第34話 (コンフィの章)闘技場の決闘
第34話です。
第一王子シェンブリィとアロガンスによる、
闘技場での決闘がついに始まります。
互いに譲れない想いを抱えた二人の激突。
そして、その決着の行方は――。
少し長めの戦闘回ですが、
楽しんでいただければ嬉しいです。
・⋯━☞學園内闘技場☜━⋯・
「「「「ワイワイガヤガヤ……」」」」
突然の王子シェンブリィ対アロガンスの
闘技場での決闘の噂により、
授業を放っぽりだして、
生徒たちが闘技場に集まる!
・⋯━☞闘技場観客席☜━⋯・
「なんなんですのこの騒ぎは?!」
「アンお姉様! 身を乗り出しては、
危ないですわ!」
「でも……」
(珍しく慌てるコンフィ)
「「…………」」
(ドキワクなアン様をお慕い申し上げ隊)
・⋯━☞闘技場内☜━⋯・
「まったく、まさかこんな事になるとはね?」
「へっ! 言い出しっぺは、お前だろ?」
「うぅむ もう、仕方がないことさ。
君さえ、黙って僕たちのことを、
見守ってくれさえいれば……」
「だから、言っただろ?
俺も、あの娘が気に入ってるってな!」
「……じゃあ、君と僕。
どっちが、彼女に相応しいか、
ここで決着を付けるしかなさそうだね?」
「望むところだって、言っただろ」
「「うむむむ……」」
2人は、睨み合う。
そんな2人の側へ、
シェンブリィの護衛が近づく。
「さあ、いつでも合図を……」
「わ、分かりました……」
この時の護衛は……
『嗚呼……俺の人生ここで終わりか?
首が飛ぶか、追放か……
どちらにしても、俺のこの右手には
破滅フラグが握られてるよ……(悲)』
などと、護衛の気持ちを知ってか知らずか、
2人はやる気満々である。
流石にキレ気味の王子シェンブリィ。
もう後には引けない。
アロガンスも、惚れた女を諦められない。
さて、彼らの運命は如何に?!
「…………………………始めっ!!」
バッ!
(掛け声と同時に右腕を振り下ろす護衛)
「「「「うおおおおおおおお===!!!」」」」
ドドドドドド……
「むっ?!…」
(表情が険しくなるコンフィ)
「きゃあ!」
(耳を塞ぐほどの大きな歓声と、
決闘に挑む2人の闘志に圧倒されるフリージア)
歓声の轟のあまりの大きさに、
闘技場全体に地震のような振動が響き渡る!
コンフィは、このままでは、
どちらが勝とうが負けようが、
国が分断する可能性があると慌てふためく。
フリージアは、あまりの出来事に混乱し、
コンフィの腕にしがみつこうとするが……
「え? あれ?! アンお姉様?!」
(キョロキョロと周囲を見るフリージア)
この時には既に、コンフィの姿は無かった。
「アンお姉様……?
アンお姉様ぁああああ~~~!!」
「「「「~~~~~~!!」」」」
(決闘の成り行きに興味津々な
アン様をお慕い申し上げ隊)
その頃、コンフィは……
・⋯━☞闘技場内へ続く地下通路☜━⋯・
カッ…カッ…カッ…カッ…!
「バカめ!……何を……考えてやがる!
はっ…はっ…はっ…はっ…!」
カッ…カッ…カッ…カッ…!
カッ…カッ…カッ…カッ……………
コンフィはひとり、闘技場内へ続く
地下通路を全力で走っていた。
・⋯━☞闘技場内☜━⋯・
シャタタッ!
バタバタッ!
互いに距離を置き、離れる。
「……勝たせてもらうよ?」
「へっ! もう勝った気でいるのか?」
「……いや、勝たなきゃいけないんだ!
あの娘を守るため!
この国、そして僕自身のためにもっ!
たとえ、どんな手を使ってでもねっ!!」
「……あん? どういう意味だ?」
「我今、シェンブリィの名において、
精霊に願いたまわる……
敵に打ち勝つために、我に力を!!
パワーブーストぉ!!」
ブォン!……ンンンンン……
「ほぉ?……」
シェンブリィは、パワーブーストを発動!
シェンブリィの体の周りには、
金色の光の繭が包み込む!
続けてシェンブリィが、詠唱を始める!
と、そこへアロガンスが、
シェンブリィの詠唱を終えさせまいと、
背中に背負った大剣を抜刀し、
先手必勝とばかりに、間合いを詰める!
「っっったあああああーーー!!」
ダダダダダダダダッ!
「くっ!……まだ詠唱が……」
「もらったあ===っ!!」
(大剣を大きく背中越しに振りかぶる!)
「うわっ!!」
(間一髪で避けるシェン)
ドズン!……パラパラパラッ……
「!!!!……」
アロガンスの振り下ろした大剣は、
闘技場の床に半分ほどもめり込んだ!
