第17話 (ビオラの章)ボス戦、まさかの資格不足?!
パターン①(軽めギャグ寄り)
ついに始まった三人娘の初ボス戦!
……のはずが。
まさかの団長、やらかしました。
ボスより先に、仕様に敗北!? 資格不足ってなにそれ?!
ピオニー女騎士団、安定のトラブル回。 第17話、開幕です。
・⋯━☞エアーツ鉱山☜━⋯・
・⋯━☞エアーツダンジョン☜━⋯・
・⋯━☞第10階層ボス部屋前☜━⋯・
「よぉーーしっ!
じゃあ、いざ、打倒スケルトンだ!」
「「はい!!」」
「……ん!!」
こうしてビオラたちは、中級ボス、
対スケルトンキング戦に挑むのだった。
「さあ、フーリア!」
「!……」
(無言で頷くフーリア)
ペタッ……
フーリアは、ボス部屋の扉に触れた!
バチバチッ!
「「きゃあ!」」
「ん”っ!……」
「ふっ……」
フーリアの触れた手から魔力を得た扉は、
まるで電気を放つかのように手を弾く!
そして……
ガタァーーン!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
「「おおおおおおおお……」」
「…………んん」
「まったく、相変わらず派手な演出だな」
そう、ビオラは言う。
それは、何度も経験した者だけが言える言葉。
初めてエアーツダンジョンの、
中級ボス部屋に挑む三人娘たちには、
思ってもみない余計な演出である。
ゴゴゴゴゴゴゴ……
「もぉ~~ビックリしたぁ!」
「ほんとに……(震)」
「…………んんん」
(ドキドキドキ……)
「はっはっ この程度で驚いてどうする?
この先には、ボスが待ってるんだぜ?」
「「わかってる!!」」
「…………ん”っ!!」
「そうか なら、よし!
さあ、お祭りの始まりだ!」
「「おおおーー!!」」
「……………んっ!!」
・⋯━☞ボス部屋内☜━⋯・
「おおお……真っ暗」
「……いるね」
「……」
ゴゴゴゴゴゴゴ……ゴトン!
「「「!!……」」」
バタバタッ!
「落ち着け、ドアが閉まっただけだ」
「「「~~~~~~!!」」」
後ろでドアが閉まる音がした途端に、
ボス部屋の中は真っ暗になった。
手元も足元も仲間の顔すらも何も見えない。
これぞ本当の漆黒の闇である。
しぃーーーーーーーーん……
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「ふぅ……ふぅ……ふぅ……」
「……すぅ……すぅ……すぅ」
(ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!…)
仲間の息遣いが聞こえていた。
心臓の鼓動がうるさいくらいに静かだ。
「……おいっ!」
「「「!!~~~」」」
どしんっ!
ドテッ! ボテッ! バタッ!
三人娘たちは、ビオラの声に驚き、
慌てて動いたものだから、
3人で互いにぶつかって転んだのだった。
「なんだ? なにがあった?」
「あいてて……何かにぶつかった?」
「私よ! わーたーし!」
「ん”ん”ーーっ! ん”ん”ーーっ!」
(2人の下敷きになってるティミー)
「はあ? ったく、何をやって……はっ!」
「なにっ?!」
「えっ?! えっ?!」
「…………ん!」
「そこだっ!! 目の前に居るぞっ!!」
「「「!!~~~」」」
バタバタッ!
真後ろからのビオラの声に反応した三人娘たち!
咄嗟に反対側に視線を向けた!
すると、目の前数mほど前、
そして高さは4mほどだろうか?
赤い2つの光が見えたのだ!
赤い光しか見えないが、
それがスケルトンキングの目だと、
三人娘たちは、瞬時に理解した!
3人は揃って戦闘態勢に!
だが……
「はっ! 全員、右へ退避ーーーっ!!」
「「きゃあああああーーー!!」」
「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ーーー!!」
バタバタバタバタッ!
「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ーーー!!」
(スケルトンキングの雄叫び)
「「ひいっ!!」」
「ん”ん”っ!!」
全身の皮膚から内蔵にまで響くような、
スケルトンキングの雄叫びに恐怖して、
思わず耳を塞ぐ三人娘たち。
……と、次の瞬間!!
ぶおん!
ドズゥウゥウゥーーーーーーン!
ドドドドドドドド……
「「ひぃいぃいぃいぃ~~~(汗)」」
「ん~~~~~~~~~~~!!」
《ビリビリビリビリビリビリ……(震)》
おそらく、今の衝撃は、
スケルトンキングが骨の棍棒を振り下ろし
地面を叩き割った音だろう。
その直後!
まるで地震のように大地が揺れた!
「皆、無事か?!」
「「はい~~~(汗)」」
「んんん~~~(汗)」
「くそっ! どうなってやがる!?
なぜ、まだ真っ暗なまんまなんだ!!」
「「ええっ?!」」
「ん”ん”っ?!」
ビオラは、焦った!
いつもなら、ドアが閉まった直後に明かりがつくはずなのに、スケルトンキングの一撃が終わった後でも、未だに暗いまんまだった。
しかも! ビオラにとって、数えるのも面倒になるくらいにクリアしたこのボス部屋。
スケルトンキングが目の前に待ち構えているのも、ビオラには初めての事だった。
普段なら、もっと奥でバラバラになっていたはずなのだ。
そして、冒険者が入ってきたときに、
自らを組み立て、立ち上がるのだが……
おかしい……なぜ?
