第21話 (ビオラの章)騎士は、悪役令嬢である
第21話では、ビオラが“女騎士団長”としての新たな試練に直面します。
ラストへのお弁当届けから始まり、
呪いの薬で女性化した騎士たちの存在が明らかに。
そしてついに、あの“悪役令嬢”コンフィ副団長との対面へ――。
ビオラの受難(?)はまだまだ続きます。
••✼••1年後••✼••
・⋯━☞ラスト騎士団訓練場☜━⋯・
「おおーーい! ラストぉ~~~い!」
「「「「ザワッ……」」」」
ビオラは、朝早く起きて、
ラストの為に「お弁当」を作って、
ラスト騎士団訓練場まで持ってきた。
「おっ! 来たかぁー!
愛してるぞぉ~~~! マイハニ~♡」
ダッダッダッダッダッダッ!
「?!……」
ビクッ!
ラストが、また歯が痒くなるような寝言を言いながら、両手を手を前に出し、思わず殺したくなるようなデレ顔で迫って来た!
なのでビオラは……
「こんの! どりゃああああーーー!!」
「はぁあああにぃいいい~~~♡」
ドガッ!!
「げぼばっっはぁあっっっっ……」
「「「「おおおっ!!……」」」」
「ん”ん”ん”ん”~~~っ!」
……ガシャ……ドシャッ!
ビオラの、ドロップキックが、
ラストのナニにモロに決まった!!
訓練中の騎士たちは、軽装であるため、
急所のナニには、何の防具も無かった。
皆、股間を抑えて唖然……
ラストは、エビのようにくの字に曲がり、
2、3歩、後退りして股間を抑えて内股になる。
そしてピクピクと痙攣して、
まるで脱力人形のように膝から崩れ落ちた。
もう今のビオラには分からない苦痛である。
「な……なん……なんでぇ?」
(((ガクガクブルブル……)))
「その、気っ色悪い呼び方すなっつっただろ!」
「すぃ……ま……すぇん……(震)」
(((ガクガクブルブル……)))
「「「「おおお…………(汗)」」」」
ラストは、股間を抑えて顔が土気色に……
おおお……なんと哀れな(汗)
これが、前団長のビオラと代わり、
現騎士団の団長の姿である。
するとそこへ、崩れ落ちた団長を無視して、
他の騎士が、ビオラのもとへやって来る。
「これはこれは、女騎士団長殿!
ご機嫌、うるわしゅう~~」
「ふむ ま、元気にやってるよ?
これ、後でラストに渡しておいて!」
「はい! 承りました!」
「じゃあ、俺はこれで……」
「「「「………………」」」」
(股間を抑えてラストは?の目の騎士たち)
「ああ、そうそう!」
「なんだ?」
「他所の騎士団にも、魔女の呪いの薬による被害者がおりまして……」
「うむ そうだったな
俺も、気にはなっていたんだよ」
「は、そうでしたか!」
「ま、今はまだ時間があるから、
これから顔を出してみるよ!」
「は!」
こうして、ビオラはラスト騎士団訓練場から出る。
「ふん……ラストんところにも、
あんな礼儀正しいヤツもいたんだな……」
などと、独り言を言いながら歩くビオラ。
ビオラは、ラスト騎士団の他の別の騎士団にも、
「大魔女ラカの呪の薬」
による被害者、
つまり女性化した騎士が居るとのことで、
行ってみることにした。
と、そんなビオラを見て想う人々がいる。
・⋯━☞他団へ通じる通路☜━⋯・
他団へ通じる通路には、他にメイド用宿泊棟、
執事用宿泊棟、救護班、救護班宿泊棟、
厨房、厨房班宿泊棟などがある。
その途中で、他の部署の人たちとすれ違う。
「あ! 見て見て、ほら!」
「可愛いわよねぇ~」
「小っちゃあい!」
「え? あの娘が、女騎士団長なの?」
「知らなかった?」
「でも、相当強いらしいぜ?」
「ホントかよ?」
「…………♪」
顔も知らないヤツらに、
好き勝手言われるのにビオラは気づかない。
もう、この体になってもうすぐ2年になる。
男だった頃から人当たりは良かったビオラ。
むかしからの知人も今でも良くしてくれる。
中には、扱いが180度変わった人もいる。
だが、殆どは良い扱いだとは思う。
ただ、子供扱いだけはやめて欲しいものだ。
「あっ! ビオラちゃん!」
「げっ! 」
「げって、なに? げってぇ~もぉ~!」
「あはは……(汗)」
この女性は、救護班の筆頭回復魔術師であり、
ラストやビオラの騎士団でもよくお世話になる、
「リリア」という名の女の……子?