そして、飛び散った砕けた床の破片が
パラパラと2人に降りかかる。
「あっぶないなぁ!
そんなの当たったら死ぬぞ!」
「手加減はしてやる!」
「はは……言ってくれるよね
流石は脳筋だね……エアボンブ!!」
「なっ?!……」
ボォン!!……
「ぐわっ!!」
「ぐはっ!!」
ドサドサッ!
「「「「!!…………」」」」
(一瞬静まり返る観客席)
シェンブリィは、アロガンスの
ほぼ目の前にて、エアボンブを発動!
その瞬間!
空気の爆発による衝撃波によって、
2人は双方反対方向へ吹き飛ばさせる!
「うぉお! いててっ
面白ぇことするじゃねぇか?
まさか、まだ詠唱を続けいたとはな!」
「……参ったな
この一撃で、多方ダメージを
与える予定だったのに……」
「はぁ? あっはっはっはっ!
そりゃあ、残念だったな!
俺は大したダメージはねぇ!
だがその反面、お前は、
結構なダメージを受けたんじゃね?
しかも、自分の発動した魔法でな!
自爆じゃねえか! あはははははっ!」
「………………」
(何も言わないシェンブリィ
だが口元は微かに動いている)
「図星のようだな?
なら、勝利は俺の方だな!」
「ブツブツ……たまえっ!」
「はっ?! お前、何を……」
「サンダーピラーー!!」
「んなあっ?!」
「「「「!!!!…………」」」」
ピシャン!……
ゴロゴロゴロガラガラガラガラガラッ……
ドドドドドドドドォオオオオーーーン!!
「んぐわあああっ!」
「どうだっ!!」
「「「「!………………」」」」
シェンブリィの放った魔法とは、
雷魔法の最高位のサンダーピラーだった。
上空に雷雲を生成し、幾本もの落雷を落とし、
電撃が柱のように敵を包み込む、
シェンブリィ自身が編み出した、
雷系の最高攻撃魔法である。
ただ、この魔法には詠唱がやたらと長く、
また、雷雲の生成にも時間がかかるために
的を絞るのがとても難しく、
動き回る敵には有効ではない。
なので、詠唱のためにわざとアロとの
距離をおくためにエアボンブを先に放ち、
アロが油断するように、わざと不利な戦況と
思わせるための会話をし、更に詠唱を続けて、
足が止まったアロに目掛けて、
サンダーピラーを放ったのだった。
「ぐぼはっ……んぐぬぅ……」
ドッ!……ドサッ……
かなりのダメージを受けたアロガンスは、
膝から崩れ落ち、
勝利はシェンブリィかと思われた。
だが……
「……しぶといね?」
「んっ!……くふっ……ははっ…」
「…………」
「はっはっはっ!……
ぁあっはっはっはっはっはあーー!
やるじゃねえか! うぅん?
流石に今のは、やられたと思ったぞ?」
「……僕もだよ
やれたと、思ったんだけどね?
正直、驚いたよ ここまでタフとはね?」
「ふふん だが、これで戦況はコチラに
傾いたとは思わねえか?」
「……さぁね?」
「確かに俺は大きなダメージを食らったが、
だがお前は、魔力の大半を使い果たした!」
「………………」
「……違うか?」
「……ふふ その通りさ
でもまだ、負けたとは思ってないけどね?」
「はん! なら、その片鱗を、
見せてみろ……や!!」
ダダダダダダダダッ!
「むっ!……」
誰もがアロガンスの負けを確信した!
だが、あれほどの雷魔法を受けておきながら、
まだまだピンピンしてあるアロガンス。
戦況は逆転したかと思われた。
だがっ!!
「おりゃああああーーー!!」
「まだまだぁー!!」
ガキイィイィ~~~ン!
「なっ?!」
「くっ!……へへ」
「お前……どこにそんな力を?!」
「へへ……へへへ…………
まさか僕が、先の一撃に全ての魔力を
使い切ると思っていたのかい?」
「パワーブーストか!! やるなぁ!!」
シェンブリィは、
アロガンスの学園一位と言われる実力の
大剣の一撃を、杖によって受け止めた!
普通なら有り得ないことである。
先ず、シェンブリィはアロガンスに、
パワーで負けていること。
騎士の剣筋を魔術師に見極められないこと。
杖などで大剣の一撃を抑えられないこと。
全てが、常識を逸脱していた。
だがシェンブリィは、アロガンスに匹敵する
剣術を身につけていたのだ!
アロガンスを最大のライバルと認めたがため、
シェンブリィはこれまで努力を続けてきた。
そしてなにより、コンフィを守るために!
ギリギリガキガキ……
剣と杖が擦り合う。
「んぐぐぐうっ……」
「こんのぉ! 負け損ないがぁ!!
