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女装剤(ある女騎士の事情)  作者: 嬉々ゆう


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第25-5話 (コンフィの章)「アンビジョーネ誕生」

 48歳部下想い堅物オジサン副団長が、

 騎士人生絶望的な大怪我をして

 女装剤を飲まされ超回復!


 でも、女の子になっちゃいましたので、

 女騎士始めました。


 ところがなぜか愛されキャラに?


 褒め方分からないのでとにかく

 「いい子いい子」

 してたら懐かれました(汗)

 ・⋯☞バリヤージュ侯爵家・客間☜⋯・


 

 俺は、ストローム騎士団副団長ドゥーク。

 48歳ベテラン騎士。

 

 王命により、

 「バジリスク盗伐命令」

 が下り、俺たち騎士団は、

 バジリスク討伐へと向かった。



 ・⋯━☞バジリスク出没地☜━⋯・



「まずい!」



 バジリスクの石化唾液が飛ぶ。



「下がれ!!」


 ドンッ!


「うわっ!」


 バシャッ!

「ぐわあっ……」


「「副団長おおおおー!!」」


 若手騎士を突き飛ばした瞬間、

 右足に灼けるような衝撃が走った。


 膝が崩れる。

 剣が地面に落ちる。



『……ああ、ここまでか』


「ドゥーク!!」

「「「副団長おおーーー!!」」」


『く…くそっ……』


 ………………

 …………

 ……



 だが、目が覚め気がつくと……




「……ん……?」



 いつものように、夜明け前に目が覚めた。

 騎士としての習慣が、

 体に染みついている。


 だが……



 ・⋯━☞どこかの部屋☜━⋯・



「あれ?……軽い……?」



 体が、異様に軽い。

 あの、年齢と脂肪と疲労が、

 積み重なった“重さ”がない。


 確か、バジリスク戦で、

 部下を庇ってバジリスクの石化唾液を

 この右足に受けて……

 でも、右足はちゃんと……ってあれ?


 ドゥークは、

 寝ぼけた頭で上体を起こし……



「……ん? 手……?」



 自分の手を見た。


 小さい。

 白い。

 細い。

 ぷにぷにしている。



「小っさ!? なんだこの手ぇ!?

 俺のゴツゴツした手はどこ行ったぁ!?」



 今度は足を見てみた。



「細っ! ってか、なんだこの布?

 え? スカート? ふぇえぇえ?!

 ぇぇええええええええ~~~!!」



 思わず叫んだ声が――



「……声、高っ!?

 誰だ今喋ったのは!? 俺かぁ!?」



 完全に女の声、いや少女の声だった。


 慌てて布団をめくると、

 ふわり、と長い髪が肩から滑り落ちる。

 胸が揺れる……揺れるっ?!



「髪……長っ!? なんだこれぇ!?

 胸!? 胸あるぅ!? なんでぇ!?

 しかもヒラヒラのワンピース!?

 ここどこ!? 俺の部屋じゃねぇ!!」



 完全にパニック。


 部屋はどう見ても“令嬢の部屋”。

 レースのカーテン、花柄の壁紙、

 そして女の匂い。



「落ち着け俺……いや落ち着けねぇ!!」



 ドゥークは、部屋の隅に

 “わざとらしく”

 置かれた姿見を見つけた。



「……絶対見たらダメなやつだろ……

 いや、でも……見ないと……」



 震える足で鏡の前に立つ。


 そこに映ったのは……



 白い肌。

 大きな瞳。

 長い睫毛。

 ふわふわの白金の長い髪。

 完璧なお嬢様風ドレス。

 そして、どう見ても“悪役令嬢”。



「ぎょわああああああああああああ!!

 誰だこの悪役令嬢はぁああああ!!

 ……俺ぇえええええええええ!?!?

 って、いやあぁあぁあぁあぁ~~!!」



 ドゥークは、姿見の前で、ムンクの叫び!

 もう、頭の中は大パニック!

 その絶叫は屋敷中に響き渡った。


 ドアの向こうの廊下で、

 バリヤージュ侯爵夫人がほくそ笑む。



 ・⋯━☞部屋の外の廊下☜━⋯・


「ふふ……目が覚めたようね♡」



 ・⋯━☞バリヤージュ屋敷内☜━⋯・


 そして、ドゥークは……



「いやあああああああああああ!!

 なんで俺こんな格好してんだぁあああ!!

 スカート邪魔ぁあああ~~!!」


 ドタバタドタバタッ!!



 ドゥーク(中身おっさん)は、

 スカートの裾をつまんで、

 屋敷内をはしたなく大股で全力疾走。


 侍女たちは――



 ドタバタドタバタッ!!

  バタドタバタドタッ!!


「きゃ……可愛い……♡」


「捕まえて! 逃げると危ないわ!」


「いやだぁあああ!!

 触るなぁあああ!!」


 ドタバタドタバタッ!!


「お待ちください!

 お嬢様ぁああ~~!!」


「お嬢様ぁ! はしたないですよぉ!」


「どぉわあれが、

 お嬢様だぁあああ~~!!」


 ドタバタドタバタッ!!