まあ、「子呼び」でいいだろう。
ビオラよりも5つ若いのだがら、
下手に期限を損ねたりして、
「失禁するまでコチョコチョの刑に処される」
よりはマシである。
なので、ビオラは正直あまり得意な人ではない。
見た目はライトなゴスロリメイド風な容姿。
とにかく「可愛いもの好き」で、
ビオラもその中のひとつにされているようだ。
「ほぉ~らっ! 高い高ぁ~い」
ひょい!
(いきなり抱き上げ!)
「わっ! ちょっと! リリアさん(汗)」
「うん?」
(コテン!と首を傾げる)
「!……(照)」
チキショウめぇ……可愛いなぁもお♡
首を傾げる仕草はわざとなのか天然か?
今でも騎士団と救護班ではアイドル的存在。
回復魔術師だけあって総魔力が高く、
成長も普通の人族よりも遅く長寿なので、
未だに10代半ばにしか見えない。
魔術師系は平均寿命が300歳を超えるらしい。
羨ましいこった。
「どこに行くの?」
「えと……ストローム騎士団に行こうと」
「ストローム騎士団長のところ?」
「う……うん」
「あっ! なるほどね!」
「……?」
リリアちゃんは……
ああ、まあ、ちゃん付けでもいいか。
この娘は、俺が騎士団長に就任したその年からの付き合いで、今も仲良くしてもらっている。
可愛い娘が好きで、たぶん「百合」だ。
そのせいか、魔女殿の呪の魔法薬の被害者の
情報をなぜだか俺に真っ先に話してくれた。
おそらく、俺が最初の呪の魔法薬の犠牲者となったことと、王命で「女騎士団」を立ち上げたのも理由の一つだろう。
だから、こんな話があるのだ。
「あっ! もしかして、
ジェニーちゃんと、ラビミヤちゃんのこと?」
「ジェニーちゃん? ラビミヤちゃん?
ああ~~~……(汗)」
「ジェニーちゃん」とは、
ストローム騎士団入団ほやほやの若手。
彼……彼女も呪の魔法薬の犠牲者で、
何故か女の子になった事を喜んでるとか?
しかも、ビオラに対して「姉呼ばわり」で、
好き好きオーラ丸出しのベタベタなのが超難儀。
また、もう一人の、「ラビミヤちゃん」とは、
ジェニーと同い歳で同期。
ただ問題なのは、「ドが付く助平」で、
女の子になってから、百合に目覚めたとか?
隙あればビオラに体を擦り付けてくるのが
もう鳥肌モノで、ビオラは苦手だった。
「ま、まあ……そうとも言えるし、
違うとも言えるのかも?」
「あら、そうなんだぁ? なぜ?」
「なぜって……あ、ほら!
コンフィって人もいるでしょ?」
「!……ああ~~~……(汗)」
「あはは……今度は、リリアちゃんが
ああ~~~って(汗)」
そうなのだ。
ビオラがストローム騎士団へ向かう理由は、
「コンフィ副団長」なのだ。
コンフィ副団長とは、今年で48歳になる中年。
彼も魔女殿の呪の魔法薬の犠牲者であり、
今は、少女の姿へと変身してしまっている。
それでも、男だった頃の堅物っぷりは健全で、
見た目と雰囲気はまるで「悪役令嬢」だそうだ。
騎士団として威厳たる騎士道を貫くなら、
是非とも欲しい存在だ。
だが、リリアちゃんの言うように、
あまり関わりたくない相手でもある。
そんなヤツ、国王陛下の検討の指示がなければ、
誰が声などかけるか!と言いたい。
「あの人、女の子になってから、
まるで悪役令嬢じゃない?
