第18話 (ビオラの章)三人娘、ついに勝利!スケルトンキング
ついに――リベンジ戦。
先日の大ポカを経て、 今度こそ三人娘は本気でボスに挑む。
エンチャント進化。 連携完成。 そして、団長の“格”。
スケルトンキング討伐戦、 決着です。
・⋯━☞ピオニー女騎士団施設☜━⋯・
••✼••数日後••✼••
先日の、
【ピオニー女騎士団長ビオラのエアーツダンジョンにて大ポカやらかし大バグ誘発事件】
により、何の成果も得られなかった三人娘たち。
流石に責任を感じ、今度こそはと、
気を取り直して意気込むビオラだった。
「団長、今度は、大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫だ!」
「……本当に?」
「おう! 任せておけ!」
「……ん”?」
「……ん”!」
「「「…………」」」
「……皆、そんな顔するなよ(汗)」
この頃になると、三人娘たちにも、
ビオラの人となりが分かってきたというもの。
なので3人揃って……
『ああこの人は、スケルトンキングを一撃で倒せるほど強くて頼りになるけど、どこか頼りないな……』
と、思ったとか。
「あはは……まあ、その……なんだ」
「「「(# ≖_≖)# ≖_≖)# ≖_≖)……」」」
(じぃ~~~~~~)
「ああもお、ほら! そんな顔してないで、
さっさと用意しろ!」
「「「……」」」
パタパタ……
「……はは(汗)」
三人娘たちは、黙々と出掛ける用意をした。
・⋯━☞エアーツダンジョン☜━⋯・
・⋯━☞第10階層ボス部屋前☜━⋯・
「さ、今日は、先日のように失敗はないから、安心して中ボス踏破に集中してくれ!」
「「……はい!」」
「……ん!」
「……よし!」
(ちと、ホッとするビオラ)
流石は、騎士を名乗るのに相応しい適応力だ。
ボス戦を前にして、スイッチが切り替わる。
「えっと、今回は俺が開けるね?」
「「……はい」」
「……ん」
「あはは……では」
ピタッ……バチバチッ!
「ん!!……」
ガタァーーン!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ガッタァーーーーン!
「よし! 行くぞお前たち!」
「「はい!」」
「ん!」
さあ、今度こそ本番だ!
先日の失敗を活かして、今日はシッカリと
エンカウントした魔物は瞬殺してきたビオラ。
逆に、物足りなさを感じる三人娘たち。
自分たちが魔物を察知する前には、
既にビオラが蹴散らしてるのだから、
やる気も失せるというもの。
『本当に、これで良かったの?』
という気持ちは否めないが、
先日とは打って変わって、ボス部屋には
ちゃんと明かりが灯っていた。
ボスの、スケルトンキングの姿は無く、
だだっ広い空間の真ん中に、
バラバラになった骨が山積みになっている。
それこそが、スケルトンキングなのである。
ゴゴゴゴゴゴゴ……ゴトン!
(後ろで扉が閉まる)
「「「!!……」」」
「さあ、始めようか!」
「「はい!!」」
「ん!!」
ティミーは、早速詠唱を始める!
「我今、ティミーの名において、
精霊に願い賜る……」
「……ん?!」
このとき、ビオラはティミーの詠唱が、
いつもと違うことに気づいた!
先日は、何もできずにアッサリ終わったからか、騎士団施設に戻ってから、一人詠唱の研究に励んでいたのはビオラも知っていること。
『たったの数日で? 大したものだ』
ビオラは、ティミーが将来、
『大魔術師に化ける』
と、確信した瞬間だった。
「我の魔力と引替えに、彼の者たちに、
敵に打ち勝つ力を与えたまえ……
エンチャント!!」
オン!……ズゥオオオオー!
「んなっ?!」
「「きたぁーーー!!」」
「おぃおぃ、マジかよ?!」
実はティミー。
先日のビオラに刺激され、
この数日間は一人で最寄りの森にて、
詠唱の最適化に励んでいた。
それはまさに、
「画像生成AI」に、
どのようにプロント(指示)を出せば、
使用者の希望通りの画像が生成できるのか?」
それに、よく似たものでもあった。
精霊に対して、どんな指示や質問を
投げかけたら上手く精霊に伝わるのか?
ティミーは、気が遠くなるほど繰り返し、
今、自分で一番しっくりくるもの、
一番納得できるものを探り続けた。
その結果が、今回の詠唱なのである。
ティミーが詠唱し終えると、
フーリアとベミーヨの体に、
「金色のオーラ」が包んでいた!
