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黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
六章 Reality 9月

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第77話 変化

ある日の合同練習の終わり。

校舎へ戻る俺の隣に洋が並んだ。

「あ~あ。

 疲れたぜ。

 ボス猿のヤツ、

 散々怒鳴り散らしやがって、

 本当嫌な野郎だぜ」

俺は

「そうだな」

と相槌を打った。

洋の様子はどことなく変だった。

落ち着きなく、

キョロキョロと周囲を窺っていた。

「どうしたんだ?」

と聞いてみたが、

「う、うん」

と洋にしては珍しく歯切れが悪かった。

皆が校舎に消えていく中で、

俺は洋に合わせて歩調を緩めた。

生温い風が頬をふわりと撫でた。


「・・俺さあ。

 茜ちゃんのことが気になるんだ。

 あの夏休みの別荘の時から。

 なぜかさ・・」

何の前触れもなく洋が呟いた。

俺は驚いて足を止めた。

「やっぱり駄目だよな。

 だって。

 茜ちゃんのことは

 翔太がずっと好きだからな」

洋はきまりが悪そうに頭を掻いた。

その瞬間。

俺はハッとした。

洋は今『夏休みの別荘』と言った。

あれは。

「前世」では

起こらなかった出来事だ。

あの1泊2日のお泊り会が

洋の心に変化をもたらした。

もし。

これがきっかけで、

茜と翔太の未来が

壊れることになったら。

それは俺の責任でもある。

しかし。

人を好きになることに、

駄目とか先着とかあるのだろうか。

俺は

「茜だけは絶対に駄目だ。

 翔太と茜は将来結婚するんだ」

という言葉をぐっと呑み込んだ。

代わりに、

「人を好きになるのに

 駄目とか間違いとかはない・・」

そう小さな声で答えた。

洋の表情がパッと明るくなった。

「そっか。

 ありがと、あっくん。

 でも。

 このことは2人だけの秘密だぜ」

そう言い残すと、

洋は元気に駆けていった。

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