今ここで倒れていりゃあ、
楽ができたものを!」
「負けられない……負けられないんだ……」
「ぁあん?」
「負けられない……負けたくない……
負けてたまるかぁあああああーーー!!」
「うをわっ?!」
「ぐわあっ!!」
キィイィイィ~~~ン!
「!!!!……」
シェンブリィは杖で、
アロガンスを大剣ごとを弾き返し、
アロガンスは大剣で、
シェンブリィを杖ごと弾き返した!
そして……
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
「ふぅ…ふぅ…ふぅ…ふぅ…」
「……ってああああああっ!!」
「……っうをおおあああっ!!」
ガキィン! ゴキィン! カキィン!
カァアァン! バキィン! キャイィイン!
シェンブリィとアロガンスとの、
激しい杖と剣との打ち合いが始まった!
アロガンスは、シェンブリィのまさかの
接近戦に対応できることに驚く!
それ以上にその腕前が自分の実力に近いものと
であることに、信じられなくて動揺する。
「くそぉ!……くそぉ!……
なん…なんだ! なん…なんだお前わっ!」
ガキィン! ガイィン! キィイン!
「うるさいっ!……どけっ…どけっ…
僕の…前から…邪魔だ!…どけぇ!!」
クワァン! バキィン! カァーン!
「「「「!!……ぉおおああああーー!!」」」」
とうとう、剣と杖との撃ち合い合戦が始まる!
観客席も再び熱狂に包まれる!
ギャイィイィイィ~~~ン……
「うっ!……」
タタッ!
「かはっ!……」
ズシャ!
互いに撃ち合って弾き飛ばされる!
もう2人のスタミナは底をつきかけていた。
そして、今度こそ最後の一撃!!
「ぬぅわああああああーーーー!!
いい加減に寝てろぉおおーーー!!」
「それはお前だあっ!
アンビジョーネの前からどけぇーー!!」
互いに獲物を振りかぶる!
アロガンスは、真上から!
シェンブリィは横から!
と、その時だった!!
「おやめなさいっ!!」
「「?!……」」
バァン!
「「んなっ?!……」」
シャシャ~~~…………ンンン……
闘技場を静寂が支配する。
全ての者たちの時間が止まったかのように、
誰もが息を止め、思考がフリーズした!
カランカラン!
カチャン!
「「?!……」」
「「「「?!………………」」」」
遠くで、アロガンスの大剣をと、
シェンブリィの魔法の杖が落ちて転がる。
アロガンスは、
両手を挙げたまんまの姿勢で固まり、
シェンブリィは、
両手を真横に構えた姿勢で固まっていた。
そして2人はゆっくりと姿勢を直し、
そっと声がした方に視線を向ける。
そこには、怒りの形相で、
両手に扇子を持つコンフィの姿が!
右手の扇子はアロガンスの手元に、
左手の扇子はシェンブリィの手もとに。
誰もがコンフィが、2人の獲物を扇子で
振り払ったと察したのは言うまでもない。
そして、ようやくコンフィが口を開く。
「なんなんですの貴方々は?!」
「「……」」
「いったい何をしているのですか!!」
「「…………」」
「いつもなら仲良しの貴方々に、
いったいぜんたい、
なにがあったと言うのですか!!」
「「………………」」
「「「「……………………」」」」
闘技場がまた、静まり返る。
すると今度は、静かに話し始めるコンフィ。
「……はぁ~~~まったく、
これだから男の子は……
どうしたと、言うのです?」
「……誰のためだと思ってるんだよ」
「はぁい? なんです?」
「そうだよ……誰のためだと思ってやがる」
「はぁあぁい?! んもぉ~~~!
ほんっっっと! 嘆かわしいことですこと!
男の子なら、ハッキリと仰いなさいな!」
「……やくしゃなんだ」
「……はい? なんですって?」
「……ん約者なんだ」
「やくしゃ? なんですかそれ?」
「僕は君の「こいつはお前の」
「「婚約者なんだぁーーー!!」」
「??!!…………………………へ?」
一瞬、シェンブリィとアロガンスの
発する言葉が理解できないコンフィ。
「「だぁーかぁーらぁ~~~!」」
「…………」
「僕は君の「こいつはお前の」」
「「婚約者なんだってばああああーーー!!」」
「!!……」
「「「「!!!!………」」」」
しぃいぃいぃ~~~~~~ん…………
また、闘技場を静寂が支配した。
「なんですってぇえぇえぇえぇ~~~~?!
ですってぇえぇえぇえぇ~~~?!
ってぇえぇえぇ~~~
えぇえぇ~
ぇ~」
闘技場の中を、コンフィの絶叫にも似た
驚愕の叫び声がこだました……。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回は闘技場での決闘回でした。
シェンブリィとアロガンス、
それぞれの意地と想いがぶつかる戦いでしたが、
最後は思わぬ形で決着(?)となりました。
そして、まさかの「婚約者」発言……。
次回、コンフィはどう反応するのか。
ぜひ続きをお楽しみください。




