

 ただメーべにとっては、

 「コンフィの行動を知るためだけに、

 開発しただけ」

 にすぎなかった。

 メーべは、その時具を使用して、

 コンフィの行動を正確に把握しているのだ。



 ・⋯━☞學園大廊下☜━⋯・


「ん!…………」

 コソコソッ……



 メーべは、二時限目の授業が終わると、

 大廊下の片隅に身を隠していた。

 そして、人差し指を立てて、

 なにやらブツブツと詠唱を始める。



「…………メモ盤!」

 ポン!


「ふっ!……ん……」


 

 メーべは、「メモ盤」という魔法発動句で、

 目の前に現れた水色の半透明のAR表示された

 「メモ盤」を、指先で操作し、

 それに表示された内容を確認。


 そして、ほんの数秒ほど経つと、

 コンフィ率いるアザミ女騎士団の行列と遭遇。

 

 メーべは、うん!と頷くと、

 メモ盤を消して、コンフィたちを見守る。

 そしてコンフィがやって来るのを見て、

 両手の拳を顎にあてて、

 うるうるな瞳で見ている。


 すると……

 メーベは、今度は反対方向へ視線を向ける。

 その方向からは、王子とアロの姿が。

 そう。まるで最初から知っていたかのように。


 そして、コンフィと王子とが鉢合わせ!

 コンフィは、慌てて

 隠れ場所を探すが見つからず、慌てて

 廊下の端でしゃがみ込み目隠し!


 その様子を見て王子とアロは、

 肩を震わせて声を殺し笑っている様子。


 メーベは、そんなコンフィの様子を尊く感じ、

 じっくり堪能してから、また先ほどのメモ盤に

 今しがた見たコンフィの様子をメモしていた。


『本日のツンデレ萌女神令嬢アン様は、

 王子に鉢合わせして慌てて隠れ場所を探すが

 見つからず、切羽詰まった様子のお可愛らしい

 ツンデレ萌女神令嬢アン様は、大廊下の端で

 座り込みますと、お目を隠しになられた。

 向きの角度は40度前後。

 頭の傾き角度は30度前後。

 脇の締めは(弱)。

 本日のツンデレ萌女神令嬢アン様のお頭には、

 2本のアホ毛が、おありになられた。

 もう、とっくに王子に見つかっておられるのに

 ツンデレ萌女神令嬢アン様、なんて……

 嗚呼、なんてお可愛らしいお姿。』


 と、書かれていた。


 と、そこへ唐突に声をかけられた!

 突然のことで、パニックになるメーベ。



「ちょっと、そこの貴女!」


「!?……んっ……んんっ……?!」

『フリージアさまっ! いつの間に!?』


「貴女、そこで何をしていらしたの?」


「ぎくぅぅ!!」


「そこの、貴女よ!」


「((((;゜;Д;゜;))))ブルブルカタカタブルブルカタカタ…」

『見てたのバレましたのですの!?』


「そんなに怯えなくても、大丈夫ですわ!

 貴女の事は、絶対に誰にも話さないから

 貴女も絶対に、そのメモの事は決して

 他の誰にも、お話しにならないように。

 …………………………いいですわね?」


「(; ゜ー゜)); 。_。)))コクコクコクコクコクコクコクコクコクコク(汗)」

 (必死に神がかった速度で頷くメーべ)


「それから、できればでいいですから、

 そのアンお姉様情報と他に、

 ナルキザ王子とアロ様の情報も、

 我らアザミ女騎士団に、無償で!

 提供してくださるかしら?

 アンお姉様をお守りするために、

 是非とも必要なものなのですわ

 ええ、もちろん! 強制は致しませんわ?

 貴女のお気持ち次第ですわ…………ね?」

 (王子を呼び捨て? 根に持つタイプ?)


「(; ゜ー゜)); 。_。)))コクコクコクコクコクコクコクコクコクコク(汗)」

 (命だけはお助けを~ばりに頷くメーべ)


「うふふ 良かった!

 では、また、ご機嫌よう」


「(; ゜ー゜)); 。_。)))コクコクコクコクコクコクコクコクコクコク(汗)」



 この日から、メーべは、

 アザミ女騎士団の下僕となった。

 メーべは、逐一王子とアロの行動が把握

 できるようになったのは、メーべのお陰だ。



「(;  ̄▽ ̄)

 重い……重いですわぁなの……」



メーべ初登場回でした。

実はこの子、

地味にとんでもない発明をしているのですが、

本人の目的はすべて

「アン様観測」

のためです。

そして当然のように

女騎士団に捕獲されました。

メーべの平穏な学生生活は、

この日を境に終わったのでした。

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