第16話 (ビオラの章)三人娘、初めてのボス戦!
第16話、ついに初のボス戦です!
スライムに転ばされてから二ヶ月。 三人娘は、どこまで成長できたのか?
そして団長ビオラは―― まさかの「見てるだけ宣言」?!
ピオニー女騎士団、初めての本格戦闘回。 どうぞお楽しみください!
••✼••2ヶ月後••✼••
・⋯━☞エアーツ鉱山☜━⋯・
・⋯━☞エアーツダンジョン☜━⋯・
・⋯━☞第10階層ボス部屋前☜━⋯・
ビオラたち四人娘たちは、
リーフ村付近にあるダンジョン、
エアーツダンジョン内にいた。
3人共、既にレベルは30を超え、
レベル順に、
ベミーヨLV38、
フーリアLV37、
ティミーLV32。
ビオラ LV内緒。
これは、ビオラにはステータスが、
見えている訳ではない。
ビオラの騎士としての実力と「勘」である。
最初はフーリアが一番レベルが高かったが、
ベミーヨがあれよあれよという間に、
フーリアのレベルを超えてしまった。
ベミーヨは、急成長型のようだ。
いつか伸び悩むことになるかもしれない。
だが、大技を自分のモノにできれば、
ある程度カバーできるはずだし、
きっと乗り越えられると思う。
それに、一度決めたらトコトン身に付くまで
妥協しないのが、コイツの技の持ち得だ。
フーリアは、普通型?
よく言えば、努力した分だけ実になるが、
悪く言えば、目指す方向性を見失うと、
すぐに壁にぶち当たるタイプでもある。
何事にも極めるのは難しいかもしれない。
俗に言う「器用貧乏」というやつだ。
でも、コイツは素直なので、キッカケや、
改善策さえ与えれば、立ち直るのは早い。
ティミーは、緩やか上昇型。
始めは伸び悩むだろうが、
突然何かに目覚めたかのように伸びるタイプだ。
もし、目覚めることがなければ、
一生伸び悩むタイプだとも言える。
特に「ヒラメキ」を得ることがあり、
レベルにそぐわない実力を発揮するときがある。
見ていて、とても面白く楽しみなヤツだ。
場所は、ボス部屋前の、
安全地帯。
「安心しろ! ここは安全だ。
ここは、大魔女ラカ殿が安全にボス戦に挑めるようにと、魔法を施してくれた、安全地帯だ」
「「おおおお~~~」」
「…………ん」
「結構、キツかったねえ?」
「そう? 私は平気だけど? ふんふん!」
(鼻で息をするベミーヨ)
「嘘だぁー! 鼻息荒いもん!」
「そんな事ないったら!!」
「…………落ち着いて」
「ふふふ……」
なんだかんだと言い合いながらも、
本当に仲の良い三人娘たち。
いよいよ、ボス戦ってことで、
皆、少し興奮しているようだ。
「よしっ! そろそろ行くか!」
「待ってましたっ!」
「ふんふんふん!」
「…………」
(ドキドキドキ……)
「お前たちは、このボス戦は初めてだな?」
「はーい!」
「そうね!」
「……ん!」
「ここのボスは、スケルトンキングだ」
「「おおおー」」
「…………んん」
スケルトンキングとは、
中級エリアのボスである。
中級階層によくエンカウントする、
スケルトンの親玉みたいなものだ。
レベルは30以上が推奨だ。
三人娘ちは、レベル的には適正だが、
ボス戦の実戦経験が圧倒的に少ない。
「まあ、だいたい想像がつくだろうが、
物理攻撃は、ほぼ効かない。」
「えっ! ヤバいじゃん!」
「なにそれ!? 聞いてない!」
「……え……え」
「落ち着け! これから作戦を話すから。
スケルトンは、攻撃力は結構なものだが、
足は遅いし動きは単調で予測しやすい!」
「「「……!」」」
「ヤツは、攻撃を仕掛ける時に足が止まる!
その後、武器を振りかぶり、
そして振り下ろした後の少しの間に隙がでる。
その時が、攻撃のチャンスだ!」
「え? でも、物理攻撃が効かないんじゃ?」
「あ、そうよね?」
「……ん」
「いいか? どんなヤツにも弱点がある
胸の中にある赤い石がヤツの心臓だな
そこを、集中的に狙え!」
「「おおおお~~~!」」
「…………ん!」
「骨が砕けて、赤い石が見えたら、
今度は一気に、赤い石だけを狙え!」
「らじゃ!」
「わかったわ!」
「…………ん!」
基本的な作戦は、ここまでだ。
次は、各々の役割である。
「このボス戦は、お前たちの実力だと、
きっと長期戦になるはずだ!
