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第六十三話 特訓開始!一日目 (6)

また更新しました。いつも読んでくれている人も、そうでない人も最後まで楽しんでくれたら嬉しいです。


「よっしゃ!それじゃぁ…始め‼」


 白夜はそう言うと特に構えをとる事も無くただそこに立っていた。

 そして水姫はその様子を少し不満そうに見ながら構えながら話しかけた。


「先輩、前から気になっていたんですけどなんで先輩は構えたりしないんですか?」


 水姫は白夜の方に構え、警戒しながらそう聞いた。

 そして白夜はめんどくさそうに答えた。


「うん?何となくこれが一番動きやすい気がしたからって言うのと、この格好をしてると馬鹿な奴は油断してると思って考え無しに突っ込んできてくれるんだよね~、いや~それはもう面白いほど馬鹿正直に突っ込んでくるんだよねぇ~っと一応これが理由だけど納得できたか?納得できたなら始めようぜ‼」


 白夜は笑顔でそう言った。それを聞いて水姫はすごく嫌そうに顔を歪めながら動き出した。

 水姫は最初に少しずつ動いてるかどうかよく見ないと分からないほど少しずつ白夜へと近づいて行った。

 その様子を見て白夜は嬉しそうに口元に笑みを浮かべていた。その顔は何処か目の前に大好きなお菓子を用意された子供のようであった。

 そしてその顔を真正面から向けられていた水姫は少し怯えたように顔をひきつらせていた。しかし白夜が攻撃しないと言った時間がそんなに多くない、と言う事を思い出し頭を切り替えて攻勢に出た。


 水姫はまず先ほどと同じようにゆっくりと近寄って行った。しかしすぐに動きがが変わった。

 水姫は白夜との距離が半分程に近づいた時、水姫は一気に動き出した。まず最初に水姫はまだまだ開いていた白夜との距離をほんの二歩でゼロ距離まで近づいた。

 その事に白夜も少しだけ感心したよう目を見開いて笑っていた。

 そしてその間にも水姫は次の行動に移っていた。水姫は白夜がこちらの動きに少し興味が言っているのを確認してから白夜を中心にして円を描くようにして白夜の後ろに素早く回り込み、その時の勢いを利用して白夜の脇腹めがけて膝蹴りを放った。


 外から見ていた見学組、夜空と智理を除いたラファエル達はその光景に、水姫の膝蹴りが決まった!と思ったのか驚愕した表情をしていた。しかし夜空と智理はラファエル達とは違いいつもと変わらない表情で白夜と水姫を観察していた。

 そして白夜と水姫の方はと言うと、水姫の攻撃は白夜に片手で止められていた。その様子を見てラファエル達はまたもや驚愕の表情をしていた。まさかあのタイミングで防御が間に合うとは思っていなかったからだ、そして何よりまさかあの攻撃を片手で防げるとは思ってもいなかったのである。

 そして、夜空と智理は特に気にした様子も無く水姫の攻撃をただ防いだだけの白夜のその姿を見て少し安心したような表情をした。何故夜空と智理がそんな表情をしたのかと言うと二人は白夜が、水姫が攻撃した時に条件反射で攻撃するのではないかと少し不安だったのだ、そのため白夜が反撃しなかった事に少し疑問に思ったが安心感の方が勝ったようだった。


 そして夜空達とラファエル達がそんな事を考えている間白夜達はと言うと、水姫は予想していた通り膝蹴りを受け止められ次の動きに移ろうとしていた。

 そして白夜は思いのほか水姫が良い動きをしていたので楽しくなりそうと思っているのか口元がずっと笑っていた。

 そして水姫はその白夜の表情を見てものすごく引いていたが、すぐに切り替えて次の行動に移った。

 水姫はまず止められたままの膝を起点にもう片方の足で膝を受け止めている手の肘めがけて蹴りを放った。

 そして白夜はその事に少し驚いたように目を見開いた後、何故か笑い出しながら受け止めていた手を放して少し後ろに体を逸らした。白夜がそうしたことによって当たるはずだった相手の居なくなった水姫の蹴りは白夜の上を通り過ぎて行った。

