第百十三話 鍛冶仕事一日目 お昼休憩 (前編)
また更新しました。いつも読んでくれている人も、そうでない人も最後まで楽しんでくれたら嬉しいです。
そしてヘパイストスが白夜の後を追って扉に入って行くと、そこは普通の家の玄関だった。
その光景は現代で生きて来た白夜にとっては当たり前の光景だったが、ヘパイストスは未だに居住区か城しか建物を見たことが無かった。
しかも居住区は白夜の趣味で何故か老舗旅館のようにほとんど木製だったため、ヘパイストスにとっては現代の建築物は完全に未知の技術で出来た何かだった。
そのためヘパイストスは玄関に入るとすぐそこに設置されている靴箱や電気を興味深そうに眺めて固まっていた。
そして白夜はヘパイストスの様子に気が付かずにそのまま進んで行こうとしていたが、ちょうど廊下の突き当りの部屋に入ろうとした時、視界の端に玄関から一歩も動いていないヘパイストスが見えたようで、少し不思議そうに首をかしげながら近寄り話しかけた。
「お~い、大丈夫か~?生きてますか~⁉」
白夜は近寄るとヘパイストスの顔を覗き込んで少し声を大きくしてそう言った。
白夜がそこまで近寄ってようやく気が付いたヘパイストスは、驚いたように目を見開いて少し後ろへとさがりながら話し出した。
「…だ、大丈夫…少し驚いていただけ、だから…」
ヘパイストスが驚きながら少し怯えたようにそう言うと、それを聞いて白夜は苦笑いを浮かべながらゆっくりと話し出した。
「ははは、まぁ確かに慣れていない奴だと驚くか…。うん、まぁそれよりも早くあがれよ。早めに飯と風呂終わらせて、鍛冶仕事再開しよぜ?」
白夜が楽しそうに笑みを浮かべながらそう言うと、ヘパイストスは無言で頷きそのまま上がろうとした。
それを見ていた白夜は少し慌てたように少し大きめの声で話し出した。
「おい!ちゃんと靴は脱いでから上がれ、ここも居住区と同じで土足厳禁だからな?」
白夜は少し大きな声で注意した。
するとヘパイストスはビクッ!と少し肩を弾ませたが、すぐに冷静になると少し落ち込んだようにうつむきながら話し出した。
「…ん、分かった。次からは、気を付ける…」
ヘパイストスは少し落ち込んだように小さい声でそう言うとしゃがんで靴を脱ぎだした。
それを見て白夜は少しきつく言いすぎたかな?と、思いったようで少し気まずそうに頬を掻きながらゆっくりと話し出した。
「あぁ~そのまぁうん、とりあえず気を付けてくれればそれでいいんだよ。さぁそれじゃぁ飯にしようぜ!」
白夜は気まずい空気を振り払うように元気よくそう言うと、ヘパイストスの方を見ないように振り返りどんどん進んで行った。
それを見てヘパイストスは少し慌てて白夜の後を追って行った。
そして白夜とヘパイストスの二人が先ほど白夜が入ろうとしていた扉を開けそこに入って行いくと、そこはやはり普通のリビングとキッチンがあるだけの一般的な現代の建物だった。
そこに入った白夜は慣れた手つきでポケットから端末を取り出し操作しだした。
するとリビングに置いてあるテーブルの上が薄っすらと光り出し、それが収まるとそこには肉じゃが・味噌汁・ご飯の入った炊飯ジャーと言うように日本食と言えばこれ!と言う感じに並んでいた。
それを見てヘパイストスはさすがにもう慣れて来たのか、特に反応をする事無く席に着いていた。
それを確認した白夜は少しつまらなそうな顔をしていたが、すぐに切り替えて自分も席に着き食事の挨拶をした。
「さて、それじゃぁいただきます‼」
「…いただきます…」
白夜が元気よく食事の挨拶をした後に、ヘパイストスも少し遅れて恥ずかしそうに小声で挨拶をした。
それから白夜とヘパイストスの二人は特に話すこともなく黙々と食べ続けていた。
白夜は向かい合った状態でただ黙って居る状態が居心地が悪かったようで、早く食べ終わろうと若干早食いになっていた。
それから白夜とヘパイストスが食事を始めてから四十分程経つと、二人はで食べ終わったようで食後の休憩をしていた。