すると……
ガタッ!……
「「「「!!……」」」」
ガタッ……ガタガタゴトゴトカタカタ……
「「「「……」」」」
バラバラになった骨の山から、
頭蓋骨が先に形を成し、
それが宙に浮くと、他の骨たちが、
次々と浮き上がり、
スケルトンキングとしての全貌を表し、
そして形を成していく……
「……大っきい!!!」
「コイツがスケルトンキング……」
「…………ん!」
「もう、言われなくても分かってるよな?
サボートはしてやる!
自分の役割に集中しろ!!」
「「はい!!」」
「んっ!!」
「ヴァア”ア”ア”ア”ア”ア”ーー!!」
「「くっ!……」」
「んっ!……」
「フーリア! 行けぇ!!」
「はい!!」
ダダッ!
ビオラの掛け声を合図に、
フーリアは、
スケルトンキングに向かって猛突進する!
「へへっ!」
ダダダダダダダダダッ!!
「すんげぇ速えっ!!」
フーリアは双剣を後ろ手に、
スケルトンキングに向かってかっ飛ばす!
スケルトンキングは、そんなフーリアに気づき、
骨の棍棒を振り上げる。
今スケルトンキングのタゲはフーリアに!
フーリアに向かって骨の棍棒を振り下ろす!
「ォオ”ア”ア”ア”ア”ア”ーッ!」
ブォン!
「おっと!」
ササッ!
ドズゥーーーーーーン!……
「今だ! ベミーヨ行けぇ!!」
「はいっ!!
へぇえああっ!!」
「ゴアッ?!」
ベミーヨがスケルトンキングの
振り下ろした骨の棍棒と懐の間に入り込み、
すかさず、バトルアクスを振りかぶった!
そしてスケルトンキングの胸部に向かって、
腰を落とし、腰をめいいっぱい捻り、
短く持ったバトルアクスの柄を長く持ち替え、
そのまま思い切り叩き込む!
「ぅんぬわああああーーっ!!」
ブン!……
ガキィイィイィ~~~ン!
「ゴフッ!! ゴワアアアー!」
(ケロッとしているスケルトンキング)
「なっ?! 硬い!」
「「!!……」」
ベミーヨの渾身の一撃は、
スケルトンキングの胸部に命中!!
だが、まるで岩をパイプで殴りつけたかのように、ベミーヨのバトルアクスは跳ね返った!
「ええっ! 今ので割れないの?!」
「んん?!……」
「うろたえるな!! 確実に効いてる!」
「「はあい!!」」
「……んっ!!」
ベミーヨは、一瞬うろたえる。
まったく自分の一撃が効いていないと思った。
でもビオラは、言う。
「先日も言っただろう!
コイツとは長期戦になるって!
一撃で片付く相手じゃないんだぞ!
己の力を過信するな!!」
「あ……は、はい!」
「ベミーヨ、引いて!」
「え? はっ?!」
「ゴア”ア”ア”ッ!」
スケルトンキングは、骨の棍棒を振り下ろした姿勢のまま、頭だけをグルリと回し、ベミーヨをギロリと睨んだ!
スケルトンキングのタゲがベミーヨに向く!
「コッチだ! 骨っ子野郎!!」
「グワッ?」
「よし! コッチコッチ!」
ダダダッ!
「ふふん!
フーリアのヤツ、やるじゃないか?」
フーリアは、上手くスケルトンキングのタゲを得たようだ。
スケルトンキングは、骨の棍棒を持ち上げると、またフーリアを追いかけ始める。
ドスン!……ドスン!……
「ほらほら! コッチだってばぁ~~~」
「ゴワ”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ー!」
こんな攻撃パターンを数分繰り返し、
やがてフーリアとベミーヨのバフが切れる。
フッ!……
「あっ!……やばっ 光が消えた!」
「えっ?……うそ! 早くない?」
「何をしている!
早くティミーの下に戻れ!」
「「はい!!」」
パタパタパタパタッ……
「よおし! ここからは、俺の番だな!」
「「……?!」」
フーリアとベミーヨが、
再びバフを貰いにティミーの下へ戻ってる間に、ビオラは一人スケルトンキングに向かって駆けだす!
「ホネホネく~~~ん!
今度は、コッチですわよぉ~~~ん!」
(腰をくねくね、ラカの真似)
「ゴワァ?!」
ドスン!……ドスン!……
「「「…………(汗)」」」
三人娘たちは、ビオラの言葉に呆れてはいるが、これも立派なタゲを取るための「ヘイト」である。
スケルトンキングは、ビオラを追いかけ回す。
そこへ……
「バフ貰ったか?」
「「はい!」」
「よし! じゃあ、そろそろ交代だ!」
「「危ない!!」」
「は?」
フーリアとベミーヨがそう叫んだとき!