「捕まえたっ!!」


「きゃあああああ~!!

 離せぇえええ~!」


 バタバタバタバタッ!!



 女ドゥークは、まるで肉食獣たちに、

 むしゃぶり食われる様な状態に……



 ベタベタモミクチャモミクチャ……



「……あっ♡」



 最終的に、侍女三名により捕縛され、

 ずるずると母の部屋へ連行された。



 ・⋯━☞侯爵夫人の部屋☜━⋯・


「あら、

 目が覚めたのね、アンビジョーネ?」


「Σ( ̄□ ̄;)!? 誰それ!?

 俺はドゥークだ!!」


「今日から貴女はアンビジョーネよ♡

 わたくしの可愛い娘よ。」


「なんだとぉおぉおぉおぉ~~~!!」



 侯爵夫人は優雅に微笑む。



「だって、貴女……

 女の子になったのですもの。」


「いやいやいやいや!!

 なんでそんな、

 落ち着いているのですか母上ぇ!!」


「だって、仕方がなかったのです!」


「!!…………いったい、なぜ?」



 バリヤージュ夫人は、

 なぜこんな事になってしまったのか、

 その理由を静かに語り始めた。


 ストローム騎士団への

 「バジリスク討伐命令」の王命が下り、

 ドゥークは、

 ストローム騎士団副団長として、

 先頭を切って討伐に挑んだ。


 だがしかし……

 討伐は成功したものの、ドゥークは、

 バジリスクの石化唾液攻撃を右足に受け、

 右足の大半を石化されてしまった。

 しかも、動けなくなったドゥークは、

 他の魔物たちにも猛攻撃を受け、

 右足の石化とともに瀕死の状態となって、

 バリヤージュ家に運ばれることとなった。


 バリヤージュ夫人は、

 そんな息子を不憫に思う。

 このままでは、死んでしまうのは必至!

 そこでバリヤージュ夫人は、

 自ら使うために

 密かに裏の組織から高額で手に入れた、

 「呪の魔法薬」を、

 ドゥークに飲ませると決意。


 実はその呪の魔法薬には、

 エリクサー並みの

 体の欠損部位でさえ再生できる、

 「超回復効果」があると知っていたのだ。

 だが、もう一つの効果として、

 「男性の少女化」効果があるのだった。



「だってわたくし、娘が欲しかったのよ?

 だから、迷うことなんてなかったわ!」


「なにその理由ぅっっっ!!」


「これから、わたくしのことは、

 ”お母様”とお呼びなさいね!」


「お…おか…お母様…だとぉ?」


「そっ!

 そして、貴女は自分の事を呼ぶときには、

 必ず、”わたくし”とお呼びなさいね?」


「んなっ!?…な…なん…なんで……」


「分かりましたの? どうなの!?」


「でっ…できるかぁああああああ~!!」


「ほら、あなたたち!」


「「「「はいっ!!」」」」



 それまで並んで立っていた侍女たちが、

 一斉にアンビショーネに襲いかかる!

 敷布団とロープを持って。



「わっ! こらっ! 何をする!?」


「お嬢様!

 もう、お諦めになってくださいませ!」


「なにを!?」


「男をです!」


「いやああああああああああ~~~~!!」


 ………………

 …………

 ……


 ドゥークは、また侍女たちに捕縛され、

 ついには、敷布団で

 体をぐるぐる巻きにされ、

 更にロープでぐるぐるに縛られ、

 す巻きにされてしまった……



 ・⋯━☞騎士 vs 淑女の攻防☜━⋯・


 みの虫状態のアンビジョーネ。



「俺は騎士だ!

 淑女教育なんて死んでも受けん!!

 っていうか、ロープを解けぇっ!!」


「ならこうしましょう。」

 パチン!



 侯爵夫人は扇子をぱちんと閉じる。



「淑女として教育を受けるのなら、

 騎士としても認めます。

 もちろん、“女騎士”としてね?」


「なんですとぉ~!

  ですとぉ~

   すとぉ~

   とぉ~」(こだま)



 ・⋯━☞聖騎士の夢、再び☜━⋯・



 ドゥークは、震える手を見つめた。


 若い。

 軽い。

 剣が振れる。

 走れる。

 夢を……もう一度追える。



「……わたくし、聖騎士を目指しますわ。

 女騎士として!」


「いいわ♡

 騎士なら聖騎士に。

 淑女なら王妃に。」


「なんですとぉ~!

  ですとぉ~

   すとぉ~

   とぉ~」(こだま二回目)



 こうして――

 元ストローム騎士団副団長ドゥークは、

 悪役令嬢

 アンビジョーネ・コンフィ・バリヤージュ

 として生まれ変わり、

 “女騎士”としての

 新たな人生を歩み始めるのであった。



「さあ! 淑女教育ですわよ!

 覚悟は、よろしくて?」


「ぬわんだとぉ~~~!!??

 くっ!…殺せっ!」


いやぁ……ドゥークさん、走り回りましたねぇ……

侍女さんたちも大変でしたわ……

でも、ここから“女騎士コンフィ”が始まると思うと、

なんだか胸が熱くなりますわ♡

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