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女装剤(ある女騎士の事情)  作者: 嬉々ゆう


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36/78

第35話 (コンフィの章)婚約者と言われまして

いつも読んでいただきありがとうございます。

第35話です。

思わぬ形で明かされてしまった「婚約者」という事実。

その言葉に耐えきれず、コンフィは闘技場を飛び出してしまいます。

パニック状態の彼女を追うシェンブリィ王子。

そして、彼が語る本当の想いとは……。

少し恋愛色の強い回になりました。

楽しんでいただけたら嬉しいです。


 ・⋯━☞學園内闘技場☜━⋯・



「僕は君の「こいつはお前の」」

「「婚約者なんだってばああああーーー!!」」


「!!……」


「「「「!!!!……」」」」


「なんですってぇえぇえぇえぇ~~~~?!

   ですってぇえぇえぇえぇ~~~?!

     ってぇえぇえぇ~~~

        えぇえぇ~

          ぇ~」



 闘技場の中を、コンフィの絶叫にも似た

 驚愕の叫び声がこだました……。



「「「「ザワザワザワザワ……」」」」


「今、婚約者って言ったか?」

「ええ~~~それホントなの?」

「え? 誰が、誰の?」

「だからシェンブリィ王子と、

 アンビジョーネ嬢がだよ!」

「ええええええ~~~!!」


「………………(恥)」

 (顔から耳から首まで真っ赤なコンフィ)


「お、おい、アンビジョーネ嬢?」


「どうしたの? 大丈夫かい?」


「あうあうあうあうあうあう~~~(恥)」

 (堪らずしゃがみ込むコンフィ)



 この時、コンフィの頭の中では、

((婚約者((婚約者((婚約者((婚約者((婚約者))



 コンフィの頭の中には、もはや、

 「婚約者」のオンパレード。

 それがコンフィの精神を崩壊させるには、

 容易いことであった。



「……アンビジョーネ嬢?」

 (そっとコンフィの肩に触れるシェン王子)


 ぴとっ!……

 ガバッ!!

 


 ナイフを刺すと飛び出す海賊のオモチャのように、突然飛び上がるように立ち上がるコンフィ!



 ガバッ! ぴょん!


「「うわあっ!!」」





 しぃ~~~ん…………






「いやあああああああ~~~!!」

 バタバタバタバタッ!!


「「!!……(焦)」」

 (ビクッ!)


「ああああぁぁぁぁぁ……」

 バタバタバタバタ……


「「(⊙⊙ (⊙⊙ #)………………(汗)」」

 (ポカーン……)


「「「「………………………………」」」」

 (観客席もポカーン……)



 コンフィは、いたたまれなくなり、

 考える間もなく絶叫しながら、

 闘技場から飛び出してしまった……



「……はっ! マズイ!

 追いかけなきゃ!!

 彼女を一人にしちゃ危険だっ!!」


「あっ?! ああ、そうだったあ!!」


「「「「わあああああああーーー!!」」」」

 (観客席の生徒たちも

 コンフィを追いかける)

 ドドドドドドドドドド……ッ!



 婚約者?! この俺が?!

 訳がわからない!!

 いったい、どうなってやがる?!

 婚約者…婚約者…婚約者…婚約者…

 この俺が王子の婚約者だとぉおお?!

 ありえなぁあああああーーーいっ!!


 コンフィは、無我夢中で突っ走った!



 ・⋯━☞闘技場門前☜━⋯・


 カッカッカッカッカッカッカッカッ!!


「ん? あ、おい! どこへ行く?!」


「………………」


 カッカッカッカッカッカッカッカッ!!


「うわっ! おいこら待てぇ!! おわっ!」

 ビュン!

  カッカッカッカッカ……


「……あれ、バリヤージュ嬢か?」



 コンフィは、教官の制止を無視して

 闘技場の門を飛び出す!


 そしてコンフィは、學園正門前へ。



 ・⋯━☞學園正門前☜━⋯・


 カッカッカッカッカッカッカッカッ!!


「ん? はっ!

 止まれっ! 何事だ!

 ええっ……バリヤージュ嬢?!」

 

 カッカッカッカッカッカッカッカッ!!


「どいてぇーーーっ!!」

 シャイィイィ……ン!

 (大剣を抜刀!)


「ひぁあっ?!」

 (大剣を振りかぶるコンフィを見て

  大慌てで逃げる門番)

 バタバタバタバタッ!


 カッカッカッカッカッカッ!!

 

「っつぅえええええいっ!!」

 ブォン! スパァーン!