スケルトンキングは、ビオラに向かって骨の棍棒を振り上げていた!
ビオラが振り向いたときには……
「ゴワ”ォア”ア”ア”ア”ーーッ!」
ブォン!……
「「団長ぉーー!!」」
「ん”ん”ーーっ!!」
スケルトンキングの骨の棍棒が、
ビオラの頭に向けて振り下ろされる!
この瞬間! 三人娘たちは、
ビオラが殺られると覚悟した!
ところが……
「よっと!」
パチィン!
「「はっ?!……」」
「ん”ん”っ?!……」
「ゴワウッ!……」
ヨロヨロ……
ドスドスッ……
なんと!
ビオラは、スケルトンキングの振り下ろした骨の棍棒を、片手の裏手で叩き返したのだ!
素手で……
その直後、スケルトンキングは、
ヨロヨロとよろけて後退る。
その光景を目の当たりにした三人娘たちは、
ただただ唖然……
「ははっ……俺としたことが、ミスった」
「「「(⊙⊙ ;(⊙⊙ ;(⊙⊙ ;)!!……(汗)」」」
「……ん? 何を呆けてんだ!」
「「「……はっ!!」」」
ビオラの掛け声に、
はっ!と我に返る三人娘たち。
こうした攻防が30分も続いた……
そして……
「ぬるわああああーー!!」
ブォン!
ガチャアーーーン!
「「はっ!!」」
「ん”っ!!」
「ふん! ようやくか……」
ついに!
スケルトンキングの胸部に大きな穴が空き、
そこから赤い石が、あらわになった!
「ベミーヨ! 行ってぇー!!」
「任せてぇ!!
ういゃああああああああーー!!」
ブォン!
パカァーーーン!!
「「「!!……」」」
パラパラ……パラパラパラ……
ガラガラガラガラガラッ……
ズシャアーーーン!
ドドドドドドドド……
「「「!!!!……(震)」」」
《ビリビリビリビリ……》
「ふん! やったな」
「「「やったあああああ~~~!!」」」
やっと、スケルトンキングを倒した!!
嬉しさで抱き合って喜ぶ三人娘たち。
ティミーも珍しく大声で喜びの声を上げた!
三人抱き合って、ぴょんぴょん飛び跳ね喜んだのだった。
そして、一拍置いて……
フゥン……
「「あっ!……」」
「んっ!?……」
「おっ! 格が上がったようだな?」
「「……かく?」」
「……ん?」
「ああ、俺が勝手にそう呼んでいるだけだがな
格が上がると、基本的な強さもろもろが、
一段、強くなるみたいなんだ」
「「へぇ~~~」」
「んん~~~」
このとき三人娘は、レベルが上がった!
ビオラの言う「格」とは、
まさに、レベルのことであった。
やはりビオラは、無自覚ながらも、
レベルや経験値の概念を認識していたのだ。
3人共、既にレベルは2ポイント上がり、
レベル順に、
ベミーヨLV40、
フーリアLV39、
ティミーLV34。
ビオラ LVやっぱり内緒。
……と、なった。
「さっ! お待ちかね!
ほら3人で、宝箱を開けてみろよ?」
「え? アタイたちで? いいの?」
「ああ、いいぞ!」
「……うん!」
「……ん!」
「……そう? じゃあ」
カタカタッ……
三人娘たちは、一緒に力を合わせて宝箱を開けた!
このボス戦での宝箱は、ボスを倒さないと、
進めない場所にあるのだ。
「「せぇーのっ!」」
「んんーんっ!」
バカッ!……キィ~~~
「「あ……」」
「ん……」
宝箱に入っていた物とは……
「団長! これって……アタイらの」
「そうだ! このダンジョンには、
大魔女ラカ殿の有難い施しがされていてな!
ボス戦で勝利し、宝箱を開けた者に
今一番最も適した武具が出る仕様なんだってさ!
有難く使うんだぞお~~~?」
(昭和の熱血時代先生風~)
「「おおおお~~~!!」」
「んんんん~~~!!」
ビオラの言う通り、三人娘たちに今欲しいと思っていた物が、宝箱に入っていたのだった!
