第33話 (コンフィの章)王子 vs アロガンス
第33話です。
コンフィの周りでは、なぜかラブレター騒動が続いていました。 そんな中、第一王子シェンブリィとアロガンスの関係にも 大きな動きが起こります。
そして、ついには闘技場での決闘騒ぎへ――。
少し騒がしい回ですが、楽しんでいただければ嬉しいです。
••✼••一週間後••✼••
・⋯━☞學園の中庭☜━⋯・
「…………どのようなご要件でしょう?」
「あ……あの……ええと……その……(焦)」
「…………はぁ(困)」
『またかよ…次から次へとウザったい』
コンフィは、學園の中庭にいた。
いや、「魔法の手紙鶴」によって、
この場所に呼び出されたのだ。
「魔法の手紙鶴」とは、
折り鶴に折られた自飛する手紙である。
実はかれこれ、一週間はこんな手紙を
受け取っているコンフィ。
初めて受け取ったときは、
また新しい新入団員の申請かと思ったが、
いざ待ち合わせ場所へ来てみれば、
実は受け取った手紙鶴とは、
ラブレターだったと知ったのだった。
その相手とは、男女関係なし!
上級生からも来る始末!
流石に毎日のように送られちゃあ、
もう、ウンザリするコンフィだった。
でも、コンフィは、無闇に蔑ろにはしない。
いや、むしろコンフィにとっては重い!!
特に、女の子相手にしては!!
野郎相手になら、
「ごめんなさい」
一言でだいたい済むのだが、
相手が女子だと、
無下に断ると行けない気がする?
傷つけてしまうのでは?と気が気でない!
こんなとき、どう断れば
相手を傷つけずに済むか?
この學園へ来たばかりの頃は、
オカマ(女装)やってる気分で、
なんともいたたまれなかったが、
この頃は自分は女なんだと、
しっかり自覚できるようになっていた。
とはいえ、女の子の気持ちが分からない。
女の子だけど……
男の気持ち?
自分でも分からない!(なんだそれ!)
ストレートに「すまん!」でいいのでは?
という訳で、今回は男だったので、
こんな場合は、その名も!
「社交辞令カーテシー」
「申し訳ございません
わたくしは、剣一筋でございますので」
(社交辞令カーテシー)
「!!……あは、あはは……
で、ですよねぇ~~~
わかってましたぁ~~~」
トボ……トボ……トボ……トボ……
(項垂れて去っていく男子)
「…………(困)」
『……すまん! 許せよ男子君っ(困)』
ま、大抵これで済む話……
まさに! これぞ、鉄板テンプレお約束!
『しかし、何度見ても痛々しく哀れな姿だ。』
コンフィは、この歳まで独り身だったので、
振られる経験がない。
ましてや、剣一筋だったので、
恋とは、どういうモノかも分からない。
恋愛以外の「愛」なら知るコンフィ。
一歩間違れば百合だが……
それでも、そうは言ってもいられないので、
断り続けるしかない。
貴族間での交際は、即結婚なので、
下手に受け入れる訳にもいかない。
今更、恋だの愛だのと、
浮ついた事柄に興味の欠片も無いが、
この見た目からか、(自覚あり)
一言断りの言葉をかけるだけで、
何も無かったかのように済むのだから、
常用させてもらっている次第である。
だが、それが全く効かない奴らがいる。
「やあ! 相変わらずモテモテだねぇ?」
「!……王子シェンブリィ様」
「まったく、容赦ないな?」
「……と、アロガンス様
お二人とも、ご機嫌麗しゅう御座いますか?」
(社交辞令カーテシー)
「あははっ! いいよいいよ!
僕にはそんな形式的な挨拶は無用さ!」
「まぁな、俺も必要ねーぜ」
「……はぁ 左様で御座いますか
では、わたくしはコレで……」
コイツらには、関わりたくないと、
サッサと立ち去ろうとするコンフィ。
だが……
「あ、ちょっと待ってくれないかい?」
「おぅおぅ、待て待て!」
「!……はぁ、なんで御座いましょうか?」
『チッ! 離脱し損ねた!』
「うん! 特に用はないんだけどね!」
「うん、まあ、そうだな」
「…………はぁい?」
『ないのかよ……じゃあなんだよ(困)』
こんな風に、
「わざとか?」
と、聞きたくなるような
シチュエーションを組んでくる。
まったくもって、煩わしいガキ共だ。
「……ふふ」
『……なぁんて、思ってるのかな?』
(末恐ろしい王子の思考)
「………………?」
(そんな王子に怪訝な目のコンフィ)
「そう言えば、アンビジョーネ嬢?」
「はい、なんでしょう?」
『その名で呼ぶなよ脳筋君!』
「お前、卒業したら、あの……
アザミだっけか?」
「はい、そうですわね
それで合ってますわよ」
「うん アザミ女騎士団の団長として、
活動するってぇ聞いたが本気か?」
「……うん?」
(表情が変わる王子)
「はぁい? それは、いったい、
どういう意味で御座いましょうか?」
「そりゃあ、だってお前は、シェンのこんや……」
「さあっ!
