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黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
六章 Reality 9月

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第79話 告白

「あっくん!」

ふいに。

背後から声を掛けられて、

俺は心臓が飛び出るほど驚いた。

振り返らなくても、

その声の主が誰なのかわかった。


「・・あ、茜。

 どうしたんだ?

 家はこっちじゃないだろ?」

俺は努めて冷静に返事をした。

「翔太さんと2人で

 学校から出ていくのが見えたから」

そう言って、

茜はにこりと微笑んだ。

「・・それで尾けてきたのか?」

「うん。

 話したいことがあったから」

茜は俺と翔太の会話を

聞いていたのだろうか。

掌に汗が滲むのがわかった。

「話って?」

俺は茜の表情を窺った。

「あっくん。

 奥川さんとは別れたんでしょ?」

予想外の質問に俺は困惑した。

「・・あ、ああ」

「じゃあ。

 今好きな人はいないの?」

茜がどうして、

そんなことを聞くのか疑問だったが、

俺は茜の他愛ない恋愛話に、

付き合うことにした。

頭に相馬沙織の顔が浮かんだが、

それは恋ではなく好意である、

というのが自分なりの分析だった。

奥川に対する未練が

まったくないと言えば、

それは嘘になる。

しかし。

それには醜い欲望が付き纏う。

どちらにしろ。

俺には恋というものが、

わからなかった。

少し考えてから。

俺はまた

「ああ」

と答えた。

「よかった」

茜は溜息を吐いてから、

安堵の表情を浮かべた。

「よかった?」

「うん。

 だって。

 好きな人がいないのなら、

 私にもチャンスがあるでしょ?」

俺は茜の顔を見つめたまま固まった。

俺の記憶に残っている茜は、

こんなにも大人びた表情を

見せることがあっただろうか。


「あっくん。

 私、

 あっくんのことが好き」

俺は茜から目をそらした。

「じゃあね、あっくん。

 また明日」

茜は俺の返事を待たずに、

踵を返すと駆け出した。

俺は茜の後姿が視界から消えるまで、

その場に佇んでいた。

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