「わあ! これ、凄いんじゃない!?」
フーリアが迷わず取ったのは、
「双剣カマイタチ」
だった。
今、フーリアが持つ双剣は、実の姉の、
元女騎士団副団長から下賜されたもの。
決して、粗悪な得物ではないが、
「双剣カマイタチ」の方が、
「素早さ(AGI)+4」が付与されおり、
俗にいう「ユニーク」武器であり格段に上だった。
そして、ベミーヨは……
「やった……やった!やった!やった!
やったあああああーー!!」
「はっはっはっ♪」
ベミーヨが手にしたのは、
「地震わしの斧」
だった。
もちろん、今ベミーヨが持つ、
尊敬する先輩冒険者から譲り受けたモノも、
決して、悪いモノではないが、
今のベミーヨには良すぎて、ちと持て余す。
「地震わしの斧」には、
「スキルかち割(必殺+8%)」が付与されており、
同レベル程度の相手なら、
8%の確率で一撃必殺が見込めるユニークだ。
そして、ティミー。
「ん!……んんんっ!!
ん”ん”ん”ん”ん”ん”~~!
ん”ん”ん”ん”ん”ん”~~!」
バタバタバタバタッ!
「「「クスクスクス……w」」」
ティミーが手にしたのは、
「賢くなる魔術師の杖」
だった。
ティミーは、足をバタつかせて喜んでいた。
今のティミーが持つ杖は、
ギルドのくじ引きで当たった景品だった。
正直、大した物ではない。
所詮は、1回1万チャリンで引けるくじだ。
だが、「賢くなる魔術師の杖」は、
「賢さ(INT)+5」が付与されており、
ユニークの中でも珍しいタイプ。
まさに、ティミーにピッタリな得物だった。
「はっはっはっ! やったなお前たち!」
「「はい! 団長!!」」
「んんっ!……んんんっ!」
「うんうん! どうだ?
この俺様が、ちゃんと役に立つと
今回の事でよぉーく分かっただろ?」
「「…………ははは(汗)」」
「…………んん(汗)」
「おぃ……そこは、社交辞令でもいいから、
”そうです~”って、言うところだろ?」
「「「……クスクスクス……うんうん!」」」
「……ま、いいわ!
じゃあ、外に出るとするか!」
「「はい!」」
「んんっ!」
こうして、ビオラたち四人娘たちは、
意気揚々とダンジョンを後にしたのだった。
ゴン!……ゴゴゴゴゴゴゴ……
・⋯━☞第10回層ボス部屋前☜━⋯・
扉が開き、ビオラ率いる四人娘たちが、
ボス戦クリアのため、ボス部屋から出てきた。
ゴゴゴゴゴゴゴ……ゴトォーン!
(扉が閉まる)
「「「「ワイワイガヤガヤ……」」」」
(他の冒険者たち)
「! 次は、僕の番だね」
「お? おお……頑張れ」
「ありがとうございます……では」
(ペコリとお辞儀をする少年冒険者)
「…………」
(気になり少年を見送るビオラ)
少年は、ボス部屋の扉の前に立ち、
体をゆさゆさ揺さぶっていた。
次に、体のあちこちを手で叩きながら、
気合を込めているようだった。
手には包帯がグルグル巻に。
装備はどれも傷だらけ。
背中に背負った長剣にはサヤは無く、
刃もボロポロだった。
このボス戦にも、
何度も挑んでいる様子に見えた。
そして、大きく息を吸い、
はー!っと強く息を吐くと、扉に手を触れた。
「・・・はぁーっ!」
…ペタッ バチバチッ!
ゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴ……ゴトォーーン!
(少年がボス部屋へ入り、閉じる扉)
「………………」
「どうしたんだ団長?」
「あん? いや、あの子、ソロなんだな?
慣れた様子ではあるんだがぁ……」
「ああ~~~そうだね?」
「大丈夫なのかしら?」
「……ん……たぶん無理」
「「ですよねぇ~~~」」
「あはは……お前たち(汗)
しかし……」
ビオラは、今しがたボス部屋に入った少年は、おそらくフーリアたちとそれほどレベルに差はないだろうと見ていた。
なので、とてもソロではスケルトンキングには、勝てないだろうと気になっていた。
だがこの少年……
ビオラが自分の人生にとって、
これまでの生き方が変わるほどの
「憧れの人」
に、なるとは思いもしないのであった。
スケルトンキング、撃破。
三人娘は確実に一段階上へ。
ティミーの詠唱進化。 フーリアのタゲ取り。 ベミーヨの一撃。 そして――団長の規格外。
でも本当に重要なのは、 最後に現れた“少年”。
物語は、ここから少し方向を変えます。
次回、新たな出会い。