苦手なのよねぇ~私ぃ~(汗)」
「あはは……(汗)」
「でもまあ、ビオラちゃんが決めたのなら、
私には反対する訳にもいかないしねぇ?」
「うん、そうねぇ?
ってか、まだ決めてないけど?
あの……そろそろ、降ろして?」
「あ、ごめんねぇ?
ビオラちゃんが、小っちゃくて可愛いか♡」
ストン!
(やっと、降ろしてもらった)
「じゃあね? でも、気をつけて?」
「……?」
なんだろう?
「気をつけて」とは、どういう意味なのか?
やはり、コンフィとはヤバいヤツなのか?
・⋯━☞ストローム騎士団訓練場☜━⋯・
「「「「ワイワイガヤガヤ……」」」」
「おお~~相変わらず盛んですなぁ?」
『うっわぁ~ラスト騎士団より男っ臭え~』
「おお、これはピオニー女騎士団の
ビオラ団長殿!」
「ストローム団長殿! ご無沙汰です」
「まったくだ!
この頃は、ちっとも、
顔を見せないじゃないか?」
「申し訳ない! なにかと忙しいもので。
また、盃でも交わしたいものですがぁ……」
(男の頃、酒好きだったビオラ)
「まぁ、やめておこう。
ラスト殿の目がありますからな!」
「あはは……あははははは……(汗)」
(チラリと横目で見る)
その時、ストローム団長の言うように、
草葉の陰……じゃなかった!
物陰から、ラストの視線が……
チッ! アイツ、暇かよ?
「ところでビオラ団長殿、
本日は、どのようなご要件で?」
「はい! 実は、コンフィ副団長殿を、
我がピオニー女騎士団へ……と、
移籍の検討を……ええと……
との国王陛下からの指示がありまして、
私も、考えてはいたのですがぁ……」
『いやだぁ! 絶対に要らねえ!』
「ふぅむ……そうですな?
実は、扱いに困っていたのも事実。
もし、ビオラ団長殿が、宜しければ……」
「もちろんです……が、
国王陛下からも、彼を……ええと、彼女を
我がピオニー女騎士団への移籍の検討を
チラつかされておりましてね?」
『頼む! 察してくれ~~』
「なるほど……
王命とあれば、仕方ありませんな」
(どこかホッとしているストローム団長)
「いえ、決して王命ではありませんが……
あくまでも、
”検討してみてはどうか?”
……どまりですがね?」
『おいおい! 要らねえってば!』
「いや、どちらにしても、
国王陛下からの、指示があるのならば!」
『いいから、持ってけ!』
「そんな、ですから決して……」
『その解釈やめい!』
なんだか、変な押問答が続いた。
結局、コンフィ副団長は、
ビオラの正式な返答も無いまま、
ピオニー女騎士団への移籍が決まった。
いや、決められてしまった。
ストローム団長は、
本当はコンフィ副団長を、
追い出したかったのでは?
と、ビオラは思った。
••✼••約30分後••✼••
・⋯━☞ストローム騎士団詰所☜━⋯・
ビオラは、コンフィ副団長と御対面。
「……あはは……どうも(汗)」
「ふん お前が、ピオニー女騎士団の団長か」
「…………プチッ(怒)
あのですね、俺は貴女よりは歳下ですが、
地位は俺……私の方が上なんですがねぇ?」
「ほぉ? こんなメスガキがねぇ?」
「ぐぬぬぬぬぅ~(怒)」
「うむむむむぅ~(怒)」
ビオラとコンフィ副団長は、
鼻がくっ付くくらいに顔を近づけ睨み合う。
いやはや、これは一悶着ありそうだ。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
第21話では、ビオラの周囲に新たな“個性派”たちが登場しました。
呪いの薬の被害者たち、
そして悪役令嬢のようなコンフィ副団長。
女騎士団はこれからどうなるのか……
次回もぜひお楽しみに。