そしてようやく居心地の悪い食事が終わったため、白夜は疲れたように体中の力を抜いて椅子に寄りかかっていた。
ヘパイストスは白夜のそんな様子を見てなぜそこまで疲れているのか分からないようで、不思議そうに首をかしげていた。
それから更に少し休んだ後、白夜はゆっくりとだるそうに起き上がるとゆっくりと話し出した。
「さて、それじゃぁどっちから風呂行く?」
そして起き上がった白夜はいきなり脈略も無くそう言うと、ヘパイストスは少しの間だけ困惑したようにしていたが、すぐに切り替えるとゆっくりと話し出した。
「…主が先でいい…」
ヘパイストスが少しも考える事も無く当たり前の事のようにそう言うと、それを聞いて白夜は少し引いたように顔を引きつらせていたが、すぐにそれを隠してゆっくりと話し出した。
「そうだなぁ~、まぁお前がそう言うならそうさせてもらうわ。それじゃぁお先に~」
白夜はそう言うと立ち上がり手を振りながら風呂へと向かって行った。
そして白夜が居なくなったリビングでヘパイストスはその後も同じ場所でただ座っていた。話す事も無く、何処かに行こうとすることも無くただそこに少しも動く事無く座っていた。
それから三十分程経った時、白夜は風呂を終えてさっぱりしたため清々しそうにいい笑顔で話しながらリビングに入って行った。
「はぁ~‼気持ちよかったわ~!お前も入ってきたらどう…だ…」
清々しそうに話していた白夜だったが、自分が風呂に行った時と全く変わらないポーズのまま座っているヘパイストスを見て、思わず言葉を止めてしまったのだった。
しかしすぐに切り替えてまだ若干顔を引きつらせていたがゆっくりと話しかけた。
「あ、あぁ~お前、まさかとは思うが…俺が風呂に入りに行ってから、ずっとそこに座ってたのか?」
白夜が恐る恐ると言った感じにそう聞くと、当たり前の事をしているつもりのヘパイストスは何故そんな事を聞かれているのかいまだによく分かっていないようで、少し首をかしげていたがすぐに頷いて答えた。
それを見て白夜は更に引いたように顔を引きつらせていたが、すぐに深呼吸をして落ち着かせるとゆっくりと冷静に話し出した。
「すぅ~はぁ~、まぁそれはいい。それよりも風呂空いたからお前も風呂に入って来い!ここも源泉かけ流しの温泉だから最高に気持ちいいぞ?」
白夜が必死に内心を表に出さないようにしながらそう言うと、ヘパイストスは少し考えてからゆっくりと立ち上がりながら話し出した。
「…ん、分かった。じゃぁ行ってきます…」
ヘパイストスはそう言うとすぐに風呂へと向かって行った。
それを見送った白夜は、完全に気配が無くなったと同時に疲れたように一息つきながらゆっくりと話し出した。
「ふぅ~、はぁ~!ビビッタ‼何あれ?さすがに俺が出てくるまで同じ位置でずーっと座ったまま待ってるなんてな、正直怖いわ。それにあいつ、他の奴らよりも表情が無いから人形みたいで更に怖いんだよなぁ~」
白夜は疲れたようにそう言いと、少しは満足したのかすっきりしたような表情でポケットから端末を取り出して操作し始めた。
そして操作が終わるとまたテーブルが薄っすらと光り出し、それが収まるとそこには一本の瓶のコーヒー牛乳があった。
それを見た白夜は先ほどまでの疲れたような表情から一転、嬉しそうな笑みを浮かべてそのコーヒー牛乳を開けると一気に飲み始めた。
「んぐ、んぐんぐぷはぁ~‼うまい‼やっぱり風呂上りはこれだよねぇ~‼うん、はぁ~にしてもあいつが出てくるまで何をしてようかな?う~ん…仕方ないし、適当に何か本でも読んで待ってるか…」
白夜は少しめんどくさそうにそう言うと、アイテムボックスに入れていた本の中から適当に選んでそれを出してイスに座っりヘパイストスが出てくるまでその本を読み続けるのだった。
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