だから、パーティーの役割を、
これから話すからよく聞くように!」
「「はい!」」
「……ん!」
3人共、瞬時に真顔になる。
ふふん……いい傾向だ。
「フーリアは、引き付け役!
ベミーヨは、一撃を入れる役!
ティミーは、バフと回復役だ!」
「「はい!」」
「……ん!」
「よし! じゃあ、フーリア!」
「あ、はい! 団長!」
「うむ お前は無我夢中になると突っ走る。
作戦も何もあったもんじゃない」
「∑( ̄□ ̄Ⅲ)!!……」
「慌てるな! ま、今更言っても無駄だろうな
だから、これだけは忘れるな!
お前は、ヤツの注意を引く役目だ!
決して、自分からダメージを与えようとは
思わなくてもいい! いや、考えるな!
バフが切れたら、ティミーの傍まで戻って、
ティミーからまたバフをもらえ!」
「!……」
(チラッとティミーを見る)
「……ん!」
「そのうち、いつ頃バフが切れるのか、
自然と分かるようになるから、
自分でタイミングを計って、
バフが切れる前に、自分で動け!」
「はい! 団長!」
「よし! 次、ベミーヨ!」
「はい!」
「お前は、スケルトンが武器を振り下ろしたら、
その瞬間にだけ集中しろ!」
「……はい」
「お前は、一撃は重いが、動き回りすぎると
スタミナの消耗が激しいはずだ。
だから立ち回りはフーリアに任せて、
ヤツが武器を振り下ろしたその直後に、
ヤツの胸に一撃を入れろ!
欲張るな! 一撃だけでいい!」
「はい!」
「そして、ティミー!」
「……ん!」
「2人がお前の傍に戻ってくる
そのタイミングを見計らって、
すぐにでもバフをかけられるように
何時でも準備だけはしておけ!」
「……ん!!」
「よし! ま、作戦はこんなもんだ。」
「あれ? 団長は?」
「あ、うん」
「……?」
「俺か? 俺は…………
みぃ~てぇ~るぅ~だぁ~けぇ~~~」
「何それズルい!!」
「なんで?!なんで?!」
「ん”ん”ん”ん”~~~!!」
「嘘だよ(笑)
基本的には、お前たちだけで戦ってもらうが、
もし、ヤバイときには、俺も出るから
そう心配はするな? な?」
「ぶぅ~ぶぅ~~~!!」
「もしかして楽するつもり?!」
「ん”ん”んん”ん”ん”ん”~~~!!」
「おぃおぃ、忘れたのか?」
「「「……?」」」
「今回、このダンジョンへ来た理由は、
お前たちの修行のためなんだぞ?」
「「「…………!!」」」
「俺が手を出せば、お前たちのモノに
ならないじゃないか? だろ?」
「「「…………」」」
「分かったな?」
「「…………はい」」
「………………ん」
「よろしい!」
もしかするとビオラは、この「経験値」の
概念が無いはずの世界で、経験値の存在に
既に気づいているのかもしれない。
なので、三人娘たちだけに経験値が入るように、
自分は手を出さないのだろうか。
それはそうと、そんなビオラたちの会話に、
あざとくも聞き耳を立てていた他の冒険者たち。
慌てて書き物を取り出し、必死にメモっていた。
ビオラの作戦を採用するか否かは、
彼らの自由である。
これも、冒険者の知恵と財産になるのだから。
「よぉーーしっ!
じゃあ、いざ、打倒スケルトンだ!」
「「はい!!」」
「……ん!!」
こうしてビオラたちは、中級ボス、
対スケルトンキング戦に挑むのだった。
第16話、いかがでしたでしょうか。
今回は、三人娘それぞれの「役割」に焦点を当てました。 強さとは、ただ攻撃力が高いことではなく、 自分の役目を理解することなのかもしれません。
ビオラは見守る団長。 でも本当に“見ているだけ”なのでしょうか?
次回、いよいよボス戦本番です。 ピオニー女騎士団の真価、見届けてください。