 そして水姫はその時の勢いを利用して後ろへと思いっきり飛び再び二人の距離が開いた。


 そしてそのタイミングで白夜は楽しそうに笑いながら水姫に話しかけた。


「いやお前強くなったなぁ~正直ここまで強くなってるとは思わなかったぞ」


 白夜が楽しそうに笑いながらそう言うと、水姫は構えたまま警戒しながら答えた。


「いやぁ~そんなこと無いですよ先輩、それに先輩にそう言われても嫌味にしか聞こえませんよ~」


 水姫はそう言いながら白夜へとまた、少しずつ近づいて行った。

 そして白夜はその様子を楽しそうに眺めながら話し続けた。


「ハハハ嫌味なわけ無いだろ純粋に褒めてるんだよ、正直これなら退屈しなくて済みそうだなぁと思うぐらいには強くなったと思ってるんだぞ俺は」


 白夜が心底楽しそうに笑いながらそう言うと、水姫は少し嫌そうな顔をしながら話し出した。


「それ全然うれしくないですよ?先輩、先輩にとっての退屈しないって言うのは対戦相手としてとか、観察対象としてとかですよね?それで喜ぶ人はいないと思いますよ?先輩」


 水姫はいやそうにそう言いながらも少しずつ白夜へと進んで行った。

 そして白夜はそう言われて少しショックを受けたのか落ち込んだように話した。


「え~あ~そうだねぇ~、そんな事はない!とは言えない自分が凄く嫌だわぁ、って俺褒めたのに何で少し責められてるの⁉おかしくない⁉」


 そこで白夜はなぜ自分がそこまで言われているのか理由がない事に気が付きそう言った。

 そして水姫は白夜がそう言うと少し気まずそうな表情で話し出した。


「ハッハッハ!先輩何を言ってるんですか?先輩はすごいけどぉ、それと同じぐらいアホじゃないですかぁ?だからたまにはからかわれてくださいよ~」


 水姫は楽しそうに笑いながらそう言った。しかし水姫はそう言いながらもちゃんと白夜の方へと少しずつ近づいて行っていた。

 そして白夜は水姫の言葉に落ち込んだのか俯いて黙り込んでしまった。

 そしてその様子を見た水姫は少し警戒しながらも、白夜が攻撃しないと言った時間がもうすぐ切れる事を思い出し集中して素早く次の行動に移ることにしたのだった。

 まず最初に水姫は少しずつ近づいていたのを切り替えて走り出した。しかしそのスピードは常人に比べれば早いが、ここにいる者の達に比べれば圧倒的に遅い物だった。そのため水姫の姿ははっきりと白夜や見学組の夜空達には見えているはずだった。

 しかし何故か水姫の姿をはっきりと確認する事が白夜も含めてこの場にいる誰にもできなかったのだった。その理由は水姫の走り方に有った。

 水姫は自分のスピードをわざと遅くしていた、そしてそのまま走り続けるだけだったならば周りに姿は丸見えになっていただろう、しかし水姫はそれ以外の事をしていた。

 水姫は基本的にわざと遅くした速度で走り続け時折早くしたり、逆に更に遅くしたりを繰り返していたのだ。そのため頭で予想していた水姫の動きと、視覚でとらえている動きでの差異に脳が処理しきれ無くなってしまっていたのだ。しかし普通ならばそんな事で錯角は起きない何故なら人間は人に錯覚を起こさせるほど早く動けないからである。しかし水姫は白夜に鍛えられた経験と、この世界に来たことでできたステータスの数値による補正それによって数舜の間に三回は自分の速度を変えることによってそれを実現していた。


 そしてその事に気が付いた白夜はそれは楽しそうにもはや獰猛ともいえるような笑顔を水姫に向けていた。

 水姫はその表情を見て背中に冷や汗を流していたが、それでも止まることなくその動きを繰り返しながら白夜の周りを回転していた。

 そしてその動きを一分程続けた時水姫はついに動き出した。

 水姫はその走り方のまま白夜の方へと突っ込んで行った。そして白夜まであと数歩のと言う所で白夜と約束していた十分が経ってしまった。

 そして十分が経ったと同時に白夜は動き出した。その場に居た誰にも認識できない速度で水姫の後ろまで一気に走り抜けたのだ。そして白夜は水姫の後ろから肩をたたいた。


 ⁉⁉


 その事に水姫は驚きほとんどパニック状態になっていた。しかしすぐに正気に戻り後ろへ振り替えるとそこに白夜が立っていた。それを確認すると水姫は少し怯えたように話しかけた。


「あ、あの先輩なぜそこにいるんですか?」


 そう水姫が怯えように聞くと、白夜は楽しそうに笑いながら答えた。


「そんなの決まってんじゃん、十分経ったから終わらせようかなぁ~と思って」


 白夜がそう言った瞬間、水姫は後ろへ飛んだ。そして着地した後白夜が居た方を警戒したように見るがそこに既に白夜の影は無くなっていた。

 そして白夜を探そうとした瞬間、水姫は後頭部にガン!と言うと衝撃と共に意識を失ったのだった。

 そしてそれをやったのはもちろん白夜だった。白夜は水姫が逃げるように飛んだ瞬間、水姫が飛んで行った方向へと同じように飛んで行っていたのだ。そして水姫が先ほどまで白夜が居たところを見ている間に音を立てずに背後に近寄り水姫の後頭部に手刀を放って気絶させたのだった。

 そして白夜は水姫が気絶したため倒れそうになったのを少し慌てながら受け止めて、ゆっくり降ろしてから見学組の方へと話し出した


「さて、と言うわけで今日の午前の組手はここまでだ、この後は昼食の後にもう一度ここで今度は別の奴と組手それを夜の七時までやってもらう、それ以降は自由にしていいが喧嘩なんかはするなよめんどくさいから、ここまでで何か質問あるか?」


 白夜がそういきなり何事も無かったように今後の予定の説明を始めたのだった。

 そして白夜は最後に一応確認のためにそう質問していたが夜空達やラファエル達はまだいきなり組手が終わった事に放心していて話せるような状態ではなかった。

 しかし白夜が質問したことで何とか夜空と智理は正気に戻り答えることができたのだった。


「ん、と、特に質問はない」


「そ、そうねぇー私も特にないかしらねぇーしいて言うなら水姫ちゃん大丈夫なの?」


 何とか話し出した二人だったがやはりまだ完全には立直れていないのか少したどたどしい感じに話した。

 そしてそれに対して白夜は特に気にした様子も無く答えた。


「うん?あぁ~あいつならただ気絶しているだけだから大丈夫だ、他に質問が無いようならさっさと居住スペースにに行って昼食にしたいと思うんだが問題ないか?」


 白夜がそう言うと、今度は夜空達もラファエル達は答えることなくただ賛成の意思表示に頷いただけだった。

 その様子を見て白夜は満足そうに頷いた後話し出した。


「よし!それじゃさっさといどうするぞ~!」


 白夜はそう言うと、足元に置かれたままの水姫とその前に気絶したきり起きる気配のないティターニアを両肩に担いで一人でどんどん行ってしまったのだった。

 それを見て夜空と智理は少し慌てたように小走りで追いかけて行った。

 そしてその更に後ろをラファエル達がゆっくりと付いて行ったのだった。


誤字、脱字など気になる点が有りましたら教えてください。気に入ってくれた人が居たらブクマや評価よろしくお願いします。

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