そろそろ行こうかアロガンスくん!」
「うわっ?! なんだおい!!」
「……???」
アロガンスが、何かを言いかけた途端に、
王子がアロガンスの口を手で塞いで、
強引に連れ去ろうとする。
いったい、なんだったのだろうか?
「じゃあ、またね!
アンビジョーネ嬢!」
「なんだってんだよ! おおい!!」
バタバタバタバタッ……
「は、はあ……
失礼します致しますわ……?」
王子は、アロガンスの後ろ襟首を掴んで、
強引に引きずるように、
アロガンスを連れて去ってった。
まったく、お偉い様の考えることは、
さっぱり分からない。 (アンタもね)
抱えるモノも大きいせいか、
悩みもさぞ大きく多いのだろうな。
……と、考えることにした。
・⋯━☞生徒会室へ続く通路☜━⋯・
「アロ! さっきは何を言おうとしたんだい?」
「へ? だってお前は……って、おぃおぃ!
何をそんなに怖い顔してんだ?」
「まさか、僕とアンビジョーネ嬢との
婚約の話をするつもりだっただなんて、
言わないよねぇ?」
「へぇ? いや、まあ……」
「……ねぇ? どうなんだい? うぅん?」
「!……すまん!
つい、言いかけた、すまんすまん!」
(なんだ、コイツ 本気で怒ってやがる)
「ダメだよぉ? 婚約の話は……
まだ非公式なんだし、特にあの娘には、
ある時まで、秘密にしなきゃ
いけないんだからさぁ!」
「わ、わ、分かった!
分かったから、その手を離せっ!」
パッ!……
(王子は、アロガンスの後ろ襟首を離した)
「うおえっ! ケホケホッ!
まったく、馬鹿力めっ!」
「悪いのは、君だろう?」
「だから、悪かったってぇ!!」
「はぁ……ったく」
アロガンスは、王子シェンブリィの
滅多に見せない背筋も凍る、
まるで血の通わないガラス玉のような
目をした怖い顔には、少しビビった。
だが、その反面、
コンフィを守ろうとしている事には、
理解しているアロガンスだった。
ただ、ここまで躍起になるほどに、
コンフィのいったい何を、
守ろうとしているのか?
「お前、そんなにアンビジョーネ嬢が
好きなのか?」
「好きだよ!」
「!!……即答かよ」
「彼女は、誰にも渡さない!
彼女は僕の婚約者だからね」
「ふっ……”まだ婚約者”……だろ?」
「君……まだ分かっていないようだね?」
「さあな? 俺だって、気に入ってるんだ
アンビジョーネ嬢にはね」
「…………」
(ギロリとアロガンスを睨む王子)
「…………」
(負けじと睨み返すアロガンス)
「いいだろう なら……
決着を付けようじゃないか?」
「へへ 望むところだ!」
ぅおっと!
これは、一人の女を賭けての、
いきなりのハードボイルドな展開か?!
流石にたとえ幼馴染でも、
イラムカが募る第一王子シェンブリィ!
「俺に対して水臭いぞ」と、
腹が立つ王弟陛下子息のアロガンス!
自分の婚約者を、そして秘密を守りたい
王子シェンブリィ。
「シェンブリィ・アシュ・マイーヤ」
シェンブリィ(寛大)
アシュ(愛)
マイーヤ(魔術)
そして、物であれ人であれ、
欲しいと思ったらなんとしても
手に入れたいアロガンス!
「アロガンス・セル・ブルワー」
アロガンス(威張る)
セル(狙う)
ブルワー(欲しい)
彼らの勝敗の行先は如何に?!
……みたいな展開かこれはー!
「君、今すぐに闘技場の使用許可を」
「はっ!」
タッタッタッタッタッタッ!……
王子シェンブリィは、
闘技場の使用許可を得に、
護衛の一人に指示をする。
まあ、王立の學園なのに、
王子がひとこと言えば、
許可も何もあったものでは無いのだが……
そのせいか、
第一王子シェンブリィと、
皇帝陛下子息アロガンスとの、
闘技場での決闘の噂は、
瞬く間に學園内に広まる!
••✼••1時間後••✼••
・⋯━☞學園内闘技場☜━⋯・
「「「「ワイワイガヤガヤ……」」」」
突然の王子シェンブリィ対アロガンスの
闘技場での決闘の噂により、
授業を放っぽりだして、
生徒たちが闘技場に集まる!
