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女装剤(ある女騎士の事情)  作者: 嬉々ゆう


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第29話 (コンフィの章)新入生の甘い試練

新入生のコンフィとフリージア。

その日の朝、二人の間に思わぬ“事件”が起きる――

微妙な距離感と、焦れったい甘さが詰まった第29話ですわ



  ・⋯━☞女騎士寮棟☜━⋯・


 ・⋯━☞コンフィの部屋☜━⋯・



 カァーン……コォーン……

  カァーン……コォーン……


 遠くから、鐘の音が聞こえる。

 決して大きな音ではなく、普通の人なら、

 聞こえずに目が覚めるレベルではないが、

 騎士としての習慣なのか朝の鐘(一の鐘)が鳴ると、

 パッと目が覚めるコンフィ(アンビジョーネ)。


 そして、横を見ると、フリージアが……



「なぜ、このが俺のベッドに?」


「すぅ……すぅ……」


「……まったく、このは……」



 少々呆れ気味になるのだが、

 昨夜の一悶着……というほどではないが、

 だいたいこの、フリージアという娘が、

 どんななのか、分かってきたコンフィ。



 ••✼••昨夜のこと••✼••



「アン姉様? 今夜から一緒のベッドに寝ても

 構いませんでしょうか?」


「はい?! あ、いえ……ゴホン!

 何を仰ってるのフリージアさん?

 ベッドは各々用意されておりますので、

 ご自分のベッドにお寝んなさいな」


「そんな、わたくしに”さん”なんて

 付けなくてもよろしいですのよ、アン姉様!」


「いえ、そうはまいりません

 わたくしと、フリージアさんは、

 今日、出会ったばかりの間柄です

 それに、同じ新入生ではないですか」


「いえっ! そんな、恐れ多い!!

 お願いします!

 わたくしのことは、”リア”と、

 お呼びくださいませ!」


「そ、そうですか?

 では、リア……」


「はい、アン姉様!」




「はい では、おやすみなさいませ」


「……おやすみなさいませ」


 カチッ!……フッ



 コンフィは、枕元の照明魔導具の灯りを消した。

 すると、フリージアがまだ、

 コンフィのベッドの脇に立っているではないか!



「な、なにをいていらっしゃるの?」


「アン姉様? わたくしもアン姉様のベッドで

 寝ても構いませんでしょうか?」


「はい?! あ、う”う”ん!

 それは、いけませんわ

 何のために、2人分のベッドが

 用意されているとお思いですの?」


「!……そう…ですよね」


「!?……」


 ドボ…トボ…



 フリージアは、

 「この世の終わりのような顔」

 をして、肩をガックリと落とし、

 自分のベッドへと向かいドボドボ歩く。

 後ろから見ると、気の毒になるほどだ。


『そこまで落ち込むことなのか?

 そんな酷いことを言ったつもりはないが…』



 そして、しばらくすると……



 ゴソゴソ……


「ん……んん…………」


 ゴソゴソ……ゴソゴソ……


「んんん……はっ!?」


「あ! 起こしてしまいましたかアン姉様?」


「!!!!…………(焦)」

『ひぃいぃいぃ~~~!!

  何してるのこの?!』



 なんと、フリージアが、

 コンフィのベッドの布団の中に、

 潜り込んできたのだ。

 なぜ、こうなったのか?

 なぜ、フリージアが、

 自分のベッドの布団の中に居るのか?

 なぜ、こんな状況になってしまったのか?

 もう、コンフィの中では大パニック!!



「アン姉様……わたくし……

 枕が変わると眠れなくなるのですわ」


「そ……そうなのですね」


「どうか今夜だけでも……

 どうか……どうか、ご一緒に……」


「わ、分かりましたわ

 今夜だけ……ですわよ?」


「はい、アン姉様!」


「!!……(焦)」

『ひぃいぃ~~なぜ、こうなったぁ~~~』



 ••✼••数分後••✼••



「すぅ……すぅ……」


『はやいなおい!

 もう寝たのこの?!

 この状況で眠れるなんて、

 いったい神経をしているんだ!?』


「すぅ……すぅ……あん……さま……」

 (↑こんな神経)


『これはまさに、前途多難だな……(汗)』



 と、こんな事があった。



 ・⋯━☞マイーヤ学園正門前広場☜━⋯・


「あ! バリヤージュ様!

 おはようございます!」


「おはよう」


「おはようございます! バリヤージュ様!」


「おはよう」


「「おはようございます! バリヤージュ様」」


「おはよう……おはよう」



 コンフィは、なぜか1夜明けただけなのに、

 もう殆どの女子生徒たちから、

 朝の挨拶をされることに……

 先日の試験での一件が、効いているようだ。

 こんな低度の事なら、特に問題は無い。


 問題があるとしたならば……



「ほら! アン姉様がお通りですわよ!