  ……ガッシャアァアァアァ~~~ン!


「ひぃいぃ~~~お助けぇ~~~(汗)」

 ドシン!

 (尻もちをつく門番)


 カッカッカッカッカッ……


「……なっ?! ちょっ…ええ~~~

 なんだったんだありゃあ?!」



 學園の正門をマジックバッグから

 取り出した大剣でぶった斬る!

 そして門番の制止も虚しく、

 あっという間に、

 街中へ姿を消してしまった。


 門番は、尻もちをついたまんま、

 猛走するコンフィを見送るしかなかった。


 と、そこへシェンブリィとアロガンスが

 遅れてやって来る!


 

 バタバタバタバタッ!

  バタバタバタバタッ!


「おいっ! アンビジョーネ嬢は?!」


「あ、王子!? と、ブルワー子息!

 は、はい! アンビジョーネ嬢なら、

 あ、ああ、あっちです!

 あっちへ走って行かれました!」


「よし! 追いつくぞ!」


「君は、この事を父上……

 国王陛下に報告を!」


「え?……あ、はい!!」


 バタバタバタバタッ!


 

 シェンブリィ王子と、アロガンスは、

 コンフィが向かったと思われる街中へと

 全速力で走るのだった。



 ・⋯━☞マイーヤ城下町☜━⋯・


  ・⋯━☞繁華街☜━⋯・


 バタバタバタバタッ!


「くそっ! どこへ……行った?!」

 バタバタバタバタッ!


「はっ!…はっ!…はっ!…はっ!…

 たぶん……こっちで……あってる!!」

 バタバタバタバタッ!


「な…なぜ…わかる?! はっ…はっ…」

 バタバタバタバタッ!


「匂いだ!」

 バタバタバタバタッ!


「はぁ?!…おまっ…それっ…大丈夫か?!」

 バタバタバタバタッ!


「何がだ?!…はっ…はっ…はっ…」

 バタバタバタバタッ!


「にっ…にっ…にっ…匂いって!」

 バタバタバタバタッ!


「分かるんだよ! はっ…はっ…はっ…」

 バタバタバタバタッ!


「おっ…おまっ…お前っ…変態かよ!?」

 バタバタバタバタッ!


「何とでもっ…言えっ!! はっ…はっ…」

 バタバタバタバタッ!


「あははっ…はははっ…いいんじゃね?!」

 バタバタバタバタッ!


「はっ…はっ…はっ…はっ…はっ…はっ…」

 バタバタバタバタッ!



 なんて会話を全力疾走しながらする

 二人には、もはや恥じらいなどなかった。



 そして、シェンブリィには感じた!

 そう。コンフィの香り。



 「近いぞ! はっ…はっ…はっ…」

 バタバタバタバタッ!


 「!!…はっ…はっ…はっ…」

 バタバタバタバタッ!



 コンフィの香りに気づいたのは

 シェンブリィだったが、

 コンフィの姿を先に見つけたのは、

 アロガンスだった。

 このまま走り続けたなら、きっと

 アロガンスが先にコンフィに

 触れることができる。


 だがアロガンスは……



 「くっ!…わき腹がっ!」

 バタバタバタバタッ!


 「どうした!? アロ!…はっ…はっ…」

 バタバタバタバタッ!


 「はっ…はっ…はっ…はっ……」

 バタバタバタバタッ!


 「先に行くぞ! はっ…はっ…」

 バタバタバタバタッ!


 「はっ…はっ…はっ……」

 タッタッタッタッ……



 アロガンスは、どんどんシェンブリィより

 遅れ始めたのだった。

 

 『今回だけは、お前に譲ってやる

 ……今回だけはな。』


 と、そう思って、

 シェンブリィに譲ったのだ。



 ・⋯━☞飲み屋街のとある店の前☜━⋯・


 ここは、かつて、

 ドゥークが友と

 騎士道を共に目指し始めた場所。

 とある飲み屋の店で、

 現在のストローム騎士団長と

 酒を飲み語り合った場所であった。

 

 だが、まだ日は高く店は閉まっており、

 人の気配もまったくしなかった。


 だがコンフィは、誰かを求めて

 ここへ来た訳じゃない。

 なんとなく、ここへ来てしまったのだ。


 コンフィは、

 その店のドアにもたれるように、

 頭を抱えて悶々としていた。



 タッタッタッタタッ!