何かが違う。 なにが違う?
ビオラは、必死に考えた!
そうか! 俺だっ!!
「そうか! やってしまった!……」
「今度はなにぃ?!」
「なに?! なんなのよ!!」
「んあん?!」
「俺は、このボス部屋へ来るまで、
ほとんど魔物を倒していなかった!
いや、蹴散らしただけだったな……」
「それが、なんだって言うの!!」
「そうよ! なに?!」
「ん”ん”~~~!!」
「早い話が、俺は何もしていないのに、
このボス部屋へお前たちと一緒に
入ってしまった……」
「「だからなに?!」」
「ん”ん”っ!!」
「だから、俺にはボス戦に参加する資格がないんだよ!!」
「「ええええええ~~~っ?!」」
「ん”ん”ん”ん”~~~~っ?!」
それはつまり、ビオラは三人娘たちに経験を積ませるために、ほとんど手を出さずにここまでやって来たことが問題なのだ。
そして、性懲りも無く、のうのうとボス部屋に入ったものだから、スケルトンキングに、
「ボス戦に挑戦する資格なし」
と判断され、さっきの一撃で瀕死のダメージを受けて、強制的にダンジョンの外へ転移させられるはずだったのだ。
これも、大魔女ラカの余計な計らいであった。
「……と、言うわけだな
すまんな……みんな(汗)」
「どどどどぉ~~~すんのっ?!」
「なにそれー! どうにかしてよー!」
「ん”ん”~~ん”ん”ん”~~っ?!」
「待て! 落ち着けぇ!
なんとかする! なんとかするから!!」
「「「?!……」」」
ビオラの言う通りなら、
今のスケルトンキングの一撃で、
ビオラパーティーは、
「全滅扱い」
となり、
今頃はダンジョンの外に居るはずだった。
なので、そのせいなのかスケルトンキングは、
あれから全く攻撃を仕掛けて来ないのだ。
「……と、言うことわぁ~~ふふん♪」
(歩きだすビオラ)
「え? なに? なんで鼻歌?」
「やだ! ちょっと、待って!」
「……ん」
「大丈夫! 俺について来い!
悪いようにはしないからさ!」
「「「……???」」」
「ええ~~~と、たぶんコッチに……」
トテトテトテトテトテ……
ビオラは、真っ暗なボス部屋の中を、
皆を誘導するように歩き出す。
そして、しばらく歩いて……
コツン!
(ビオラの足に何かが当たる)
「おっ! あったあった! うひひ」
「「「?……」」」
ガサゴソ……カチン! パァー!
「「「?!……」」」
「ははっ……あっはっはっはっは!!」
「「「?!……(焦)」」」
何かが開く音がした途端に、
周囲が黄色い光に照らされた!
そして突然、笑いだすビオラ。
いったい、なにがあったのか?
「ですよねぇ~~~
そうなりますよねぇ~~~」
「なんなの?」
「……さぁ?」
「……???」
「やっぱり、ボスを倒してないから、
お宝は~~~無し! ちゃんちゃん♪」
「「はあ~~~?!」」
「んんんん~~~?!」
真相は、こうだった……
ビオラは、三人娘たちの指導役であり、
護衛役でもあり、そして付き添いである。
そんなヤツが、何もしないでボス部屋に入ろうものなら、「ずる」をしたとして、強制的にダンジョンを追い出される仕様だった。
これは、腹黒貴族嫌いの大魔女ラカの企みであり……
『高クラス冒険者に寄生して、手柄だけを自分のモノにする貴族のアッポチンのような輩を排除する仕様なのですぅわぁ!』
……と、大魔女ラカが言っていた。
なのに、その際にスケルトンキングの一撃を食らって瀕死のダメージを受けていたはずなのに、ビオラたちはその攻撃を交わしてしまった!
なので、「エラー」と認識されて、ダンジョン運営の要となる「ダンジョンコア」に不具合が発生してしまったのである。
なので、それに気づいたビオラは、ボスを倒さずに宝箱を開けて、脱出用魔法陣を発動させる事を思いついたのだ。
「~~~って、訳だ すまんな
コレ、脱出用魔法陣ね! (´>ω∂`)」
「はぁ……もう、いいや」
「そうね……今日は一旦帰りましょ?」
「…………ん」
「すまんすまん(汗)」
「ばぁーか!」
「ごめんって(汗)」
「アッポケナス!」
「だから、ごめんってぇ~~~(汗)」
「~~~~~~ブス」
「ぐさっ!! それ、酷くない?
俺だって、キズつくんだけどぉ?」
「「ブツブツブツブツ……」」
「んんんんんんんんん……」
「……ごめん」
こうしてビオラたちアッポケ四人娘たちは、
何の成果も得ることもなく、
ダンジョンを後にしたのだった。
スケルトンキングより怖いもの。
それは――ダンジョンの仕様。
三人娘に経験を積ませようとした結果、 自分が“対象外”になる団長ビオラ。
経験とは何か。 資格とは何か。 そして「参加する」とはどういうことか。
でもまあ今回は……
ただの大ポカです。
次回、仕切り直し。 本当のボス戦へ。