「王子、お考え直しください!
いくら王子とはいえ……」
(立場上、止めなければならない側近)
「君、それ誰に言ってるんだい?」
「!……し、失礼致しました(汗)」
(ササッ!と身を引く側近)
「おぃおぃ、そりゃあ可哀想だろ?」
「ふふ……もう今更、
そうも言っていられないだろう?」
「違ぇねえ……」
・⋯━☞闘技場観客席☜━⋯・
「「「「ワイワイガヤガヤ……」」」」
「なんなんですのこの騒ぎは?!」
「アンお姉様! 身を乗り出しては、
危ないですわ!」
「でも……」
(珍しく慌てるコンフィ)
「「「「…………」」」」
(ドキワクなアン様をお慕い申し上げ隊)
流石にキレ気味の王子シェンブリィ。
もう後には引けない。
アロガンスも、惚れた女を諦められない。
さて、彼らの運命は如何に?!
一方その頃、王宮では……
・⋯━☞王宮控え室☜━⋯・
コンコン!
《国王陛下! 緊急の報せです!》
「うむ 入れ」
カチャ!……パタン!
「何事か」
「は! 実は、王宮學園内にて、
第一王子シェンブリィ様と、
皇帝陛下のご子息アロガンス様との、
闘技場での決闘が行われるとの報告が……」
「?!……はぁ~~~まったく
まさか第一王子に、
こんな一面があろうとは……」
「……如何なさいますか?」
「うむ どうせ止めても無駄であろう
この事は、決して學園内から
表には出さぬように」
「はっ! 仰せのままに」
……パタン!
「ああ~~~なにをやってるんだ
シェンブリィの奴は?」
「うふふふふ
あの子にも、第一王子として
何ものにも代えがたいモノが
できたというところでは?」
「今まで何も欲せぬ王子だとは
思ってはいたが、
まさか、バリヤージュ家の令嬢に
ここまで固執するとは……」
「固執と言うよりも、
それほどまでに好きなのでしょう
普通、政略結婚というものは、
自分や相手の気持ちなど皆無
良いではありませんか」
「そうなのだが……
そうなのだがなぁ……」
「あら? わたくしには、
貴方から、とっても不快愛を……
いえ、深く熱い愛を感じておりましたわ
ねっ! あ・な・た!」
「はいぃいぃっ!(汗)
それは、もちろんだとも!!」
(王妃様に尻に敷かれている王様)
「うふふふふふ
今度、バリヤージュ嬢にも、
お茶会などにお呼びしたいですわ」
「そ、そうだなぁ……
十分に、もてなしてあげなさい」
「もちろんですぅわあ!
ずっと、あの娘に会いたいと、
思っておりましたの!」
(きた!盛大なフラグ)
「……そうか
しかし、バリヤージュ家に、
あのような娘が居たとわなぁ……」
(コンフィの正体を知らない王様)
「うふふふふふふふ……
確か、彼女が産まれたばかりの時に、
何者かに攫われたとか?(王子の策略)
ほら、つい最近の事ですよ!
攫われた娘が見付かったと……」
(コンフィの正体を知っている王妃様)
「そうだったなぁ……
なんとも、哀れな話よの」
(遠い目の王様)
「そうなの!
とおっても、楽しみですぅわぁ~!
月一、いえ月に二度は開きたいわね!」
(目を輝かせる王妃様)
「あまり頻繁に呼び出しては、
あの娘も可哀想じゃぞ?」
(優しい王様)
「分かっておりますとも!」
(分かってない王妃様)
普通、王侯貴族のお茶会とは、
三ヶ月に一度程度行なわれるもの。
月一とは、流石に多すぎる!
しかも、一人の娘のためだけに……
王家が開く茶会ともなると、
いったいどれ程の金をばら撒くのか?
それを考えると、ゾッとする王様だった。
「いや、しかしだな……
ほれ、確かぁ~~~
アザミ女騎士団とか、言っておったな?」
「はぁい! 是非ともアザミ女騎士団について
色々とお話もお聞きしたいと思ってとります」
「そ、そうか……
まあ、程々にな?」
(ほんっとに優しい王様)
「もちろん、心得でおりますぅわあ!」
(まったくもって口だけの王妃様)
「………………(汗)」
コンフィの事を気の毒に思う優しい王様。
コンフィとのお茶会が楽しみな王妃様。
ああ……第一王子と皇帝陛下子息との
學園内での決闘の話は何処に?
そして、コンフィの運命は?
ああ、怖っ……
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回は王子シェンブリィとアロガンスの 決闘騒動の回でした。
そして王宮では、王様と王妃様の 少し温度差のある会話も……。
次回はいよいよ闘技場での展開です。
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