「アンビジョーネ嬢!」


「!?……王子…シェンブリィ様?」


「良かった! やっと見つけた!」


「なぜ……ここに?」


「君を探していたんだ」


「……もう、そっとしておいてくださいませ

 わたくしには、王子様の婚約者になど

 なれる資格はございませんから……」


「聞いてくれないかアンビジョーネ嬢?」


「………」

 (首を振って耳を塞ぐコンフィ)



 シェンブリィは、コンフィの肩を掴み、

 言い聞かせるように話し続ける。



「僕は、君を守りたいんだ」


「……」

 (いやいやするように首を振る)


「君がドゥークだとも知っている!」


「!!!!……どうして……それを……」



 コンフィは、

 操り糸の切れたマリオネットのように、

 その場に崩れ落ちた。


 コンフィは、目を見開き、

 わなわなと震え始める。

 この時のコンフィには、

 もはや、「絶望」しかなかった。



「でも、でもね?

 君の過去なんて関係ない。

 僕は、今の君を好きになったんだ。

 愛していると言ってもいい!」


「え…な…なにを……あ、愛?」



 座り込むコンフィの目線に合わせて、

 シェンブリィは腰を下ろし、

 そしてコンフィをそっと抱きしめる。



「な、なにを!?

 おやめになってくださいまし!

 わたくしは……わたくはわぁ!!」



 コンフィは、

 シェンブリィの腕から逃れようと、

 必死に抵抗するが、男の力には抗えない。



「いいから!

 全て僕に任せてくれないかい?

 君の秘密は墓まで持っていく!

 だから…ね?」


「わたくしは……

 すんすん……わたくしはぁ……」



 コンフィは、

 そんなシェンブリィの優しさに心を打たれ、

 抵抗するのをやめて、両腕を下ろし、

 シェンブリィに

 身を預けるようにもたれかけた。

 シェンブリィも、

 そんなコンフィに応えるように、

 より一層コンフィを抱きしめる腕に

 ぎゅっ!と力をこめた。



「ああぁあぁぁ…っはあああ…

 うわぁああああ……あああ……」


「うんうん……泣けばいい 今だけは

 僕の腕の中だけでね……」


「ふぁああああ~~~ん!!

 へぇぁあああああ~~~ん!!」


「そうさ 君は女の子なんだから

 それでいい それでいいんだよ?」


「あああううううん……うん」


「いい子だ いい子だよ よしよし…」



 そして、そんな二人の様子を、

 アロガンスはもの陰から、

 そっと見守るのだった。



「ふっ……カッコつけやがって

 カッコよすぎんだよなぁ……

 でも諦めた訳じゃないぜ」



 この二人、まだまだやらかしそうだ。



 シェンブリィは、

 そんなアロガンスには気づくことなく、

 優しくコンフィの頭を撫でる。

 コンフィも、涙で顔をびしゃびしゃにして、

 そのままずっと、

 シェンブリィに身を預けるのだった。


 もう、コンフィは言葉にならなかった。

 シェンブリィは、

 コンフィの全てを知りながらも、

 受け入れてくれると言う。

 そしてその秘密さえ、死ぬまで守るとも。

 コンフィは、心の底から安心感に包まれ、

 初めて女として、男に守られるという

 女としての、

 自分の弱さを知ったような気がした。


 しかし、涙とは不思議なもので、

 たくさん流すとストレスが軽くなるのか、

 幾分かスッキリするものだ。


 コンフィは、すっく!と立ち上がり、

 そして、こう言うのだった。



「わたくし、アザミ女騎士団団長なのですの!

 今日、ここであったことは、

 他言無用でお願いいたしますわ」


「ふふふ そうだね そうだったね」



 と言いながらも、

 ちょっと寂しい気もするシェンブリィ。

 せめてもうちょっと

 抱きしめていたかった……。

 もっとコンフィの温もりと、

 甘い香りを堪能していたかった。

 シェンブリィは、今回のこの一件で、

 もう、どうしようもないくらいに、

 本気でコンフィを愛してしまったのだった。


 でもコンフィは、未だに自分の気持ちには

 理解はできていない。


 なんであんな事をしたのか……

 くっ!…殺せっ!!




第35話を読んでいただきありがとうございました。

今回は、コンフィが完全にパニックになる回でした。

婚約者発言からの大暴走は、書いていてとても楽しかったです。

そしてついに、シェンブリィ王子の本音も少しずつ見えてきました。

ですが、この二人……まだまだ一筋縄ではいかなさそうです。

これからも、アザミ女騎士団とその周囲の騒動を見守っていただけると嬉しいです。

もし面白かったと思っていただけましたら、

★やブックマークなどで応援していただけると励みになります。

次回もよろしくお願いいたします。

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