 道をお開けなさい!!」


『なんて事を言ってんだこのは?!』


「「「「ザワザワザワザワ……」」」」 

 サササササササッ!


「…………(焦)」

『うわぁ~なんなんだ、この状況ぉ~~(焦)』


 

 フリージアの一言で、

 コンフィの姿を一目見ようと寄ってきた人たちは、まるでコンフィを大名行列かのように、左右に分かれて道を開ける!



「ふ、フリージア?

 わたくしも、ただの新入生の一人。

 そんな対応はご無用ですわよ?」


「そうですか? はい、畏まりましたわ」


「……ホッ」


「ほら! あなたたちっ!!」


「えっ……」


「アン姉様の、とても有り難いお気遣いに

 感謝なさいませ!」


「!!!!………………(焦)」

『なんだそれは~~~!!

 有り難いお気遣いってなんだ!?』



 ただ、ここで言えることは、

 コンフィは文句無しに、

 女騎士学部の中では、最高実力者扱い。

 そして、フリージアも、

 コンフィに次ぐ実力者として、

 認識されているのは確かだろう。

 なので、誰も文句を言う生徒は一人もいない。


 なんで、こうなった……

 なんで、こうなった……


 コンフィのアタマの中で、

 自分の戸惑う言葉がリピートしていた。



 ・⋯━☞學園内大廊下☜━⋯・


 コツッ…コツッ…コツッ…コツッ…

  コツッ…コツッ…コツッ…コツッ…


「……」


「……♪」



 コンフィが大廊下を歩くと、

 ハッ!と後ろを見て、コンフィに気づくと、

 ササッ!と脇による生徒たち。


 コンフィは、少々困惑気味だが、

 表情は扇子で隠している。

 だが、フリージアとはいうと、

 なぜだか、ドヤ顔でコンフィの後ろを歩く。


 ここでの、他の生徒たちが、

 この2人に近づけない理由は、果てして……


 目を半開きにし、少し顔を下げ、

 右手に持つ扇子で口元を隠し、

 左手を右腕の内肘に当て、

 足はほとんど膝を曲げずに、

 一本の線の上に脚を運ぶように

 踵から踏み込みベタ脚でなく、

 優雅にそして凛々しく歩くコンフィか。(長っ)

 (偉大なる母の教え(偏見))


 それとも、ドヤ顔のフリージアか。(短っ)


 そんなの、前者に決まってるだろ。

 (誰のツッコミ?!)


 この時、コンフィは思った。


『嗚呼……いたたまれない(汗)

 まったく、前途多難な学園生活部だな』


 だが、この日は何時もとは違った。

 他の生徒たちとは、一振も二振りも違う、

 また、風格も雰囲気も違う者が現れた。



「やあ、バリヤージュ嬢

 ご機嫌は、いかがかな?」


「「!!……」」


「「「「ザワザワッ……」」」」



 そこに、現れたのは、

 この国の第一王子の、

 「シェンブリィ・アシュ・マイーヤ王子」

 だった。

 また、王位継承者でもある。

 コンフィが知らない訳などなかった。



「これは、シェンブリィ・アシュ・マイーヤ王子

 ご機嫌、麗しゅう御座いますか?」

 シャラララ~~~ン♪

 (見るも見事なカーテシー)


「はっ!……」

 (慌ててコンフィを真似して

  カーテシーのフリージア)



 この時フリージアは、

 一切言葉を放つことなく、カーテシーを行う。

 身分の低い者からの王族への声掛けは、

 決してしてはいけないルールである。

 身分の高い方から挨拶をされてから、

 初めて声を出しての挨拶ができるのである。

 そこは、フリージアも弁えているようだ。



「うん とてもいいよ

 フリージア嬢も、ご機嫌いかがかな?」

 (フリージアにも声をかけてくれる優しい王子)


「こ、これは、

 シェンブリィ・アシュ・マイーヤ王子

 ご機嫌、麗しゅう御座います……か?」


「うん! とってもいいよ」


「「…………」」



 王子シェンブリィは、

 悩みなど一つも無いだろ?と聞きたくなるほど

 ニッコニッコしている。

 

 やりづらい……

 実に、やりづらい……

 お母様に匹敵する……いや、それ以上か。


 こういうタイプが、一番苦手なコンフィ。

 下手に振る舞えば我がバリヤージュ家としての

 沽券に関わる可能性がある。

 ましてや相手は王族である。

 バリヤージュ家は、何代も前から、

 王族の、またこの国の発展にも貢献してきた。

 (金銭的に)

 立場的にも、決して蔑ろにされる訳ではない。

 だが……


 ああ、また面倒な童に……

 いや、扱いに困る人に出会ってしまった。


 嫌な予感しかしない……



コンフィとリア(フリージア)の微妙な関係、読んでいて胸がにやけますわね。

次回は、学園での新たな事件と、王子との関係も少しずつ動き出しますわ。

お楽しみにですの!

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